shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Little Drummer Boy / David Bowie & Bing Crosby

2009-12-24 | Cover Songs
 クリスマス・ソングの定番と言えば何はさておきビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」である。1942年に発売され、その売り上げは現在までで4,000万枚とも5,000万枚とも言われているからこれはもう凄いという他ない。しかし “クロスビーは「ホワイト・クリスマス」でキマリ!” という風潮には違和感を覚えてしまう。彼のクリスマスCDを聴けばミディアム・テンポで小気味よくスイングする「ウインター・ワンダーランド」や「アイ・ウィッシュ・ユー・ア・メリー・クリスマス」、アンドリュース・シスターズと共演した「サンタ・クロース・イズ・カミン・トゥ・タウン」や「ジングル・ベルズ」、心に響く名唱「ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」と、この不世出のクルーナーの心温まる歌声が堪能できる。こんな素晴らしいシンガーを「ホワイト・クリスマス」だけで片付けていては勿体ないことこの上ない。
 そんな名唱揃いのクロスビー・ナンバーの中でも私が特に気に入っているのが「リトル・ドラマー・ボーイ / ピース・オン・アース」である。これは1977年、ビング・クロスビーが亡くなる直前に “ビング・クロスビーズ・メリー・オールド・クリスマス” というテレビ特番でデヴィッド・ボウイと共演した時のデュエットで、「リトル・ドラマー・ボーイ」は元々1958年にアメリカで大ヒットし今ではスタンダード・ソングの仲間入りをしたと言ってもいいくらいのクリスマス・クラシックスなのに対し、「ピース・オン・アース」はこの番組用に書かれたオリジナル曲。この世紀のデュエットはそのあまりの出来の良さから大評判となり、すぐにブートレッグが出回ったこともあって、ついに5年後の1982年にシングル化されて(←ボウイの意向を無視してリリースされたため彼は激怒しRCAを離れてEMIに移籍、「レッツ・ダンス」の大ヒットを飛ばした...)全英第3位にまで昇りつめたのだ。これはつまり、大衆がこのヴァージョンに対しスタンダード物に近い認知を与えていたということに他ならない。
 私が初めてこの曲を聴いたのは “ベスト・ヒット・USA” だったか “MTV ジャパン” だったかでTVスペシャルの映像を見た時のことだった。当時の私はクロスビーといえば「ホワイト・クリスマス」しか知らず、ボウイも「スケアリー・モンスターズ」や「キャット・ピープル」での先鋭的なイメージが強かったので、 “何ちゅーミスマッチな組み合わせやねん...(>_<)” と思いながら見ていたのだが、いざ二人のデュエットが始まってみるとクロスビーの低音とボウイの高音が不思議な感じで溶け合い、対位法を駆使した旋律の交差が実に美しく魅力的に響いてきてテレビに釘付けになってしまった。二人でハモる “ラ パ パン パン~♪” のパートなんかもうゾクゾクするし、神聖な雰囲気の中でボウイが歌う “Peace on Earth... can it be?”(地球の平和はあり得るんだろうか?)というラインが耳にこびりつく。それ以来クリスマスと言えばこの曲の、このヴァージョンの、この映像(←前半のドラマ仕立ての会話もクリスマスらしくてエエ感じ!)を思い出すようになった。
 クリスマスといってもエエ年こいて「ジングル・ベル」や「赤鼻のトナカイ」ではどうも気恥ずかしいし、今さらワムや達郎っちゅーのもなぁ... というご貴兄にオススメの、粋なクリスマス・ソングである。

David Bowie and Bing Crosby - Little Drummer Boy (Ultra High Quality)

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