shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Best Of George Harrison (Pt. 2)

2010-01-08 | George・Ringo
 ジョージはビートルズの実質的ラスト・アルバム「アビー・ロード」で①「サムシング」、③「ヒア・カムズ・ザ・サン」というレノン=マッカートニーに比肩するようなスーパー・ウルトラ大名曲を2曲も提供し、一気に注目を集めた。それまでジョンとポールという二人の天才の陰に隠れがちだったジョージは積年のうっ憤を晴らすかのように一気にその才能を大爆発させ、フィル・スペクターと組んで3枚組大作「オール・シングス・マスト・パス」を70年にリリース、そこから 1st シングルとしてカットされ4週連続全米№1を爆走したのがジョージ屈指の名曲⑧「マイ・スウィート・ロード」だった。
 イントロの “ジャンジャン ジャジャジャ~ン♪” というアコギのリズム・カッティングを聴いただけでこれから素晴らしい音楽が始まりそうな期待感に胸がワクワクしてくる。続いてジョージの至芸ともいえるスライドギターがたまらんメロディーを奏で、スペクターお得意の分厚いサウンドにサポートされてジョージのヴォーカルが登場、単純な歌詞の繰り返しがえもいわれぬ高揚感を生み、宗教嫌いの私ですら思わず “ハァ~レェ~ ルゥ~ヤ♪” と口ずさんでしまうという必殺のキラー・チューンだ。盗作騒動?論理的に考えても、ジョージほどの富と名声を得た人が自らのキャリアを危険にさらしてまで盗作せなアカン理由がないやん... それに確信犯的パクリと無意識アダプトは違うし。シフォンズは「マイ・スウィート・ロード」の大ヒットのおかげでタダで「ヒーズ・ソー・ファイン」の宣伝ができたんやから感謝こそすれ告訴するなんて、何とまぁケツの穴の小さい連中なんや(>_<) “ビートルズのメンバーに使ってもらえて光栄です” ぐらい言えんのか?
 翌71年に出された 2nd シングル⑬「ホワット・イズ・ライフ」(邦題:美しき人生)も明るくてノリの良いナンバーで、まるで目の前に輝ける道が広がっているような、非常にポジティヴな雰囲気を湛えており、全米10位のスマッシュ・ヒット。オリビア・ニュートン・ジョンも72年のアルバム「オリビア」でカヴァーしている名曲だ。様々な楽器が適材適所で使われており、繰り返し聴くうちに “おっ、こんな所にこんな音が入ってたんか!” と、何かしら新しい発見があって実に楽しい。細部に至るまで徹底的に作り込んでいくスペクター・マジックの真髄を垣間見れる1曲だと思う 。
 71年夏に開催された “バングラ・デシュ・コンサート” と同時期にリリースされた⑪「バングラ・デシュ」(スタジオ録音)は文字通りバングラ・デシュ難民救済のためのチャリティー・シングルで、偉大なる前2曲に比べてしまうとどうしても小粒というか、ポップさに欠けるというか、楽曲としての大衆へのアピール度が弱く、全米23位が限界だった。私も最初聴いた時は “何か重苦しい曲やなぁ...” (←そもそも貧困の現状を訴える内容なので曲調も重苦しくて当然なのだが...)と思ったが、何度も聴くうちにジョージの魂の叫びのような歌声が心にグイグイ食い込んできていつの間にか惹き込まれていた。
 73年にはアルバム「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」から⑨「ギヴ・ミー・ラヴ」がシングル・カットされ全米№1をゲット。ジョージお得意のスライド・ギターはまさに変幻自在と言ってよく、聴く者に鮮烈な印象を与えてくれるのだが、素のメロディーも実に綺麗でエエ曲やと思う。まさかこの時点で彼が次に№1を取るまで15年もかかるとは誰も予測していなかったと思うが、チャート的にはこの頃から徐々に失速していく。やはりアルバム1枚からキャッチーなシングルを2~3枚切っていかないとキツイのだろう。そういう意味で、74年のアルバム「ダーク・ホース」のタイトル曲⑫は、渋~い曲で私は結構好きなのだが(←特に隠し味のフルートなんてエエ味出してると思うんやけど...)シングルとしてはインパクトが弱く、ジョージの声もかなり荒れてて結局15位止まり。この73~74年の2枚のアルバムがもう少しポップな出来だったらその後の流れも変わっていたように思うのだが...(>_<)
 75年のアルバム「エクストラ・テクスチャー」からの 1st シングル⑩「ユー」(邦題:二人はアイ・ラヴ・ユー)は元々ジョージがロニー・スペクターのために書いたがボツになっていたものを引っ張り出してきたもので、私にはこの曲だけアルバム中でポツンと浮いているように聞こえたものだ。どことなく「ホワット・イズ・ライフ」を思わせるキャッチーなナンバーで、コレが「ギヴ・ミー・ラヴ」の前後に出ていたらと思ってしまうが、一度狂った歯車は中々元へは戻らず、この曲は20位になるのがやっとだった。結局このアルバムを最後にジョージはワーナーへと移籍、心機一転して傑作「33 & 1/3」を作り上げるのだが、それはまた別のはなし... (^.^)

What Is Life - George Harrison

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