shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Pat Benatar特集②

2022-03-09 | Rock & Pops (80's)
パット・ベネター特集パート2はある意味最も80'sらしい楽曲が並ぶ1982年から1984年まで。

④Get Nervous
 デビュー・アルバムで己のスタイルを確立し、全米№1獲得まで順風満帆できたパットの4thアルバム「Get Nervous」はよりポップな方向へと舵を切り、80'sらしくシンセを活用して表現の幅を広げようという試みの跡が随所に見られる。B④「Tell It To Her」のシンセなんかめっちゃフォリナーの「4」っぽくて思わず笑ってしまうが、一番成功しているトラックはアップテンポのA③「Anxiety」で、この曲の持つ疾走感に拍車をかけるようにシンセを隠し味的に使っているところが◎。この“隠し味”のサジ加減が絶妙なのだ。
 シングル・カットされたA①「Shadows Of The Night」も正統派のポップロックで、彼女の力強いヴォーカルがこの曲をより魅力あるものにしているし、緊張感漲るA⑤「The Victim」やブロンディーっぽいB①「Little Too Late」など、多彩な楽曲が並んでいて聴き応え十分なアルバムになっている。
Pat Benatar - Anxiety - live - best performance - HQ


⑤Live From Earth
 このレコードは彼女にとって初のライヴ・アルバムながらB面のラスト2曲はスタジオ新録という、ちょうどキッスの「Alive Ⅱ」みたいな変則的な作りになっている。ライヴの方がスタジオ録音よりも彼女の持ち味を活かせると思うので、どうせなら1枚丸ごとギンギンのロックンロール一気通貫のライヴ・アルバムを作ってほしかったというのが正直なところ。特にB③「Heartbreaker」なんかもう言葉を失うカッコ良さだ。
 スタジオ録音のB④「Love Is A Battlefield」は表現力に磨きのかかった彼女のクールなヴォーカルが冴えわたる名曲名演で、全米シングルチャートで5位という、彼女にとって「We Belong」と並ぶ最大のヒット曲になったのもうなずけるが、パットがバックダンサーを従えて踊る例のビデオクリップは今となっては陳腐というか失笑を禁じ得ない。てゆーか、ロッカーは基本的に踊ったらアカンと思うのだが、みなさんはどう思いますか?
Pat Benatar - Love Is A Battlefield (Official Music Video)


⑥Tropico
 スタジオ録音盤としては「Get Nervous」から2年ぶりとなるこの「Tropico」は彼女のキャリアの中で最もソフィスティケートされた作品で、このアルバムの第一印象は “ロックンロールはどこへ行ったんや???” という失望感だった。確かにシングル・カットされたA②「We Belong」とB①「Ooh Ooh Song」はすごく良い曲だと思うが、それ以外に印象に残るメロディーを持った曲が無いし、演奏の方もロック魂が感じられない平凡なポップスに堕してしまっているように思う。
 私がパットに求めるのは一にも二にも “ハードにロックする” こと。“シャウトせずに何のパット・ベネターか!” と信じてそれまで生きてきた私にとってはアルバム1枚通して聴くのはキツいので、いつも上記のシングル2曲をつまみ聴きしている。特に「We Belong」(←イントロに彼女のヴォーカルを被せたシングル・ヴァージョンのアレンジの方が数段上だが...)という曲はそんなロックンロール・ジャンキーの私ですら思わず平伏して頭を垂れて聴き入ってしまうほど洗練された作品に仕上がっており、音楽のジャンルやスタイルを超越した “名曲名演” として激しく胸を打つ。バックの合唱隊を向こうに回して圧倒的な存在感を見せつけるパットの女性ヴォーカリストとしての成熟を感じさせる屈指の名唱だと思う。
Pat Benatar - We Belong (Official Video)
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