shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

上を向いて歩こう / 坂本九 (Pt. 1)

2011-09-01 | 昭和歌謡・シングル盤
 私は70年代ブリティッシュ・ロックのオリジ盤蒐集が一段落した2・3か月ぐらい前から性懲りもなく今度は昭和歌謡のシングル盤を集め始めた。最初は大好きなガールズ歌謡を何枚か買うだけのつもりだったのだが、CDを遥かに凌駕する野太い音に感激し、こーなったらガールズに限定せずに好きな曲は全部いったれと方針転換(←またいつもの悪い癖が...)、ヤフオクで古いシングル盤を買い漁る日々が続いた。
 昔の歌謡曲のシングル盤というのは狙っている人があまりいないせいもあって、ほとんどの盤は100~200円という安いスタート価格のまま無競争で落札できるのだが、中にはとんでもない高値で取り引され、私のような貧乏人にはとても手が出ないような盤が何枚か存在する。坂本九の「上を向いて歩こう」のオリジナル 1st プレス・シングルもそんな入手困難盤の1枚で、最初ウォッチしていた盤なんか落札価格が5,100円まで吊り上り、私は呆気にとられて見ているしかなかった。次に目を付けたジャケ違いの、 “スキヤキ” ジャケと言われる 2nd プレス盤ですら2,000~3,000円もする。くどいようだがシングル盤1枚がこの値段なのだ。私はこの盤に関しては潔く諦めるしかないかなぁと思った。
 そんなある日のこと、史上最高値を更新した超円高のニュースを見た私の頭にふと閃いたのがネット海外オークションのイーベイである。“スキヤキ・ソング”として世界的に有名なこの曲のことだから、ひょっとするとイーベイなら安く手に入れられるかもしれないと思って早速検索すると、ラッキーなことにハワイのセラーから格安で出ているではないか!しかも1st, 2nd, 3rd プレスの3枚セットである。これなら赤盤と黒盤の音質比較も出来て面白そうだし、 “Ue O Muite Areuko(←アレウコって...笑)” という誤表記のおかげでライバルもそんなにこないだろう。コレは千載一遇のチャンスとばかりに強気で勝負して首尾よくゲット。お盆の真っ最中に早起きした甲斐があったというものだ。世界経済の事はよく分からないが、とにかく円高さまさまである(^o^)丿
 ブツはハワイから1週間で到着、海外から日本の古いシングル盤を買うというのも何だか妙な気分だ。写真左から 1st プレス(JP-5083 / マト番7S-276-3 / 赤盤)、2nd プレス(JP-5083 / マト番7S-275-2 / 黒盤)、3rd プレス(TR-1150 / マト番7S-275-3 / 黒盤)で、すべてモノラル盤。 2nd の“スキヤキ・ジャケ”盤は全米№1になったのを受けて1963年に追加プレスされた時のものらしく、 “Smash World Hit! Sukiyaki スキヤキ” という紙片が入っている。
 盤質は 3rd がFairで 1st と 2nd の2枚はVG++ ということだったが、オルトフォンのモノ針は少々のキズなど笑い飛ばしてしまうようで、3枚ともかなり良い音で鳴ってくれた。で、肝心の音の違いだが、1st, 2nd, 3rd のプレスやマト番による違い、そして赤盤と黒盤のビニール色の違いによる音の差は私には全く感じられなかった。
 この曲は前回取り上げた西田佐知子の「初めての街で」と同じく永六輔&中村八大、いわゆる “六・八コンビ” の作品で、1961年の10月にNHKの「夢であいましょう」というテレビ番組の「今月のうた」というコーナーで発表されて大反響を巻き起こし、その後数ヶ月にわたって国内チャートの首位を独走したという。
 翌62年、日本に出張で来ていた英Pye レコードの社長がこの曲を聴いて大いに気に入り、ジャズ・トランぺッターのケニー・ボール(62年3月に「モスコーの夜は更けて」で全米2位を記録)にインスト・カヴァーさせ、63年1月に全英10位まで上がるスマッシュ・ヒットになったのだが、「ウエヲ ムイテ アルコウ」では DJ たちが発音しにくいということで、たいていのイギリス人が知っている日本語の「スキヤキ」というタイトルでリリースされたのだという。ということは、「テンプラ」や「フジヤマ」、「ゲイシャ・ガール」になる可能性もあったんか...(>_<)
 ちょうどその同じ頃、アメリカの DJ が坂本九の日本語オリジナル盤を入手して自分の番組でかけたところ局に問い合わせが殺到し、キャピトル・レコードが販売権を獲得してシングル発売するとアッと言う間にチャートを駆け上り、63年の6月15日から3週連続で全米№1を記録した。全米チャートで1位を取った日本人は後にも先にも彼だけだし、この「スキヤキ」は全世界で1,300万枚以上を売り上げたというのだからコレはもう凄いとしか言いようがない。まさに “六・八・九トリオ” による快挙と言っていいだろう。 (つづく)

☆冒頭の“Sukiyaka---スキヤカ(?)” の文字が笑えます
Sukiyaki - Ue wo muite arukou - Kyu Sakamoto


☆明るぅて やがて哀しき ジャズ・ヴァージョン
SUKI YAKI by Kenny Ball and his Jazzmen


【おまけ】このCMは... 沁みる(≧▽≦)
BOSS#31『宇宙人ジョーンズ タクシー(とある老人) 60s』

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2 コメント

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Classic! (Sam)
2011-09-04 17:06:02
This song is a classic! It has such a beautiful haunting melody.
It's been covered many times in English, though the lyrics have been changed, for example:

Jewel Akens (1960s?)
http://www.youtube.com/watch?v=61FwLrRXGf0&feature=related

4pm (1990s pop group)
http://www.youtube.com/watch?v=-rP6xukb87I
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Great song! (shiotch7)
2011-09-04 21:43:42
Hi,
The lyrics are very positive and the melody really touches my heart.
One of the greatest Japanese songs ever made in history!

I didn't know Jewel Akens version, whose English lyrics are interesting.
Wikipedia says this cover version was recorded in 1966.
Thanks for letting me know (^.^)
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