shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

On Stage Encore ! & Live Again / The Ventures

2010-03-10 | エレキ・インスト
 ベンチャーズ日本公演のライヴ盤は、かの有名な「ベンチャーズ・イン・ジャパン」以降、日本でのベンチャーズ人気を反映して毎年のようにリリースされてきたが、ノーキー、ドン、ボブ、メルという最強ラインナップのオリジナル・メンバーによる録音は私の知る限り4枚('65~'67)しか存在しない。小雪の舞う中ギターを抱え、神社の前で蛇の目傘を持った着物姿の女性と談笑するジャケが印象的な「ベンチャーズ・イン・ジャパンVol. 1」('65 Jan)、茶室と思しき部屋でメンバー4人があぐら姿でニッコリ微笑む「イン・ジャパンVol. 2」('65 Jul)、神社の石段の前でハッピ姿で腰をかがめて“ハイ、ポーズ!”的なジャケが笑える「オン・ステージ・アンコール」('66 Jul)、そして何の工夫もないスタジオ・ライヴっぽいジャケが悲しい「ライヴ・アゲイン!」('67 Jul)である。内容的にはやはりヒット曲満載で彼らの絶頂期をピンポイントで捉えた1965年録音の前者2枚が一番充実しており、ベンチャーズのライヴ盤といえばこの2枚!みたいな感があるが、ほとんど話題に上らない66~67年のライヴ2枚だって少々問題はあるにせよ決して悪い出来ではない。ということで、今日は “ベンチャーズ歌謡” つながりでこの2枚を収めた 2 in 1 CD を取り上げたい。
 まず66年夏のライヴということになっている「オン・ステージ・アンコール」だが、コレはスタジオ演奏に拍手を被せた疑似ライヴ。この盤だけ他のライヴ盤と明らかに音が違うし、何よりも拍手の入り方がめっちゃ不自然だからだ。まぁ私としては演奏さえ良ければ別にどっちでもエエのだが...(^.^) 曲目は①「ラ・バンバ」、②「蜜の味」、③「秘密諜報員」、④「カリフォルニア・ドリーミン」、⑤「バットマンのテーマ」、⑥「ナポレオン・ソロのテーマ」、⑦「二人の銀座」、⑧「君といつまでも」、⑨「夜空の星」、⑩「007-0011」、⑪「ワイプ・アウト'66」で、65年のライヴ盤と重なるのは⑪のみというのも嬉しい。雰囲気としてはそれまでのリフ主体のスリリングな演奏から流れるようなメロディを重視した演奏へとシフトしつつあり、③⑤⑥⑪といったメロディアスなロックンロールや⑦⑧⑨といった一連のベンチャーズ歌謡モノがメインの選曲からもそういった路線変更がハッキリと見て取れる。私はポップな曲を辛口に処理した演奏が好きなので、この路線は大歓迎(^o^)丿 かったるい甘さが苦手な⑧以外は全て好きだが、中でも疾走系の③⑨⑩で聴ける超絶技巧のアメアラレ攻撃は圧巻だ。
 67年夏のライヴ盤「ライヴ・アゲイン!」は本物のライヴ音源から取られているようだが、どういうわけか全12曲のうち「二人の銀座」、「ラ・バンバ」、「カリフォルニア・ドリーミン」、「蜜の味」の4曲は先の「アンコール」と全く同じ音源を流用しているのだ。これって詐欺やん!まぁ疑似ライヴの件といい、同一音源流用の件といい、東芝EMI のやることは全くワケがわからないが、そういった諸々の理由でこの2枚のアルバムが黙殺されているのだろう。演奏自体は良いだけに勿体ない話だ。先の4曲を除く収録曲は①「ブルー・シャトウ」、②「北国の青い空」、③「ブラック・サンド・ビーチ」、④「恋はちょっぴり」、⑤「ウリー・ブリー」、⑦「涙のギター」、⑪「夕陽が沈む」、⑫「ダイアモンド・ヘッド'67」の8曲で、②では奥村チヨがフィーチャーされるなど、かなり日本色の濃い内容になっている。ちょうど本国アメリカではビートルズの「サージェント・ペパーズ」が発売され、ロックそのものの価値観が変わろうとしていた時期で、インスト・ロック・バンドとしてのベンチャーズは苦しい時期を迎え試行錯誤を繰り返していただけに、日本における歌謡路線推進に拍車がかかったのかもしれない。この盤の収穫は、スタジオ録音盤ではイマイチ生気に欠けていた①⑦⑪といった日本の曲にライヴならではのグルーヴ感が宿ったことと、モンキーズの④やファラオズの⑤をライヴ・ヴァージョンで聴けることだろう。取って付けたような⑫に思いっ切り違和感を感じてしまうのは、わずか3年という短期間のうちに彼らがそれだけ遠くへ来てしまったということだろう。それでも聴かせてしまうのは彼らの高い演奏力の賜物という他ない。
 ということで色々と怪しい点はあるが、細かいことさえ気にしなければ66~67年のベンチャーズのヒット曲の数々が手軽に楽しめる超お買い得盤といえる。ただ残念なことに、イギリスの See For Miles というレーベルから復刻された一連のこの2 in 1 CD シリーズはすぐに廃盤になり、今となっては法外なプレミアが付いてしまっているのだが...(>_<)

秘密諜報員


007-0011

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