shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Happy Hour / 少年ナイフ

2010-09-05 | J-Rock/Pop
 ガールズ・ロックの場合、リード・ヴォーカルが女性であればバックが男であれ女であれ出てくる音は変わらない。だから前回のサディスティック・ミカ・バンドやジューシィ・フルーツ、リンドバーグのように女性ヴォーカルの周りを男性陣が固めている男女混成バンドも含めて日々楽しんでいるのだが、女性のみのバンドとなると極めて少ない。最初のうちは物珍しさも手伝って注目を集めても、肝心の中身が伴っていなければすぐに淘汰され、人々の記憶から消え去ってしまうからだ。そういう意味では以前ここでも取り上げたレズ・ゼッペリンなんか今が正念場だろう。実際、海外のガールズ・バンドで今でもよく聴くのはバングルズを筆頭にランナウェイズとゴーゴーズぐらいだが、日本のガールズ・バンドでは少年ナイフが断トツに好きだ。
 彼女らのキャリアはかなり長く、1981年結成83年デビューというから約30年近くの間日本と海外を股にかけ、ロックンロール一筋で頑張ってきたことになる。彼女らはまず海外でブレイクし、日本に逆輸入される形で92年に国内メジャー・デビューしたらしいが、私が実際に彼女らの音楽を耳にしたのはそのずっと後のことだった。
 私は好きなアーティストのカヴァー盤やトリビュート盤が大好きで、「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」というカーペンターズへのトリビュート CD を買ってきて聴いていた時のこと、あの名曲「トップ・オブ・ザ・ワールド」が実にユニークな解釈でハッピーなロックンロール・ナンバーと化していた。一発で気に入った私が慌てて演奏者を確認すると、そこには “少年ナイフ” と書いてある。私はそのバンド名だけは知っていたものの、 “少年” というぐらいだからてっきり若い男の子のバンドだと思っていたのでビックリ(゜o゜) ネットで調べてみると女性3人のロックンロール・バンドだった。彼女らの「トップ・オブ・ザ・ワールド」がすっかり気に入った私はアマゾンや YouTube を駆使して他の曲も試聴しまくり、とりあえず気に入った曲の入った CD を買うことにしたのだが、それがこの「ハッピー・アワー」だった。
 まずは何と言っても⑤「すしバーソング」、コレに尽きる。彼女らの一番の魅力は楽しさ溢れる食べ物ネタ満載の歌詞と鼻歌感覚で口ずさめそうなロックンロールの合わせ技だと思うのだが、この⑤こそその究極とも言えるキラー・チューンだろう。 “ハマチ イカ エビ タコ マグロ 貝柱~♪” とスシネタを連発し、ジューシィ・フルーツを思わせるバック・コーラスが添い寝して “最後にあつあつグリーン・ティー~♪” でシメるまで、わずか1分48秒の中に少年ナイフ・ワールドの楽しさが凝縮されている。
 食べ物ネタ・ソングでは⑦「バナナ・チップス」も素晴らしい。エディー・コクランの「カモン・エヴリバディー」みたいなリフに乗って “バナナ・チップス~♪” を連呼するというシンプルな楽曲ながら、タイトでグルーヴィーなリズムにお約束のハンド・クラッピング、そしてキュートなヘタウマ・ヴォーカルが絶妙な味わいを醸し出しており、聞き終わった後には脳内リピート必至、知らず知らずのうちに “バナナ・チップス~♪” と口ずさんでしまいそうな楽しいナンバーだ。尚、このアルバムには両曲の英語ヴァージョン⑮⑯も入っていて日本語版との聴き比べも一興だろう。
 このアルバムには他にも食べ物ネタ曲が満載で、男性にはとても思いつかないような歌詞が楽しい③「クッキー・デイ」に④「ホット・チョコレート」、デヴィッド・ボウイの「チャイナ・ガール」みたいなイントロに続いて炸裂するヘヴィーなギターに大爆笑の⑩「ギョーザ」と、もうやりたい放題だ(笑) 彼女らの曲は日本語ヴァージョンと英語ヴァージョンの2種類存在する場合が多いのだが、ユーモア感覚溢れる歌詞の面白さをダイレクトに楽しむにはやはり日本語ヴァージョンを中心に収録した日本盤に限ると思う。
 食べ物ネタ以外では②「コンニチハ」が抜群にカッコイイ(≧▽≦) ポップでキッチュなナイフもいいが、ラモーンズを彷彿とさせるアグレッシヴでパンキッシュなロックンロール・サウンド全開のナイフも大好きだ。“Konnichiwa konnichiwa, welcome to our show... let's have a good time tonight... it's a show time... we came from Osaka, Japan!!!” って、ライヴでこれ以上のオープニング・ナンバーは考えられない。オーディエンス総立ちで盛り上がりまくる様が目に浮かぶようだ。
 その後私はすっかりナイフ・ファンになって CD もかなり買ったが、楽曲の充実度、ポップさとガレージ性のバランス、そして奈良美智によるジャケット・デザインの愛らしさをも含め、このアルバムこそが彼女らの最高傑作だと思う。

SHONEN KNIFE Konnichiwa! Tribute 2


すしバーソング


Shonen Knife - Banana chips

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