shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ゴールデン☆ベスト ~ユニバーサル・ヒッツ~ / 少年ナイフ

2010-09-07 | J-Rock/Pop
 「Happy Hour」で楽しさ溢れる少年ナイフ・ワールドに魅せられた私は、いつも通りベスト盤を買ってからオリジナル・アルバムへと進もうと、「ミレニアム・エディション」という CD を購入した。彼女らの主要曲をほぼ網羅し、名曲「デイドリーム・ビリーバー」のナイフ流カヴァーまで収録した選曲は申し分なかったし、全曲英語詞ヴァージョンということで少年ナイフの音楽を洋楽ロック感覚で楽しめるのは新鮮な体験だったが、あのオモロイ日本語詞がケレン味のないストレートなロックンロールに乗っかる様が大好きな私には今ひとつ物足りなかった。そんなこちらの気持ちを見透かしたかのように2006年にリリースされた2枚組ベストがこの「ゴールデン☆ベスト ~ユニバーサル・ヒッツ~」である。
 ディスク1は “ベスト・トラック” ということで、90年代にユニバーサル・ビクターからリリースされた5枚のアルバム「レッツ・ナイフ」(①~⑥)、「ロック・アニマルズ」(⑦~⑩)、「ブランド・ニュー・ナイフ」(⑪~⑬)、「ハッピー・アワー」(⑭~⑯)、「ストロベリー・サウンド」(⑰~⑳)から選曲されている。この5枚の中で私が「ハッピー・アワー」と並んで好きなのが92年に出た「レッツ・ナイフ」で、楽曲自体のレベルもこの2枚が突出していると思う。
 そもそもこの「レッツ・ナイフ」というアルバムは80年代にインディーズ・レーベルからリリースした3枚のアルバムの中から出来の良い曲を選りすぐって再レコーディングしたものに新曲を加えた内容で、インディーズ時代にはスカスカだったサウンドが実にソリッドでマッシヴな音に生まれ変わっている。この辺りは賛否両論あるのだろうが、私は分厚い音でギンギンに迫る新録ヴァージョンの方が好きだ。特に “水金地火木土天海冥~♪” と上昇下降を繰り返しながら痛快無比な少年ナイフ・ワールドが楽しめる①「ロケットにのって」と “Bang bang bang, Twist Barbie~♪” のフレーズが脳内ループを起こす彼女らの代表曲②「ツイスト・バービー」が大好きだ。
 一方、ディスク2は “レア・トラック” という構成になっていて、ミニ・アルバムや外盤、コンピ盤への参加曲にリイシュー・ボーナストラックと、オリジナル・アルバムに未収録の貴重な音源が満載だ。これらの曲を全部揃えようとすると CD を何枚も買わなければならないことを考えると、このディスク2だけでも十分元が取れると思う。
 個々の曲では、私が少年ナイフを知るきっかけとなったカーペンターズのカヴァー⑥「トップ・オブ・ザ・ワールド」がインパクト絶大で、その日本語英語的な発音も含め、あくまでも自然体で音楽を演る楽しさが伝わってくるようなキュートなヴァージョンに仕上がっている。私はこの曲からナイフに入門できてラッキーだったと思う。
 ランナウェイズのカヴァー⑧「チェリー・ボム」は 3rd アルバム「プリティ・リトル・バカ・ガイ」のリイシュー日本盤にひっそりと収められていたボーナストラックで、廃盤のため入手困難だったものがココで聴けて大ラッキー(^o^)丿 荒削りながらも勢いだけで押し切ってしまうところが少年ナイフの真骨頂だ。私としてはガールズ・ロックの聖典のようなこの曲を彼女らが取り上げてくれただけで嬉しい。
 キンクス65年のヒット曲のカヴァー⑤「ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ」も原曲のメロディーを巧く活かしてレイ・デイヴィスもビックリの疾走感溢れるソリッドなロックンロールに仕上げている。こんな隠れ名曲を見つけ出してきて自分達の色に染め上げてカヴァーするというのも立派な才能だろう。ビートルズ、ポール&ウイングス、ジョン・レノン、カーペンターズ、キンクス、ランナウェイズ、ラモーンズ、モンキーズ、ビーチ・ボーイズ、マーサ&ザ・ヴァンデラス... 彼女達がカヴァーしてきたアーティストをこのように並べてみると、ホンマにエエ趣味してるなぁと思う。
 オリジナル曲では⑩「イッツ・ア・ニュー・ファインド」が良い出来だ。ウキウキワクワクするようなポジティヴな歌詞、否が応でも耳に残る “It's a new find, it's a new find, it's a new find...♪” のリフレイン、シンプルそのもののギター・リフと、少年ナイフの魅力を凝縮したようなナンバーだ。キャッチーなギター・リフが生み出す軽快なグルーヴがたまらないナイフ流クリスマス・ソング①「スペース・クリスマス」やストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴーバイ」を裏返しにしたような⑪「ミステリアス・ドラッグ・ストア」、タイトルを聞いただけで音が聞こえてきそうな⑫「飲茶楼でめちゃうまかろう」など、 “ウルトラ・エキセントリック・スーパーカルト・パンクポップバンド” 少年ナイフらしさ全開のナンバーが並んでいる。そういう意味ではベンチャーズのパロディ②「ミルキー・ウェイ」は異色とも言えるインスト・ナンバーで、彼女達の芸の幅広さに驚かされてしまう。
 大阪が生んだ日本が誇るガールズ・ロック・バンド、少年ナイフのソリッドなロックンロールはシンプルだが聴く者の心を捉えて離さないサムシングがある。そんな彼女らのポップでハジけたナンデモロックの真髄が楽しめるこのベスト・アルバムは、ロックがまだまだ捨てたモンでないことを教えてくれる痛快無比な1枚だ。

Shonen Knife Top of the World MJ090116


Shonen Knife-Twist Barbie


Shonen Knife (少年ナイフ) - Cherry Bomb (The Runaways Cover)

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