shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

MonaLisa Twins の「Now And Then」カヴァー

2023-12-29 | Beatles Tribute
 ビートルズ・ファンなら彼らの曲の中で何が一番好きかと聞かれた経験が一度はあると思うが、私の場合、一番好きな曲はその時の気分によって変わるので答えに窮することが少なくない。そのあたりが他のアーティストと決定的に違うところなのだが、「Nowhere Man」という曲はキラ星のごとき名曲名演の数々の中でもひときわ抜きん出た傑作中の傑作だと思っている。
 この前 YouTube でビートルズ関連の動画を見ていた時のこと、画面右側に出てくる関連動画の中に MonaLisa Twins という美人姉妹が歌う「Nowhere Man」があった。このブログを始めた頃はビートルズ・カヴァーの隠れ名演を見つけるのをライフワークにしていたが、この7年ほどはオリジナル盤や各国盤で忙しくてカヴァーどころではなかった。ちょうどスペイン盤蒐集も一段落したので久々にカヴァーを聴いてみようと思い見てみたところ、これがもうめちゃくちゃ素晴らしい。
 いきなりヴァースとコーラスで始まる冒頭部分の力強いハモリの強烈な吸引力には度肝を抜かれたし、 “Nowhere man, please listen~♪” で始まるミドル・エイトのメイン・ヴォーカルとそれをやさしく包み込むようなバック・コーラスのコントラストの妙にも唸ってしまった。MonaLisa Twins のヴァージョンは双子だけあって二人の歌声が織りなすハーモニーが絶妙で、曲の髄を見事に引き出したアレンジによって自分たちのスタイルに昇華させているところが何よりも凄い。彼女たちがビートルズに対して抱いている愛情とリスペクトの想いがビンビン伝わってくる名カヴァーだと思う。
Nowhere man - MonaLisa Twins (The Beatles Cover)


 このモナリザ・ツインズはオーストリア・ウイーン生まれのモナとリサの双子姉妹が結成した音楽ユニットで、音楽一家に育った二人は13歳(!)でライヴCDを出したのを皮切りに音楽活動を開始、ビートルズ好きが高じて21歳の時にリバプールへ移住し、「Play Beatles And More」というカヴァー・アルバムをVol.3まで出したり、キャバーン・クラブでのライヴ盤を出したりしてその筋ではかなり有名な存在らしい。最近では YouTube でビートルズやその他の60年代名曲をカヴァーしたビデオ作品を積極的に発表しているようで、今回の「Nowhere Man」は今のところ未CD化でビデオ・オンリーの作品だ。
 私は早速彼女たちの YouTube チャンネルを登録し、過去の作品を次から次へと見ていったのだが、「Nowhere Man」以外にも印象的なカヴァー作品がいくつもあってすっかり大ファンになってしまった。特にスローからミディアム・テンポのアコースティック系ナンバーを双子ならではの一糸乱れぬコーラス・ハーモニーで聞かせるパターンに名演が多い。CDに入っている曲はまた日を改めてこのブログで取り上げようと思うので、今回は「Nowhere Man」と同じく未CD化作品の中から「Till There Was You」と「Here, There And Everywhere」を選んでみた。この動画を見ればわかるように、彼女たちはヴォーカルだけでなく、ギターやドラムス、ウクレレ、チェロ、フルートなど、様々な楽器をこなせるマルチ・プレイヤーで、そういった音楽的素養の幅広さも彼女たちの音楽に深みを与えているように思われる。論より証拠、とにかくこの2曲のビデオをご覧下さい。
Till There Was You - MonaLisa Twins (The Beatles / 'The Music Man' Cover)

Here, There And Everywhere - MonaLisa Twins (The Beatles Cover)


 そんな彼女たちが先月発表した最新の作品がこの「Now And Then」で、原曲のメロディーの美しさを再認識させてくれる美麗なコーラス・ハーモニーに涙ちょちょぎれる。本家ビートルズのオリジナル・ヴァージョンが世に出てからまだ1ヶ月も経たないうちにこれほどクオリティーの高い作品に仕上げたのも凄いが、目でも楽しめるサイケな映像(←60's の薫り横溢の万華鏡みたいな絵作りがめっちゃエエ感じ... ジョンへの想いがさりげなく伝わってくる丸眼鏡も◎)とのマッチングも見事という他ない。動画には “You all know us. How could we resist covering a new Beatles track...(私たちがビートルズの新曲をカヴァーせずにいられるわけないじゃない!)というメッセージが添えられているが、それにしても仕事が早い... そして実に秀逸だ。ポールとリンゴ、そして天国のジョンもきっと喜んでくれるだろう。
 ビートルズの「Now And Then」のリリースはビートルズ・ファンにとってとてつもないビッグ・プレゼントだった。“ビートルズ最後の新曲” という表現は一抹の寂しさも感じさせるが、その一方で彼女たちのようにビートルズの遺伝子をしっかりと受け継いだアーティストが存在する限り、まだまだ音楽は捨てたもんじゃないと自信を持って言い切れる。ビートルズを愛し、新しい感性でビートルズの素晴らしさを後世に伝えていってくれるであろう MonaLisa Twins の今後に大注目だ。
Now And Then - MonaLisa Twins (The Beatles Cover)


 2023年は定年退職後の新しい仕事がつまらなくてストレスが溜まったり、車・スピーカー・レンジフード・おかんの補聴器とマッサージチェアといった値段の高いモンばかり壊れまくって予定外の出費を強いられたりで散々な1年だったが、肝心の趣味の方はラウドカット三昧やらスペイン盤祭り、そしてビートルズの新曲発表と、相変わらず充実していたように思う。今回のモナリザ・ツインズもそうだが、ビートルズ関連ってホンマにネタが尽きませんな。来年も何やかんや色々楽しめそうです。それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい。