shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スペイン盤特集③「Help!」「Revolver」

2023-12-10 | The Beatles

 ビートルズのスペイン・オリジナル盤を探していて感じたのは、後期のステレオ盤がわりとすんなり手に入ったのに対し、「Revolver」以前、すなわち “赤盤イヤーズ” のモノラル盤を探すのは結構大変だということだ。それも初期のアルバムになればなるほど入手困難で、中でも「Please Please Me」「With The Beatles」「A Hard Day's Night」の最初期 “ゴシック・オデオン・ロゴ” 盤に至っては超稀少で滅多に市場に出てこない。
 「Beatles For Sale」以降のいわゆる “ビッグ・オデオン・レーベル” 盤では少しはマシになるものの、盤質の良いブツを見つけるのは難しく、こちらとしてはじっくりと腰を据えて長期戦を覚悟せざるを得ない。そういうワケで前回取り上げた「Beatles For Sale」と「Rubber Soul」の後しばらくは何の成果も得られなかったのだが、1ヶ月ほど粘ってようやく見つけたのが「Help!」だった。盤質表記はVG+で説明文には great copy と書いてあったので早速写真を送ってもらったところ、まごうことなきビッグ・オデオン・レーベルだ。盤面もキレイそうだったので即オーダーしたのだが、裏面にステッカーの剥がし跡があったおかげで €35 というリーズナブルなお値段で買うことが出来た。
 「Help!」というと本来ならば音質最強であるべきUK盤の音がイマイチなので各国盤、特に独自マトの盤を買う時には期待が高まるのだが、このスペイン盤(マザー/スタンパーは1L/1O)ではイタリア盤のような奇跡は起きず、“悪くはないけどそれほど良くもない” という感じのごく普通の「Help!」だった。特にA⑥「You're Going To Lose That Girl」の眠たさは他のUKマザー盤と同じ症状で、B面になると少しマシになるところまで酷似しており、もちろん個体差もあるかもしれないが、「Help!」に関する限りはスペイン盤といえども “目の覚めるような音” とはいかなかった。まぁこればっかりは実際に自分の耳で聴いて確かめるしかないのでしゃーないか。
 このように音の方はともかくとしてやっとのことで「Help!」を手に入れて、「Beatles For Sale」以降はいよいよ残すところあと1タイトルとなったスペイン盤。その残り1枚の未入手盤というのが「Revolver」だったのだが、先月久しぶりにB-SELSに立ち寄ってエサ箱を漁り始めてすぐ、スペイン濃青ビッグ・オデオン・レーベルの「Revolver」を発見! オリジナル・アルバム13タイトルの内、ピンポイントで私が探している盤が置いてあるなんて何たる偶然... こんなこともあるんやねぇ...(-。-)y-゜゜゜
 私はここ20年くらいはほとんどネットでレコードを買ってきたこともあって、このように幸先よくお目当てのレコードを見つけて “誰にも渡さんぞ” とばかりに小脇に抱えながらエサ箱チェックを続けるこのウキウキワクワク感はめっちゃ久しぶりで、実に懐かしく心地良いものだった。先にレコード試聴されていたお客さんが遠くから来られていたこともあって、ジモミンの私は聴かずに買って帰ろうかとも思ったのだが(←B-SELSの盤質表記の正確さはこの私が一番良く知っている...)、Sさんとそのお客さんのご厚意で両面のアタマの数曲だけ聴かせていただくことになった。
 A①「Taxman」から私の予想通り、いやそれ以上の骨太モノラル・サウンドがお店のスピーカーから飛び出してきた。横で一緒に聴いておられたそのお客さんも “スゴイ音ですねぇ...” と感心しておられる。Sさんはいつものアルカイック・スマイルだ。A②「Eleanor Rigby」のストリングスが硬派な響きでグイグイ迫ってくるこの快感は筆舌に尽くし難い。B面ではB②「And Your Bird Can Sing」のジョンのヴォーカルがワイルドでアグレッシヴに前面に出てきて惚れ惚れする。スペイン独自マト、しかも1G/1Rという最初期スタンパーが生み出すこの野太い中域がジョンの翳りのあるシャウト・ヴォイスの魅力を存分に引き出しているのだ。
 試聴はもうこれで十分と判断してB面途中で針を上げてもらい、支払いを済ませて家に飛んで帰って自分のシステムで聴いてみたが、お店で聴いた通りのごっついモノラル・サウンドが楽しめて大満足\(^o^)/ あんまり嬉しかったので、同じ盤を2連続で聴いてしまったほどだ。細かいことを気にせずにパワーでグイグイ押し切るスペイン盤の豪快なモノラル・サウンドは一度ハマったら病み付きになりまっせ... (≧▽≦)