shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Magical Mystery Tour」の “グリーン・カヴァー”

2019-10-31 | The Beatles
 ビートルズの各国盤蒐集の楽しみの一つは “へぇ~、この国ではこんなレコードが出てたんか...” という意外な発見があることである。“ホース・カヴァー”や“エスキモー・カヴァー”といった垂涎盤を手に入れるのももちろん嬉しいが、あまり巷では噂に上らない “自分だけの珍盤” を見つけるのもこれまた楽しい。つい最近もちょっと珍しいレコードを手に入れたので、今日はそいつを取り上げようと思う。
 そのレコードというのは「Magical Mystery Tour」のイスラエル盤。先日 eBayでレコードのデータ収集をしていた時に偶然ジャケットが緑色がかった「マジカル」を発見し、“何じゃこりゃ?”と思って商品説明を見ると1967年にリリースされたイスラエル盤だという。リアルタイムでの「マジカル」は、基本的にヨーロッパ圏ではUKに倣ってEP2枚組で、アメリカを筆頭にカナダ、メキシコ、チリ、ペルー、ベネズエラといった南北アメリカ大陸ではキャピトルが編集したLPヴァージョンでリリースされたようだが、イスラエルではUS盤のフォーマットで出てたのか。
 イスラエル盤というと手持ちの盤は「Hey Jude」だけだが、これがめっちゃ埃っぽい音でガッカリのハズレ盤だったこともあって、私はイスラエル盤に対してあまり良い印象を持っていない。しかしこの緑がかったジャケットは中々魅力的だし、レーベルがイエロー・パーロフォンというのもマニア心をくすぐる。数千円程度で買えるのなら手に入れたいところだ。
 試しに eBayで“Magical Mystery Tour, Isreal” で検索してみたところ、緑ジャケ盤がドドーッと10枚くらい出てきてビックリ。しかも黄パロ以外にも薄い赤色のパーロフォンやらシルバー・パーロフォンやら色んなレーベルの「マジカル」があってワケがわからない。説明を読むと、どうやら黄パロが1stプレスで銀パロが2ndプレスということらしいが、問題なのは同じイエロー・パーロフォン・レーベルでもフロント・ジャケットのEMI(左上)とSTEREO(右上)のロゴが白色の盤と黒色の盤の2種類があるということ。値段を見ると下は$40から上は$170までピンきりだ。
 もっと詳しい情報を得ようと思って今度は Discogs で「マジカル」のイスラエル盤を検索したところ、白ロゴの方は1967年でfirst pressing、黒ロゴの方は1969年の銀パロの後の1971年なのに probably first pressing となっていて(しかもこっちにだけ heavy vinyl と書いてある...)説明に整合性を欠く。どちらも同じマト番で、ジャケットもラミネートされたフリップバック仕様(←銀パロはノン・ラミネート/ノン・フリップバック)とくれば、黒ロゴと白ロゴの両方とも銀パロよりも先に出ていたと考えるのが妥当だろう。私は最初に白ロゴ盤が出て、すぐにジャケットだけ黒ロゴに切り替わったのではないかとみているが果たしてどうか?
 そういうワケで、買うとしたら白ロゴでも黒ロゴでも黄パロならどっちでもエエから盤質の良さそうな方にしようと値段を比べてみたが、Discogsでは白ロゴ盤は出品されておらず黒ロゴ盤が最安値でも$80とお話しにならない。いくら何でもイスラエル盤に1万円近く出す気はサラサラない。一方 eBayでは白ロゴ盤が1枚だけ出ていて$59、黒ロゴ盤は5枚出ていて$39~$170と値段がバラバラだ。ラッキーなことに最安の$39盤がVG+コンディションでしかも送料も$9と安かったのでそいつに決定。万が一「Hey Jude」みたいに音がハズレでも5,000円なら “グリーン・カヴァー” のマジカル珍盤として楽しめばいい。
 送料が安いだけあって届くのに丸々1ヶ月かかったが、ジャケットも盤も無事で何より(^.^) 中東は色々と物騒なのでちょっと心配だったのだ。グリーンがかったジャケットは独特の味わいがあって、写真で見るよりも実物の方が遥かに魅力的。黄色一辺倒に慣れきった私の目にはめっちゃクールに映るのだ。うん、これは気に入った。
 盤を手に持った感触はズシリと重く、確かに heavy vinyl ではある。ただ、盤面はスリキズが多くて、実際に針を落としてみてもチリパチ音は結構あるわ、A②「Fool On The Hill」で針飛びするわで、思わず “針飛びする盤のどこがVG+やねん! ユダ公、ナメとんのか!” とブチギレたが、送り返すのも面倒くさいので、爪楊枝を駆使して何とか修復に成功(^o^)丿 ついでに盤面を中性洗剤で徹底的に洗浄して再びかけてみたところ、かなりノイズが低減され、何とか許せるレベルにまで音質が向上した。
 デッドワックスには何故かUS盤スクラントン・プレスの刻印入り。音の傾向としてはUS盤と同じく単純明快なドンシャリ型でメリハリのある元気なサウンドが楽しめるが、アンプのヴォリュームを上げていって大音量になるとさすがに高音がキツすぎて耳が痛くなるので要注意(笑) まぁこのあたりは同じイスラエル盤でも「Hey Jude」のヘタレ・サウンドとはエライ違いである。
 更に、ジャケットに “Playable Also As Mono” と書いてあったこともあって試しにカートリッジをモノラルに変えてみたところ、例の針飛び修復ヶ所のポップ音以外はほとんど気にならなくなったので、このレコードは主にモノラル盤として楽しむことになりそうだ。
 ということで、ネットで偶然見つけて手に入れたこの「マジカル」グリーン・カヴァー盤は針飛びも直したし(←あのユダヤ人セラーからは二度と買わへんけど...)、音もそれほど悪くないしで、盤に関しては一応満足。しかし何と言ってもこのレコード一番の魅力はそのユニークな緑色のジャケットにあり、私としては結構気に入っているので、5,000円なら良い買い物だったと思っている。