shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集①The Donays

2015-09-12 | Oldies (50's & 60's)
 最近オールディーズのオリジナル・シングル盤にハマっている。去年のちょうど今頃のことだったと思うが、たまたま手に入れたビートルズのUKシングル盤を聴いてリマスターCDが逆立ちしても敵わないアナログ45回転盤ならではの音の生々しさにすっかり心を奪われた私はビートルズのUKシングルを全部いった後も、ロネッツやクリスタルズ、スプリームズといったお気に入りガール・グループのシングル盤を次々とゲットしていった。
 そんなアナログ・シングル盤蒐集は4月のポール来日とその後の武道館祭りでしばらく中断していたのだが、ルビジウム盤CDとSNEの総集編BD-Rでポール祭りが一段落したこともあって、45回転盤フィーバーが再発したという次第。で、ガール・グループの次のターゲットはビートルズがカヴァーした曲の、オリジナル・アーティストによるシングル盤である。レアで高価なアルバム盤とは違い、オールディーズのシングル盤というのは eBay でも二束三文で出品されていることが多く、盤質VGなら99¢スタートというアイテムも珍しくはないのだが、ビートルズがカヴァーした曲はやはり人気が高くてそれなりの値段がするし、盤質の良いブツにはビッドが集中して更に値段が吊り上るという按配だ。
 そんな中で私がまず目を付けたのがドネイズの「デビル・イン・ヒズ・ハート」である。実を言うと1~3月にかけて買いまくったガール・グループのシングル盤の中で唯一連敗を喫して手に入れることが出来なかったのがこのドネイズ盤で、その悔しさは武道館祭りの最中でも常に頭の片隅にあったのだが、スカパー放送が終わってeBayで検索を再開してみたところ、幸いなことに1枚出品されているのを発見、しかも嬉しいことに音の良い白レーベル盤(←オリジナルは同デザインの赤色レーベル)ではないか! 白レーベルというのはシングル発売前にラジオ・ステーションetcに配られるプロモ盤のことで、最初期プレスということもあって実に鮮度の高い音が楽しめて私的には最高なのだが、どういうワケか由緒正しい(?)コレクター諸氏の間では人気が無い。私にとってこれは千載一遇のチャンスである。
 このレコードはほとんど売れなかったこともあって市場に出回っている数が非常に少なく、アイテム説明には "Very hard to find” とか “Highly sought-after” といった言葉が並んでいるし、過去の落札価格を調べてみてもかなりの出費は覚悟せねばならない。MusicStackのセット・プライスでは何と$166.90というオドロキの高値がついている。私は何とか5,000円以内で手に入れたいなぁと思いながら日曜の朝6時に起きて渾身のスナイプを敢行したところ、何と£14.51で落札! やはり白レーベルは人気がないのかライバルは3人のみで、日本円にして約2,750円、しかも2位に£0.01差(←約2円!)という僅差でこの激レア盤が手に入ったのだから笑いが止まらない(^o^)丿
 そもそもこのドネイズというのはデトロイトを中心に活動する4人組ガール・グループで、1961年にローカル・レーベルのコレクトーンにデビュー曲「デビル・イン・ヒズ・ハート」を吹き込み、翌62年にニューヨークのブレント・レーベルからリリースされたが全くヒットせず、結局これ1枚でグループは解散してしまったようだ。普通ならこの時点でドネイズというグループも、「デビル・イン・ヒズ・ハート」という曲も人々の記憶に残ることなくこのまま埋もれてしまうところだったが、リバプールの船員経由なのか、それともブライアン・エプスタインが経営していたレコ屋経由なのかは分からないが、全米トップ100にすら入らなかったこの激レア・レコードを遠く離れたイギリスで手に入れたジョージ・ハリスンが「ウィズ・ザ・ビートルズ」でカヴァーし、この隠れ名曲は一躍有名になったのだ。
 オリジナルのドネイズ・ヴァージョンは、リード・ヴォーカルのイヴォンヌの伸びやかな歌声が一番の聴き所。、深~くエコーを効かせたマッタリ感溢れる演奏も、聴き手を優しく包み込むようなコーラス・ハーモニーも、フランキー・ライモンを想わせるような彼女の溌剌としたヴォーカルを見事に引き立てている。それにしてもこんなマイナーな曲に目を付けたジョージの慧眼には脱帽するしかない。
 ビートルズのヴァージョンはオリジナルへの愛情あふれるカヴァーに仕上がっており、特にバックのコーラス・ハーモニーの付け方を聴いていると、彼らがいかにガール・グループから強い影響を受けたのかがよく分かる。そして出藍の誉れよろしく、彼らはそれを見事に自家薬籠中の物としてオリジナルを超えてみせたのだ。とにもかくにもこの「デビル・イン・ハー・ハート」、ビートルズのコーラス・ハーモニーのルーツはガール・グループにあり、と声を大にして言いたくなる名カヴァーである。
Devil In His Heart - The Donays

The Beatles - Devil In Your Heart (Mono)
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