shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

B'z The Best XXV 1999-2012 (Pt. 1)

2013-07-01 | B'z
 今日は「B'z The Best XXV」黒盤のパート1。1999年から2004年までの、何か吹っ切れたかのようにケレン味のないハードロックを演っていた頃の B'z です。

①juice
 この「juice」はB'z のシングル曲でも一二を争うヘヴィーなリフが支配するアグレッシヴなタテノリ・ハードロックで、随所で爆裂するドラムのオカズも実に効果的... ハイ・テンションで突っ走る驚愕のドライヴ感は理屈抜きのカッコ良さだ。聴く者のアドレナリンを大爆発させる野性のエナジー全開のこの曲はライブでめっちゃ盛り上がる定番曲で、この問答無用のゴリゴリ感がたまらない(≧▽≦)  歌詞の方も稲さんお得意の “エロ隠喩路線” の王道を行く傑作で、下品さを微塵も感じさせずにこれほどクールなセックス描写をできるのは凄いとしか言いようがない。ミュージック・ビデオは札幌で行われたゲリラライブを撮影したもので、周りをビルに囲まれた狭~い駐車場みたいな所に作られたステージで炸裂する B'zロックが痛快そのものだ。ナマB'zを一目見ようと制服姿で駆け出すOL達やビルの窓から覗いてる人達の姿もいっぱい映っていて、ビートルズのルーフトップ・コンサートやU2の「Where The Streets Have No Name」と並ぶ私的3大ファイバリット・ゲリラライブ・ビデオになっている。
B'z / juice


②ultra soul
 B'zのルーツがレッド・ゼッペリンやエアロスミスを始めとする70'sハードロックであることは論を待たないが、もう一つ忘れてならないのが彼らが聴いて育った昭和歌謡の存在である。それは様々なシンガーをフィーチャーして往年の歌謡曲をカヴァーした松ちゃんのソロ・アルバム「The Hit Parade」の中で「勝手にしやがれ」「異邦人」「涙の太陽」「イミテイション・ゴールド」といった日本人好みのマイナー・メロディーを持った昭和歌謡を代表する名曲の数々を取り上げていることからも明らかだ。そんな彼らが上記の「juice」で開陳した洋楽ハードロック的成分を封印し、日本人にしか出来ない “歌謡ロック” の究極の作品として作り上げたのがこの「ultra soul」だ。日本人の心の琴線をビンビン刺激するキャッチーなサビメロといい(←ラッツ&スターの「め組のひと」を想わせるサビのラスト “ウルトラソゥ、ハイ!!!♪” がたまらん...)、初期を彷彿とさせる打ち込みサウンドを巧く使った抜群のアレンジ・センスといい、ハードロック趣味に走った後の反動・埋め合わせ(?)として出された “一般ピープル向けの” B'zシングルとして非の打ち所のない逸品に仕上がっている。
B'z / ultra soul


③熱き鼓動の果て
 この曲を聴くといつも2002 ワールドカップ FIFA オフィシャル・コンサートでの彼らの雄姿が目に浮かぶ。イントロ無しでいきなりサビの歌い出しから入る前半のアコースティック・セットの爽快感と、松ちゃんがアコギからエレキに持ち替えてバンドが一体となって燃え上がる後半の疾走感のコントラスト(←ゆったりした “選手入場” から一転して “試合開始”、というイメージか...)が絶妙だ。特にヴォーカルに寄り添うようなコーラス・ハーモニーのアレンジが私的にはめっちゃツボで、稲さんの “ベイベ~♪” や “ハリケィン♪” といった一人追っかけコーラスの響きもたまらない。歌詞の方も稲葉ワールド全開と言っていいカッコ良さで、 “圧倒的孤独を味わい尽くし~♪” という浮世離れしたフレーズも凄いが、何と言っても私が好きなのは“土砂降りの雨だって 君となら喜んで濡れよう~♪” のラインで、“稲さんってホンマにエエ詞を書くよなぁ... (≧▽≦)” と感心したものだ。呪文のように繰り返される “モウスグデ アナタニアエル...♪” からスパッと切り落としたかのように唐突に終わるエンディングも秀逸で、有象無象の使い捨てJ-ポップスがバッコする日本のヒット・チャートには勿体ない名曲名演だと思う。
B'z FIFA 2002 熱き鼓動の果て


④IT'S SHOWTIME!!
 これはB'z 15周年記念で盛り上がっていた2003年にリリースされたシングルで、あれから10年も経ったのかと思うと時の流れの速さに驚かされる。曲調は疾走感溢れるB'z流ハードロックで、“獣たちも色めく 歓声(おたけび)はアリーナ揺らす~♪” や “チケットを握り ゲートをくぐれ~♪” のようにこれから始まるライブへの期待感をストレートに表した歌詞と相まって、これでもかとばかりに聴き手の高揚感を煽りまくるライブ定番曲になっている。 “灼熱への招待... ここじゃすべてがLive...” とたたみかけ、 “天井知らずの It's showtime!!” と韻を踏みながらストンと落とす稲さんの作詞センスに脱帽だ。縦横無尽に弾きまくる松ちゃんのギターもハンパない。シングル・ヴァージョンはシャリシャリした打ち込みドラム・サウンドでせっつくような感じを巧く出しているが、アルバム「BIG MACHINE」収録のヴァージョンはシェーン・ガラースの生ドラムをフィーチャーしておりライヴ感が格段にアップしている。尚、ミュージック・ビデオはロスのオルフェウム・シアターで撮影されたもので、スピード感溢れるカメラワークが音楽と見事にマッチしており、B'zのロック・ユニットとしての魅力を存分に引き出している。
B'z / IT'S SHOWTIME!!


⑤ARIGATO
 この曲を初めて聴いたのは確かテレ朝のタイアップか何かで、番組中に例の “ありがとぉ~ ありがとぉ~♪” とそれに続く“キュルルキュルルキュルルキュルル~♪” というギター・ソロのパートが断片的に流れてきて “何じゃこれは...???” と思ったのだが、その後フル・コーラスを聴いてみて第一印象とは全然違うのにビックリ(・o・) めちゃくちゃ壮大で力強いバラッドではないか! 松ちゃんの哀愁舞い散るギターの音色には涙ちょちょぎれるし、完全にコントロールされた稲さんのグルーヴィーなヴォーカルも圧巻だ。しかし何よりも凄いのはその曲構成で、前半の “静” から後半の “動” へとテンポ・チェンジしてエンディングまで一気呵成に突っ走るドラマチックな展開はまさに鳥肌モノ(≧▽≦)  レッド・ゼッペリンの名曲「天国への階段」にも通じるカッコ良さである。B'zのシングル曲の中では一般受けしない部類に入ると思うが、本物のロックを聴き込んできた人ならこの曲の完成度の高さに驚倒するだろう。個人的にはB'z名曲名演トップ3に入れたい超愛聴曲だ。ただ、曲のタイトルは、取って付けた様な「ARIGATO」よりも当初に予定されていた「そこに誰もいなくても」の方が良かったかな...
B'z / ARIGATO