shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 2)

2013-01-03 | Led Zeppelin
 「ブラック・ドッグ」で全盛期の勘を取り戻した彼らの凄まじい演奏に早くも背筋がゾクゾクしてきた。ここでペイジがギターを持ち替えて始まったのが④「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」... アルバム「フィジカル・グラフティ」の中でも三指に入る愛聴曲だ。この曲はメンバー間の息が合っていないとグダグダになってしまう危険性をはらんでいる難曲だと思うのだが、そんな不安を吹き飛ばすかのように70年代中期のあの一分の隙もないバンド・アンサンブルが見事に再現されており、ゼッペリン独特の重たいうねりを伴うグルーヴが会場全体を包み込む。曲が進むにつれてどんどん盛り上がっていく様はまさに圧巻で、この高揚感は他のバンドではちょっと味わえない。ペイジの粘っこいボトルネック奏法がたまらんたまらん(≧▽≦)
Led Zeppelin - In My Time Of Dying (Live at London, 2007)


 “次は初めてライヴで演る曲です...” というプラントの言葉で始まったのが⑤「フォー・ユア・ライフ」だ。普通、この手の再結成コンサートでは出来るだけ無難なセットリストにするものだと思うが、この大胆不敵な選曲は “単なる懐メロ大会にはしないぞ!” という彼らの挑戦的な姿勢の表れだろう。この曲は名盤「プレゼンス」のA面で超大作「アキレス・ラスト・スタンド」の陰に隠れて目立たない不憫なナンバーなのだが、なかなかどうして、こーやって聴いてみると単調なリフの繰り返しが結構クセになるスルメ・チューンだ。鋭いリフを刻み続けるペイジのカッティングが実にカッコイイし、変則ビートでガンガンプッシュするジェイソンも素晴らしい。
Led Zeppelin - For Your Life (excerpt from Celebration Day DVD)


 この⑤から中盤にかけて中後期のヘヴィーな曲が並ぶ。 “1935年にロバート・ジョンソンは「テラプレイン・ブルース」を録音した。これはゼッペリン版「テラプレイン・ブルース」だ。” というプラントの紹介で始まった⑥「トランプルド・アンダー・フット」はジョーンジーの弾むようなクラヴィネットが印象的なファンキー・ロック。後半部でプラントの “プッシュ、プッシュ!” も聴けて大満足だ(^.^)  バックの巨大スクリーンの演出がめっちゃカラフルでお洒落なのも◎。
Led Zeppelin - Trampled Underfoot (excerpt from Celebration Day DVD)


 ヴォーカルとギターのユニゾンで始まる⑦「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」も実に引き締まった演奏で、うねるようなグルーヴを生みながら “ストップ&ゴー” をシャープにキメる4人がたまらなくカッコイイ。プラントのブルースハープも実にエエ味を出しているし、フランジャーでグニョグニョに歪ませたペイジのリフ攻撃は聴く者を快感へと誘う。3人が客席を背にし、ジェイソンを囲むようにしてプレイするシーンやペイジとジョーンジーがジェイソンのドラム・セットの前でアイ・コンタクトを取りながらプレイするシーンが印象的だ。
Led Zeppelin - Nobody's Fault But Mine (O2 2007)


 ⑧「ノー・クォーター」ではジョーンジーのキーボードがワウを使ったペイジのゆったりしたリフやバックの巨大スクリーンの映像と混然一体となって幻想的な世界を作り出している。何だか海の底に際限なく引き込まれていくかのような錯覚を覚えるスケールの大きな演奏だ。それにしてもペイジはワウ好っきゃねぇ...(^.^)  ⑨「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」は何と言っても艶っぽいギターの音色が聴き所。チョーキングのお手本のようなペイジのエモーショナルなプレイに涙ちょちょぎれる。
 続いてプラントの “こういった大舞台で演奏する曲を選ぶ時、絶対に外せない曲がある...” という紹介で始まるのが⑩「デイズド・アンド・コンフューズド(幻惑されて)」。曲の前半でワウを駆使して幻想的な世界を表現していたペイジがおもむろにアンプに近寄りサッと弓を手にする... “お約束” ともいえるボウイング(弓弾き)パフォーマンスの始まりだ。オーバーアクションでアピールしながら弓弾きを披露するペイジに観客は大喜び(^o^)丿  ペイジを囲むピラミッド型のレーザー光線も実にカッコイイ演出だ。それにしてもこの21世紀に弓弾きプレイを見れるとは夢にも思わなんだ。弓弾きが終わってポンと無造作に弓を投げるところ(←6分57秒あたり)も超カッコイイ(≧▽≦)
 ここでジェイソンのシンバル一閃と同時にバンドは鎖を解き放たれた猟犬のように疾走を開始、一気に沸点に達する怒涛の展開に圧倒される。バンドが一体となって生み出す破天荒なエネルギーの奔流はまるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波のような凄まじさ... これこそまさにレッド・ゼッペリンだ!!! そしてギンギンに盛り上げておいて最後は又スローなテンポに戻るという、この静と動の見事なコントラストがたまらない。とにかくハードロックというカテゴリーに収まり切らないゼップの多様性をまざまざと見せつけられる凄い演奏だ。
Led Zeppelin - Dazed and Confused (Celebration Day)


 歓声が鳴りやまない中 ステージが暗転すると、ロックファンなら知らぬ者はいないあの厳かなイントロのアルペジオが鳴り響く... そう、構造美の極致といえるゼップ不朽の名曲⑪「天国への階段」だ。スポットライトがステージを照らすとそこにダブルネックを持ったペイジの姿が浮かび上がるというドラマチックな演出に思わず “キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!” と快哉を叫びたくなる。ダブルネックがこれほど絵になる男は未来永劫現れないだろう。
 しかし好事魔多しというべきか、この曲でも客席を映すシーンが数多くあるのだが、観客の多くがケータイでステージを撮影しており、暗い客席にボンヤリ浮かぶ無数のケータイ画面の明かりに物凄い違和感を覚えるのだ。それはこのDVDを観始めた時からずっと感じていたことで、アンタ達そんなことしててホンマにコンサートを楽しめてるんか?って思ってしまう。まぁ私が大のケータイ嫌いのせいなのかもしれないが、ハッキリ言ってせっかくのムードがブチ壊し(>_<)  ココはやはり昔ながらのやり方でライターに火を灯してもらった方がずっと絵になると思う。
 話をゼップに戻そう。後半のギター・ソロは無駄を削ぎ落としたような感じでシンプルそのもの。背後の巨大スクリーンにダブルネックと共に左右対称に映し出されたペイジのカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。とにかく歌い終えた後の “ヘイ、アーメット、やったぜ!” というプラントの言葉がすべてを物語る感動的な演奏で、歴史的名曲に酔いしれたオーディエンスの大歓声が鳴り止まない。メンバーが万感の思いを込めてアーメット・アーティガンに捧げた「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」... 恩人への追悼曲としてこれ以上相応しいものはないだろう。 (つづく)
Led Zeppelin Celebration Day -Stairway to Heaven
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