shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

CMT Crossroads DVD / Def Leppard

2012-05-29 | Hard Rock
 3年ぐらい前のことだったと思うが、いつものようにネットを見ていてたまたま開いたHMVのトップページに “歌姫テイラー・スイフトとデフ・レパード、夢の共演!” の文字が躍っていた。アマゾンにせよ HMV にせよ、この手のトップ・ニュースはたいていワケの分からん J-POPS 関連の記事ばかりでいつもはスルーしているのだが、 “デフ・レパード” の6文字は見逃さない。
 早速その記事に目を通してみると、そこには “カントリー・ポップス界の歌姫、Taylor SwiftとDef Leppardとの夢のコラボレーション! カナダの人気音楽テレビ番組CMT CROSSROADSによって実現したスペシャルライブの映像が遂にリリース! この番組は2008年11月30日にオンエアされた、Def Leppardの名曲を全米で大人気のシンガー、Taylor Swiftが歌うスペシャル・セッション! とにかく、このライヴはとても素晴らしいジョイント・ライブなのでお互いのファン方は必見です! US ウォールマートのみで販売されています限定アイテムの為、無くなり次第終了となります。” と書かれていた。
 テイラー・スイフト??? “全米で大人気” とのことだが、顔はおろか名前すら知らない(>_<) テイラー・デインやったら知ってるんやけどね...(笑) まぁ誰と共演していようがお目当てはレップスやし、トラックリストを見ると「フォトグラフ」、「ヒステリア」、「ラヴ・アンド・ヘイト」、「シュガー・オン・ミー」といった愛聴曲を演っていて、いやがうえにもテンションが上がってくる。しかも私は “限定アイテム” という殺し文句に滅法弱い。HMV では3,500円を超えるボッタクリ価格だったので、 US アマゾンで新品を10ドルでゲットした。送料込みでもHMVの半値以下だ(^o^)丿 もちろんリージョン・フリーである。
 この DVD は本編8曲、ボートラ3曲の全11曲が収録されており、そのうちデフレパ・ナンバーは6曲。曲と曲の間にはレップス5人とテイラー嬢によるざっくばらんな音楽談義(?)が挿入されているという構成だ。そこで彼女が語ったところによると、彼女の母親が熱狂的なデフ・レパード・ファンで、彼女は幼いころからずっと「パイロメニア」や「ヒステリア」を聴いて育ったのだという。因みにこの DVD のタイトルの CMT とは Country Music Television のことで、その中でカントリー・アーティストとロック・アーティストが共演する企画のコンサート番組の名称が Crossroads というのだそうだが、彼女にこの「クロスロード」出演の話が持ち上がった時に誰と共演したいかと聞かれ、 “デフ・レパード!” と即答。たまたま彼女のツアー・マネージャーがドラマーのリック・アレンのお兄さんだったという凄い偶然から話がトントン拍子に進み、ついに彼女の夢が実現したというわけだ。その辺の経緯を大コーフンしながら語っている姿は実に微笑ましいが、そういえば彼女のドラマー(←ステージ向かって右側のスキンヘッドの人)のバスドラがリック・アレンのユニオン・ジャック・デザインをパロッた星条旗柄になっていて、ロゴのフォントもデフレパ仕様になっているのにもご注目(@_@)
 ステージはレップスとテイラー・スイフト・バンドの共演という形で進行、オープニングの①「フォトグラフ」ではギタリスト4人が横一列に並んでイントロのリフを弾き、ヴォーカルはテイラー嬢が先発。う~ん... 一生懸命歌ってるのは十分伝わってくるのだが決定的に何かが足りない(ー_ー)  この有名なロック・ソングを歌いこなすには彼女の声質は細すぎるのだ。例えるならF1マシンに細いタイヤをつけて鈴鹿の130Rやスパのオー・ルージュを全開で走ろうとするようなもの。極太レーシング・タイヤで走るようにいくはずがない。だからジョーの野太いだみ声ヴォーカルが入ってきた途端に曲が活き活きと躍動し始めるのがよく分かる(←ただし、ジョーはいくら何でもちょっと太り過ぎ。ステージに立ってる姿はまるで特撮映画の“大魔神”みたい...)。 それと、HMV の記事には “テイラー・スイフトの歌唱力も素晴らしいですが、スタイル良し、更にこの美貌...” と書いてあったので期待していたが、何か歌はイマイチやし容姿も私の好みのタイプではないので(←特に目の周りのキラキラ・メイクは生理的に無理!!!)ちょっとガッカリ。バックバンドの赤毛のヴァイオリン弾きのオネーチャンの方がエエな...(^.^)
Def Leppard & Taylor Swift - Photograph (Live at Crossroads)


 テイラー嬢の歌声は①のようなロック・ソングには向かないが、一転④「ヒステリア」のようなミディアム・スロー・バラッドにはドンピシャとハマるようで、中々エエ味を出している。この曲はあのモンスター・セラー・アルバム「ヒステリア」の中でも屈指の美メロ・ナンバーで、赤毛のオネーチャンの奏でるヴァイオリンも曲に絶妙な彩りを添えているし、間奏で彼女のバンドのギタリストがフィルとヴィヴィアンを両脇に従えてめっちゃ嬉しそうにスライド・ギターを弾く姿にも和んでしまう。
Hysteria (Live) Def Leppard & Taylor Swift


 今回のコラボレーションの中で断トツに素晴らしいのが⑥「ホェン・ラヴ・アンド・ヘイト・コライド」だ。この曲は「フットルース」や「トップ・ガン」のような80年代のサントラ名盤に入れたらぴったりハマりそうなキラー・バラッドで、当時なら男女デュエットでシングル・カットして全米№1確実といったところ。80年代は音楽が音楽らしかったホンマにエエ時代だったが、それはさておき、敢えてブリティッシュ・ロック色を捨てて本気で売れ線を狙ってきた時のレップスの底力が存分に発揮された大名曲である。そんな原曲に敬意を払いながら歌詞を噛みしめるように歌い上げるテイラー嬢のヴォーカルは心にグッとくるものがあるし、ジョーの説得力溢れる歌声はもう圧巻の一言だ。バックの弦楽団の演奏も曲とのマッチングも完璧で、聴く者の心の琴線をビンビン震わせる。レップス・ファンはこの1曲のためだけにでもこの DVD を買う価値があると思う。
When Love & Hate Collide (Live) Def Leppard & Taylor Swift


 コンサートのエンディング曲⑧「ポァ・サム・シュガー・オン・ミー」のイントロのリフが鳴り響くとオーディエンスは総立ちで大盛り上がり(^o^)丿 この曲もテイラー嬢には少し荷が重いが健気に先発を買って出るその意気やよし。しかしやはり餅は餅屋と言うべきか、絶妙のタイミングで炸裂するジョーの “フゥア!” というドスの効いた掛け声一発(1分14秒あたり)でロック色が一気に急上昇!!! フィルに絡むヴァイオリンのオネーチャンのシャープでトリッキーな動きも見ものだし、デフレパ勢のバック・コーラスも圧倒的に素晴らしい。しかし何と言ってもこの曲の白眉はリック・アレンのパワフルなドラミングだろう。両脚を駆使してあの圧倒的なグルーヴを生み出すそのミラクルなプレイは鳥肌モノだ。やっぱりデフ・レパードはエエなぁ... (≧▽≦)
POUR SOME SUGAR ON ME - Def Leppard & Taylor Swift