shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Jaguar Hard Pain 1944-1994 / The Yellow Monkey (Pt. 1)

2012-02-11 | J-Rock/Pop
 インフルエンザにかかってしまった(>_<) 先週の日曜に喉がイガイガしてきたのでてっきりフツーの風邪と思い、1日で治すつもりで「銀のベンザ」を飲んで夜9時に寝たものの、翌朝起きると38.7°の熱で頭がフラフラ... しかしインフルなんぞ全く疑わず(←気付けよ...) “汗かいたら熱下がるやろ” とばかりに通勤時に車内をガンガン暖房して発汗しまくりスッキリして出社、昼頃またまた高熱でボーっとするも職場の暖房で発汗して気分スッキリ(笑)、仲良しの同僚Aちゃんが心配してくれてるのに “風邪なんてもう治ったわ! ハハハハ...(^.^)” と息巻いて退社(←恥)、しかし運転中に顔が熱く火照ってきたので念のために病院に直行して調べてもらったところ、「インフルエンザです!」とキッパリ宣告され、火曜日から出勤不可。高熱と節々の痛みは1日で治まり水曜にはもうすっかり元気になったが、他人にウイルスをばら撒く可能性が大とのことで結局今週は今日まで家でゴロゴロ、この週末を入れると降って湧いたような6連休になったけど、どっかへ遊びに行くワケにもいかず、高齢の両親に移すとヤバいから完全自室軟禁状態で、もう死ぬほどヒマやった。おかげでブログの更新が進む進む...(笑) 冗談はさておき、皆さんもインフルエンザには十分お気を付け下さいませ。私の唯一の収穫は「パブロンのどスプレー」、コレめっちゃエエですわ(^o^)丿(←アマゾンで薬が買えることを今回初めて知りました...) それでは今日も元気にイエロー・モンキー祭りの始まり始まり...

 1st でカタツムリをおでこに乗せ、2nd では女装と、まさに我が道を行くグラム・ロック・スタイルを貫いてきたイエロー・モンキー。 “3rdは売れるモンを作れ” と言うレコード会社に対し、 “いや、コンセプト・アルバムやんないとシャレにならない!” と言って出来たのがこの「Jaguar Hard Pain 1944-1994」だ。デビッド・ボウイに心酔していた吉井さんは事あるごとに “3枚目は俺達なりの「ジギー・スターダスト」を作る!” と言ってきており、レコード会社の反対を押し切ってそれを実行に移した格好だ。
 ストーリーは、1944年に戦死した兵士ジャガーの霊が1994年の東京に甦って恋人マリーを探すというもので、主人公ジャガーのモチーフになったのは彼の亡くなったお父さん。前作「エクスペリエンス・ムービー」の最後の曲で母親をモデルにしたマリーという女性のことを歌っており、そこから繋がったロック・オペラ的なトータル・コンセプト・アルバムになっている。
 で、この「Jaguar Hard Pain 1944-1994」はコンセプト・アルバムだからなのか、その筋ではかなり評価が高く、コアなファンの中には最高傑作に挙げる人もいるようだ。しかし私的には、確かに良いアルバムではあるが正直言ってそこまでのものではない。というか、はっきり言ってロック・オペラ的なアルバムというもの自体、あまり好きではない。
 コンセプト・アルバムと言えばいの一番に頭に浮かぶのがビートルズの「サージェント・ペパーズ」だが、あれはコンセプトといっても “架空のバンドのショウ” というテーマ設定だけのシンプルなものなので、主人公を中心に物語が展開していくという類のオペラチックな作品が苦手な私でも違和感なしに楽しむことが出来た。フロイドの「狂気」(←まぁプログレ・バンドのアルバムはそのほとんどすべてがコンセプト・アルバムなわけだが...)や ELO の「タイム」、ミカ・バンドの「黒船」といったアルバムも同様だ。
 このように、 “あるテーマに基づいて全体が構成された” コンセプト・アルバムというのは全然 OK なのだが、そこにしっかりとしたストーリー性を持たせ、主人公を始めとするキャラクターを設定してその悲喜こもごもを描いたロック・オペラ的なアルバムとなるとイマイチ肌に合わない。ロック・オペラの金字塔と呼ばれるザ・フーの「トミー」なんかもそうだが、曲作りにおいてアルバムのストーリーに拘りすぎてキャラクターの制約に縛られてしまい、アルバム収録曲のクオリティーの点でマイナスに感じることが少なくないからだ。
 この時期の彼らのライヴは吉井さんがジャガーを演じるシアトリカルなステージなのだが、お芝居とか演劇とかに何の興味もない私としては DVD を見ていてもジャガーのセリフのシーンになると、音楽に余計な要素を持ち込まずにストレートにロックだけを演ってくれよと思ってしまう。私は戦争とか霊魂とか苦悩とかいったドロドロした物語が聴きたくてロックを聴いているのではない。だから私はジャガーがスベッただの、マリーがコロンだだのといった能書きは一切無視して、普通のロック・アルバムとしてコレを聴いている。コンセプト・アルバムを曲単体で聴いて都合の悪いことなど何もない。
 そうやってストーリーから離れて個々の曲の集合体として聴くと、ハードでグルーヴィーなロックとして眼前に屹立してくるのが⑦「RED LIGHT」だ。このアルバムのサウンドは、1st、2nd アルバムで顕著だった煌びやかなグラム・ロック色が後退、その後の大ブレイクへと繋がるストレートでズッシリとした質感の王道ロックが展開するのだが、そんなサウンドの変化が最も如実に感じられるのがこの曲なのだ。
 スタジオ・ヴァージョンでは曲のオープニングでインタールード的に吉井さんとゲスト女性ヴォーカル伴美奈子さんとのデュエットによる子守唄みたいなパートが1分ほど続いた後、静寂を破るようにハードなギター・リフとヘヴィーなリズムが爆裂、彼らなりの「ハードロック宣言」とも取れる勇ましいイントロにロックな衝動がこみ上げてくるが、何よりも衝撃的なのはそのあまりにも卑猥な歌詞で、何と “君の大切な ヴァギナが泣いてる~♪” とそのものズバリの露骨な単語が使われているのだ。前作の “改造ペニス” に続いて今度は “ヴァギナ” ... レコード会社もさぞや困ったことだろうが、聴いてる方にとっては痛快無比そのもの。しかし “濡れてる” ではただのエロ表現に堕してしまうところを、少女娼婦の悲哀を込めて “泣いてる” とした吉井さんのセンスはさすがという他ないだろう。どっちにしてもコレって放送コードに引っ掛かからへんのかな?
 そんな吉井節炸裂の感があるこのドギツいフレーズに、隠し味としてゲンスブールなリフを絡めた “ウーララ ウーララ ウーララ ウゥ~♪” というキャッチーなコーラスを添えて完成した “歌えるサビ” と、イエロー・モンキーは男でござる!を満天下に知らしめるかのようなヘヴィーなサウンド・プロダクションがこの曲のインパクトを高め、一度聴いたら脳内リフレイン確実なアクの強さを誇っている。とにかく彼らのハードでヘヴィーでエロい面(笑)が好きな人は、この1曲のためだけにこのアルバムを買ったとしても決して損はないと思う。 (つづく)

RED LIGHT