shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ジブリティック・パンク・カヴァーズ / 6% is MINE

2010-11-22 | TV, 映画, サントラ etc
 最近ひょんなきっかけでK君という音楽好きの若者と知り合った。彼はまだ若いのに、ビートルズを始めとしてディープ・パープルやキング・クリムゾンといった昔のロックが大好きなだけでなく(←父親が筋金入りのビートルズ・マニアらしく、小さい時からそんな音楽を聴いて育ったらしい...)、私のライフワークである “面白カヴァー” にも並々ならぬ興味を示すなど、驚くほど私と感性が似ているのにビックリ(゜o゜) しかもオーディオや車も大好きということですっかり意気投合、今では私の若い衆(?)の中でも一番の話し相手だ。
 そんな彼といつものように音楽の話をしていた時のこと、ビートルズの楽曲をラモーンズ・スタイルで高速演奏するパンクルズやメタリカそっくりのサウンドでメタル化してしまうビータリカといった、いわゆるひとつの “異種格闘技” 的パロディー・バンドの話題で盛り上がり、 “めっちゃ面白いッスね。僕も色々探してみます!” とすっかりこの世界にハマッたようだった。そしてその翌日、満面の笑みを湛えて “こんなん見つけました!” と彼が教えてくれたのがこの「ジブリティック・パンク・カヴァーズ」だ。何という速攻!それでこそ我が若い衆だ(笑)
 早速 YouTube で試聴してみるとコレがもう私の嗜好のスイートスポットを直撃する面白さ!発想の原点は YouTube でついに230万ヒットを超えた “トトロック” あたりだろうが、全体の雰囲気としてはリンドバーグを想わせるガールズ・ガレージ・ロックといった感じで、「となりのトトロ」も、「カントリー・ロード」も、「いつも何度でも」も、竹を割ったようなストレートなロックンロールにアレンジされている。 “エレクトリック・ヴォイス” とでもいうのか、ヴォーカルにエフェクトがかけられていて聴きやすく加工されていることもあって、 “パンク” を期待して聴くとちょっと物足りないかもしれないが、そのソフト・フォーカスなヴォーカルとギター・ピック・スクラッチを多用したロック・サウンドのバランスが絶妙で、大人から子供まで理屈抜きに楽しめる “お茶の間ロックンロール” に仕上がっている。この手の盤に目がない私はすぐにアマゾンでゲットした。
 収録曲は①「いつも何度でも」(千と千尋の神隠し)、②「となりのトトロ」、③「テルーの唄」(ゲド戦記)、④「ナウシカ・レクイエム」(風の谷のナウシカ)、⑤「崖の上のポニョ」、⑥「カントリー・ロード」(耳をすませば)、⑦「やさしさに包まれたなら」(魔女の宅急便)、⑧「君をのせて」(天空の城ラピュタ)の全8曲で、22分31秒というからミニ・アルバムと言えるが、つまらないオリジナル曲を延々70分近く聴かされる昨今の CD よりもこっちの方がずっと密度が濃くて良いと思う。
 どのトラックも甲乙付け難い素晴らしさだが、トトロ・マニアの私としてはやはり②が一番のお気に入り。親しみやすい原曲のメロディーの良さを巧く活かしてウキウキワクワクするようなロックンロールに仕上げている。哀愁舞い散るメロディーが印象的な原曲をハードなロック・サウンドで高速化した④はその斬新な発想に目からウロコという感じ。ナウシカを見たことがない人も、コレはもう聴くシカないだろう。イントロから一気に突っ走る⑤からはロックの楽しさがヒシヒシと伝わってくるし、原作者のジョン・デンバーが聴いたらひっくり返りそうな⑥のドライヴ感も圧巻だ。
 心に沁みる癒し系の原曲を大胆不敵なアレンジでロック化した①も面白い。コアなジブリ・ファンなら怒り出すかもしれないが、私はこういうのもアリだと思う。同じ曲でこうも印象が変わるものかと広~い心で両方楽しむのが通のファンというものだろう。原曲のインパクトが強烈な⑦もアレンジに工夫を凝らしてロック化されており、ユーミンのオリジナルとの聴き比べも一興だ。③⑧は映画を見ていないので原曲との比較は出来ないが、どちらもそのメロディーだけは「ウクレレジブリ」シリーズを通して知っていた。ウクレレであれ、ロックンロールであれ、ジブリの曲って親しみやすいメロディーの曲が多いので、アレンジャーにとっては最高の素材なのだろう。
 このアルバムは全トラックが聴き応え十分な疾走系ロックンロールなので、車内 BGM としてヘヴィー・ローテーション状態になっている。ただ、唯一の難点は美的センスのかけらもない醜悪ジャケット(←パンクをバカにしてんのか!)で、中身の音楽を聴かなければ絶対に買う気の起こらないような代物だ。まぁ私のようにジャケットに拘る音楽マニアではなく、ネットで音楽をダウンロードするような若者層をターゲットにしているのだろう。それ以外の点では文句のつけようがない1枚で、ジブリの名曲をウキウキするようなロックンロールで聴けるこのアルバムは、企画良し、アレンジ良し、雰囲気良しの好盤だと思う。私の持っているジブリ・カヴァー盤の中で文句ナシの№1だ。

6% is mine - Tonari No Totoro cover


6% is MINE - カントリーロード (Country Roads)


6% is MINE(GIRLS)_GHIBLITIC PUNK-COVERS_digest_2010.06.23
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