shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ザ・グレイト・ロックンロール・フェスティバル / ロリータ18号

2010-11-17 | J-Rock/Pop
 またまたラモーンズ絡みのネタである。彼らは被カヴァー率の非常に高いバンドで、全世界規模で様々なトリビュート盤 / カヴァー・ヴァージョンがリリースされている。特にドイツを中心とするヨーロッパと、アルゼンチンを中心とする南米では(←何かワールドカップみたいな勢力分布やなぁ...)ラモーンズ熱がめちゃくちゃ高く、彼らの母国アメリカをも凌ぐ勢いだ。
 ここ日本ではどうかというと、数だけならそこそこ出ているが、 “パンク・ロック” の意味をはき違えているような演奏も結構多い。バンド名とパロジャケのインパクトから期待して聴いたロマーンズはただわめいているだけでほとんど騒音に近い状態だったし、これまたバンド名と曲のタイトルだけは面白いサモーンズも変な女性コーラス入りのトホホな内容で、とてもじゃないがスピーカーに対峙して聴くようなものではなかった。これまで私が聴いた中で文句ナシに気に入ったのは少年ナイフの「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」と「スージー・イズ・ア・ヘッドバンガー」、そしてこのロリータ18号の「ロッカウェイ・ビーチ」の3曲だけだ。
 私は日本のパンク・ロック / インディーズ・シーンには全く興味が無いのでこのロリータ18号というガールズ・バンドの存在も全く知らなかった。きっかけは YouTube でラモーンズ・ナンバーを色々検索していて彼女らの①「ロッカウェイ・ビーチ」カヴァーの PV をたまたま見たのが最初で、何とあのジョーイ・ラモーンがゲスト出演しているのにビックリ(゜o゜) 後で知ったことだが、この曲は彼がプロデュースしたロリータ18号のアルバムに収録されているという。どうりで仲良くお友達感覚で PV に出ているワケだ。それにしてもロック・スターのオーラ出まくりのジョーイは何をやっても絵になるなぁ... (≧▽≦)
 確かに見ているだけでウキウキしてくるような PV だが、それ以上に私が気に入ったのがその底抜けに楽しいロックンロール・サウンドだ。その筋では “お茶の間パンク” とか “ハードコア歌謡ロック” とか呼ばれているユニークなスタイルでラモーンズの名曲を見事に料理している。ヴォーカルは気持ちばかりが先走って何を歌っているのかイマイチ聞き取れない部分が多々あるが、ストレートアヘッドな演奏で曲の良さを殺さずに自分達のカラーを出しているところがいい(^.^)
 これは面白そうだとネットで色々試聴してみたところ、オリジナル曲には心に残る旋律が無く、逆にカヴァー曲に面白いのがいくつかあったので、全編カヴァーで固めたこの「ザ・グレイト・ロックンロール・フェスティバル ~ロックンロール・カバー大会~」を購入。イエローとピンクが際立つジャケットの色使いはセックス・ピストルズのアルバム「ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス」を強烈に意識しているように思えるし、アルバム・タイトルもピストルズの「ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル」をパロッたものだろう。運よくネット通販で他の CD のついでに買った(←送料浮くもんね...)のだが、162円(!)という “もってけドロボー価格” だった。
 届いた CD を聴いて私が①と同じぐらい、いや、それ以上に気に入ったのが⑪「ビデオ・キルド・ザ・レディオスター」、何とあのバグルズのカヴァーだ!ジェフリー・ダウンズ入魂のシンセが唸るポップス史上屈指の名曲を換骨堕胎してキャッチーでノリノリのロックンロールに仕上げているのが凄い。特に後半部分の一気呵成にたたみかけるような展開は圧巻で、アクの強いヴォーカルとキュートな “アゥワ アゥワ~♪” コーラスのコントラストも見事なキラー・チューンだ。 PV もスピード感を活かした楽しいもので、曲想にバッチリ合っていると思う。
 ラモーンズのもう1曲⑤「ワート・ホッグ」、デイジー・チェインソウの⑦「ラヴ・ユア・マネー」、トイ・ドールズの⑨「シー・ゴーズ・トゥ・フィーノス」、ピストルズの「ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル」、チャック・ベリーの⑭「ジョニー・ビー・グッド」といったナンバーはアルバム・タイトル通りの大ロックンロール大会でめちゃくちゃサマになっているし、ジョニー・キッド & ザ・パーレーツの④「シェイキン・オール・オーヴァー」なんていう意外な選曲にも驚かされる。
 しかしロネッツの⑫「ビー・マイ・ベイビー」には参った。ピストルズ直系のパンクロック・バンドがオールディーズのガールグループ・クラシックスの大名曲をカヴァーとは何という無謀な選曲だろう!演奏、アレンジがこれまた実にユニークで、当然のことながら原曲が持っていた甘酸っぱさは雲散霧消、例えようもないような摩訶不思議な雰囲気が横溢だ。フィル・スペクターが聴いたら “オレの曲に何しやがる!” と激怒して拳銃を乱射し出すかもしれない。
 エディ・コクランの③「サマータイム・ブルース」はオリジナル・ヴァージョンが大好きだったので楽しみにしていたのだがコレがもう完全な期待ハズレ。ウシガエルの断末魔みたいなダミ声ヴォーカルで、こねくり回すようにヨタッた歌い方をされてはロックンロール・クラシックスの名曲も台無しだ。⑥「テネシー・ワルツ」はスローで始まって途中少しテンポが上がるのだが、せっかくのパンクロックなんだから、ここは思いっ切り高速化して後半一気に突っ走って欲しかったところ。酔っ払いが唸っているような歌い方もイマイチ好きになれない...(>_<)
 ボートラ扱いの⑮「バイ・バイ・ジョーイ」はこのカヴァー・アルバム中唯一のオリジナルで、急逝したジョーイへの想いが十分伝わってくる歌詞に涙ちょちょぎれるが、他のオリジナル曲と同様にメロディーが薄いのが残念。やっぱりこのバンドはカヴァーに限るわ。彼女らにはもう1枚「ヤリタミン」っていうカヴァー盤があって、水前寺清子の「365歩のマーチ」やキョンキョンの「なんてったってアイドル」なんかも演ってるらしいので、機会があれば聴いてみよう。

Rockaway beach M/V


Lolita n° 18 Video kill the radio Star