shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Weird Tales Of The Ramones

2010-10-03 | Ramones
 10月に入ってすっかり朝晩涼しくなり季節の変わり目を実感している今日この頃だが、音楽面では相変わらず9月のラモーンズ・フィーヴァーが継続中。私は彼らに最初にハマッたのが数年前という “遅れてきたラモーンズ・マニア” なのだが、今まさに第2次マイブームの真っ最中で、当時買いそびれていた CD や DVD を大人買いして(?)楽しんでいる。そんな中でも最大の収穫がこの「Weird Tales Of The Ramones」(邦題:ラモーンズ・ストーリー)だ。
 コレは彼らのデビューから解散までの22年間に発表された作品の中からジョニー・ラモーンが選曲した85曲を収めた3枚のCDと、過去にVHSで出ていたビデオクリップ集「Lifestyles Of The Ramones」にボーナス・トラックとして新たに6曲分の PV を追加収録した DVD 、更に彼らを題材にした52ページもあるコミック・ブック(しかもコレが3-Dメガネ付き!)まで付いた、超豪華なA4サイズ(!)のボックス・セットになっているのだからファンとしては垂涎モノの逸品だ(≧▽≦) コレこそ何種類も出ている彼らのベスト盤の中でも史上最強と言えるだろう。
 私は以前紹介した「ラモーンズ・アンソロジー」というベスト盤を始め、初期のオリジナル・アルバム5枚やライヴ盤3枚、それに後期のカヴァー盤などを既に持っていたのでこのボックス・セットにまで手が出なかった。輸入盤でも送料込みで軽く$50以上するし、DVDのリージョン・コードが明記されていない(海外版 DVD ってリージョンとか NTSC/PAL とかホンマに鬱陶しいわ...世界統一規格にせぇよ!)のも気になる。日本盤に至っては1万円近いボッタクリ価格で論外だった。
 そしてラモーンズ・フィーヴァーに明け暮れた先月、“未曾有の円高で $1=83円!” のニュースをヤフー・ニュースで見た私はすぐにUSアマゾンのサイトをチェック、するとラッキーなことに中古で1セットだけ$28で状態 very good というブツを発見。送料込みでも3,000円でお釣りがくる計算だ。 International Shipping Available となっているのはコレ以外すべて$45以上なので超お買い得である。アマゾンには何も書かれていないが HMV のサイトによると DVD はどうやらオール・リージョンらしい。私は即 “Place Your Order” をクリックした。
 CD に関しては Disc 1 が「ラモーンズの激情」~「ロード・トゥ・ルーイン」、Disc 2 が「エンド・オブ・ザ・センチュリー」~「アニマル・ボーイ」、Disc 3 が「ハーフウェイ・トゥ・サニティ」~「グレイテスト・ヒッツ・ライヴ」までと、各アルバムから代表作がまんべんなくセレクトされているという印象だ。もちろん全曲デジタル・リマスタリングされているが、彼らの CD は2001年のリマスター以降の盤ならどれも迫力満点のサウンドが楽しめる(←それ以前の盤は悲しくなるほどプアーな音です...)ので手持ちの盤と音質的な違いは感じられない。
 そんな中で嬉しかったのは Disc 3 に入っていた(21)「スパイダーマン」がイントロの1-2-3-4カウント無しの別ヴァージョンだったこと。私はこの曲のメロディー展開が大好きで数少ないカヴァー・ヴァージョンをせっせと集めているのだが、今のところダントツに気に入っているのがラモーンズのヴァージョンだ。疾走感溢れる曲想がラモーンズのラウド&ファストな演奏スタイルと見事にマッチしてめちゃくちゃカッコ良いロックンロールに仕上がっている。この曲の素晴らしさについてはまだまだ言い足りないが、先に進まなくてはいけない。
 私が一番楽しみにしていたのが DVD だ。私が持っている彼らの DVD は、バンドの歴史を見事にドキュメンタリー・フィルム化した名作「エンド・オブ・ザ・センチュリー」、マーキー・ラモーンが撮りためていた貴重な映像を中心にメンバーのオフ・ステージでの素顔を追った「ラモーンズ・ロウ」、そしてその圧倒的なライヴ・パフォーマンスの模様を詰め込んだ「イッツ・アライヴ 1974-1996」の3枚だったので、「エンド・オブ・ザ・センチュリー」以降の18曲分の彼らのビデオ・クリップの映像を見れるというのがファンにとっては大変ありがたい。
 今まで YouTube の小さな画面で見るしかなかった⑰「スパイダーマン」をテレビの大画面で見れるようになったのも嬉しいし、初めて見る映像も一杯入っていて、この DVD だけでもこのボックス・セットを買った甲斐があろうというものだ。私的には USA フォー・アフリカをパロッた⑦「サムシング・トゥ・ビリーヴ・イン」のビデオが面白かった。いつものように脚を踏ん張って歌うジョーイがカッコイイ⑯「アイ・ドント・ウォナ・グロウ・アップ」も何度見ても飽きないし、ラストに入っている⑱「電撃バップ」のライヴ映像ではレコードの1.5倍ぐらいの猛スピードで爆走するそのスリリングなパフォーマンスが圧巻だ。ただ、④「サイコ・セラピー」は曲と演奏は最高(←ベタなギャグですんません...)だがビデオの方はホラーが苦手の私には後半ちょっとキツかった...(>_<)
 最後の最後まで “パンク” というイメージが足かせとなったのかコマーシャルな面では成功したとは言い難い彼らだが、バンドが解散しフロントメンの3人が既に鬼籍に入ってしまった今でも彼らを愛するファンは減るどころか全世界規模で増えているような感すらある。常にロックンロールの原点としての凄みを見せ続けてきた、 “記録よりも記憶に残るバンド” の最高峰ラモーンズ、私はこれからもずっと彼らのロックンロールを聴き続けていきたいと思う。

Ramones - Spider-Man


Psycho Therapy - The Ramones


The Ramones - I Don't Want To Grow Up


Something To Believe In - The Ramones

Ramones Anthology (Pt. 2)

2010-09-18 | Ramones
 この CD はディスク1が1976~1980年まで、ディスク2が1981~1995年までの音源で構成されているが、メロディーを重視しながら “シンプル&スピーディー” を絵に描いたようなアグレッシヴなサウンドで疾走するディスク1の70年代ラモーンズ(1st「ラモーンズの激情」から5th「エンド・オブ・ザ・センチュリー」まで)が私は特に好きだ。彼らの “スリーコードでいったれ” 攻撃は流行り廃りの激しいミュージック・シーンにおいて却って新鮮に映るし、不朽の輝きを放っているように思う。
 1st アルバム「ラモーンズの激情」からは何と言っても①「ブリッツクリーグ・バップ」がインパクト絶大で、いきなり爆裂ギターが響き渡るイントロを聴いただけでテンション上がりまくり。イケイケ・オラオラ系パンク・ロックでありながらキャッチーなところが素晴らしい。 “ヘイ・ホー、レッツ・ゴー” の掛け声がどう聴いても“アイ・オー!” にしか聞こえないのも面白い。それにしても「電撃バップ」っていう邦題付けた人、良いセンスしてまんなぁ...(^.^) 続く②「ビート・オン・ザ・ブラット」や③「ジュディ・イズ・ア・パンク」でも基本的には同じ路線のハイスピード・パンクが楽しめる。④「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド」はシーナ&ザ・ロケッツあたりが演ればぴったりハマりそうなミディアム調のナンバーで、この①~④の4連発はかなり強烈だ。
 2nd アルバム「リーヴ・ホーム」からはポップな⑩「カリフォルニア・サン」が出色の出来。邦題の「パンク天国」も時代を感じさせて微笑ましい。スピード感溢れる⑧「ギミ・ギミ・ショック・トリートメント」やシンプルなフレーズの繰り返しが快感を呼ぶ⑫「スワロウ・マイ・プライド」なんかも結構エエ感じなのだが、ラモーンズらしさ全開の「スージー・イズ・ア・ヘッドバンガー」(邦題の「好き好きスージー!!」には大爆笑!何ちゅーこっ恥ずかしいタイトル付けてんねん...)がベスト盤の選曲から漏れているのがちょっと残念...(>_<)
 3rd アルバム「ロケット・トゥ・ロシア」は良い意味での大衆性とパンクの持つロックな衝動が高い次元でバランスされた、初期3枚の集大成的な1枚だ。「ロックンロール・ハイスクール」の元ネタっぽいノリノリのロックンロール⑮「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」(←何かこういう感じの曲名多いよな...)、ラモーンズの魅力ここに極まれりと言いたくなるようなキャッチー&スピーディーなサビがたまらない⑰「ロッカウェイ・ビーチ」、思わずヘッドバンギングの衝動に駆られる筋金入りのパンキッシュな解釈が嬉しい⑳「サーフィン・バード」と、まさに名曲名演のつるべ打ちである(≧▽≦)
 彼らはバリバリのパンク・ロッカーのイメージとは裏腹に 1st アルバムでクリス・モンテスの「レッツ・ダンス」というオールディーズ・クラシックスを取り上げており、その音楽的な素地の幅広さに驚かされたものだが、この 3rd アルバムではボビー・フリーマンの名曲を見事に高速化した「ドゥー・ユー・ウォナ・ダンス」がめちゃくちゃカッコ良い。シングル・カットもされたというのに何でそれがこのベスト盤に入ってへんのやろ???
 4th アルバム「ロード・トゥ・ルーイン」はパンク一辺倒だった初期3作からより音楽性の幅を広げ、サーチャーズの(26)「ニードルズ・アンド・ピンズ」のカヴァーなんかも演ったりして次作「エンド・オブ・ザ・センチュリー」への橋渡しとなる1枚だが、何と言っても私にラモーンズの素晴らしさを再認識させてくれた運命的なナンバー(23)「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」に尽きる。私にとってはこの1曲が入っているだけで名盤だ!
 ディスク2では何といっても痛快無比な疾走系ロックンロール⑤「サイコ・セラピー」が最高だ。圧倒的なスピード感で駆け抜けるこのテンションの高さはハンパではない。初期の傑作群に勝るとも劣らないノリがたまらない(23)「アイ・ドント・ウォナ・グロウ・アップ」もめちゃくちゃカッコイイし、女性を巡るメンバー間の軋轢を赤裸々に歌った①「ザ・KKK・トゥック・マイ・ベイビー・アウェイ」なんかも美メロ連発で結構気に入っているのだが、曲のクオリティーに関しては「エンド・オブ・ザ・センチュリー」以降、明らかに下降線をたどっているように思える。やはり私にとってのラモーンズはデビューから5作目までの、N.Y.パンクの旗手としてブイブイいわしていた頃の作品こそが最高なのだ。

The Ramones - Blitzkrieg Bop


Ramones - Sheena Is A Punk Rocker


Ramones - Rockaway Beach


Ramones - Surfin' Bird

Ramones Anthology (Pt. 1)

2010-09-15 | Ramones
 前回に引き続き今日もラモーンズである。彼らの 5th アルバム「エンド・オブ・ザ・センチュリー」は愛聴盤になったけれど、ちょうど 80's へと移り変わる端境期だったこともあり、それ以降アメリカン・チャートを本格的に追いかけ始めた私にとってシングル・ヒットとは全く縁のないラモーンズの存在はどんどん遠くなっていき、 “ラモーンズは「エンド・オブ・ザ・センチュリー」1枚で十分” という誤った認識で 80's、そして 90's を過ごしてしまった。
 やがて21世紀に入りネットオークションを始め、1枚数百円という “持ってけドロボー” 的な安値で CD が買えるようになって、確かスティーヴィー・レイ・ヴォーンだったかピンク・フロイドだったかの CD をヤフオクで落札した時のこと、2枚まで送料が変わらないということで同じセラーが出している CD の中から安くて良さそうなのをもう1枚、という軽い気持ちで落札したのがラモーンズのキャリア全般にわたって選曲されたこの2枚組ベスト「ラモーンズ・アンソロジー」、無競争で800円だった。
 届いた CD は全58曲入り、しかもシングル・ヒット曲が無いからアルバム「エンド・オブ・ザ・センチュリー」収録曲以外は1曲も知らないというお寒い状況だ。徹底したダウンストローク・リフ主体のストレートアヘッドなロックンロールというスタイルは気に入ったものの、肝心のサウンドはスカスカだったし、如何せんどれもこれも似たような曲に聞こえたのだ。結局その時は2~3回聴いただけで CD棚にしまい込んでしまい、ラモーンズのことはすっかり忘れてしまった。
 それから数年が経ち、私は少年ナイフにどっぷりハマって彼女らの CD を聴き漁っていくうちに 1st アルバム「バーニング・ファーム」のボートラでラモーンズのカヴァー「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」を耳にしてそのカッコ良さにシビレてしまった。イントロの取って付けたような “ワントゥスリフォッ!” はご愛嬌だが、実に洗練されたガールズ・ロックに仕上がっており、 “ラモーンズの CD にこんなエエ曲入ってたっけ?” と慌ててこのベスト CD を取り出して聴いてみるとコレがもうバリバリにカッコエエのである。他の曲も初めて聞いた時とは印象がガラリと違い、グイグイとこちらの心に食い込んでくる。今にして思えば以前聴いた時は小音量で内容チェック、みたいな身の入っていない聴き方をしていたのだろう。やはりロックンロールは大音量で聴かないとその真価は分からない、と大いに反省した次第。ということで、私は少年ナイフ経由でやっとラモーンズの真価の一端を垣間見れた気がした。
 この「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」は「ドゥー・ユー・リメンバー・ロックンロール・レイディオ」と並ぶ私のフェイバリット・ラモーンズ・ナンバーで、ウキウキワクワクするような曲想、思わず一緒に口ずさんでしまいそうなキャッチーなメロディー、勝負所でここぞとばかりに飛来するハンド・クラッピングと、少年ナイフを始めとするラモーンズ・フォロワーたちがこぞって取り上げるのもよく分かる大名曲だ。又、ブルース・スプリングスティーン御大がボストンのライヴでファンのリクエストに応えて演ったヴァージョンを YouTube で見つけたのだが、“バババンバ ババババンバ~♪” と観客と一体となっての大合唱が異常なまでの盛り上がりを見せていてめっちゃ感動的だ。これはもう立派なロックンロール・クラシックスと言っていいだろう。
 頑なにシンプルな8ビート・パンクの美学を貫いたラモーンズはトップ40ヒットこそ生み出せなかったが、そういった “記録” よりも “記憶” に残るロックンロール・レジェンドとして、パンクの好き嫌いに関わらずロック・ファンにとっては必聴のバンドだと思う。 (つづく)

The Ramones-I Wanna Be Sedated lyrics  《↓24 hours ago じゃなくて to go ですね》


Shonen Knife-I Wanna be Sedated


Bruce Springsteen & The E-Street Band - I Wanna Be Sedated (Ramones Cover) - Boston

End Of The Century / Ramones

2010-09-13 | Ramones
 私の音楽の聴き方は典型的な芋づる式である。ひょんなキッカケから予想もしなかった方向へとマイブームが広がっていく。前回少年ナイフによるラモーンズへのトリビュート・ソングを取り上げた時に久々にラモーンズのCDを引っ張り出してきて聴いてみるとコレが結構エエ感じだったので、折角だからガールズ祭りはちょっとお休みして今日はラモーンズでいってみよう。
 そもそも私は決して熱心なラモーンズ・ファンというわけではなかった。彼らがシーンにデビューしたのは1970年代半ば、私はまだ洋楽を聴き始めたばかりでビートルズ関係の音源を追いかけるのが最優先だったし、彼らに関しては “N.Y.のパンクロック・バンド” という程度の認識しかなく、実際に音を聞いたかどうかすら記憶にないというのが正直なところだった。
 それから何年か経ったある日のこと、ラジオからウキウキワクワクするような楽しいロックンロールが流れてきた。 “誰やコレ、めっちゃエエやん!” と思って聴いていると、それはラモーンズの「ドゥー・ユー・リメンバー・ロックンロール・レイディオ」とのことだった。 “ラモーンズって、あのパンク・ロックのラモーンズかいな?” と私は我が耳を疑うと同時に、彼らに対する自分の先入観を木っ端微塵に打ち砕かれた気がした。当時の私はポリスやプリテンダーズといったちょっとクセのあるブリティッシュ・ロックを中心に聴いていたので、彼らのケレン味のないストレートなアメリカン・ロックンロールは実に新鮮に耳に響いた。
 運良くアルバム全曲をエアチェックした私はそのテープを聴きまくった。そのアルバムこそが彼らのオリジナル・アルバムとしては5枚目にあたる「エンド・オブ・ザ・センチュリー」だった。このアルバムはあのフィル・スペクターがプロデュースしておりラモーンズとしては異色作の部類に入るだろうが、だからこそと言うべきか、それまでの彼らのアルバムとは比較にならないぐらい分厚い音でラモーンズのラウドなロックンロールが楽しめて、彼らのアルバムの中では最も愛聴している1枚なのだ。
 後年入手したフィル・スペクターの伝記「甦る伝説」にはこのアルバムのレコーディング・セッションの事が詳しく、そして生々しく書かれていたが、何よりも印象に残っているのはフィルがバンドのメンバーとの初対面で言い放った言葉 “自分達だけでまずまずのアルバムを作りたいか、それとも僕と一緒に偉大なアルバムを作りたいか?” だった。さすがは傍若無人にして唯我独尊な “オレ様” フィル・スペクターである。そして実際にレコーディングが始まるとジョンの「ロックンロール」セッションの時と同じようにトラブル続出のグダグダ状態で、ある時なんか激怒したフィルがベースのディー・ディー・ラモーンの頭に銃口を向けたという。ホンマに危ないオッサンだ。
 しかしたとえピストルを振り回そうが、完成までにめっちゃ時間と予算がかかろうが、出来上がった作品は素晴らしいものだった。まずは何と言っても冒頭を飾る①「ドゥー・ユー・リメンバー・ロックンロール・レイディオ」が素晴らしい。ドンドン ドドドン!と響き渡るドラム(←私なんかこのイントロを聴いただけでもうテンション上がりまくり!)といい、強烈なグルーヴを生み出すサックスといい、コレはまさに80年代に蘇ったウォール・オブ・サウンドだ。バリバリのパンク・ロックを期待していたファンには物足りないかもしれないが、パンクに何の思い入れもないただのポップ/ロック・ファンである私にとっては最高のラモーンズ・ナンバーなのだ。
 ⑩「ロックンロール・ハイスクール」もめちゃくちゃカッコ良い。コレは同名映画のタイトル・チューンとして出ていたものをスペクター・プロデュースの下で再レコーディングしたヴァージョンで、ラモーンズお得意の種も仕掛けもないストレートアヘッドな疾走系ロックンロールが楽しめるところが◎。軽快なエド・ステイシアム・ヴァージョンと重厚なスペクター・ヴァージョン(←ドラムのサウンドが圧巻!)の聴き比べも面白いと思う。
 ④「チャイニーズ・ロック」や⑧「アイ・キャント・メイク・イット・オン・タイム」、⑨「ディス・エイント・ハヴァナ」もラモーンズのパンク・スピリットとスペクターのウォール・オブ・サウンドの邂逅が生み出した名演で、キャッチーでありながら切っ先鋭いハードエッジなサウンドはこのコラボレーションの大いなる成果だろう。
 スペクターが無理強いしたらしいロネッツのカヴァー⑦「ベイビー、アイ・ラヴ・ユー」はさすがにちょっとキツイ(>_<) 確かにリード・ヴォーカルのジョーイ・ラモーンの歌声は男性版ロニー・スペクターと言えなくもない(←そもそもスペクターはバンドではなくジョーイのソロを作りたかったようで、 “新しいバディー・ホリーにしてやる” と言って誘ったらしい...)が、いかにも歌いにくそうに聞こえるし、スペクターの悪い癖である甘ったるいストリングス・アレンジもこのアルバムに全然合っていない。こんな変てこなトラックを 1st シングルに指定してくるスペクターの厚顔無恥ぶりも大したモノだが、アメリカでは大コケしたもののイギリスではチャート8位まで上がったというからさすがはスペクター・マニアの国と言わざるを得ない。
 1st から 4th アルバムまで、徹底したスリーコード・パンク・ロックを武器に突っ走ってきたラモーンズがフィル・スペクターという劇薬(?)の力を借りて作り上げたこのアルバムは、一見水と油のようなN.Y.パンクとウォール・オブ・サウンドがぶつかり合い、そして見事に溶け合って生まれた、アメリカン・ロックンロール史における重要な1枚だと思う。

Rock and Roll Radio - Ramones


Rock 'N' Roll High School The Ramones


Ramones, Baby I love you!

Ramones Forever / 少年ナイフ

2010-09-09 | Ramones
 1ヶ月以上にわたって私を悩ませていたパソコン問題にやっと決着が付いた。腐れ外道のパソコン・メーカー、ゲートウェイは私が修理に出したパソコンを勝手に処分し、代替品と称して全く別機種の “メーカー再生パソコン” を送り返してきたのだが、何とそれが3日で壊れるというお粗末さ(笑) メーカーの言い分は “無いものは仕方がない”、 “同等のスペックのパソコンを渡したのだから文句を言われる筋合いはない” という、木で鼻をくくったような横柄かつ傲慢な対応で、これには温厚なケーズデンキの担当者もブチ切れ。 “おたくの会社はそれでよく客商売してはりますな!”(←よぉ言うた!!!)と怒鳴りつけ、かなり強硬な姿勢で迫った結果、最終的にメーカー側が折れて渋々 “全額返金” となったらしい。ケーズデンキよ、よぉ頑張ってくれた(^o^)丿 これからは電化製品全部おたくで買うからね。それと、最後の最後まで往生際の悪かったゲートウェイ(日本エイサー)はこの世から消えてなくなれ!!!!!
 ということでいつまでも暫定旧型 XP のコマ送り動画や長~い砂時計に付き合っていられないので、返金してもらいに行ったその場でニュー・パソコンを買うことに... 鬼畜な海外メーカーにはもうこりごりなので今度は絶対に国産メーカーだ。まずソニーと東芝(←アフター・サービスはダントツに良いらしい...)はキーボードが特殊な形状で打ちにくそうだったのでパス。NECは在庫が私には不要なブルーレイ対応の高価な機種だけだったのでコレもパス。結局消去法で富士通 Lifenote シリーズの AH550/5A に決定。価格.com の最安値よりも更に値引いてくれはったので、ゲートウェイVistaの返金額に3,000円上乗せしただけで最新のウインドウズ7が手に入った計算だ。愛車とお揃いのクリムゾン・レッドもカッコ良くて気に入っているし、縦横比 16:9 のワイドスクリーン画面に馴染めない(←TVもPCも 4:3 が見やすくてエエのになぁ...)ことを除けば文句ナシの高性能マシンだ。とりあえずは災い転じて福となす、ということでようやく一件落着である。

 とまぁこのように悶々とした日々を過ごしながらも音楽生活面では相変わらず “ガールズ・ロック祭り” を継続中で、今週は大好きな “少年ナイフ・ウイーク” になっている。彼女らの曲は基本的に全部好きだが、私が持っている200曲近いナイフ・ナンバーの中で最も好きな1曲はと問われれば、私は迷うことなく2007年リリースのアルバム「fun ! fun ! fun !」に収められた④「ラモーンズ・フォーエヴァー」を挙げる。
 この曲はタイトルが示すようにパンク・ロックの開祖とも言うべきラモーンズに捧げられたナンバーなのだが、私はこれほど愛情とリスペクトに溢れたトリビュート・ソングを他に知らない。お約束の “ワントゥスリフォッ!” というカウントで始まり、ラモーンズ直系のラウドでパンキッシュなサウンドが炸裂、そして何よりも私の胸を打つのがラモーンズへの憧れをストレートに表現したその歌詞である。全編英語で歌われているが、日本語の大意は大体こんな感じだ;

  ある日ラジオで聞いた素敵なミュージック
  何て楽しく、驚くべき発見
  次の日早速アルバムを買って聞いてみた
  そして自分も始めたパンクロックバンド
  N.Y.の彼らみたいにクールになりたかったから
  皮ジャン 破れたジーンズ
  マッシュルームヘアーカット...

  ラモーンズ フォーエヴァー、ミュージック フォーエヴァー
  ラモーンズ フォーエヴァー、パンクロック フォーエヴァー

  何年もパンクロックバンドを続け
  ついに彼らのオープニング・アクトに指名された
  まるで夢のよう 憧れのスターと同じステージへ
  それは彼らの最後の日本ツアーだった

  私は決して忘れない...
  ラモーンズ最高!

 私はこの歌詞がたまらなく好きなのだが、下に貼り付けた YouTube 動画がこれまた素晴らしい出来で、テンポよく切り替わる画像が疾走感溢れる曲調とバッチリ合っており、何度見ても心にグッとくる。夭折したラモーンズのメンバー達もきっと天国で喜んでいることだろう。
 少年ナイフの歌詞はすべて自分達の感じたことを素直に表現したものである。小賢しいことを考えずにそれをシンプルななロックンロールに乗せるから、聴き手の心にストレートに届き、共感を呼ぶ。このスタイルを30年間も貫き通してきた頑固一徹少年ナイフの音楽はもはやイデオロギーの次元で語られるべきものである。信ずる音楽への深い愛情、そして大好きな音楽を演る喜びがダイレクトに伝わってくる少年ナイフの存在こそがロックンロール・バンドの真にあるべき姿なのではないかと思える今日この頃だ。

Ramones Forever - Shonen Knife