津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

河上彦斎という人

2006-02-02 23:01:51 | 歴史
 この人は志士なのか、暗殺者なのか? 例えば角田政治の「肥後人名辞典」などをみても、暗殺にかかわる記述は一個の文字も見えない。尊皇攘夷に徹した志士としての扱いだろうか。地元熊本の評価はどうも好意的に見える。熊本の過去の研究者や、歴史家たちが一つの彦斎像を作り上げているように思える。佐久間象山を殺してから、その人の偉大さを知るに及んで、暗殺者を辞めたという彦斎。悔悟の念なのか?
司馬遼太郎に於ての論評は大変手厳しい。「愚かで狂気だけが財産の暗殺者」とする。新渡戸稲造は著書「武士道」の中で、勝海舟の話として、彦斎の「あなたは何故人を殺さないのか、南瓜や茄子をあなたは取って食べるだろう、あいつらはそんなもんだ」という言葉を紹介して、「それはひどい奴だったよ」と述懐させている。「武士道の教育を受けた者」として海舟を紹介しているが、反語として彦斎がある訳だ。幕末の藩体制が揺らぎ軋んでいる時とはいえ、藩の処分にも頭を傾げざるを得ない。王政復古と共に、藩は彼を釈放し外交の役を与えている。いい加減なものだ。
 このいい加減さが、彼の評価のいい加減さに繋がっているように思える。
コメント (1)
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