柿酢づくりをやった。と言っても庭の富有柿が熟したので、それをもいで入れただけである。30分ぐらいの物だろう。これだけのことをやっておけば、2年後お酢になっている。毎年のことで新しいことはないのだが、やってみたが上手くゆかなかったという人の話を聞くことが重なった。なぜ失敗するのか、気づいたことがあるのでまず書いておく。それは柿から果汁が染み出て、その液体に全体が浸るまでにカビさせてしまうということのようだ。最初の1週間の状態で悪くなる。そのためには熟柿柿が良いということになる。木で熟すのを待って、そのまま瓶に入れるだけである。ふたは密封している。ときどきビンを振り回して、早く液が全体に上がるようにする。上がらなくても液が被るようにする。中では小さな泡が少しづつ湧き上がっている。液は濁っている。今日の様子では、ほぼ上の線まで液が来ている。つまり1週間ぐらいで液が覆ってしまう方が良いということなのだ。写真では15と書いてあるが、16日の雨の後に仕込んだはずだ。強い雨が降って、柿がきれいになった後にやることにしている。
こちらが去年の物である。暗いところから出してきて写した。又すぐに戻した。柿酢を作るのは本来光は良くないと考えている。だから壺で作った方が良いのだが。中の様子が良く見えるように、瓶でやって見ている。ついでだが下に敷いてあるのが、柿渋染めの結城紬である。ムラがあるのは意図的なもので、何度か洗いながら落ち着くように考えている。去年の柿酢はすでに完全にお酢になっている。前の物を使っているので、もう一年暗い所に置いておく。上部にこんにゃく状の物ができるのは、光と酸素の影響らしいという経験を聞いたので、早速暗いところに置き変えて、蓋は密閉している。こんにゃく状の物が出来たからと言って、お酢がだめになることはないのだが、今は出来ない方が良いと考えている。一年物のお酢の味は、2年物より少しきつい感じがあるが、柿の果物感はむしろ残っている。だからこの段階で使ってもいいとは思う。ドレッシングに使うならこの方がおいしいかもしれない。
柿のヘタは昨年は取ったが、今年はそのままである。おととしもそのままである。今年の試みとしては、富裕柿で作ったということだ。何しろ今年は柿の当たり年で、あちこちに大量に実っている。食べきれるものではないので、甘柿の方を柿酢にすることにした。渋柿の方は下に敷いてある布を染めた柿渋になってしまった訳だ。絞った柿渋も縁の下の暗いところにしまってある。1年たった柿酢も同じである。ときどき味見をするときだけ蓋を開ける。その程度の酸素で十分だと考えている。ふたを閉めたまま、瓶を振ってかき回す程度である。棒を入れてかき回して作るような方法は時間の短縮法なのだと思う。ゆっくり時間をかけても構わないと考えれば蓋をしたままの方が良い。まあ、発酵で蓋をするのかどうか。かき回すのかどうか。この辺は良いものを作る分かれ目である。ただ醤油の経験で密閉方式で3か月に一回ぐらいのかき回しで良いものが作れる経験をしてから、密閉の良さを考えるようになった。そういえば、私は味噌づくりでもかき回すことはしない。
自給生活は手間をどれだけかけないかの工夫だと思う。あれこれ面白いことがあるので、全部に手間をかければきりがない。上手く手抜き法を工夫するのも大切である。雑菌を必要以上に畏れて、消毒だ、手を洗えと、瓶は熱湯消毒だなどと、神経質になるなら面倒なことになる。ちなみに瓶は日に晒してからしまう。気楽に、ダメでもともとぐらいの気分でやってみる。発酵の感触を知れば、雑菌など畏れることはないということがわかってくる。問題の一番は、保管する環境だと思う。鶏の餌の発酵を町場でやると失敗事例が増えるということに気づいた。山の中でやれば、失敗が減少する。町場にはよい菌が少ないのだろう。だから、除菌とか、衛生管理とか、神経質にならざる得ない。自然の調和というものは微生物が司っている。そいうことを教えてもらうために、お酢を仕込むわけだ。自然の持つ時間の経過と、自分の時間との波動を合わせて、命移ろいということを感じる。
追記 ——瓶がいっぱいになるほど、柿を加えた。そうしたら泡が上がっていたので、あふれ出た。それで200CCほど取り出した。まさか水位が上がるということはどういうことだろう。柿の中に気泡が出来ているのだろうか。取り出した液をなめてみたが、なんとなく酸っぱいような。
山北の傾斜地 5号 昨日の絵の続きの一枚。抽象にも見えるが、抽象画ではない。
柿酢は2年おきくらいに作る。毎年作っても余るからである。いつもは甕で作っている。甕は家の外に於いてあった。今年はガラス瓶で作って、机の上に於いてある。柿酢が出来てゆく経過の写真を取ろうと考えている。上の写真は1月の11日に柿を木からもいで、詰めた所である。柿は渋柿である。木に付けたまま、落ちる直前という感じである。柔らかく熟すのを待っていた。ヘタを取り去るのも簡単に取れる位の状態である。瓶を抱えて、脚立に乗ってもぎながら詰めていった。ヘタの取りにくいのもあったが、ヘタをつかんで力を入れたら手で取れる位には全部が成っていた。ヘタは以前は付けたままだったが、今回はヘタはいらないと思って入れなかった。これをガラス瓶に一杯に成るだけ詰め込んだ。最後は少し押し込んだくらいの状態である。柿を洗うことはない。ただし、よく雨の降った日の翌日を狙った。10分ぐらいの作業で終わった。瓶には中ブタはした。小さな注ぎ口は空けてある。赤い蓋は載せてあるだけだ。これで、経過を眺めている。
すぐに水分が染み出し始め、翌日には下の方5ミリほど水分が溜まった。3週間で一番上まで水が来た。写真は2月3日のものである。柿の木にはすでに柿はない。液は濁って来ている。小さなあぶくが少しずつ上がっている。1週間ほどした時に、3か所に白い糸状菌のようなものが付いた。そのままにして置いたら、湧いてきた水分に埋もれている。いつもこういう白い菌糸は発生する。液をなめてみると、甘く、少し酸っぱいような液である。どうも味から言って、このまま置いたらお酒に成るのかというような感じの液である。香りは柿のほのかな香りと、乳酸発酵をしているような甘酸っぱい香りがしている。又3週間ほどしたら、この続きで写真を撮り報告する。
3月9日の様子
だいぶ水分が上がってきた。柿が浮かんでいる感じだ。すでに酸っぱい香りがしてきている。液はまだ白濁している。上部の水面にでた部分に白いカビがある。先日、だんだん出来てくるトコロテンのような物体は、お酢に成る菌ではないとのことを言われた。しかし、いつもぶよぶよの物体が出来てきた。そして、お酢に成っている。どういうことだろうか。今回のものを継続観察をしてゆく。
4月16日の様子
柿はやや沈んできた。白濁はさらに進む。
6月26日の様子
完全に沈んだくらいで、さしたる変化はない。
7月24日の様子
較べてみると濁りが濃くなってきた。なめてみたら、酸っぱくなっている。しかし、柿酢というにはまだまだである。
9月3日の様子
この所見た目の変化はないが、味はどんどんお酢らしくなっている。もう使おうと思えば使えるような味だ。
10月31日の様子
ほぼ完成だが、まだこのまま置いておく。次の柿を仕込む時期が近付いた。
2015年 1月5日の様子 仕込んで11カ月経過した状態。完全にお酢である。かなりきつい味だ。色は沈殿が進み、透明になっている。
2015年 5月7日の様子 仕込んで1年3カ月経過したものだ。お酢である。入れた柿が黒ずんできた事と、お酢の透明度が増した。もういつ使ってもいい状態であるが、他のお酢もあるので、2年ぐらいで使う事になるのだろうか。
自給は出来うる限り時間をかけない。これに尽きる。インターネットで調べると、それは多種多様に、薀蓄が語られている。28度にして1週間、その後は30度にして。等など販売用の能書きとなれば、言いたい事を言う。ほっといたら出来ましたでは、偉そうじゃない。面倒なことは、一切しないでも出来る。かき回すとか、ヘタをとるとか、潰すとか。ミキサーにかけるとか、お酢を加えるとか。手間をかければ切りがないが、自給には何もせず、がいいに決まっている。これで充分と言うか、充分すぎるほど、格別においしい。味は個別なものだから、誰にでもおいしいかは知らないが。私はこれ以上おいしい酢を食べたことがない。まぁそのような幸せということ。柿酢のマヨネーズは特においしい。今のところ油はシードオイル。油の自給も検討材料。
畑の作付け計画を立てる。畑は4つに別れている。
先ず下の畑150坪。山際に一列竹の子芋を植える。トマトは毎年の主力だが、今年は中玉の予定。そういえば、中段の畑のトマトはまだ枯れない。丈夫なものだ。オレンジ色程度の実がまだ付いている。可哀想だから、あれはスープにしよう。もう一度、トオモロコシの早期栽培も挑戦する。去年もできたことはできたのだが、ハクビシンかタヌキにやられた。家のそばなら、大丈夫かもしれない。胡瓜、なす、オクラ、ジャガイモ、ニンジン、ピーマン、インゲン、大根、さつまいも。この辺はいつもどおり。スイカかマクワウリにも挑戦はしよう。
庭の畑50坪にはアスパラを少し本格的に作ろうと思う。ニガウリもここだ。ミョウガと、青じそ。屋根にカボチャ。
上の畑100坪には山葡萄を植える。山形に注文した。
中の畑100坪は果樹園。下草のように菜花が出てきているが、これが端境期に役立つはずだ。
自給用の畑と言う事だと、人間一人、年間200キロの野菜を食べるとしても、15坪もあれば、計算上は可能だ。私の今までのところの経験では30坪が、一人の実用的面積だ。余り狭いと手間がかかる。苗や種蒔きの問題もある。いずれも、上記の畑は広すぎる。これは、自給探求園の農場だ。自給自足に関心を持った人が、体験してもらえる畑にする予定。だから、この自給時間の累計も、普通に一人の為に時間というより、家族分の時間ぐらいと考えておいたほうがいいだろう。
昨日の自給作業は、引き続き「ミカンもぎ」と「柿酢作り」で1,5時間累計3.5時間