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米はどこに消えたのか。

2025-02-24 04:28:32 | 稲作


 今コメの値段が倍にも上がったので、あれこれ言う人は多いが、正しい見解と言えるものは極めて少ない。消費者向けの報道ではあるのだろうが、あまりに表面的で調査報道とまでは言えない。違っていると思うことの方が多い。歯がゆい。お米は消えたのではなく、あちこちに分散され、保存されている。この夏にさらに上がるのを待つ人がいる。

 コメの増産について、政府は今なにも言わない。21万トン備蓄米を減らして、そのあと21万トンを買い戻すという。この秋に収穫するお米は少なくとも、21万トンは増産しなければならないということだろう。もう田んぼの準備である。政府の増産政策は全く聞かない。

 実際の稲作をしたことがない人は、どうしても百姓の気持ちがわからない。それで、お米の値段が倍になって、これで稲作が続けられるかもしれないと喜ぶお百姓さんの気持ちはわからないだろう。お米の値上がりを待って、抱えている農家の気持ちはわからない。農水のお役人には間違っても分からない心境である。お米はこのくらいが生産に見合う価格である。これならコメ農家は減らない価格である。

 単なる経済のなかの一つの生産物としてコメの価格の倍増を捉えるために、おかしな見解ばかり出て来ている。日本人の主食なのだ。どのように安定的に確保するのか。世界の食糧事情や日本の貿易立国の中で、日本のお米の生産費がバカ高くなってしまった原因をどうするかの問題なのだ。

 お米などアメリカから買えばいいというのが、政府の浅はかな本音なのだ。菅元総理大臣は国会答弁で国際競争力のない農産物は止めてもらった方がいいと言い放った。トランプと同じである。世界は仲が悪いのだから、経済戦時下に甘っちょろいことは言ってられないというのが本音なのだ。

 政治をやる人や評論家の人は、おかしな空想論をでっち上げることがままある。山下氏というコメのことを良く主張する評論家は米価格の高騰の原因を農水省が昨年のコメの生産量について、実数よりも多く公表していている。実際にはお米の生産量はもっと少ないために、すでにお米が足りないので価格が高騰している。と書いている。

 農水のお役人を遠回しに数値偽装を主張している。まさかのことである。農水省がなぜ米の生産量を、過剰に公表する必要があるのか。まさかここは中国ではないし、北朝鮮でもない。そしてロシアでもない。集荷のトレサビリティーがあるのだから、大きなずれを起こすことはできないはずだ。

 昨年、平年作だったというのはおかしいというのは、私が実際にお米を作って感じたことではある。本当に平年作だったのだろうか。小田原でこれほどとれていないのは初めてだった。なぜ神奈川県が作況指数が100なのか不思議でならなかった。有機農業でやっているために、気候変動に弱かったのかと考えている。

 有機栽培が多い縁故米や自給米の世界はお米が不作だったことは確かだ。農の会のお米のように、世間の流通とは関係のないお米が案外にたくさんある。故郷のかあさんが、都会に出た息子や孫ににお米を送る。そうした経済と関係ないお米の生産量が案外にあるのではないか。

 こうしたお米は心を込めて作っているから、孫が元気に育ての思いでお米を作る。農薬や化学肥料を使う人は少ない。これが不作だったのは間違いない。そうした、農水省が把握しきれないお米が瑞穂の国にはかなりあるのではないか。自家消費米に対する、直接買い付けの動きが起きている。この販売が税金逃れもあり、闇になる可能性はある。

 そうした小さな農家のお米は、作況指数が実際もっと低い可能性はあるかもしれない。農協の集荷が減少しているというのもある。縁故米的に農家からお米が流れ出てゆく場合、把握しきれないかもしれない。作付面積についても、農水省がすでに把握できていない可能性はないともいえない。数値偽装ではなく、把握しきれなくなっているということではないか。

 例えば小さいとはいえ、のぼたん農園の田んぼは石垣島の稲作面積には、入れられていないだろう。届け出たことはない。ただ私は自家消費を含めて、わずかなコメ収入として、誇りの表現として税務申告はしている。絵など売れないでもいいが、お米は自分の努力の表現だ。

 牧場だったところに田んぼを作った。それを届けるような制度はない。田んぼに入れていても、実際には作っていないところはある。沖縄ならば、2期作を昔はやっていたが、今はやっていないという所もあるだろう。これも届けはしない。農協も行政も耕作面積を完全には把握していない。まず本当の日本のコメ生産量を把握する必要があるのだろう。

 小田原は異常気象の影響をもろに受けた。化学肥料や新しい耐暑性品種ではそれなりに出来たのかとは思っていたが。私たちの作る「さとじまん」は明らかに高温障害の影響を受けた。古い品種は苦戦している。有機農業は晩稲の人が多い。晩稲は今無くなりつつある。

 農協が把握していない。また行政の補足ができていない、有機農業や自家消費農家は10%ぐらいはあるのだろうか。それが去年の場合は20%に倍増した可能性が想像できる。故郷の実家にお米のことで頼んだ人も多かったし、親心で高くなったというお米を一生懸命送ったおじぃーもいるだろう。トイレットペーパー騒動と変わらない。一人が倍買えば、市場からお米は消える。

 政府がコメ流通を自由にすれば、コメ相場が復活すると言われた。その通りの予測されたことが起きているに過ぎない。米も統制から外れたのだ。このコメ相場に農水も加担したのだ。何故昨年8月に備蓄米を放出しなかったかは間違いである。半年以上の遅れである。農水は意図的に売り惜しみをして、高値誘導をしたのだ。

 備蓄米の放出を政府が売り惜しみをすれば、みんなが売り惜しむということを農水の役人頭では想像できなかったため、よりお米は出回らなくなった。もう少し待てばさらに上がる。農水は売ると言ってから実行までに数か月かかるのだ。売る最善の時期は相場師なら頃合いを図っている。

 農水省はその名前の通り、農業者側に立っているのだ。当然そうでなければ困る。お米の価格が上がるのは当然喜ばしいことなのだ。だから備蓄米の売り惜しみをした。また相場師や転売ヤーや大型農家はそう見ていたので、それぞれに備蓄した。

 問題はこの先である。21万トン放出されて、一時は下がるだろうが、コメの総量は決まっているのだから、また値上がりが必ず来る。お米を保存しているのは冷蔵倉庫である。値上がり分以上にお金がかかるから保存などできないということをいう人がいるが間違えである。

 お米の冷蔵倉庫を利用させてもらったことはあるが、15程度である。ネズミや虫の入らない密閉した部屋にコメを満タンにして冷房機を入れれば、15度に下がる。これで玄米なら保存はできる。籾保存すればさらにいいだろう。誰にでもできる安上がりの保存方法がある。

 小さな部屋に10トンのお米を入れておける。そんな農家の人が1万人いれば、10万トンである。さらにお米の上がる秋を待てば高値で売れる。備蓄米の放出は一時の効果である。思い切ってやるなら、アメリカからのお米の輸入である。もしかしたらこれが政府の本音なのかもしれない。

 トランプは喜ぶだろうが、そう簡単に21万トンのお米を輸入はできない。あのタイ米輸入の再現であるが、どの程度日本がおコメを買えるのか。私の判断では無理だと思っている。世界は食糧不足なのだ。世界全体が異常気象なのだ。

 と言いながら実は、解決策は簡単なことだ。何故誰も気が付かないのか不思議だ。勉強不足だ。緊急対策として飼料米を今年の作付では止めることだ。飼料米の補助金の停止だけで解決である。石破総理は農水大臣をやり、減反廃止論者だから、分かっていながらそのことに触れない。

 飼料米を転作すれば、すぐ飯米の量が回復する。令和5年は飼料米は14.2万ha作付けされた。稲作の面積は 135万9,000haである。1割ぐらいは飼料米であるとすれば、すべてを飯米にすることが緊急対策になるはずだ。まだ今なら間に合う。

 いま休耕田云々を語る評論家が多いいが、今この問題を語っている場面ではない。それではもう間に合わない。休耕田問題の解決は時間がかかる。農業従事者の減少。企業的農家の問題など様々が関係して来る。
ああ、ここで嘆いても仕方がないが、残念である。


 
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