地場・旬・自給

ホームページ https://sasamura.sakura.ne.jp/

石垣島「のぼたん農園」のひこばえ農法

2023-09-21 04:19:11 | 楽観農園


 6番田んぼの2度目のひこばえが出てきたところ。これを刈払機で刈り取る。堆肥の「よみがえり」を投入する。2度目のひこばえが成長するのかの日本で初めての実験が始まっている。この実験が出来るのは、日本では八重山諸島だけである。上手くゆけば、石垣の稲作の方法になるかもしれない。

 「のぼたん農園」では「ひこばえ農法」を模索している。ひこばえは稲刈りが終わると、必ず田んぼでも出てくる。小田原ではひこばえが大きな穂をつけることはなく枯れてゆく。ひこばえが出てから徐々に寒くなるので、暖かい地域以外では、十分な穂を付けることはない。

 稲刈り後に出てくる再生する稲を育てて、7回連続して収穫しているという、スマトラ島のサリブ農法に挑戦してきた。ところがサリブ農法は2年間、様々な方法で試みたが、石垣島ではできなかった。その過程ででひこばえを育てることならできると言うことがわかった。

 ひこばえは再生イネになることなく、せいぜい3,4枚の葉で穂を付けてしまう。品種の問題なのかも知れないが、ともかく現状ではサリブ農法を諦めた。今研究しているのは、ひこばえを遅れて育つ分ゲツと考えて、どのように大きな葉を育てることが出来るかを研究している。
 
 温暖な石垣島ではひこばえが大きな葉を付ける。それなりの穂をつけることがわかってきた。しかも、冬でも13度以下にはならないので、稲は枯れることがない。これなら連続7回でも収穫できる可能性はある。問題はひこばえの場合、3枚からせいぜい5枚程度の葉しかつけない。

 ひこばえは親株からの分ゲツである、幼保を形成する性質を受け継いでいるからだ。その少ない葉を大きくするためには、先ずは肥料が居ることだけは確かだ。現状では「よみがえり」と言う石垣の牛糞堆肥を利用している。それでもまだ不足している。

 土壌が豊かで、肥料分が十分になければ、3枚の葉が大きく厚くならなければ、ひこばえは大きな穂をつけることができない。肥料を補うために、「アカウキクサの利用」を試みている。アカウキクサ農法はベトナムで1400年前から行われてきた農法だ。

 アカウキクサは共生する藻が窒素を固定する。しかも水面を覆い抑草効果も高い。「あかうきくさ農法」はアカウキクサの安定した成長が難しいために、今のところ効果は限定的だ。季節変動もあるようだし、リン肥料の不足も関連しているようだ。

 「ひこばえ農法」は中国南方では1800年の歴史があるとある。「あかうきくさ農法」と2つの農法を統合することで、何も入れない田んぼで、連続してお米が収穫できるようになることが目標である。通年通水しているのだから、イトミミズが出てくればさらに良いのだが、まだ出てきたことはない。

 のぼたん農園では2年間通水を続けているが、まだイトミミズは見たことがない。岩澤農法では何故通年通水でイトミミズが出現するのだろうか。これがどうしても不思議だ。小田原でも4,5年通年通水をしてみたが、イトミミズは現われなかった。

 私は子供の頃から、金魚の餌にイトミミズを集めていた。イトミミズはよほど水の汚いところにしか居ない。家庭排水がそのまま流されているようなドブにイトミミズは多い。水のきれいな田んぼにイトミミズが出てくるとは思えない。しかし、出てくる田んぼでは水を入れさえすれば出てきいるらしい。

 今はもう少し田んぼの通年通水を続けて、イトミミズが出てくるところあるのか調べたい。また、どこかにイトミミズが居ればそこから取ってきて入れてみる必要もあるだろう。イトミミズが出現すれば、肥料の問題も解決する。

 のぼたん農園では1月田植え、5月稲刈り、8月稲刈り、11月稲刈りと連続して収穫を目指したい。一回を5俵ぐらいの収穫にして、一年反収15俵を目指している。かなり可能性があるところまで来ているが、まだまだ課題は色々ある。

 1,年3回の収穫のための土壌の肥料分の確保
 2,田んぼを耕さないために出てくる雑草の対策。
 3,災害が連続するために残っていくウイルス病に対する対策。
 4,ひこばえ農法向きの品種をさがすこと
 5,アカウキクサの栽培方法を見付ける。

 1,土壌肥料分に関してはまだ田んぼにして新しいために、土壌を育てていかなければならない。土壌がまだ田んぼ向きの粘土質の土壌ではない。2年前よりは大分良くなってきたので、腐植質をできる限り加えて行くことだと考えている。それまではよみがえりを適時追肥して行くことで肥料分を補う。

 2,雑草対策でコロガシを入れるのだが、コロガシによって、上根切れることになる。穂ばらみ期煮転がしを入れると言うことがイネにとって、問題になるような気がしている。まだ草が少ないので、手取りしている程度で済んでいる。

 3,4,ウイルス病に関しては、耐病性のある品種で、石垣島の気候に適している者を見付けなければ成らない。今回台光という品種を田植えをしてみる。この品種に耐病性があれば良いのだが。耐病性のある品種を調べることも必要であろう。中国で作られているひこばえ農法の品種はどういう品種なのか調べたい。

 5,アカウキクサは広がらないわけではないが、消えてしまう期間も長い。これを安定的に栽培する方法が見つからないと、土壌が良くならない。今のところアオウキクサの方が良く広がっている。いくらか中にアカウキクサが広がり、それから置き換わって行く。

 課題はまだまだ多いわけだが、課題が何かと言うことだけは分かってきた。今後、時間をかけて課題に挑戦して行くつもりだ。あと3年試行錯誤しながら、ひこばえ農法の可能性を探って行きたい。課題があるということは幸せなことだとも言える。

 のぼたん農園の冒険は山場にさしかかっている。この冒険は楽しい。日々が充実している。まだ成果と言うほどの物はないわけだが、この先にある、石垣島という自給農業の楽園建設を目指して、元気に努力を続けて行きたい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 投資をするなら「さとやま」に | トップ | アトリエカーを少し変えた。 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

楽観農園」カテゴリの最新記事