のぼたん農園を初めたのは2022年からである。10年計画で進めている。現在2年と9ヶ月が経過した。ほぼ土木工事が終わったというところである。一次計画が終了したところである、準備が終わり、いよいよ自給農業の技術確立に挑戦する所だ。
3.6ヘクタールの広い農地を管理しきれるかが最初の課題だった。半分を水牛の放牧地にして、今のところかろうじて乗り切っている。水牛は時々外に連れ出して、道路や溜め池回りの草を食べさせている。農場は田んぼ地区、放牧地区、果樹地区、水源林地区、溜め池地区、畑地区と分かれている。
現在水田は一反2畝だけに減少した。予定では二反の10家族の計画だった。田んぼ自体は二反4畝まで作ったのだが、雨の降らないときにこれだけの広さの管理が出来ないことが分った。水の余裕を見て、現在6箇所のみの耕作にしている。
残り6箇所が田んぼの形状にはなっている。半分の運用になる。田んぼは最終的に8箇所にして、4箇所は畑として管理できればと考えている。畑も徐々に整備して行きたいので、4箇所の田んぼは下側の畦を壊してしまい。畑としての耕作に向いた作物にしたい。1箇所だけ元の7番田んぼは畑の整備が進んでいる。
8番9番に当たる田んぼは、水は現在満水である。雨の多い年で水があれば耕作できる可能性はかなり高い。このまま田んぼ形状で進めて、今は土壌作りを兼ねて田芋の栽培をしている。田んぼをやってみたいという仲間が現われたときに、稲作を始めたいと思う。
それまでは水牛コロバシャの体験田んぼにして、管理をして行きたい。アカウキクサの増殖池としても有用だと思うので、当面はアカウキクサ増殖池であり、ミズオオバコ、水ワラビ、熱帯水連の増殖池として管理して行きたい。将来こうした石垣島の希少植物の販売を考えて行きたいと思っている。
その意味では溜め池を亜熱帯植物の増殖池にすると良い。一番有望な物が物が熱帯水連である。ティナが広がっているが、特別に管理しているわけではないが、いくらでも増えてくれる。これを上手く増やして、将来苗販売ができると良いのではないか。ミズオオバコや、ミズワラビも食べることが出来る植物である
畑ではサトウキビ、大豆、小麦と作ったが、大豆小麦は今のところうまく行っていない。石垣に合う品種がない。今後は作りづらい作物を作るよりも、作りやすい作物に限定して行きたいと考えている。そういう意味ではサトウキビが今のところ一番有望である。
サトウキビについては、水牛でサトウキビ絞りを計画したい。その準備として、すこしづつサトウキビを増やして行きたい。水牛でサトウキビを絞れるようになれば、A放牧地を畑にした部分と小麦畑にした分を合せると三反のサトウキビ畑になるだろう。ここはすべてサトウキビにすれば、それなりの供給量になる。
将来水牛によるサトウキビ絞りを始めたときの、サトウキビ畑として有効に利用できるはずだ。のぼたん農園に訪ねてきた人が、畑で自分で刈り取ったサトウキビを、水牛を使って絞る。のぼたん農園では、あくまで自給のための体験農場という理念が基本である。
水牛によるサトウキビ絞り場を作る必要がある。水牛を飼っている以上家畜として利用しなければ、自給農場として矛盾してしまう。水牛を使った農作業を具体化する必要がある。そのためにはサトウキビ絞りは、まず砂糖の自給。そして、自給体験に繋げたい。
のぼたん農園では島バナナがよくできている。島バナナは格別に美味しいバナナだ。しかも手がかからない。風さえ旨くしのげれば、叢生栽培で十分生育する。バナナをもう少し増やす事ができればと思う。果樹園では枯れたものも多いので、枯れた後にバナナを植えて行けば良いだろう。
バナナもひと株が3本立ちぐらいになってきたので、もう少しすれば株分けが出来るようになるのではないだろうか。果樹園の中にも、バナナを株分けしてだんだんに増やして行けば、いいだろう。枯れる物は諦めて、作りやすいものにして行く。
「グァバ」は自然に出てくる。石垣では「バンシルー」とも呼ばれる果物である。華やかな香りが特徴で、沖縄では生食はもちろん、ジュースやジャムなどの加工品にもなる。のぼたん農園では自然に出てきた物が2本ある。旺盛に成長しているので、これも有望な果樹だと思う。
「グァバ」の畑を一箇所ぐらい作っても良いのかも知れない。風にも強いので畑でまとめて作れるだろう。有望と言えば、ローゼルとレモングラスだろう。雑草に負けないで成長する。これもジャムやジュースとして、ハーブティとして利用できるはずだ。ローゼルも畑一枚に作ると良いだろう。
難しい物よりも、手をかけないで出来るものが良い。出来ればコーヒーも作り、自給コーヒーも飲んでみたいが、これはまだ先の課題だ。コーヒー畑は半日陰が良いようだから、ヤラブの手前当たりに今度苗を植えてみたい。そのコーヒーの木を下に眺めながら、トゥリーハウスでコーヒーを飲む。
開園以来、いつかやりたいとみんなで話してきたのが、トゥリーハウスである。直径1mもあるヤラブの大木がある。石垣島で一番大きなヤラブではないだろうか。この巨木にトゥリーハウスが出来れば、海の眺めも良いし、風も通り涼しいはずだ。
2年9ヶ月経ち、第一次計画が完了し、次の計画が膨らませるところに来た。参加者それぞれに夢が持てるところにまで来た。みんなで協力して互いの夢を実現できるようにして行きたい。そうならなければ、これからの厳しい経済の中で、継続は難しいことになるだろう。
その意味で一番重要なことが、稲の品種の選定である。今までのぼたん農園では満作の稲がない。今度初めて、圷さんが作ったハッピーヒルは希望がある。こうした気候に適合した品種を見付けて作ること以外、石垣島の自給稲作は無い。
稲の品種を探すことが最大の課題だろう。その上で、ひこばえ農法とあかうきくさ農法を研究して行く。それが実現できれば、1畝の田んぼで一家族が暮らせる所が最終目標になる。年三回収穫できれば、それも不可能では無いはずだ。
そして、最後に個人的な将来の目標を描いておけば、鶏を飼うことだ。水牛放牧場の中に移動式鶏小屋を作る。草が無くなれば、小屋を移動する。移動しながら、鶏を飼えば理想的な養鶏が出来るかも知れない。これは最後の夢のような物だが、みんなが協力してくれれば可能になるかも知れない。