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のぼたん農園の溜め池生き物調査

2022-11-23 04:09:02 | 楽観農園


 11月18日に地球博物館の苅部さん一行が7人で来てくれた。19日には九大の岩谷教授一行がやはり7人出来てくれた。水生昆虫の専門家の皆さんが、のぼたん農園の自然環境を評価して、調査をしてくれることになった。

 苅部さんは小田原の田んぼや溜め池の生き物調査をしてくれている。苅部さんの案内で房総半島のシャープゲンゴロウモドキの保全活動に協力したこともある。農の会の仲間は田んぼ作りは慣れているので、シャープゲンゴロウもどきの保全のための田んぼの復田を行ったこともある。

 今回西表島の昆虫池の調査に来る機会に、のぼたん農園の新しい池の水生昆虫の調査をしてくれた。先日のぼたん農園に見えた九州大学の荒谷教授のお話しで、苅部さんと共同研究されていることがわかった。それで苅部さんがのぼたん農園を見に来てくれることになった。

 九州大学の荒谷教授と苅部さんが水生昆虫の共同研究を八重山で行われていて、その調査地点として、のぼたん農園を加えてくれることになった。しばらく継続的に見に来てくれると言うことである。埼玉大学の林正美名誉教授も同行してくれて、今後時々見に来てくれることになった。

 このように専門家の方々が、調査に見えると言うことは八重山の自然環境が豊かではあるからなのだが、一方でその希少な八重山の水生昆虫が農薬の使用で危機に瀕していると言うことでもある。今ある環境を維持保護していくだけではもう限界とのことだ。

 その意味でのぼたん農園のように、新しく田んぼや溜め池を作ると言うことで、生物多様性を維持して行く活動が必要になっている。のぼたん農園が今後どのように変化して行くかを調査して、石垣島にどの位の密度でこうした水面を確保すれば良いかを研究しようとしているようだ。

 11月18日に10ヶ月前に作った新しい溜め池の調査の第一回目が行われた。水温は25.8度であった。今後池の生き物がどういう変化をしてゆくのかとても楽しみである。こうした調査も遠方から見えてのことななので、大変なことだと思う。地域で暮らしている者としてできる限り協力をして行きたいと思う。

 のぼたん農園の役割に水性昆虫調査が一つ加わったような気がする。これで、客観的なデーターとしてのぼたん農園の様子が分かることになる。加えて石垣島の自然環境がある程度はかれることになる。田んぼという水面がある事で、昆虫が飛来してくれる可能性がある。

 今回の話を聞いた上で考えたことは、やはり多良間田んぼの復元である。多良間田んぼのある場所には現在水面は失われている。水面が復活することで、生き物の多様性と永続性が維持できる可能性が出てくる。田んぼを耕作することは八重山の自然の維持に大いに役立つことになる。
 
 地下水汚染について苅部さんが言われていた。一山向こうにゴルフ場がある為に、離れた場所なのに水生昆虫が壊滅したところがあると言うことだった。最初はこんな自然の中にある池に何も生き物が居ないと言うことはどういうことなのだろうかと考えたそうだ。

 それで水質調査をしてみたら、農薬が高濃度で検出された。理由が分からないので、グーグルマップで調べたら、一山向こう側にゴルフ場がある事が分かったそうだ。そこで使用する農薬がなんと地下水に成って、溜め池に流入して生き物が居ない池になっていたそうだ。
 
 見えるところに畑がないからと言って地下水については安心は出来ないと言われていた。幸いなことに、のぼたん農園の溜め池は10ヶ月にしてはかなりの水生昆虫が見つかったそうだ。一応、水が汚染されては居ないと言うことだけは先ずは分かった。

 珍しいものが居たわけではないが、遠くまで飛べる水生昆虫はかなりの数居ると言われていた。近いうちに調査の報告がいただけることになっている。この調査は継続して行うことに意味があるそうだ。4,5年するとおおよそ安定すると言われていた。

 のぼたん農園が完成する4年後くらいにやはり、周辺の環境も安定すると言うことのようだ。自然栽培の田んぼの土壌が5年すれば安定すると言うことと昆虫に関しても同じことのようだ。環境が変わり全体が整う為には5年間が必要と言うことだ。

 のぼたん農園全体の管理を、根気よく続けなければならない。ため池に水がよく出るためには溜め池の上は林にしなければならない。耕作はしないで木が自然に育つことを待とうと思う。現在ギンネムが全体には生えだした。これをそのまま維持しようと考えている。

 ギンネムは、「沖縄県対策外来種リスト」の「対策種」に指定されているほか、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも成っているが、のぼたん農園では維持しようと考えている。タンパク質を含み、ビタミンK、カロテン、カルシウム、リン、マグネシウム、カリウムに富む植物である。

 水牛も好んで食べる。マメ科の植物なので、根粒菌によって土壌もよくしてくれる。 地中深く根ざすギンネムの主根は水分の吸収を調節し、地盤を強化する。ため池に来る水を豊かにしてくれる可能性がある。その上防風林にも成る。特定外来種では在るが、自然に出てくるので利用するつもりだ。

 入口に柵を作らなければならないと思う。現在はごく当たり前の昆虫しかいない池である。石垣島では珍しい昆虫を探して、盗んで販売する者が横行している。最近ヤラブ林道が昆虫採取の人達の格好の場になっているらしい。そういう人達に荒らされないようにしなければならない。

 溜め池にはミズオオバコ、ミズワラビ、アカウキクサが生息している。コレラの植物も重要だと思っている。石垣島では希少な生物になっているらしい。のぼたん農園が希少な生物の保全の場所になることは、重要な使命だと思う。  

 それはのぼたん農園だけで可能なことではない。少しでもそういう可能性がある池が点々と繋がるようにしたい。昆虫が飛べる距離にそうした無農薬の田んぼが点々とあれば、石垣の重要な生き物の保全に繋がる。まだ入口に来ただけのことだ。

 先ずは通年通水が必要である。それだけでも生き物は増加する。冬場の2期作が減っている。二期作の代わりに、サジオモダカも採算が合うならば良いのかも知れない。のぼたん農園での栽培が成功すれば、可能性が広がるだろう。

 お米だけで行くとすれば、ひこばえ農法である。ひこばえ農法が完成すれば、稲作で収益を倍増することが出来るだろう。これも通年通水が可能な農法である。水性の生き物が増加すれば、当然カンムリワシも保全することが出来る。

 

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