蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

第六天魔王

2005年08月11日 | Weblog
ドラゴンズの落合監督が、首位攻防戦を前にして「天王山というのは10.8のこと(なので、こんなのは天王山と言うに値しない)」という趣旨のことを言ったそうです。日本一マイペースでプレッシャーに強そうに見える落合さんでも、最終戦での同率対決となった試合では緊張でガチガチだったとのことでした。

ひるがえって現在の宰相である小泉さん。いくら職権があるとはいえ、自分以外誰も賛成する人がいない衆議院の解散を、前例のない閣僚の罷免までしてやりきってしまいました。比するべきものがないほどの強靭な精神力です。解散後の記者会見も鬼気迫るものがありました。代議士の息子に生まれいわばボンボン育ち、落選の経験があるとはいえ、順風満帆の議員生活。どこでこれだけのパワーを身に着けたのでしょうか。
かつて郵政大臣なのに郵便局の民営化を主張していた時期、郵政官僚と対立し誰も助けてくれない国会で4時間以上一人で答弁したことがあったそうで、何も最高権力者になったから強いパワーを持ったというのではなく「とにかくもともとそういう性格なんだ」ということなのでしょう。

かつて大平首相は自分に不信任票を投じた議員さえ直後の選挙では公認を許しましたが、小泉さんは公認しないどころか民営化法案に反対した議員の選挙区に強力な対抗馬を立てるなど、文字通り容赦ない戦法を繰り出しています。その結果がどうでるかはわかりませんが、やり口があまりに徹底していることに、はたから見ていて寒気のようなものすら覚えます。
小泉さんは自分のことを織田信長とダブらせていることがあるみたいですが、民営化反対の立場の人からみると、叩き潰したはずなのにすぐに起き上がってさらに強力に反撃してくる、まさに第六天魔王みたいに見えるのではないでしょうか。

選挙はやってみなければわかりませんが、反対した参議院議員も賛成に転じざるを得ないほどの圧勝ができるはずもありません。むしろ惨敗の可能性の方が高いでしょう。しかし、よく言えば信念、悪く言えば狂気を持つ人からすれば結果はどうでもいいのかもしれません。魔王の指向しているところが、外交とか国防といった本当にクリティカルなものではなく、郵政民営化という程度の案件であったことを、国民は喜ぶべきであったかもしれません。

ところで、もう一人プレッシャーとは無縁の人がいました。冒頭の10.8決戦に当たってさえ陽気に「これは国民的行事」と言い放った当時のジャイアンツの監督です。

さらに余談ですが、参議院の議決前に説得のために総理公邸を訪ねた先輩に総理手づから出したのが缶ビールと乾き物だったことが話題になりました。
これを聞いて、私なんかは「ウワサ通り、質素な生活をしている人なんだ」と思ってしまいました。もしこれを記者にもらしたのが演出で、すでに選挙への布石を打っていたのだとすれば、森さんという人もなかなかのものだなあと思いました。(多分、そうではなくてただのボヤキだったと思いますが・・・)
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