蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

捲り眩られ降り振られ

2007年06月24日 | 本の感想
捲り眩られ降り振られ(白川 道 幻冬舎文庫)

競輪は、平成にはいってから売上が減少傾向を続けていて、随分マイナーなギャンブルになってしまった。
競輪を愛した作家もたくさんいたが、今では、思いつくのは、伊集院静さん、佐藤正午さんくらいだろうか。皆さん、相当に金をつぎこんでいるようだが、白川さんはこの本で、競輪への決別を宣言し、伊集院さんも最近遠ざかりつつあるような感じだ。

私の実家が競輪場のすぐそばだったので、小さい頃から競輪はよく見に行った。確かに昔に比べるとお客さんの数は激減している。昔は記念の決勝なんていったら今の浦和レッズのホームの応援席並みの密度と熱狂ぶりだったけど、同じようなレースでも今ではスタンドには空席がめだつし、若いファンなんてほとんど見かけない。

この本でも指摘されていることだが、昔は堅いレースは本当に堅かった。最近はラインの結束が弱くなって予想が難しい。それが人気凋落の原因の一つかもしれない。(まあ、選手が人間関係にあまりしばられず脚力で勝負する今の姿が本来なのかもしれないが。そんな時代だからこそ、村上-松本の固い師弟ラインのエピソードはいっそう光輝くのだろう)
TOTO(サッカーくじ)は当てるのが難しくて人気がでなかった。予想する必要がないBIGは賞金さえ大きくなれば買う人が殺到する。世の中なべて単純なこと、考える必要がないことに人気が集まるようだ。ディープインパクトがあんなに人気になったのも、最後方から直線ゴボウ抜きというわかりやすさがあったからではないだろうか。

この本は雑誌に連載されていたのをまとめたもので、毎回ゲストを招いて白川さんが競輪の魅力を語っている。毎回、白川さんが、ほぼ素人のゲストへ「大講釈」をぶつ。その内容は細かに書かれていないが、とても面白そう。ぜひ一度名調子を生で聞いて見たいと思った。

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