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魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

十王峠

2009年07月17日 | 探訪・紀行

先日の、「嵐の暗夜行路」十王峠は、かなり大冒険だったらしい。
地図の位置を確かめようと、検索をすると、色々なブログに、その難所ぶりが書かれている。

天気の良い昼間通った人が、「運転に自信のない人は行かない方が良い」と書いていたり、バイクで難所を行く人たちの定番コースだったりするらしい。

知らぬこととは言え、嵐の闇夜に、落ちた枝で埋もれた「けもの道」を、よくまあ、無事で生還できたものだ。

名前が「十王峠」と知って大爆笑した。
十王とは、閻魔さんを始めとする地獄の裁判官達のことだから、
あの峠は地獄の関所で、一つ一つお裁きを受けながら巡っていたわけだ。
あれを抜ければ、中陰(霊)になって49日を巡ったことになる。
帰ってきたところをみると、まだこの世の修行が足りないらしい。

昔の人が、あそこを歩きながらそんな思いに駆られたのかも知れないが、歩くより車の方が怖いだろう。
自動車社会の黎明期は、ああいう道が普通にあったから、
「崖っぷちをすれ違う時は、左右反対にすれ違う」なんていう運転術が書いてあった。

十王峠では、千日回峰は出来なくても、中陰体験ができる。
志ある人は是非お試しあれ。
志の高い人は、さらに、夜、歩いて・・・

でも、たまたま同じような人がいて、向こうから歩いてきたら・・・
腰抜かすなぁ


ポン太ナビ

2009年07月13日 | 探訪・紀行

先日、野暮用で、久々に遠出した。
若い頃と違い、運転は少しも楽しくない。
ETCは魂胆が気に入らないので、意地でも付けないつもりでいる。
もっとも、この日行ったのは、ほとんど、高速の無い所だった。

帰りは、引け時だったので、メイン国道は混むだろうと、ナビが距離優先で推奨した道を行くことにした。
このナビは「お体裁屋」で、裏道の生活道路や抜け道は拾ってくれない。王道しか行かない頑固者で、イライラさせられてきた。
距離優先と指定しても、名のある幹線しか探してくれない。

指定した道は、走ったことも聞いたこともない道だったが、途中の地名には聞き覚えがあったし、番号のある幹線道路だから、あまり躊躇することもなく走り出した。実はこの日の「方位」も良かった。

走っているうちにすっかり夜になった。
やけに、ビュウビュウと聞こえるので、「あれ、窓が開いているのかな?」と、確かめるが、閉まっている。よく見ると、木立が猛烈に揺れている。
そのうち、ハンドルにも風の手応えが感じられ、台風並みの暴風となって、小枝が飛び始めた。

既に、相当な山中だが、立派な道が奥へと続いている。
やがて、巨大な谷間を煌々と照らした、ダムの工事現場が現れた。
もう、ずいぶん車とはすれ違っていない。
それでも道は続き、道路標識が次々と現れるから、やがて抜けるだろうと、何の疑いも持たなかった。

すると、突然。道は古めかしい一車線になって、下り始めた。
「え、え~っ!」と、思いながらナビを見るが、なんの躊躇もなく
「一本道にござります!」と、誘導線を引いている。
もう、行くしかない。

下りだからもうすぐ幹線に合流するのだろう、そう思いながら進んで行くと、道はどんどん細くなり、極端なウネウネ道に変わった。
風は益々強く、車幅ギリギリの道が、飛び散った小枝、大枝で埋まっている。
外灯一本無い、漆黒の山中を、前照灯だけを頼りに行くのだが、谷と絶壁に遮られて、道の行方がまったく把握できない。

もう完全に抜き差しならなくなった。
引き返そうにも、車をターンさせる余地が全くないのだ。
何度も、何度も、ナビの間違いだろうと確認するのだが、確かに道に沿って、誘導線が続いている。
「こんな時に、この道かよ!」と、ナビに突っ込む。
狐か狸にバカされてるんじゃなかろうか。そんなことまで考える。

近頃多い、「ナビ事故」が頭をよぎる。ナビに従って崖を回ったとたん、真っ逆さま・・・を、念頭に置きながら、コーナーをそっと回る。
山側の反対がどうなっているのか、まったく見えない。見えない方が救われる。
前照灯の向こうに、丸木橋のような橋が見え隠れする。
「路肩崩落注意」の板が、次々と現れる。
ここで転がり落ちても、まず、2、3日は見つけられないだろう。

何度も何度も「今日は方位が良いはずだ」と言い聞かせ、
信じて前進あるのみだ。
頭の中では、なぜか、
「♪花も嵐も踏み越えて~比叡を独り行く」が聞こえてくる。
(YouTube旅の夜風 附:泉詩郎流行歌説明

 

どれぐらい走っただろうか、ポッカリと広い道に出た。
ところが、ナビのやつは、それをさらに細い方へと向かわせる。
「ええい、毒をくらわば皿までだ!」と、ナビに従った。
すると、また小枝、大枝が散乱した細道に入って行った。
「ああ、まただ」と思った時、前照灯に「タヌキ」が飛び込んだ。

 

ギ、ギーッと、パニックブレーキ!
轢いた様子はないので、おそるおそる発進した。

崖を曲がると、木立の下の方に、灯りが見える。
ようやく、幹線道路のトンネル出口に合流した。

後で落ち着いて地図を見てみると、昔、難所とされた峠を、十キロぐらい走っていたことになる。
もちろん、一台の車もすれ違わなかった。

結果的に、時間を得したかどうかは、わからないが、
久々に、冒険をして脳を活性化。普通なら行かない。

方位は良かったのだろう。
タヌキの落ちまで付いた。

 

※王道しか行かないポン太ナビの好きな道は、十王峠・31号・119号
(35.498273,134.387856)