転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



COVID-19のワクチン接種が始まり、
日本にはまずファイザーのmRNAワクチンが入って来て、
医療従事者と一部の高齢者に対して、目下、接種が進行中だ。
このワクチンに関して、その場でのアナフィラキシー以外に、
「接種時の痛み」
「接種後の痛み・腫れ」
「(特に二度目の接種後の)発熱」
などがよく取り沙汰されていると感じるのだが、
それで私は、昭和40~50年代のインフルエンザワクチンのことを
このところ、久しぶりに鮮明に思い出した。
インフルエンザは不活化ワクチンで皮下注射だから、
今話題の、mRNAワクチンの筋肉注射とは別のものなのだが、
経験としては、結構、似た部分があったように思う。

当時は、学校で集団接種があった。
調べてみたところ、1970年前後から集団接種が普及し、
1977年から1987年までは予防接種法により、小中学校では原則全員に
インフルエンザワクチンが接種されていたようだ。
私もこの時代に小学校~高校時代を過ごしたので経験している。
あの頃は、前もってクラスで全員に2回分の問診票と説明が配られ、
家で保護者に記入して貰って、当日は体温を測り、学校に提出して、
時間が来ると、体育館などに整列されられ順番に接種を受けたものだった。

当時、インフルエンザワクチンは、結構痛かった。
接種そのものは、子供の頃の記憶なので、およそなんでも怖かったから、
春のツベルクリンも、夏の日本脳炎予防接種も冬のインフルもすべてイヤで、
今となっては客観的な比較はできないのだが、
インフルは特に、打ったあと、特に翌日あたりはかなり接種部位が痛かった。
夜、寝ていても接種した腕を下にすると目が覚めるくらいだったし、
触るとびりびり響いて、仲の良い友達同士でふざけて軽く当たったりして、
「やめて!今、インフルだからwww」
などと笑い合ったりした記憶もある。
ちなみに当時は、打ったあとを「よく揉んでおきなさい」と言われていて、
更に接種当日については「お風呂は避けてください」という指示もあった。

また、インフルエンザワクチンを打つと、打った日の夕方くらいから
私は、しばしば、ぼおっと気怠くなったものだった。
だいたい一晩寝るとスッキリして、熱が出たりした経験はなかったが、
親や先生からは、注射の「反応熱」が出ることがある、とよく言われていた。
うちの母は、私が小学2年生の頃まで職場の関係で集団接種を受けていたが、
「二回目を打つと熱が出る」
と途中から言うようになり、勝手に一度でやめたりしていたものだった。
あの頃は、大人が打つ場合も、毎年、二度ずつ受けるのが普通だったのだ。
その後に母は勤めをやめて専業主婦になり、予防接種はしなくなった。

しかし当時、ワクチンはやはり効いていたと今にして思う。
なぜなら、私が小学校4年生の冬だったと思うのだが、
まず父が、次に母が、高熱の出る風邪症状で数日間寝込んだのに、
私だけは全くなんともなかったのだ。
大人同士ですぐに感染し、両名とも熱が下がらず布団から出られなかったので、
さすがにあれは「風邪」ではなく、インフルエンザだっただろうと思う。
そのとき子供だった私は、マスクや手洗いなど眼中になく、
寝込んだ両親の部屋で、本を読んだり、オヤツを食べたり、
学校のことを話したりしながら、結構長い時間を一緒に過ごしていたのだが、
驚くべきことに、最後まで感染しなかった。
両親を見ながら、子供心に「私もああなるのかな」と思っていたのに、
何日経っても自分だけなんともなかったので、
予防接種って凄いかもしれない、と思った最初の体験だった。

その後、大学生になって以後は、集団接種のない境遇になったので、
私は30歳を過ぎるまで、インフルエンザの注射のことは忘れていた。
予防接種しなくても、案外、罹らないものだね、と時々チラと思う程度だった。
世の中も、集団接種が行われなくなり、個人の任意接種の時代になっていた。
そして、娘が2歳くらいの頃、転勤先の神戸で、
ある年の冬、主人→娘→私、と3人ともインフルエンザに罹り、
これがまた強烈なヤツで、全員が5日前後寝込む、という事件が起こった。
このときは「なおって終わり」にならず、主人は高熱のあと猛烈な頭痛が残り、
私はインフル本体の症状が消えたあと、医師も驚くほど酷い扁桃炎になり、
娘はインフルで41度の高熱を出し、回復期に中耳炎になり鼓膜切開に至った。
この一件で我々3人はほとほと懲りて、毎年、予防接種を受けるようになった。

そうやって十数年ぶりに受けるようになってみると、昔の集団接種の頃と違い、
インフルエンザワクチンが、実に快適な注射に変わっていたことを私は知った。
打つときの痛みは、年によって、あったりなかったりしたが、
打った翌日には、もうほぼ何の痕跡もなくなり、
接種部位が僅かに熱を持っていて痛がゆいような感じがあったのみで、
体も全く怠くならなかったし、打ったことなどすぐ忘れてしまった。
しかも、接種は一度でよく、揉む必要はなく、入浴は当日からOKだった。
おそらく、ワクチンそのものの品質が改善されたのだろう。

……というわけで、私は、コロナのワクチンの接種時や接種後の痛みなどは
話に聞く範囲のことであれば、全く問題にしていない。
腕が痛いのは子供の頃に経験済みだ。
激痛で転げ回るほどなら困るが、「注射のアトが痛い」のなんか知れている。
倦怠感や発熱にしても、ワクチンを打ったせいだとわかっているので、
心配することはないし、解熱鎮痛剤も服用できるし、時間が解決してくれる。
誰しも、アナフィラキシーショックを起こす不安は皆無ではないが、
接種会場で最初からその可能性が考慮されていて、
医療従事者も周囲におり、スタンバイOKなので、現実的には怖いことはない。
私はセファクロルで発疹と咳が出て、ちょっとヤバい経験をしたことがあるが、
アレルギーが出るなどと思ってもいない状況で発症して
手当が間にあわず喉頭浮腫や心停止に至ることが怖いのであって、
予め想定された範囲のアナフィラキシーならば、十分に初期対応できる。

菅総理は今回の米国訪問に際し、
ファイザー社に供給ワクチンの追加を要請したそうで、
アストラゼネカなどウイルスベクター系の問題が皆無ではない今、
mRNAワクチンのファイザーとモデルナで日本の接種希望者がカバーされるなら、
それに越したことはないと思う。
この件については、菅総理は迅速でGJであったと、有り難く思っている。
mRNAは今、世界中で争奪戦が繰り広げられているので
うまく日本に追加供給されるかどうかまだわからないが、
なんとか順調に進んで、私にも接種の順番が回ってきて欲しいものだ。

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