写真界の大御所、90歳になりまだかくしゃくとしていらっしゃるそうです。
田沼さんが写真を撮り始めたのが戦後あたりから、、、日本が戦争の爆撃で焼け野原から立ち上がっていく頃のことです。
小さな子供が、ありあわせの布でボロ着をまとい、たたずんでいる、、、。
昔の「我が身」を見るような思いだった。
思わず、、、写真の前で手を合わせてしまった。
貧しかったけど、回りが皆同じような状況だったから、自分ではそれが当たり前だと思っていた。
パンフレットの表紙写真は、「戦後が終わった」と言われた1960年代だろう。
子供がやけにキレイな服装ですから。
1950年代は、こんなもんじゃなかった!
田沼さんは下町の浅草近辺の生まれで、写真館の息子さんだった。
それで、物心ついたころから、戦後の日本の日常と子供を撮り続けている。
すばらしく立派な業績です!
1970年代に入ると、黒柳徹子さんと一緒に世界を回り、子供達を撮っていました。
田沼さんの撮られる子供は、構えることなく素のままの生活姿で、見る人の前に登場します。
肖像権という概念がない写真です。
これが、世界の男たちとなると、、、さぞかし撮るのが難しいでしょう。
田沼さんの対極にあるカメラマンが、セバスチャン・サルガドかなー。
「人間の大地、労働=ワーカーズ」ていう写真集があります。これまたすごい現実を突きつけてきます。人はかくも働くのか、、、これが現在だと思うと、、、。人は神になったていうくらい、働く人が神々しいでしょ。
田沼さんの子供たちには、ボロ着を着ていても「むくの天使」じゃない「まだ人格のない人に至っていない人」を感じさせられる。サルガドのワーカーズの人は、人が神々しいけど、田沼さんが撮られた子供が「人」になるには、長い月日が必要なんだなーと、、、。
世田谷美術館で田沼さんの写真展をご覧ください。
4月14日までです。