夫と二人、会社の近くにあるスーパーで買い物をしていた。
このさびれた店は、私のお気に入り。
駐車場はスカスカ、レジで並ぶこともないからだ。
狭い店内を夫婦で徘徊していると、一人の女性に声をかけられた。
夫の知り合いらしい。
年は私より10才くらい若そうな美人である。
「おっ!愛人か!」
ここでそう思うのは初心者。
夫の愛人は、ブサイクと決まっている。
『美人は100回褒めても振り向かないが
ブスは1回褒めればすぐ落ちる』
夫の座右の銘である。
「◯◯社の事務員さんだよ」
夫が紹介する。
会社が近所にあり、仕事で毎日のように出入りしている所だ。
「あら〜!いつもありがとうございます」
「こちらこそ〜、お世話になっております」
彼女は明るく挨拶を返し、そして言う。
「優しい旦那様で、うらやましいです」
「あら〜、そんなこと〜」
一応、謙遜。
「ご主人、本当に優しいんですよ。
ガサガサした男が多い職場でしょう。
ご主人の柔らかい話し方に、すごく癒されるんです。
会社の女子社員も、みんな言ってるんですよ。
奥様がうらやましいって」
「え〜?」
「そうなんです。
どんな奥様かしら、お幸せねって、よく話しているんですよ」
「それはそれは‥」
「お会いできて、嬉しいです」
「こんなので、ごめんなさいましよ」
「いえ、想像していた通りの方でした」
どんな想像をしていたやら。
そして彼女は「うらやましい」を連発しながら去って行った。
私は彼女に申し上げたかった。
優しい旦那様には、親もセットで付いてくるんじゃ、と。
親の面倒を見させるためには、優しくするしかないんじゃ、と。
が、言わぬが花よ。
夫のこれまでの行状を知らない人類が、増加しているのだろう。
家に帰って、息子たちに報告。
「人様から、うらやましがられるなんて初めて。
びっくりしたよ」
いやほんと。
きついと評判の舅、毎日帰って来る娘、浮気亭主の三点セットにより
「あすこの嫁にだけは、なりとうない」
そう言われることは多々あったが、うらやましいと言われたことは
長い結婚生活で一度たりとも無かったのだ。
すると息子たちは口を揃えて言った。
「そこは“やるで?”じゃろ!」
それからくどくどと怒られる。
「何で言わんかったん?」
「受け答えが、なってない!」
「やるで?の後は、バアさんも付けるで?じゃろ」
「ここは、そう言うところでしょうが」
厳しい指導である。
「驚いたけん、とっさに出んかった」
言い訳する私に、指導は続く。
「何年ワシらの親、やりょうるん?」
「軽く、サッと出んとダメじゃろ」
「つまらん!」
「修行が足りん!」
以後、気をつけるように‥と言われて許されたが
次があるかどうかわからない。
あんまりうらやましがられると、身の置き場がないことはわかった。
このさびれた店は、私のお気に入り。
駐車場はスカスカ、レジで並ぶこともないからだ。
狭い店内を夫婦で徘徊していると、一人の女性に声をかけられた。
夫の知り合いらしい。
年は私より10才くらい若そうな美人である。
「おっ!愛人か!」
ここでそう思うのは初心者。
夫の愛人は、ブサイクと決まっている。
『美人は100回褒めても振り向かないが
ブスは1回褒めればすぐ落ちる』
夫の座右の銘である。
「◯◯社の事務員さんだよ」
夫が紹介する。
会社が近所にあり、仕事で毎日のように出入りしている所だ。
「あら〜!いつもありがとうございます」
「こちらこそ〜、お世話になっております」
彼女は明るく挨拶を返し、そして言う。
「優しい旦那様で、うらやましいです」
「あら〜、そんなこと〜」
一応、謙遜。
「ご主人、本当に優しいんですよ。
ガサガサした男が多い職場でしょう。
ご主人の柔らかい話し方に、すごく癒されるんです。
会社の女子社員も、みんな言ってるんですよ。
奥様がうらやましいって」
「え〜?」
「そうなんです。
どんな奥様かしら、お幸せねって、よく話しているんですよ」
「それはそれは‥」
「お会いできて、嬉しいです」
「こんなので、ごめんなさいましよ」
「いえ、想像していた通りの方でした」
どんな想像をしていたやら。
そして彼女は「うらやましい」を連発しながら去って行った。
私は彼女に申し上げたかった。
優しい旦那様には、親もセットで付いてくるんじゃ、と。
親の面倒を見させるためには、優しくするしかないんじゃ、と。
が、言わぬが花よ。
夫のこれまでの行状を知らない人類が、増加しているのだろう。
家に帰って、息子たちに報告。
「人様から、うらやましがられるなんて初めて。
びっくりしたよ」
いやほんと。
きついと評判の舅、毎日帰って来る娘、浮気亭主の三点セットにより
「あすこの嫁にだけは、なりとうない」
そう言われることは多々あったが、うらやましいと言われたことは
長い結婚生活で一度たりとも無かったのだ。
すると息子たちは口を揃えて言った。
「そこは“やるで?”じゃろ!」
それからくどくどと怒られる。
「何で言わんかったん?」
「受け答えが、なってない!」
「やるで?の後は、バアさんも付けるで?じゃろ」
「ここは、そう言うところでしょうが」
厳しい指導である。
「驚いたけん、とっさに出んかった」
言い訳する私に、指導は続く。
「何年ワシらの親、やりょうるん?」
「軽く、サッと出んとダメじゃろ」
「つまらん!」
「修行が足りん!」
以後、気をつけるように‥と言われて許されたが
次があるかどうかわからない。
あんまりうらやましがられると、身の置き場がないことはわかった。
今回は、みりこんさんがすごく照れている感じが伝わって、嬉しくなりました
ご苦労したぶんの、収穫の時期に入ったのかもしれませんね
今年も宜しくお願いします
うらやましがられると、照れるもんですね。
若い頃は、ひたすら他人がうらやましかったもんだけど
口にされると困ると知りました。
>収穫の時期!
なにげに深い!
収穫できるといいんですが(笑)
があこさんの優しさが伝わってきますよ。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
昨年まるぞうさんの所からみりこんさんのblogを知り、
以来すっかりファンになりました。
ずっと感謝の気持ちをお伝えしたかったのですが
コメする勇気がなく「いいね」を押すのが
精一杯で…
いつもみりこんさんの文章には
クスッと笑ったり、成程なぁと感心したり、
反省したり、沢山の気づきを頂いています。
ありがとうございます!!
これからも楽しみにしています♪
詳しくないので知らなかったんですが
少し前に、毎回お一人ないしお二人
押してくださっているのに気づき
押すためには手間がかかることも知り
コメントをくださる方もそうですが
ここにも応援してくださる方がいらっしゃるんだ‥と
嬉しく思いました。
そのお一人はルナさんだったのですね!
何だかサンタさんに出会った子供のような気持ちです。
今後もクスッと笑える記事を目指して精進します。
ありがとうございます。
いつも楽しみに拝見しています。
ドラマ化するなら
西島秀俊と仲間幸恵でどうかしらっていつも妄想しながら読んでますよ(*^^)v
こらまた 照れちゃうって言わないでね
何と素晴らしい妄想!
ハイッ!わかりました。
照れないように我慢します(笑)
西島秀俊、個人的に好きです。
品のある所がなんとも。
実物の夫はゴルゴ13みたいですが
ここはドラマ化が前提なので、飽きずに見続けるには
西島さん、適役だと思います。
kotobukiさん、プロデューサーの才能あると思います。
仲間由紀江‥うう‥
実物とはあまりにもかけ離れていますが
ドラマでは夢を与えなければならないので
やはり適役かもしれません。
新境地を開拓してくださって、ありがとうございます。
楽しみに拝見のお言葉も、嬉しいです。
ありがとうございます。