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殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

盆日記

2020年08月17日 07時28分38秒 | みりこんぐらし
お盆休みが終わった。

今年は13日から16日までの4日間で、例年より短い。


短かろうが長かろうが家事労働に大差は無いので

どうでもいいようなものだが

我々夫婦が注目するのは義母ヨシコの動向。

3〜4軒のお中元の購入及び配布と、墓参りだ。

毎年、どんなに促してもギリギリまで動かず

13日か14日にいきなり言い出して、すぐ対応しなければ怒り狂う。


ギリギリまで動かないのは、世間が盆休みになって

町に人が出てくるのを待つからだ。

そしてお中元を買う店や墓参りの花を買う店で

誰かにバッタリ会える機会を狙う。

会ったら最後、お互いに暇なもんで

延々としゃべり倒すため、運転手の夫は待たされる。


お中元も、全部宅配にすればいいものを

近い所は持って行くと言ってきかない。

持って行ったら最後、そこでもまた延々。

夫は1日、あるいは2日に渡って拘束されるのが

昔からの習慣である。


今年の休みが例年より短いとなると、夫は貴重な盆休みを

彼女に振り回されて終わる可能性が出てくる。

私も常々、これでは夫が気の毒だと思っていたため

お盆を迎えるにあたり、計画を立てた。

今年は特に暑いという理由で

12日の夕方、お中元を買いに行って配り

13日の午前中に皆で墓参りに行くという

ごく簡単なものだ。


しかしヨシコ、気に入らない。

12日では早過ぎるという。

お盆は15日から始まるものだから

どうしても14日にお中元を配ると強く主張。

店で誰かに会うためには

全国共通のお盆の日取りまで変える勢いだ。

こういう時のヨシコは顔が歪み、目がイッているので

手がつけられない。


が、その対処も考えてある。

「買っておくだけ買って、配るのは別の日にしたら?

暑いから、みんな日が暮れたら

駆け込みでお中元の買い物に来るよ」

ヨシコはシブシブ、12日の夕方案を承諾。


そして当日は打ち合わせ通り、夫はヨシコを連れて買い物に行く。

そのまま有無を言わせず、その足でお中元を配るのだ。

こうしてお中元問題は、無事にクリア。

我々は晴れ晴れとした気持ちで、盆休みに突入した。



13日・木曜日

盆休み初日の今日は、墓参りだ。

午前中という目標だったが、朝寝坊のヨシコ

その朝はいつもよりさらに遅い10時半起床。

墓参りの日程を決められたことへの抵抗と思われる。

できれば早朝に済ませて、盆休み初日をゆっくり過ごしたかった夫は

「老害め…」とつぶやきながら、イライラして待っていた。


ヨシコが朝食と支度を済ませると、昼になった。

午後12時半、出発。

スーパーの花屋へ寄ると、混んではいたものの

クソ暑い真っ昼間に花を買っている命知らずの客は

ヨシコよりひと世代下のおばさんばかりで、顔見知りは皆無だった。

墓参りをして家に帰る。



14日・金曜日

夫の姉カンジワ・ルイーゼから、「差肉」の授与。

差肉とは年に一度、ルイーゼがくれる肉のプレゼントだ。

自分の母親には牛ロースの小さいパックを一つ

我々には硬くて不味い輸入牛の大きいパックを一つ

例年はヨシコの誕生日か敬老の日に、もったいぶって渡される。

ヨシコはありがたがって、我々にお礼の言葉を強要し

ヨシコだけがご満悦で一人焼肉

仏頂面の我々は野菜とウインナーを食べる行事だ。


この差肉、今年は初めてお盆に行われた。

そして今年はもう一つ、初めてのことが…。

ヨシコの牛ロースは例年通りだが、我々のは豚肉。

もはや牛肉ですらなくなった。

悔しい。



15日・土曜日

明日は同級生の友人ユリちゃんのお寺で

施餓鬼供養の会食を作るので、1日留守をする。

会食のほうは、一緒に行くけいちゃんが仕切ってくれるので

留守中の家族の食事を準備して過ごす。

会食では私も何か一品、作らないといけないらしい。

それで買い物に行こうと思ったが、あまりの暑さにその気は萎える。


買い物に出たくない一心で冷凍庫を探し、いつぞや息子が釣ってきたタコを発掘。

タコは内臓を出し、そのまま何もしないでビニール袋に入れて冷凍しておくと

何ヶ月、いや何年ももつ良い子だ。

このタコと、冷蔵庫にあるキュウリ、もらい物のミョウガ

庭に生えている大葉で、タコ酢を作ることに決定。

ほぼ自給自足の発案に、我ながら満足。


タコを茹でたり、ユリ寺の灼熱地獄に耐えるべく

タオルや着替えの他に経口補水液や塩あめをバッグに詰めて

明日の準備をした。

塩あめの他に塩分補給の錠剤も買っていたが

おいしくないので塩あめだけにする。


夕方、ヨシコが部屋でいきなり嘔吐。

熱中症だ。

「扇風機は身体の水分が蒸発するから、ずっと当たるのはいけない」

と何度も言ってきたが、嫁の言うことをきかないからだ。

吐いたのは、寝転んでテレビを見ていたからだ。


私も熱中症になりやすい…というか、一度なったら癖になって

なりやすいそうだ。

暑いとすぐ気分が悪くなって吐きそうになるが

たいてい立って働いているため、口まで上がってくるのに時間がかかる。

だからそれまでに手当てをすれば、おさまる。

それだけの違い。


高齢者なので救急車を呼ぼうかとも思ったが

口をゆすがせて経口補水液を飲ませ、アイスノンを後頭部と両脇の下へ置いて

塩あめを舐めさせたら落ち着いた。

「おかゆが食べたい」などと言い出したので呼ばなかった。



16日・日曜日

ヨシコの具合が悪ければ、ユリ寺行きは断ろうと思っていたが

朝、華麗に復活していたのでホッとした。

迎えに来たけいちゃん、マミちゃんと一緒に予定通りユリ寺へ行く。

腹が立つほど暑かったが、けいちゃんが家でほとんど作って来てくれたので

身体は楽だった。


ユリちゃんは我々に、駄菓子や昆布の佃煮のお土産を用意してくれていた。

その包みをそれぞれ自分のバッグの周辺に置いていたが

帰りに見ると、マミちゃんのが無くなっていた。

私のも中身が一つ消えていて、こじ開けられたお菓子の箱の残骸が

別の場所で発見された。


料理の配膳を手伝いに来た、ユリちゃんの伯母さんのしわざであることは

明白だった。

皆の荷物を置いた小部屋に入って、ずっとゴソゴソしていたし

来る時はバッグ一つ、帰りは大荷物だったからだ。

この数年、認知症が進んでいるのだ。


伯母さんが帰った後、お供えの缶詰なんかも無くなっていたので

ユリちゃんはかなりショックな様子だったが、私は大笑いした。

お互いのために今後は気をつけようと話し合って、解散した。
コメント (4)
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