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殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

なんの山・1

2010年10月17日 17時19分22秒 | みりこんぐらし
先日、私の携帯に、一本の電話がかかった。

知らない番号だったが、選挙が近いこともあり、なんぞ連絡かと思って出た。


「みりこんさんですかっ?」

知らない人の声だ。

妙に甲高い、ちょっと鼻にかかった声に、しまった…と直感。

みりこん辞書によれば、とっても危険な声。

聞くのは耳がキンキンしてつらいし

話も、たいていろくな内容ではないと書いてある。


「私、山岡なんです!」

う…やっぱり…。

「なんです」の“なん”は、なんなんだよ…。


夫の姉カンジワ・ルイーゼも、電話をかけたら必ず同じこと言う。

「土建屋なんですけれど」

他にも、何人か知っている。

共通するのは、借りる虎の威がある生い立ちや環境。

借りてる威が、人から見て虎のものとは限らないのだが

とにかく、本人は虎だと思い込んでいるかたがた。


多分こういう人達って、リズム感みたいなもんが無いんだ。

だから、名前の後に“なん”を添えて、間(ま)を取っているだけなんだ。

音楽のじゃなくて、心のリズム感。

次々と流れくる人生の機微に合わせ、リズムに乗って楽しむことができない。


悪い人達じゃないのはわかる。

真面目で、誠実で、几帳面という、私に無い長所をたくさん持っている。

尊敬すべきところである。

しかし“なん”の2文字を刻んでそびえ立つ

根拠なき大いなるプライド山の標高に、げんなりしてしまう。

ナンが好きなら、インドへ行け…なんて、思ってしまうのである。

 
「私の話を、奥様に聞いていただきたいんです。

 ヒロシさんにお願いして、お電話番号うかがいました」

…私の当惑を、おわかりいただけるだろうか。


少し前から、夫が時々話していたのを思い出した。

小、中と同級生だった女性が、このところ毎日、会社に来るのだと。

「ちょっとおかしくなって、同級生の所をあちこち回ってるんだ」


その悩みというのが、嫁姑だそうで

「男が聞いても、わからんし…」と言っていた。

自分の好みのタイプなら、相談に乗るだの、話を聞くだのと誘い出し

とっくに手ゴメにしていようが

そうじゃないもんだから、困って私に押しつけたのだ。

やりやがったな!ヒロシ!


「ヒロシさんがね、言ってくださいましたの。

 うちの奧さんなら、そういう話もわかるって。

 専業主婦で、お暇なんでしょ?そう言ってらしたので」

ヒロシめ…。


「ご存知でしょうかしら?私、笹野屋の娘なんです」

出た…自分のことより、実家のこと言うんだよ。

   「まあ!あの、笹野屋の!」

夫から聞いてはいたが、初めてのように驚いてサービス。

笹野屋は昔、市内で一番大きくて、格式のある旅館だった。

だった…というのは、言葉どおり。

ずいぶん前に倒産したので、今はもう無い。


彼女、このリアクションには満足なされたようで

いよいよお話が始まるのであった。

「話といいますのはね、姑のことなんですよ!

 私にひどいことばっかり言うんです。

 先日も、甥が海外で結婚式を挙げるのに

 列席者の旅費が自腹だと言うんですよ。

 主人だけ行かせると言いましたら、姑が怒りましてね…

 あ、娘はね、一応進学校に通っていますので

 当然、先で学費もかかりますでしょ。

 今、そんなことで散財するわけにいかないんですよ!」

※長くなるので、早送り


「…何でもそんな調子で、私、もう疲れてしまって…。

 主人はまあ、一応名の通った企業に勤めているんですけどね

 この人なら、と思って結婚しましたのに、姑があんなでは、困ります!」

   「はあ…それは大変ですね…。

    同居されてるんですか?」

「いえ、姑は、北海道に住んでます」

   「ほ…北海道…離れているんなら、別にいいのでは…」

「主人は長男なのでね、姑は、北海道で一緒に暮らして欲しいんですよ。

 離れて暮らしているのが気に入らないから、意地悪をするんですよ!

 私、北海道なんて遠い所、行けません!

 生まれ育ったこの町で暮らしたいんです!」 

   「姑さん、一人暮らし?」

「いえ、次男夫婦と二世帯住宅を建てて、同居してます」

   「じゃあ心配ないじゃないですか」

「次男夫婦も、私達だけ楽をしていると思ってるんです。

 それで姑と一緒になって、色々言ってくるんです。

 今度の結婚式の旅費だって、嫌がらせですよ!

 そういう人達なんです!
 
 私、ずっと以前から悩んで、カウンセリングにも通ってますし

 お薬もいただいて、毎日飲んでるんです!」



笹野屋のお嬢様の話は、延々と続くのである。

長くなったので、今日はこのへんで。
                 

                 続く
コメント (51)
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