羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

旅人かえらず

2010年10月01日 18時33分35秒 | Weblog
 九月は、三回、野口体操講座のテーマを‘地球と生命’で行った。
 はじめてのことだった。
 進化の年表+化石標本100種が一回目。
 地球物理『凍った地球』田近英一著を中心に、地球史から見た生命のしぶとさが二回目。
 地球史+顕生代通年で46億年の時間をリボンで顕すのが三回目。

 地球史における時間までくると、さすがに不思議な感覚に捉えられた。
 自分の存在が一握の砂の一粒にも満たない。
 あるいは宇宙の塵とも見做せない。
 いったいなんだ?
 生死について思い巡らすと、気が遠くなってしまう。

 無性に詩を読みたくなった。
 蔵の二階にあがって、本棚から新潮文庫の一冊を探し出した。
 三十年ぶりだろうか。
 もともとこの詩が野口体操へと導いてくれたような気がする。
 
 西脇順三郎詩集より 「旅人かえらず」の最後のフレーズ

    永劫の根に触れ 
    心の鶉の鳴く 
    野ばらの乱れ咲く野末 
    砧の音する村 
    樵路の横ぎる里 
    白壁のくずるる町を過ぎ 
    路傍の寺に立ち寄り 
    曼荼羅の織物を拝み
    枯れ枝の山のくずれを越え 
    水茎の長く映る渡しをわたり 
    草の実のさがる藪を通り
    幻影の人は去る 
    永劫の旅人は帰らず
コメント
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