羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

ウェブ進化論

2006年07月28日 12時58分15秒 | Weblog
 今朝、延び延びになっていた植物の手入れがほぼ終わりに近づいたとき、本が来た。
 特に読みたかったのは、『ウェブ進化論』梅田望夫(もちお)著・ちくま新書、『Web2・0でビジネスが変わる』神田敏晶著・ソフトバンク新書である。(ソフトバンクが新書を持ったなんて、昨日まで知らなかった! 私は、何をしていたのだろう?)
 丁度、今日の朝日新聞に、「ネット新時代 何をもたらす ウェブが変える」西垣通氏+梅田望夫対論が載っていた。

 これから本を読みつつ、この世界を少し知っておきたいとおもっている。
 インターネットで買い物をすることはしないことにしているが、インターネットを重宝に使わせてもらってはいる。
 
 たとえばこの記事にもある「ウィキペディア」のデータは、百科事典にもないような情報もあって、面白いし、参考になる。自己責任で使うには、問題は少ないと思う。そういう意味では、以前のように新しい知識の体系がほしいときに頼りにしていた古本屋のご主人(すでに亡くなってしまって、あれほどの本の知識を持った人はいなくなっている)や、書店の棚をざっと見て何冊か集めてくるということが少なくなった。
 パソコンの前に座って、電源をいれ、検索すれば居ながらにして、第一段階の情報は得られる。その上、この記事でも言われているように、辞典や百科事典などにはないローカルな情報も知ることが可能になった。

 以前、五木寛之さんが『思想の科学』で、「辞典」の話をなさっておられた。
 70年代の「思想の科学」だが、当時の五木さんは辞書や辞典をあまり使わないということだった。つまり彼が描く小説の世界では、業界用語・流行の若者言葉や隠語や仲間内だけで通じる符丁といった、辞書に載りにくい言葉を大切にするから、という理由だった。
「記録は消える、記憶は残る」ということおっしゃる五木さんだと、そのインタビュー記事に、ナットクしたはつい数年前のことだった。

 で、新聞記事に戻ると、「世界中がワールドカップのスターの情報なら詳しいのに、自分の町のサッカーチームのヒーローを知らない」というのは、異常なことだと西垣氏は語っておられる。
 大きな力をもつようになったマスコミにのるのは、有名人や有名商品だけという時間は結構長かった。その意味では、ブログ情報は、個人情報でありローカル情報なのだから、よりきめ細かい情報を私たちは得やすくなっている。

 野口体操公式ホームページを最初に公開したのは、1998年初夏のことだった。野口三千三先生を失った年、四十九日を終えたところで、追悼からはじめた。
 実は、先生がご存命中の前年、1997年にはすでにホームページの準備を始めていて、いつでも公開できる条件は揃っていたのだ。ところが先生のご病気と亡くなられたことによって、公開を見合わせていた。
 当時は、まだまだ大企業でもホームページを公開しているところは数えるほどだった。
 そうした経緯の中で、インターネットとは早い時期から付き合ってきた私にとって、このウェブ進化論は非常に興味深いテーマである。

 西垣氏が指摘しておられるように「グーグルで検索できるものは、記述的、分析的な知識に過ぎない。これらはむろん大切だが、人間は言語化できない暗黙知や身体知、直感という能力を持つ」
 まさに、今、私が、「これからの野口体操」を考えるときの問題点がここにある。
 
 暗黙知・身体知・直感・からだで覚えるといった世界について、立教大学で3年間、「身体知を探る」という講義に参加させていただいてそれなりに考える機会を得た。言語化・記号化できない領域をテーマにしてきたのだが、数ある技芸のなかにあって、野口体操は「自分の身体」に立脚したテーマを提示することができて、いつも講座のトリをつとめてきたことの意味を考えると、ひとつの答えが見えてくる。
 それは、実に、現代のテーマだ。

 さっそく2冊の新書を、読むとしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする