電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「Choral Masterpieces」を聴く

2013年01月31日 06時06分55秒 | -オペラ・声楽
このところ、通勤の音楽として、ロバート・ショウ指揮のアトランタ交響楽団および同合唱団による「Choral Masterpieces」という輸入盤を聴いております。
シャープの電子辞書の英英辞典を引いて見ると、題名の masterpiece とは、

masterpiece ; masterwork
- noun a work of art such as a painting, film/movie, book, etc. that is an excellent, or the best, example of the artist's work

という意味だそうで、名作、傑作、代表作などを意味するものでしょうか。題名を訳せば、「合唱名曲集」といったところでしょう。J.S.バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ベルリオーズ、ブラームスから、ラフマニノフ、デュリュフレまで、有名どころの合唱曲を集めたCDです。ただし、世俗的な合唱よりはむしろ、宗教的合唱曲集といった趣きですので、そのままコラール名曲集としたほうがよいのかもしれません。

曲目は、次のとおり。

(1) ベートーヴェン「かんらん山のキリスト」より「ハレルヤ」
(2) モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
(3) J.S.バッハ「ロ短調ミサ」より「キリエ・エレイゾン」
(4) 同「マタイ受難曲」より「受難のコラール」
(5) ベルリオーズ「キリストの幼時」より「羊飼いの別れ」
(6) メンデルスゾーン「エリア」より「山に向かいて目を上げよ」
(7) 同「エリア」より「彼はイスラエルを守り」
(8) J.S.バッハ「ロ短調ミサ」より「ドナ・ノービス・パーセム」
(9) ヘンデル「メサイア」より「ハレルヤ」
(10)同「メサイア」より「屠られたまい」
(11)デュリュフレ「レクイエム」より「サンクトゥス」
(12)ラフマニノフ「晩祷:生神童貞女や喜べよ」
(13)ブラームス「ドイツ・レクイエム」より「レクス・トレメンダエ」
(14)ハイドン「天地創造」より「万軍の主よ、あなたのすまいは」
(15)ベルリオーズ「レクイエム」より「もろもろの天は神の栄光をあらわし」

1983年の11月から1985年の5月まで、アトランタのシンフォニー・ホールにて収録された、テラークによるデジタル録音(CD-80119)です。演奏は見事ですし、一世を風靡したテラークのデジタル録音も立派なものです。

大曲の中から一つだけ取り出して歌われる曲を手がかりに、全曲を聴きたいと願ってクラシック音楽の世界に入ることは、よくあることです。そうでもなければ、東北の片田舎に育った私のような者が、「メサイア」や「ロ短調ミサ」、「エリア」などに親しむようになることは困難です。その意味で、全曲から抜粋したハイライト版とともに、こうした名曲集は、合唱を通してオラトリオなどの音楽の世界に分け入る格好の道案内になっているように思います。

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必要を満たすコンビニ、「こんなものはいかが」と提案する「道の駅」

2013年01月30日 06時01分08秒 | 散歩外出ドライブ
コンビニエンス・ストアは、パンやおにぎり、飲料、日用品のほか、トイレやATMなど、「あってよかった」と言われる店を目指します。これに対し「道の駅」の場合、とくに生産者の直売所では、「こんなものはいかが」と提案する形になっています。必要で飛び込むコンビニは便利ですが、あれこれ眺める楽しさはありません。「道の駅」の産直コーナーは、「へえぇ~」と眺める楽しさがあります。ぶらり外出散歩時の楽しみの一つです。写真は、ひどい雪の日の某ガソリンスタンドにて。早く季節が良くなり、道の駅めぐりなどをしてみたいと、春の女神の訪れを心待ちにしています。

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「反季節感」カレンダー

2013年01月29日 06時01分08秒 | 季節と行事
真冬に雪景色のカレンダーを見ると、やれやれ、今日も雪道の長距離運転かと気が滅入ります。どうしてカレンダーは、真冬に雪景色の写真を使うのだろう?それが季節感?

であれば、全く逆に、「反季節感」カレンダーというのがあっても良いのでは、と考えます。例えば、真冬には春の草花を、真夏には雪遊びに興じる子供たちをテーマにするのです。そうすれば、「もうすこしで春になるだろうから、今は辛抱するか」と思うでしょうし、真夏の猛暑も気分だけでも少しはしのぎやすくなるのかも。

では春と秋はどうするか?うーむ、そこまでは考えておりませんでした(^o^;)>
アホ猫写真など、いかがでしょうか(^o^)/





しかし、しょーもないことを考えておりますなぁ(^o^;)>poripori

一年中で一番寒さの厳しい季節です。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」(*1,*2)を静かに聴いております。まったく、春が待ち遠しい真冬の朝です。

(*1):ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年3月
(*2):ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」を聴く~その2~「電網郊外散歩道」2011年2月

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米を搗く

2013年01月28日 06時01分18秒 | 週末農業・定年農業
我が家では、毎年、収穫したお米を玄米の形で保存し、必要になるたびに精米して食べています。最近は、コイン精米機が普及・進歩し、数百円で30kgを精米することができます。



車のトランクに玄米を袋ごと積み込み、精米機にザザーッとあけます。



こちらが玄米です。



しばらくすると、精米されたお米が出てきます。



この、お米がたまっていく様子がけっこう楽しい。子供の頃から、それを一気に袋に落とすのが楽しみでした(^o^)/
たしか、「安息角」なんて言葉は、祖父から聞き、こんな風にして知りました。



精米が完了したお米を、もとの袋に入れて持ち帰り、米びつに移します。夏場は、お米が温まっていますので、熱を冷ましてから移すようにしていますが、冬場はそんな配慮はいりません。米びつの上の壁面には年間カレンダーが貼ってありますので、精米した日付に印を付けておきます。こんなふうにして、およその消費速度を把握しています。

数年前から、稲作は完全に委託して、小作料として現物で納めてもらう形にしましたので、今年は年度の後半にはお米を買わなければいけないかもしれません。ふだん作付けして食べている山形産「はえぬき」も美味しいお米ですが、話題の「つや姫」も食べてみたいので、新米の時期には「つや姫」を買ってみようか、でもお値段はどのくらいになるのだろうかと、少しだけ消費者の心境も味わっております。

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また雪だ!!

2013年01月27日 06時01分50秒 | 季節と行事
わーお!また雪だ!

朝、起きてカーテンを開けたときに見える新雪の深さに、思わずため息が出ます。せっかくの休日ですが、土曜出勤の娘の車が出られなくなっては大変と、父親は朝っぱらから除雪です。やれやれ。
小言は「寝坊するなよ」くらいにとどめ、除雪機の爆音を響かせておよそ三十分。機械力ですので、この程度で終わるのがありがたい。人力では、とてもじゃないが半日かかります(^o^;)>poripori





娘を送り出してから、雪の中での労働を終えてコーヒーとお菓子で一服。少々ヴォリュームを上げて、プロコフィエフの「交響曲第5番」を聴きました。例によって、もはやパブリック・ドメインとなった、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の実に見事な演奏(*1)です。パソコンに接続したUSB-オーディオで、けっこういい音で聴くことができるのが嬉しい。

妻によれば、娘は春になったらなにやら常夏の島へ旅行にでかけるらしい。うーむ、そうなのか。それなら、お土産は舶来のノート類がいいなあ。冬の間、除雪はちゃんとやってあげるから(^o^)/

(*1):プロコフィエフ「交響曲第5番 変ロ長調 Op.100」~クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~
(*2):プロコフィエフ「交響曲第5番」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年3月

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映画「レ・ミゼラブル」を観る

2013年01月26日 06時03分22秒 | 映画TVドラマ
新年初の映画は、昨年の暮れに見逃していた「レ・ミゼラブル」です。出がけに除雪を始めたもので時間ギリギリになってしまいましたが、なんとかすべりこんでセーフでした。実は、別行動で一緒に出かけた子どもは「007」で、私と妻が「レ・ミゼラブル」だそうで、互いに中高年どうしの文芸&ミュージカル志向が一致して、喜ばしい限りです(^o^)/

映画は、冒頭から嵐の中で囚人の合唱です。座礁した帆船を、多くの囚人がロープで引き、ドックに入れようとする場面。ここですでに監督官ジャベールと、底知れない怪力の持ち主である囚人ジャン・バルジャンとの緊張した関係が描かれます。この映画の想定では、ジャンは妹の子どものために一個のパンを盗み、投獄されても逃亡したために、19年間を徒刑囚として過ごしていました。仮釈放されても、身分証明書には危険人物という終身のレッテルがつきまとい、世間の風は冷たく、温かさはどこにも見当たりません。
しかし、山上の教会で、行き倒れ同然で凍えていたところを、ミリエル司教に救われます。浮浪者姿のジャンを来客として迎え入れ、暖炉と食事とベッドを提供します。人を信じられないジャンは、祈りと祝福を受け入れず、銀の食器を盗み出しますが、すぐに捕らえられてしまいます。司祭にもらったものだというジャンに、ミリエル司教は警官の前で、これもあげたのに持っていかなかったと、銀の燭台をも与えてしまいます。この時の司祭は、優しいが厳しい。愛という名の真剣を突きつける厳しさ、罪人を否応なく神の前に立たせてしまう厳しさを感じてしまいます。

映画は、一気にマドレーヌ市長の時代に飛びます。工場の婦人労働者の中のトラブルを、好色な工場長に解決をまかせたために、ファンティーヌは解雇されてしまいます。彼女は、娘コゼットへの仕送りのために娼婦に身を落とし、病に倒れます。ファンティーヌの「夢やぶれて」は絶唱。このあたりの生々しさは、小説ではなかなか感じ取ることはできませんが、間違いなく映像の力でしょう。一方、マドレーヌ市長は、新たに赴任したジャベール警部の前で、馬車の下敷きになったフォーシュルバン老人を助けたために、警部の疑惑を招きます。しかし、問い合わせに対して、該当の逃亡囚人はすでに告発されているとの回答が返って来ました。誤って告発された無実の男を救うために、自分こそがジャン・バルジャンだと名乗り出ますが、亡くなったファンティーヌの娘コゼットを救い出すために、悪党テナルディエ夫婦が経営する宿屋に急ぎます。森の中で一人水汲みをさせられていたコゼットを救いだし、馬車でパリに向かいますが、ジャベールの検問に遭遇してしまいます。からくも脱出できたのは、マドレーヌ市長に命を救われたフォーシュルバン老人が、尼僧たちの修道院で庭男をしていた偶然からでした。

ここで、再び時代は移り、コゼットは美しい女性に成長しています。革命を目指す学生たちの中で、貴族の孫でありながら革命の理想に共鳴するマリウス・ポンメルシーは、偶然にコゼットを見初め、二人は恋に落ちます。ここでは、テナルディエ夫婦の娘エポニーヌがマリウスに恋い焦がれており、実らぬ恋の歌唱が胸を打ちます。ラマルク将軍の死去を契機に蜂起した学生達に民衆は続かず、学生たちのバリケードをめぐる戦闘シーンは悲劇的です。結局、革命は失敗に終わりますが、銃弾で負傷したマリウスを、ジャンはコゼットのために、地下の下水道の中を通って救い出します。仲間がみな殺され、自分だけが生き残ったと嘆くマリウスも、コゼットの愛に生きる力を取り戻します。しかしジャンは、自分の過去がコゼットの汚点になることを恐れ、一人姿を消します。最後の場面、ジャンの昇天にファンティーヌが現れ、パリの革命のバリケードも民衆とともに築かれる幻も再現されて、映画は終わります。

うーむ、なかなか感動的なミュージカル映画になっていました。原作の重要な部分をそうとう端折っていますが、この上映時間に収めるにはいたしかたないところでしょう。愛し合う二人にジャンとエポニーヌが加わる四重唱は、音楽の持つ力を如実に示していますし、娼婦の運命の過酷さは、文章だけでは想像できないリアルさで映像化され、観る者に迫ります。良い映画でした。



と同時に、あらためて原作を、とくにこの映画ではカットせざるをえなかった、フォーシュルバン老人と再会した後、修道院で静かな生活を送るところなど、映画ではカットされているところを、原作で再読してみたいものです。原作を入手(*1)はしたものの、多忙に紛れて中断(*2)しておりますが、今年の目標の一つです。

(*1):古書店でユーゴー『レ・ミゼラブル』を探す~「電網郊外散歩道」2011年1月
(*2):はじめての本を開くとき~「電網郊外散歩道」2011年1月
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メールアドレスの鮮度

2013年01月25日 06時05分20秒 | コンピュータ
無料のメールアドレスがかんたんに入手できるようになり、一人で多数のメールアカウントを持つようになってから、すでにだいぶ年月が経ちました。そのため、一つ一つのアカウントへの注意が、どうしても散漫になりがちです。

当方、主に使っている主アドレスとは別に、その昔、ブラウザに Netscape を使っていたころに取得したアカウントを使っています。以前、知人に mixi に誘われて入会する際に、この netscape のアカウントを登録したものだから、新着記事通知がわんさか入り、困っていました。当方は、mixiの方はすっかり見切りを付けて、父が亡くなった2008年以降には全く見ませんので、この通知が正直言って邪魔で仕方がありません。今となっては貴重な(?) @netscape.com のメールアドレスの鮮度を下げる元凶になっています。うーむ、どうしてくれよう?

というわけで、数年ぶりに mixi にログインして、

設定変更 → お知らせメール → 受け取らない

に再設定しました。これで、多少は鮮度を維持できるはずです。
まるで、生鮮食料品みたいな言い方ですが(^o^;)>poripori

WEB 上のアンケートなど、雑多な用途に使うための捨てアドレスを、このさい、別に作っておこうかと考え、Yahoo に作りましたが、不便もありました。Yahoo ブログにコメントを書き込もうとすると、捨てアドレスが強制的に表示され、narkejp と記入できないのです。そんなわけで、Yahoo ブログのほうにコメントできない状態になってしまっております。まことに申し訳ありません。Yahoo ブログも妙なことをするものです。「小さな親切・大きなお世話」みたいです(^o^;)>poripori

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通勤の音楽の楽しみ方

2013年01月24日 06時04分31秒 | クラシック音楽
昨日は良いお天気となりましたが、ここしばらくは、連日の雪にマイカー通勤も厳しい環境となっております。スピードを落とし、追い越しはせず、地吹雪でホワイトアウトしても対応できるようにしておく必要があります。そんな状況でも、イライラせず気持ちを落ち着けて運転を続けるには、ラジオのお天気・道路情報と、カーステレオの音楽CDがありがたい。

通勤の音楽は、おなじみの曲目を違う演奏で楽しむために選ぶ場合と、あまり馴染みのない曲がどんな音楽なのかを楽しみに選ぶ場合とがあります。前者の場合、通してエンドレスで流しておくことが多いのですが、後者の場合は、全曲を通して聴いてみて、さらに特定の楽章だけを反復して聴くことも少なくありません。お気に入りの楽章を反復して聴き、フォワードまたはリバース方向のボタンで前後の楽章を聴き、再びオートリバースを解除して全曲を通して聴き、という具合です。

こんな風にして楽しんだ曲を、週末には自室に持ち帰り、ステレオ装置で聴き直します。ある程度まで音量を上げて聴くと、ロードノイズの多い車内環境で聴いたときとは異なる発見もありますが、基本的には印象は変わらず。私の場合、通勤の音楽は、長距離通勤の楽しみであるだけでなく、音楽の理解というか受容の上でもかなり大きな役割を果たしています。

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新年早々のプレゼンが無事に終わる

2013年01月23日 06時04分57秒 | コンピュータ
新年早々に、宿題となっていた依頼プレゼンが終わりました。例によって、今回も DELL の赤いネットブック InspironMini10v で、Ubuntu Linux 上の OpenOffice - Presentation で作成しました。Microsoft 社の PowerPoint のように、クリップアートがふんだんにあって、豊富に選んで使えるわけではないのですが、逆に自前で撮影した写真を Gimp で加工したり、長年蓄積したデータをもとに表計算 Calc で作ったグラフを挿入したりして画面を構成したために、「どこかで見たような」印象は避けられたのかな、と思います。配布資料も、事前にメールで送付しておき、なんとか間に合わせてもらいました。しかるべき立場の錚々たる人たちが相手でしたので、かなり緊張しましたが、まずはホッと一息です。

今後のために、気がついたこと:
光学マウスには要注意。今回は光学マウスが使えないタイプの演台だった。急遽、タッチパッドで対応した。

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月曜朝のNHK-FM「きらクラ」に「木曽のあばら屋」さんが

2013年01月22日 06時03分11秒 | Weblog
月曜朝の通勤の車中は、日曜午後のNHK-FM「きらクラ!」という番組の再放送を聴いていることが多いのですが、昨日はちょいとびっくりの「事件」がありました。
この番組(*1)は、ふかわりょうさんとチェロの遠藤真理さんのお二人がパーソナリティとして進行役をつとめていましたが、遠藤さんは出産予定のためただいま産休中とのことで、今回はメゾソプラノの林美智子さんがゲストでした。

この番組の人気企画の一つが、「きらクラ!ドン」という曲名当てイントロクイズです。今回は、ドビュッシーの「アラベスク第1番」の冒頭でしたが、見事正解された方の中に、「木曽のあばら屋」さんという方がおられました。もしかして、時々コメントをいただく「木曽のあばら屋」さん(*2)ではなかろうかと思った次第。今年高三の娘さんが、この曲をハイスピードで弾いて、「ヨシッ!」と気合を入れて登校するのだとか。林さんも思わず笑っていましたが、ユーモラスな娘さんの描き方(*3)からみても、おそらくそうだろうと確信した次第。思わぬところで旧知の方と出会ったような気分で、一日楽しい思いをいたしました(^o^)/

(*1):きらクラ!~NHK-FMの番組公式ホームページ(^o^)/
(*2):木曽のあばら屋~音楽と本の感想小屋
(*3):あばら屋の住人~「木曽のあばら屋」Profeel~ページの下の方のユーモラスな描き方に思わずクスリ(^o^)/

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山響第226回定期演奏会でシューマン、ブルックナーを聴く

2013年01月21日 06時54分02秒 | -オーケストラ
日曜の夕方、山形テルサホールへ、山形交響楽団第226回定期演奏会に出かけました。
本日のプログラムは、

R.シューマン ピアノ協奏曲イ短調 萩原麻未(Pf)
ブルックナー 交響曲第7番ホ短調
 飯森範親指揮、山形交響楽団

というものです。

会場に到着したらホールの駐車場が満車だとのことで、急いで別の駐車場を探したために、飯森さんのプレトークが終わるころになっていました。間もなく団員が登場、ステージ正面にピアノ、左側前方から第1ヴァイオリン(10)、チェロ(6)、その後方にコントラバス(5)、チェロの右にはヴィオラ(7)、右端に第2ヴァイオリン(8)、正面奥にはフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、さらにその奥にはティンパニとホルン(2)、という配置になっています。コンサートマスター席には高木和宏さんが座り、その隣が犬伏亜里さんです。いつもの顔ぶれではありますが、プログラムにはフルートの新入団員が紹介されていました。小松崎恭子さんです。

さて、本日のソリスト、萩原麻未(まみ)さんが登場します。深い青色のロングドレスを着た、たいへん若いチャーミングなお嬢さんです。萩原さんは、2010年のジュネーヴ国際コンクールで、日本人として初めて優勝したとのことで、その力は折り紙付きです。実は、優勝後の初めての演奏会が広島交響楽団とのラヴェルの協奏曲で、指揮をしたのが飯森さんだったというご縁で、今回の演奏会が実現したのだそうです。
曲目は、私の大好きなR.シューマンのピアノ協奏曲イ短調、作品54。もちろん、クララ・シューマンのために書かれた曲です。
第1楽章:アレグロ・アフェットゥオーソ。始まりのオーケストラとピアノの出だしが決然としていて、堂々たる演奏が始まります。でも、本領は力強さだけではありません。クラリネットとピアノが音楽を交歓し合うところなど、本当に優しく繊細で、しかもホールのすみずみに届く演奏になっています。ここのクラリネットは、本当にいいなぁ!後半のカデンツァも、お見事。オーケストラの響きもまた、増強されたコントラバスの力もあり、たいへん充実したものです。
第2楽章:間奏曲、アンダンテ・グラツィオーソ。憧れに満ちた大好きな音楽の、ピアノの響きの繊細なコントロールが見事な演奏です。全部で800席程度という山形テルサホールのキャパシティの小ささを生かした、萩原さんの美しい弱音の魅力を堪能しました。
そして第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。シューマンの情熱が溢れるように歌い出して、文字通りオーケストラとの華麗で躍動感に溢れた協奏です。特徴的なシンコペーションも、若々しくリズミカルに飛び跳ねます。フレッシュなシューマンです。

聴衆の拍手に応えて、アンコールにシューマンの「子供の情景」から「トロイメライ」を弾いてくれましたが、これがまた、実に繊細に響きをコントロールした、素晴らしい演奏でした。

ここで、15分の休憩となります。その間にステージ上ではピアノが片付けられ、ブルックナー用に金管部隊が大幅に増強されます。ホルン(4)にトランペット(3)、トロンボーン(3:バストロンボーン1を含む)、チューバ(1)、ワーグナーチューバ(4)という具合です。

ブルックナーの交響曲は、廉価盤LPが中心だった若いころにはあまり聴く機会がなく、30代でようやく親しむようになったものです。その直接のきっかけが、ブロムシュテットによるこの第7番の録音(*)でした。もちろん、実演では初めてです。

第1楽章:アレグロ・モデラート、ホ長調、2分の2拍子。ヴァイオリンのトレモロに続き、ホルンとチェロにより、あの独特の荘厳な雰囲気で開始されることを、あらためて知るとともに、ああ、山響でこの音楽を聴くことができるようになったんだなあと、しみじみと聴き惚れてしまいました。部分的な印象ですが、木管楽器、とくにフルートとクラリネットの組み合わせがうまいなあと感じます。
第2楽章:アダージョ、非常に荘厳に、そして非常にゆるやかに。嬰ハ短調、4分の4拍子。尊敬し傾倒したワーグナーの死を予感し、悼んで書かれた音楽です。低音の金管とヴィオラ、チェロで始まり、弦の、とくにコントラバスがその迫力を示します。低音金管群のアンサンブルの後に弦が入ってきたときの、その流麗さに、あらためて山響の弦の素晴らしさを感じます。じゅうぶんにゆったりとしたテンポで奏される中で、フルートがさりげなく聴かせるフレーズにも、思わず引き込まれてしまいます。
第3楽章:スケルツォ、非常に速く。イ短調、4分の3拍子。弦楽器のオスティナートが基調となる、力感あるスケルツォです。全休止の後の弦の響きに、なんともいえない魅力を感じます。トリオの後に再びはじめに戻り、反復されて曲を閉じますが、このあたりの弦と管のかけあいも、たいへん魅力的なものです。
第4楽章:フィナーレ、快速に、しかしあまり速くなく。ホ長調、2分の2拍子。第2ヴァイオリンとヴィオラのトレモロに、第1ヴァイオリンが入ってきます。さらにチェロとコントラバスが加わりますが、チェロの後方にコントラバスが配置されるのは、どうも音の面で大きな意味がありそうです。チューバの低音の迫力がすごいし、バス・トロンボーンも迫ってきます。四本のワーグナー・チューバの生の音を聴いて、あらためてこの音楽の魅力を感じました。それと、この曲では、チェロが重要な役割を果たしていることを、あらためて感じました。皆様、お疲れさまでした!!

ブルックナーの音楽の本質は、どうもフォルテからピアノまで自由に変化させられるオーケストラで、オルガンの響きを再現することにあったのではないかという気がします。ピアニシモが出せるパイプオルガン。でも、不謹慎な言い方ですが、ブルックナーのオルガンには、金管楽器の音色のストップがたくさん付いていたけれど、ファゴットの音の出るストップは付いていなかったんじゃなかろうか。そのあたりが、生真面目でユーモアのセンスは欠けていた節があるブルックナーらしさであり、モーツァルトなどとはだいぶ違うところなのでしょう。

不謹慎ついでにさらに一言付け加えれば、弦楽器のトレモロで縄文時代の火キリを回したとすると、今回のブルックナー1曲の摩擦熱で、間違いなく発火させられるはずです(^o^)/

今回も、素晴らしい演奏会でした。次回は二月のモーツァルト定期です。除雪機が修理できましたので、吹雪も豪雪もなんのその、今度は妻と二人で出かける予定です。楽しみです。

(*):ブルックナー「交響曲第7番」を聴く~「電網郊外散歩道」2006年6月

【追記】

ファン交流会での写真を追加します。肖像権の問題がありますので、ごく小さく(^o^;)>
山形は、ごらんのとおり演奏者とファンの距離がごく近いのが特徴です。本日のソリストの萩原麻未さんは、聴衆がとてもあったかく感じる、とのことでした。





なお、飯森さんがごくラフな格好をしているのは、このあとモンテディオ山形のキックオフに参加するのだそうです。相変わらずエネルギッシュな行動力です。すごいです(^o^)/
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「天は我を見放さず!」~映画「八甲田山」ふうに

2013年01月20日 06時02分09秒 | 季節と行事
この大雪の中、予告もなく(*1)いきなり故障してしまった除雪機を、点検整備してもらっている販売店の店主に来てもらい、診てもらいました。すると、なんと内部にコブシ大の石を噛んで動かなくなっていたことが判明し、石の一部を砕いて取り出してもらいました。ついでにベルトも交換してもらい、動き出しました。良かった!



ここはひとつ、映画「八甲田山」の向こうをはって、北大路欣也ふうに「天は我を見放さず!」と言いたいところです(^o^)/
雪国の強力な助っ人、除雪機の復活を祝って、ここは「メサイア」といきましょう。エードリアン・ボールト指揮ロンドン交響楽団&合唱団の演奏で、1959年の録音。ゆったりしたテンポの、思わずほっとして心が温かくなるような演奏で、すでにパブリック・ドメインになっている(*2)ようです。除雪も一段落し、久しぶりのお天気を喜びながらコーヒーで一息いれました。

(*1):まあ、除雪機が「これから故障しますよ」などと言ったとしたら、あれこれ説得しなければいけないのかと思うと、寡黙に故障してくれるほうがいいのかもしれないけれど(^o^)/
(*2):ヘンデル:オラトリオ「メサイア」~クラシック音楽へのおさそい~BlueSkyLabel~リスニングルーム

※失敗談:
快調に動くようになった除雪機を使い、たまった雪を片付けていたら、地域の某会合をうっかり失念。朝はしっかり覚えていたのに、除雪で汗をかいて、すっかり着替えたら記憶力も一緒に着替えてしまったようで(^o^;)>poripori
山響定期も日曜日に行くことにしてこの日の予定を空けていたのに、なんとも申し訳ない、マヌケな話です。

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受験生が持てる力を発揮できますように、除雪機が修理できますように

2013年01月19日 06時03分22秒 | 季節と行事
毎年のことではありますが、今日と明日は、大学入試センター試験の日です。全国では、おそらく相当多数の受験生がいることでしょう。当方が大学受験をした40数年前は、共通試験というのは実施されず、マークシートで回答しコンピュータで集計するという報道に、驚いたものでした。当時は、大型コンピュータの小型化が進んでいた時代ですが、いまや当時の大型コンピュータをはるかにしのぐ能力の計算機が、机の上に、カバンの中に、掌の上にある時代。でも、人間の頭に記憶した知識を組み合わせ、推論し、問題を解く力と速さを競う入学試験は健在です。

真冬の天候が心配ですが、大学入試センター試験をはじめこれから入試を受験する若い人たちが、それぞれ持てる力を十分に発揮できますように祈りたいと思います。

それはそうと、この雪の中、十年選手の除雪機がついに故障しました。エンジンはかかるのですが、ローターが回転しません。駆動ベルトかワイヤーの破断のようにも思えますので、私の手には負えず。プロに診てみらわないといけないようです。なんとか、修理できればよいのですが、補修部品がないという事態も予想されます。今の時期では更新もできませんし、厳冬期に手作業で除雪では、とてもじゃないが遠距離通勤の早朝出発には間に合いません。祈るような気持ちです(^o^;)>poripori

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良質のノートに万年筆で書き始める楽しみ

2013年01月18日 06時03分50秒 | 手帳文具書斎
定評のあるノートに、万年筆で書き始めるのは楽しいものです。ツルツル滑りすぎない用紙なのに、ペンはスムーズに動き、インクが滲まず裏抜けせず、くっきりと筆記できるのを見ると、嬉しくなります。手書きの楽しさです。



備忘録ノートに書く内容は実に様々で、日々の備忘メモであったり、読んだ本や聴いた音楽の感想であったり、はては購入したレシートを貼り付けるだけのことも。もちろん、新聞や雑誌の摘要やスクラップもあります。それぞれに、見出しを付けたり目次を書き加えていくのは、後で見返すための便を図るものです。

とくにそれが、珍しく晴れ渡った冬の陽光が入り込む車内で、お気に入りの音楽を聴きながらだったりすると、格別の楽しみの時間です。何の変哲もない日常的なメモであり、雑多な覚書であったりするだけなのですが、普段の生活の価値は失ってみないとわからないのではなくて、うっかり忘れているだけなのでしょう。

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ヤマドリがガラス窓に激突!!

2013年01月17日 06時05分08秒 | 散歩外出ドライブ
冬になると、いろいろな出来事が起こります。人間様も雪道ですってんころりんと転んで痛い思いをしますし、自然界も多事多難なようです。

写真は、先ごろ某所のガラス窓に激突して脳震とうでも起こしたのか、目を回しているらしいキジバト ではなくて、ヤマドリです。痛かっただろうなぁ。我が家のアホ猫が近くにいなくて良かった(^o^)/





【追記】
望 岳人 さんよりコメントをいただき、キジバトではなくてヤマドリではないかとご指摘をいただきました。Wikipedia で調べてみたら、なるほど、たしかにヤマドリでした。ピンカートンを思い続ける蝶々さんに求婚して断られた、可哀想な姿を連想してしまいます(^o^;)>poripori
この鳥を野外で実際に見かけるのは珍しいのだそうです。羽を痛めているようですが、もしかしたら案外貴重な写真なのかもしれません。

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