電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第288回定期演奏会でオール・ベートーヴェン・プログラムを聴く

2020年11月30日 06時01分09秒 | -オーケストラ
新型コロナウィルス禍が再び徐々に広がりを見せてきている晩秋の日曜午後、感染対策に留意しながらも、山形交響楽団第288回定期演奏会に出かけました。11月29日(日)15時開演、山形テルサホールです。

会場に入ると、万が一を想定しチケットの半券の裏側に氏名と電話番号を記入し、入口にはサーモグラフィによる体温チェックと消毒液が置かれ、主催者として可能な限り感染防止対策が取られています。座席は以前のように一つおきではなく、通常の形で着席し、マスク着用と会話を控える制限で感染の危険を減少させる対応です。

開演前のプレトークでは、西濱事務局長が感染対策の概要と退場時の誘導などを説明した後に、今回の指揮者・粟辻聡さんが登場します。粟辻さんは現在31歳、21歳のときに山形のアフィニス音楽祭に参加したこともあったとか。山響には2015年にデビュー、粟辻さんは、スクールコンサートに対する団員の皆さんの姿勢に感銘を受けたと話していましたが、山響側からも強い支持があり、今回の定期演奏会での登場となったものだそうです。また、今回のソリスト、ゲルハルト・オピッツさんの奥様が山形生まれの方とは初めて知りました。意外な御縁です。

さて、本日はオール・ベートーヴェン・プログラムです。

  1. バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43 序曲
  2. ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
  3. バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43より、第9曲、第10曲、第16曲
  4. ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」 作品73
      指揮:粟辻 聡、ピアノ:ゲルハルト・オピッツ、山形交響楽団


ステージ上には、中央にピアノが置かれています。楽器配置は左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、右手奥にコントラバス(3)、中央奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、最奥部にホルン(2)、トランペット(2)、右奥にティンパニです。ホルン、トランペットはナチュラル・タイプ、ティンパニはバロック・ティンパニです。

第1曲、「プロメテウスの創造物」序曲。粟辻さんが颯爽と登場、指揮棒なしで、しなやかに、ときに切れ味よく、若々しい指揮ぶり、フレッシュな音楽です。続いてピアノの屋根?を開けて、2曲めは大好きなピアノ協奏曲第4番。オピッツさんのピアノ、第1楽章のカデンツァが圧倒的です。第2楽章、粟辻さんの指揮で力の入った入り方が良かった。決然とした表情というのか、低音をきかせ、ぐいっと切れ味の良い音楽がオーケストラの魅力を引き立てていました。第3楽章も良かった、素晴らしかった。

ここで休憩20分が入ります。



ピアノの屋根は閉じて、3曲めは「プロメテウスの創造物」から、第9曲、第10曲、第16曲です。粟辻さん、やはり指揮棒なしで。印象的だったのは、重たくなく後に引かないバロック・ティンパニの音が曲想に合っていること。素人音楽愛好家は、一人なるほどな〜と納得です。あれれ、第16曲「フィナーレ」、これは「英雄」交響曲の終楽章の旋律じゃないか! おそらくベートーヴェンお気に入りの主題だったのでしょう。

ピアノの屋根を開き、4曲めはピアノ協奏曲第5番、いわゆる「皇帝」です。再びゲルハルト・オピッツさんが登場、粟辻さんがやはり指揮棒なしで演奏が始まります。山響とオピッツさんの息もぴったりで、例えば弦のピツィカートとピアノの呼吸など、音のバランスといいタイミングといい、ほんとに惚れ惚れします。中間の楽章は低音を響かせたいいサウンドで、これに入ってくるピアノの入りが明瞭で強すぎず弱すぎず、まさにこれ以上はないと思うほど過不足のない鳴り方です。終楽章の活力に満ちた音楽も、これ以上ないほど。自然な様子でいて力強い、ベートーヴェンの音楽に詩情を感じるような弱音、緩徐楽章。巨匠と呼ばれる人の音楽は、こういうものなのだなと、あらためて実感しました。ほんとに素晴らしいピアノ! 同時に山響の魅力も存分に味わい、ステキでした!



もう一つ、ホワイエには先ごろ亡くなられたフルートの足達さんの遺影と記念の展示が行われていました。山響在職35年、享年64歳といいますから、まだまだ若いではないですか。病気だから仕方がないというよりも、演奏会に穴を開けたくない音楽家の健康管理、マネージメントというのは意外に難しいのではなかろうかと感じました。

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大江健三郎『ゆるやかな絆』を読む

2020年11月29日 06時01分08秒 | 読書
図書館から借りてきた本で、大江健三郎著『ゆるやかな絆』を読みました。著者は、ノーベル文学賞を受賞した著名な作家であると同時に、知的障碍を持って生まれてきた息子の父親でもあるわけで、本書は奥様が挿絵を描き、表紙もまた母親が子どもにお話を読んできかせる情景を描いたものとなっています。私の場合、祖母が緑内障のため30代で中途失明しており、祖父は妻を支えながら長年ずっと生活していましたので、障碍者との共生といってもとりたてて新しいテーマとは感じません。むしろ、「後期のスタイル」というテーマのほうが興味深いものがありました。

芸術家たちに生産的な出発時の若わかしいスタイルがあるように、かれらの晩年にはやはり独自の「後期のスタイル」があって、芸術家はそれをつうじてのみ、かれの生涯に積み重ねられた死生観や次の世代への祈念を語りうるのではないか?(p.57「後期のスタイル」より)
もう一つ、作家とその時代の関係にまつわるものですが、とても大切で面白い問題があります。芸術家でありながら、時代に帰属しないことは可能か、という問題です。無意識に私たちは時代精神につながっていると信じ込んでいる、自分は今の人だ、と思っていますが、後期のスタイルの問題は、今を超越して考えたらどうなるかを問いかけてくる。(p.57〜58「後期のスタイル」より)

ベートーヴェンについては、晩年の作品の大きさ、深さは理解するけれども、若いベートーヴェンの魅力もまた感じるところで、年齢を重ねることで得るものと失うものと、両方を大切なものと感じながら、例えばこのような言葉をノートに書き抜いてみるのです。

ただ、共感とともに幾分かの疑問も感じる面があります。例えば、障碍を持つ息子を死んでほしいとは思わないだろうということ。それは、失明した妻を支えて生きた祖父の教えに明らかに反します。祖父の教えとは、誰にでも生きる役割があるのであり、祖母の役割はお前たちに「生きる勇気」を教えることだ、というのでした。無名の百姓の老人が、長年ずっと考え抜いたことだったのでしょう。



著者は1935年生まれですから、現在は85歳か。私の学生時代にはすでに著名人であり、様々な著作を通じて大きな影響力を持つ作家でもありました。先年、亡くなった叔父(*1,2)が某出版社の文芸編集部で文学全集の編集に携わっていたそうですが、氏に月報の原稿を依頼し、完成後にご本人に持参した際、自筆原稿を記念にもらいたいと願ったところ快諾していただいたのだそうです。署名入りの手書きの原稿をずっと大切に保管しておりました。太字の万年筆で書かれた独特の文字を、興味深く眺めたものでした。また、『ブリキの太鼓』を世界文学全集に初収録し完結した記念だか何かで、著者ギュンター・グラス氏を日本に招聘した際に、岩波書店と共同で大江健三郎氏との対談と懇親会をセットしたのだそうで、ともにノーベル文学賞を受賞したお二人が宴席についているスナップを見せてもらったこともありました。今年は叔母さんも亡くなり、そんな昔の話を聞くこともできなくなりました。

(*1):叔父の訃報を機にペリカン万年筆を再び使い始める〜「電網郊外散歩道」2015年7月
(*2):叔父の遺品のモンブラン〜「電網郊外散歩道」2015年7月

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渡辺和・幸松肇『黒沼俊夫と日本の弦楽四重奏団』を入手する

2020年11月28日 06時01分39秒 | -室内楽
以前、巌本真理弦楽四重奏団が「山形定期演奏会」と称して定期的に演奏会を開催していたことが不思議で、「なぜ山形で?」と不思議に思っている、という趣旨の記事(*1)を書いたところ、渡辺和氏から『黒沼俊夫と日本の弦楽四重奏団』という書籍の存在を知らされました。この本をぜひ読んでみたいと探しましたが、当地の図書館にも山形県立図書館にもなく、古書でも当時はずいぶん高価で、諦めておりました。



ところが、探していれば見つかるもので、偶然にも某ネット古書店で売られているのを発見、すかさず注文して、過日ようやく入手することができました。思えば12年ぶりの出来事でした。

とりあえず拾い読みしたところですが、巌本真理弦楽四重奏団のチェリスト黒沼俊夫氏の伝記がたいへん興味深いものです。弦楽四重奏と山形の関わりについて、初めて眼を開かれました。後日、記事にできればいいなあ。

(*1):巌本真理弦楽四重奏団と山形〜「電網郊外散歩道」2008年3月
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ちかごろ楽しみなこと

2020年11月27日 06時01分50秒 | Weblog
新型コロナウィルス禍の状況は、当地山形県でも警戒レベルが一段階上がるとのことで、なんだか心が晴れない日々が続きますが、そんな中でも、ちかごろたのしみにしていることが2つあります。

1つ目は、山形交響楽団の第288回定期演奏会です。11月28日(土)夜7時からと、翌29日(日)午後3時からの2回公演となっていますが、私は日曜のマチネに行く予定。

 ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43 序曲
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
 ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43より"第9曲、第10曲、第16曲"
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調「皇帝」作品73
   指揮:粟辻 聡、ピアノ:ゲルハルト・オピッツ、山形交響楽団

なんと、オール・ベートーヴェン、しかもゲルハルト・オピッツさんのピアノで、ピアノ協奏曲第4番と第5番を同時に聴くことができるという、すごいプログラムです。これはもう、絶対に、なんとしても、万難を排して、行かなければ! 風邪などひいていられません。

2つ目は、12月10日に発売予定の、香月美夜著『本好きの下剋上』第5部「女神の化身」第4巻です。ライトノベルとは言いながら、その楽しさにすっかりハマっております。もう2ヶ月も前に予約済みで、準備万端整えて、届いたら読むぞ〜! の態勢でおります。

まあ、通勤の車窓から見える風景もどんより冬景色で、そんな楽しみがないと日常が味気ないものになりますので、鼻先に人参をぶら下げられたロバよろしく、今日も仕事に向かいましょう(^o^)/

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娘のインドネシア土産のスタイラスペンが便利だ

2020年11月26日 06時01分50秒 | 手帳文具書斎
PHS からスマートフォンに変更して、意外に便利だと感じたのがスタイラスペンです。実は昨年に娘からインドネシア土産にもらったファーバーカステルの2色ボールペン(*)がスタイラスペンになっていて、今まであまり意識しないで来ましたが、スマホに使ってみると、確実にタップ(トンと叩く)やフリック(はらって画面をめくる)ができるのです。特に、ふだんキーボードに慣れすぎているため、あまり得意ではないフリック日本語入力をするとき、確実に候補を選択することができると感じます。また、手帳に手書きでメモするにもこれだけで済みます。やあ、これは便利だ、という感じ。

ところで、このペンは4C芯だとばかり思っていました(*2)が、残念ながらそうではなかったようです。Jetstream の 4C芯を用意していたのに、無駄な準備になりました。書き出しがかすれる従来型の油性インクですので、半分ほどに減っているインクが切れたら 三菱のJetstream スタイラスペンを用意しようかなどと先のことばかり考えて、我ながらヤレヤレです(^o^)/

(*):娘のインドネシア土産はファーバーカステルのボールペン(とコーヒー)〜「電網郊外散歩道」2019年5月
(*2):新顔ボールペンの近況と筆記具にまつわる雑感〜「電網郊外散歩道」2019年6月
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ようやくスマホ・デビュー

2020年11月25日 06時02分50秒 | コンピュータ
勤労感謝の日の夕方、某携帯電話ショップに出かけ、私と妻と2人、PHSとガラケー族から脱却し、ようやくスマホ・デビューを果たしました。店員さんのおすすめで私が選んだのは、電池が長持ちするという、シャープの AQUOS sense3 basic SHV48 という端末で、シルバー世代らしいシルバー色です。妻は京セラの赤い製品を選んでおりました。いずれも端末代は最低限の支出ですみました。

ショップでは、2人で2時間の時間を取り、説明してくれましたが、要するにタッチセンサー型小型携帯通信端末コンピュータなのですから、もちろんそんな時間で終わるはずもなく、ほんの入門程度の説明となりました。具体的には、

  • 電源の入れ方と切り方
  • 電話、メール、カメラ等の主な機能の使い方
  • 今回の契約の特徴と利用上の注意点

などが中心です。一応、電話番号は従来どおりのものを引き継ぎ、電話帳は移行してもらいましたので、最低限、PHS の代わりに使うことは可能です。




その他には、まず gmail を使えるように、Google アカウントを登録しました。このときは、gmail 側で「未知の端末によるアクセス」としてブロックされてしまいましたので、PC の Thunderbird に届いていたアラート・メールを開き、「それは私です」をクリックして登録できました。このあたりのセキュリティはよく考えられていると感じます。次に Wi-Fi の設定。パスワードを入力し、自宅内では Wi-Fi で接続するようにしました。まずは、WEB と gmail が使えます。



ただし、キャリアが提供するメールはいただけない。あっという間にキャリアからの宣伝メールで埋まってしまい、「使えないね」「そうだね」「やっぱり Line かな」「そうだね」という話の流れに。このあたり、お茶業界が葬儀の返礼に供給するお茶の不味さから「日本茶離れ」を呼び、コーヒーや紅茶に移行する結果になっているのと同じ現象のように感じられます。とりあえず、キャリア・メールの設定を見直し、宣伝メールを「受け取らない」に変更、一応はキャリアメールを使えるようにするとともに、Play ストアから家族用に LINE を導入しました。

現状、まずはそんなところでしょうか。

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「電網郊外散歩道選集」週末農業・定年農業編の編集が一段落

2020年11月24日 06時01分25秒 | ブログ運営
当ブログの過去記事で、カテゴリー「週末農業・定年農業」を時系列順に編集し、Kindle で読めるようにしたいと考え、少しずつ作業を進めてきました。題して「電網郊外散歩道選集」の「週末農業・定年農業編」で、このほど本文の作業が一段落しました。まだ写真を選ぶ作業が残っていますし、表紙をどうするかという課題もありますが、まずは一区切りです。

週末農業〜老父母のお手伝い編
 2005年
 2006年
 2007年
週末農業〜老父死去で後継者となる
 2008年
 2009年
 2010年
 2011年 〜東日本大震災の年〜
 2012年
週末農業〜農業の楽しさに気づく
 2013年
 2014年
 2015年
 2016年
 2017年
 2018年
定年農業編〜専業農家としてのスタート
 2019年

こうして読み返してみると、毎年同じ繰り返しのようですが、ずいぶんいろいろなことがあったのだなあと感慨深いものがあります。まったく自分の週末農業と定年農業の実践記録ですし、様々な著作権上の問題もないものです。せっかく編集したので、これを電子書籍の形にしてみたい。お役に立てる方、興味を持たれる方はそう多くないかもしれませんが、もう一歩、踏み込んでみましょう。

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喪中はがきが次々に届く

2020年11月23日 06時01分24秒 | 季節と行事
亡父がまだ元気だった頃、郵便物を手にして「喪中ハガキばかりだ」と嘆いていた時期がありました。まさに今、私のところにも次々に喪中のハガキが届きます。同級生の父君、元職場の同僚の義父君、あるいは母堂、妻の叔父さん、母方の叔父さんの奥様など、早くも両手に迫る勢いです。また、中にはこれを機に年賀状を卒業するという断り書きを付したものもありました。

喪中の葉書というのは、儀礼的な習慣ではありますが、葉書の向こう側にはたしかに多くの人生の厳粛な終わりがあると感じます。であれば、不用意に新年を祝う賀状を出すべきではなかろう。パソコンに保存した住所録の、昨年の「喪中」らんのチェックを外し、新たに今年の分を入力します。また、住所録に記入した本人が逝去している場合は、「逝去」のらんに「2020」と入れます。

この欄に西暦年が入力されたデータは、これまで何らかの関わりのあった方々の逝去を意味し、年賀状だけでなく永遠に連絡できなくなってしまった方々ということになります。ずいぶん多くなってしまったなあと感じるとともに、自分が長生きするということは、裏返せば「逝去のデータが次々に増えていくばかり」ということなのかも。うーむ、逝去年のデータを記録し続けることは、若いうちは法事や周年行事等の目安として意味があったけれども、ある程度以上の年代になったならば、浦島太郎のような孤独感を募らせるだけになりかねない。年賀状を卒業することには、そんな意味もあるのかもしれません。

今日は、朝から母方の叔母さんの法事に出かけます。新型コロナウィルス禍のさなかではありますが、会食は控えるものの、親族だけで法要は営まれる予定。書を良くし、長く闘病生活を送った人だけに、安らかな終わりはむしろ救いの面があったのかも、などと考えております。

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携帯電話の機種更新を予約する

2020年11月22日 06時02分40秒 | 散歩外出ドライブ
2011年からずっと使っているPHSの終わりが来年1月に迫っていますし、妻の携帯電話も不具合が生じているようですので、地域での役割に支障が生じては困ります。巣ごもり三連休の予定ではありましたが、意を決して某携帯電話ショップに電話予約を入れました。ショップのお嬢さんが対応してくれて都合を調整した結果、明日の法事の後、夕方に予約することができました。うーむ、ついに年貢の納め時か。こんどはスマートフォンだろうなあ。さて、どういう結果になりますやら。

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三連休は読書・音楽・料理三昧で

2020年11月21日 06時01分05秒 | 季節と行事
新型コロナウィルス禍も新たな局面に入ったようで、「感染したらしたで、そんときはそんとき」などといったふうな横着な気分が警戒心よりもやや上回ってきているようです。とくに大都市部の人口密度の高いところでは、密を避けると言っても限度がある。日常性が正常化バイアスとして作用しているのでしょう。

しかし、免疫を持たないウィルスに対して、重症化リスクの高い年齢のわが家族の場合は、「みんなで渡れば怖くない」と思って渡ったら途中でぱたっと倒れるほうでしょう。「どこでもいいから旅行した〜い!」という妻のボヤキは理解できるけれど、この三連休は基本的に読書・音楽・料理三昧で過ごす予定。もっとも、その中には寺の役員会や叔母の法事、白菜の収穫などの予定がシッカリと加わっているのですが。

そうそう、アホ猫(母)がだいぶ弱ってきて、暖かいところで一日中寝ています。今年で満21歳と高齢ですので、大丈夫かなと心配しています。
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混色した古典インクを気に入ったので増産してプレジールに

2020年11月20日 06時01分00秒 | 手帳文具書斎
プラチナ社の古典インク「カシスブラック」と「カーキブラック」を2対1に混色し、ゴールドオーカー色がしだいに酸化されて黒っぽくなる変化が気に入り、プレッピーに入れて便利に使ってきました。カートリッジに入れたインクの残りが少なくなってきましたので、百均のプラボトルに増産して補充しました。

併せて、似たようなプレッピー万年筆が紛らわしいので、使用頻度の高い混色ゴールドオーカーをプレジールのノヴァ・オレンジ軸に着せ替え。今までノヴァ・オレンジに付けていた古典ブルーブラック細字の首軸は、同社の百周年記念軸プレッピーに移動しました。



こんなふうに首軸を交換することで外観をがらりと変えられるのは、廉価万年筆プレッピーとプレジールの互換性のありがたさですが、一方で弱点もここに潜みます。使い続けるうちにキャップの嵌め合わせが甘くなっていくのです。新品はカチッと気持ちよくハマりますが使い続けて書き馴染んだものほど、この「カチッと」感が甘くなる。まあ、1本300円の廉価ペンを何十年も使い続けることは想定されていないでしょうから、使えるうちは使う、ということで良いのだと思いますが。

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ドライブレコーダーを取り付けて1ヶ月

2020年11月19日 06時01分30秒 | 散歩外出ドライブ
先月、愛車マツダ・デミオXDのバッテリー交換とともにドライブレコーダーを取り付けてもらい、一ヶ月になります。事故にあったこともないし、とくにドライブレコーダーをつけて良かったということもないのですが、一応、感想を。

朝、エンジンを始動すると、マツダコネクトが「◯月◯日、今日は××の日です。」としゃべりだしますが、これに加えて、ドライブレコーダーが「最近、上手な運転ができています。今日も安全運転をお願いします。」などとしゃべります。同乗する二人の女性が別々に勝手に話しかけてくるようなもので、とくにドライブレコーダー様の上から目線で(^o^)の評価コメントを毎日聞かされるのは、正直、あまりうれしくない(^o^)/

帰宅してエンジンを停止するときには、「今日はわずかに急ハンドルがありました。」などと評価してくれますが、マツダコネクトの運転評価は無言でブレーキ、アクセル、ハンドル操作などを点数化して表示します。それによれば、私の運転は通算で 5 点満点で 4.5 だそうでかなり安全運転なほうだと思っていますが、ドライブレコーダー様はまだご不満な様子です(^o^)/

でも、まあ、もうすぐ否応なしに冬の雪道ドライブになるわけですから、「雪道走行養成ギブス」を付けたと思えばいいのかもしれません(^o^)/

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晩秋にフォーレの「ピアノ五重奏曲第2番」を聴く

2020年11月18日 06時01分52秒 | -室内楽
晩秋の盆地は里山まで落葉の季節で、稲刈りの終わった田んぼは寒々と広がり、周囲の山々も高山から雪化粧が広がっております。どことなく物悲しさを感じるとき、若い頃ならば人恋しい音楽を好んで聴いたことでしょうが、勤め先の若い人たちから労られる年代にあっては、もう少し人生のリアルを感じたい気分もあります。例えば、フォーレのピアノ五重奏曲ならば、若さとフレッシュさが好ましい第1番ではなく、地味で晦渋で憂愁に満ちた第2番。

フランスの作曲家フォーレ(1845〜1924)は、晩年、パリ音楽院の院長の要職にあって多忙な中、次第に進行する聴覚障害に悩みながら、ピアノと弦楽四重奏のための五重奏曲を作曲します。かなりの時間をかけた労作で、完成したのが1921年、75歳のときだったとのこと。幸いに同年の初演は成功し、Wikipediaによれば、ポール・デュカスに献呈されたのだそうです。



曲は4つの楽章からなっています。第1楽章、アレグロ・モデラート、ハ短調、4分の3拍子、ソナタ形式。ピアノのアルペジオで始まるのは第1番と同じですが、第2番ではピアノは地味めで、むしろヴィオラの主題にぐいっと心を掴まれます。何か切迫した雰囲気があり、未来を夢見ることができる若者とは違う、老人の心境かも。第2楽章:アレグロ・ヴィヴォ、変ホ長調、4分の3拍子。この楽章が最初に書かれたのだそうですが、かけまわるようなピアノ、せわしないような忙しい音楽の諧謔、老人性スケルツォでしょうか。第3楽章:アンダンテ・モデラート、ト長調、4分の4拍子。ヴィオラに導かれ弦楽のみで始まる、瞑想的な憂愁をたたえながらも、おだやかで親密な緩徐楽章です。晩秋の夕暮れ、田園の道路を一台だけ走る車の中で聴くとき、この気分に共感します。第4楽章:アレグロ・モルト、ハ短調、4分の3拍子。出だしから何か切迫感がありますが、中間部あたりから曲調が変わり、伸びやかな雰囲気に。

いいですね〜。若い頃は第1番のほうが好きで、第2番は地味で晦渋で、どちらかといえば敬遠していたほうですが、年齢とともに第2番がピアノ五重奏曲の名作である所以を理解しました。




若い頃に聴いたのは、エラートから発売されたLPの「フォーレ室内楽全集」、ジャン・ユボーのピアノ、ヴィア・ノヴァ四重奏団の演奏です。このLP全集は、いつ購入したのだったろう? 結婚する前だったような気がしますが、すでに記憶が曖昧です。CDでは、ジャン・フィリップ・コラールのピアノ、パレナン四重奏団の演奏を聴いていますが、この録音は響きがきついように感じて、あまり好みではない。できれば、実演で聴いてみたいものです。

【追記】
YouTube にあった演奏を貼り付けていたのですが、すでにリンクが切れていました。別のものを探していたら、2021年の Festival Musique a Flaine での演奏がありました。これです。
FAURE Quintette pour piano et cordes n°2 en ut mineur, op.115 - Festival Musique à Flaine


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来年のダイアリーを準備する

2020年11月17日 06時01分54秒 | 手帳文具書斎
買い物に出かけたついでに、行きつけの書店に立ち寄り、Jetstream の赤色1.0mmの替芯とともに、来年のダイアリーを購入して来ました。今年の実績でも記入量は大丈夫でしたので、同じ高橋書店の No.271 リベルプラス1 という製品にしました。今年の手帳と対比してみると、当然のことですが、全く同じ仕様です。



今年の手帳には、表見返しのポケットに切手、買い物メモなどを書いた名刺サイズの情報カード、若干の仕事用名刺、プライベートの名刺、数枚のお札が入っています(*1)。また、別用紙に印刷した履歴事項、家族状況など、パーソナル・データが差し込んであります。ダイアリー部は月曜始まりのカレンダー式で、年齢的に週末や休日に地域行事が入りやすいため、土日がそれぞれ平日と同じ面積のものを選んでいます。



裏見返しには、首都圏地下鉄路線図などのほか、山響定期のチケット、書店の書籍注文伝票、名刺サイズのフレネルレンズ、妻の写真(^o^)などが入れてありますが、おそらく来年も同じパターンになるでしょう。いや、退職して出張がなくなったわけなので、首都圏地下鉄路線図はいらないか。

来年、2021年は、この小型ポケット手帳のダイアリーに予定を、キャンパスダイアリーに業務日誌兼プライベートな出来事の記録を、ブログ記事ネタを含む雑多な備忘録としてA5判のノートと、三本立てで新しい手帳・ノートを使う予定。その他に、農作業メモや車内常備の給油整備記録など、特定用途向けのノートを継続使用します。少しずつ変化はありましたが、ここ数年で徐々にこのスタイルに固まってきたようです。



(*1):この手帳のサイズだと、お札は千円札と五千円札は入りますが、一万円札はそのままでは入らないようです。

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NHK-Eテレで山響によるベートーヴェン第五「運命」を聴く

2020年11月16日 06時02分39秒 | -オーケストラ
日曜夜、珍しくテレビの前に座りました。以前は、「N響アワー」や「仁〜JIN〜」などをほぼ欠かさず観ていたのですが、最近ではごく珍しいことです。お目当ては、NHK-Eテレの企画

クラシック音楽館 オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー 第三夜

を観るためで、ベートーヴェンの生誕250年記念プロジェクトだそうです。全国9つのオーケストラがベートーヴェンの名曲を四週にわたり演奏録画を放送することになっており、今回はわれらが山響こと山形交響楽団が交響曲第5番「運命」を担当するというものです。実際には、私が行けなかった9月24日、やまぎん県民ホールでの演奏会の一部を収録したもののようです。

会場内は、密を避けるためにお客様の入場人数を制限しているようで、ステージ上も従来の楽器配置と比べるとずいぶん距離を取っているようです。その楽器配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが両翼に分かれる対向配置で、コントラバスが4人ですので少し増強しているみたい。金管楽器は山響の特色となっているナチュラルタイプのホルン、トランペットが確認でき、音量バランスや音色の透明感に貢献しています。おそらくティンパニも明るい音色でキレの良いバロック・ティンパニでしょう。

指揮者の阪哲朗さんは、ずっとヨーロッパの歌劇場で活躍してきた方で、旋律をよく歌わせ、しなやかな音楽を聴かせてくれる人です。喩えが悪いですが、実際、かつての「巨大だが鈍重な象のイメージ」のベートーヴェンではなく、繊細さとともに瞬発力を感じさせる「ヒョウやピューマのようなイメージ」のベートーヴェンでした。よく言われる「苦悩を通じて歓喜へ」、山響らしさのよく出た第3楽章の緊張感がフィナーレで解放されるところが、すごく良かった〜。久々に聴いた「第五」、やはり強烈な力のある音楽でした。また、鳴り物(打楽器)が加わった「トルコ行進曲」も楽しかった。

団員の皆さんの様子が、次第に通常運営に戻りつつある山響の現在の姿を表していたのに対し、感染状況が収まらない大阪を本拠とする大阪フィルの皆さんは、会場に聴衆を入れずマスクをしての演奏で、収録時はまだまだ苦闘の真っ最中といった感じです。尾高さんが指揮した「田園」は、コロナ禍を乗り越えた後の、明るく幸せな希望の音楽を目指したようでした。

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