厳冬期、大寒の1月20日(土)午後6時45分より、山形市の文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団第66回定期演奏会を聴きました。早めに出発し、途中のスーパーで日用雑貨の買い物を済ませるなどして文翔館の無料駐車場に到着、ほぼ開場時刻でしたが、熱心なお客さんがすでにホール入りしておりました。
最近は、プレコンサートで学生さんの演奏の機会となっているようで、今回も山形大学のお二人、武田響子さん(Fl)と平山燎さん(Vla)の2人がステージに立ち、ドゥヴィエンヌの「フルートとヴィオラのための二重奏曲第2(?)番」を演奏しました。フルートとヴィオラという組み合わせの、その響きに魅了されましたし、演奏も良かったです。
さて本日のプログラムは、
- ハイドン 弦楽四重奏曲 ニ短調 Op.42
- 佐藤敏直 弦楽四重奏曲第2番 (1970)
- ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調
というものです。演奏の前に、ヴィオラの倉田譲さんが曲目を解説してくれました。ハイドンは、ちょうどその頃に、キリスト教をテーマとした宗教的な曲集を作曲していたためか、敬虔な雰囲気を持つ静かな曲になっている、とのこと。佐藤敏直さんについては、ピカソのゲルニカを見てこの曲の第○楽章が別に改作され、「弦楽四重奏曲のためのモルト・アダージョ」という音楽になっている(*1)とのこと。最後のラヴェルについては、ドビュッシーから「一音たりとも改変するべからず」と言われたけれども、数年後にやっぱり改訂しているとのこと。とにかく精密な音楽で、これを完璧に演奏しきることは難しいのではないかと思わせるほどだそうです。
しばらくして開演となりました。例によって、ステージの左から第1ヴァイオリン:中嶋光之さん、第2ヴァイオリン:今井東子さん、ヴィオラ:倉田譲さん、チェロ:茂木明人さんです。中嶋さんは黒にライトグレーのネクタイ、倉田さんは黒のシャツ、茂木さんは黒に明るい黄系のネクタイですが、今回はショートカットの髪型にした今井さんの衣装がステキでした。古代ギリシャの神殿の巫女さんみたいなひだ付きのドレスで、肩の部分がくすんだゴールド? 紅一点ならぬ黄一点、優雅です。
まず最初は、ハイドンの弦楽四重奏曲。第1楽章:アンダンテ、そして無邪気に、と指示されています。短調らしい「厳粛」というよりもやはり「敬虔な」と言った方があっている、比較的短い楽章です。第2楽章:メヌエット~トリオ、トリオ部は少し活発になります。第3楽章:アダージョ・エ・カンタービレ。静かで叙情的なゆったりとした音楽です。第4楽章:フィナーレ、プレスト。この曲の中では、比較的「短調らしい」感情を表出するところもある音楽のようです。
一聴して地味な音楽ですが、経験的に、こういう音楽は何度も聴いているとじわっと良さが感じられるようになることが多いように思います。もうすぐ全曲演奏が完了するなどということを聞くと、ハイドンの弦楽四重奏曲の全集CDが欲しくなります(^o^)/
二曲目は、佐藤敏直「弦楽四重奏曲第2番」。第1楽章:アダージョ~アレグロ。チェロから始まり、内声部が連続する響きを奏でながら1st-VnとVcのピツィカート。不思議なミステリアスな雰囲気を持った音楽です。どことなく日本民謡調なところも。第2楽章:アレグロ・コン・アニマート(生き生きと)~モデラート。第3楽章:モルト・アダージョ。静かですが、演奏する方も聴く方も、集中力を求められる音楽です。
ここで、15分の休憩です。聴衆の入りは60〜70名くらいでしょうか。中高年が主体ではありますが、かなり世代が多様なところが特徴で、ごく若い人もポツポツと目立ちます。
後半は、お待ちかねのラヴェル。第1楽章:アレグロ・モデラート。おおー!ラヴェルだ!の始まりです。少し速めのテンポで、透明感のある近代の響き。ハイドン等とは異なり、1st-Vnだけが突出していては実現できない響きのバランスです。第2楽章:指示は Assez vif.(十分活発に) Tres rythme(リズムをはっきりと) というような意味でしょうか。ピツィカートで始まるリズミカルな音楽です。気づいてしまいました! 弱音器を付けたり外したりして、音色の変化を生み出しているのですね! おしゃれだなあ、ラヴェル! 第3楽章:Tres lent(とてもゆっくりと)。Vla から Vc へ。あるいは再び弱音器を付けて 1st-Vn へ。いくら録音でなじんでいるとはいえ、目の前で弱音器の有無がわかる音色の変化が、楽しい! そうか、言葉は悪いですが、鼻詰まりのようなくすんだ音というのか、こういう音色の変化は弱音器の効果だったのか! 第4楽章:Vif et agite(いきいきと、そして激しく)。ヘンな言い方ですが、実にクールにエネルギッシュな(^o^)かっこいい音楽です。加えて、何を今さらの「発見」に喜び、勝手に「弱音器無双」という副題をつけたラヴェルの弦楽四重奏曲を堪能しました! これは実演でないとわかりませんね〜。ほんとに来てよかった〜。
アンコールは、ブルックナー?の弦楽四重奏曲第3楽章? へ〜、ブルックナーが弦楽四重奏曲なんて書いているんだ、という程度の認識の素人音楽愛好家には、ブルックナーといえばイメージするのは堂々たるシンフォニー。実に「らしくない」渋い優しい音楽でした(^o^)/
当日は、ときどき当ブログにコメントをいただく某さんが関西から来県されており、合間に少しだけお話する機会を得ました。今回、奥様を一人置き去りにしての来県のため、きっと家で「角を研いで」待っていることだろうとのこと。むむ、それなら我が家も事情は同じです(^o^;)、と妙なところで共感してしまいました(^o^)/
まあ、パチンコやギャンブルに夢中になったり、妙な女性のいる店でアルコールに耽溺するわけでもないので、できますれば音楽の道楽は大目に見ていただきたいものと願いながら、「こんど親しみやすい曲目のときに、一緒に行こうよ」と誘ってみましょう(^o^)/
次回は、4月14日(土) 18:45〜、メンデルスゾーンの4番と武満徹の「ランドスケープI〜弦楽四重奏のための」、ハイドンのヘ短調Op.20-5、という予定とのことです。チケットはすでに入手済み。
(*1):
山形弦楽四重奏団第23回定期演奏会を聴く〜「電網郊外散歩道」2007年4月
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本日は、朝から寺の行事のため外出、午後は来客がありずっと応対、ようやく夜に記事をまとめました。多少ハメを外した文章になっているのは、少しアルコールが残っているせいかもしれません(^o^)/