電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

香月美夜『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員」第5巻を読む

2019年04月02日 06時04分07秒 | -香月美夜
TOブックスの単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員」第V巻を読みました。2019年1月新刊ですが、3月に第VI巻が出ていますので、最新刊の一つ前の巻です。

単行本オリジナルの「プロローグ」では、エーレンフェストの反体制派、旧ヴェロニカ派の貴族たちの動きと、アーレンスバッハから嫁入りする二組の婚姻が伝えられますが、ローゼマインたちの動きはなんとも呑気なもので、イタリアン・レストランで進化した料理を堪能し、領地の境界線上で二組の結婚を祝福すると、こんどは染色コンペを開催し、新たな流行を作り出すという具合。

一方で、領地内に製紙業と印刷業という新しい産業を広げる試みは、グレッシェルに広がりますが、そのためには貴族側の認識や態度を改める必要がありました。ブリュンヒルデの焦りは、ローゼマインの身近にいるだけに、深いものがあります。

そんなこんなで時は過ぎ、再び冬となります。社交界の始まりとともに貴族院へ出発、そこには洗礼式を終えたばかりの第三王子ヒルデブラントがいた、という経過です。アーレンスバッハからランプレヒトに嫁入りしたアウレーリアが、かたくなにヴェールをして素顔を隠している件、なるほど、そういう理由だったのですか。ジルヴェスターの姉で、今はアーレンスバッハの第一夫人に昇格したゲオルギーネは、とことん意地悪ですね。

そうそう、そして貴族院二年目の途中であのターニスベファレン襲撃事件が起こるわけですが、それが次巻ということになるのでしょう。ワクワク、楽しみ〜! すっかりはまっております(^o^)/

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香月美夜『本好きの下克上』第四部第VI巻が届く

2019年03月13日 06時02分44秒 | -香月美夜
過日、行きつけの書店から連絡があり、予約注文していた香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員」第VI巻が届いたとのこと。さっそく受け取りに行き、無事に入手することができました。

「発売日に確実に入手するには、何日前までに予約注文をすれば良いですか?」とたずねてみたら、「発注をかける締切日がその月により違うので、いちがいに何日とは言えないのです」とのこと。うーむ、それは困った。では、発行元から「予約受付開始」とのアナウンスが出たら、すぐに申しこめば良いということでしょうか。

などというようなアホなことを考えるほど、本シリーズは面白いということでしょう。本好き中高年は、見事にハマっております(^o^)/

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香月美夜『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員IV」を読む

2019年01月05日 06時02分25秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員IV」を読みました。

貴族院の一年生として冬を過ごした後に、故郷エーレンフェストに戻ったローゼマインとヴィルフリートは、領主ジルヴェスターが二人の婚約について王の承認を得て、春を寿ぐ宴で発表します。それは、旧ヴェローニカ派の貴族たちにとっても、対立するライゼガング系貴族たちにとっても青天の霹靂、衝撃的なものでした。混乱回避のため神殿に逃げ込んだローゼマインは、神官長フェルディナンドの指導のもと、意図せず主となってしまった図書館の魔術具、シュヴァルツとヴァイスの新しい衣装づくりのため、「消えるインク」を作ってしまいます。ふむふむ、なるほど、これが後の大事な伏線になっているわけですね。

これまで、どちらかといえば対象を絞った、ワンポイントの魔術しか登場していなかったのですが、この巻では、「春を呼ぶハルデンツェルの奇跡」と「エントヴィッケルンと広域ヴァッシェン」という派手な魔術現象が登場しますので、ファンタジー色が一気に高まります。神官長フェルディナンドは、どーしてそんなにたくさんの高度な魔術を知っているのか不思議なほどですが、実は……だったのですね。これは、WEB版で全編読了しているからわかる強みかも(^o^)/



個人的には、「ハルデンツェルの祈念式」で春がやってきてしまうあたりが面白い。長い冬が過ぎて春がやってくる喜びというのは、雪国在住の当方にとってはやけに共感してしまうところです。まして、これから厳冬期に向かうだけに、非常に羨ましい。19歳や20歳を過ぎて猫又レベルに達した我が家のアホ猫たちが、なんとかして「早々に春を呼ぶ大規模魔術」をやってくれないものでしょうか(^o^)/


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香月美夜『本好きの下克上〜貴族院外伝・1年生』を読む

2018年12月13日 06時02分28秒 | -香月美夜
香月美夜著『本好きの下克上』シリーズは、主人公の本好き残念少女マインが、その魔力の大きさを見込まれて領主の養女ローゼマインとなり、大活躍(?!)する話です。本編では、基本的にローゼマイン視点で語られることが多いのですが、この11月に発行されたばかりの別巻『貴族院外伝』は、全編が主人公以外の他者視点で描かれます。そのため、ローゼマイン視点ではあまりピンとこなかった出来事が、実は周囲にはどう受け止められていたのかがわかり、興味深いものがあります。

貴族院の一年生の期間に限定して、大領地ダンケルフェルガーとのディッターや、ローゼマインが途中で帰還してしまった間の残された者たちの奮闘・てんやわんや、あるいは他領の視点から見たエーレンフェストの産物など、描く視点が違うと「なるほど、こう見えるのか」というあたりが面白い。

それだけでなく、ひたすら強さを求める外見詐欺の残念美少女アンゲリカの神殿におけるエピソードなどは、読者の心に訴える面があるのではなかろうか。
アンゲリカは、代々の側仕えの家系に生まれたけれど、理解力が不足し、家族からは細やかな気遣いができない不出来な子としてみなされて育ったようです。側仕えではなく騎士となる道を選び、ひたすら強さを求める理由が「勉強がキライだから」というのですから、なんとなく共感する人も少なくないのでは(^o^)/
落第寸前のところをローゼマインに助けられたために、ローゼマインに心底傾倒し、護衛騎士の役割を果たすことを重視しています。そのアンゲリカが、神殿の平民である灰色巫女や灰色神官たちの中に居場所を見つけるところが、童話のように切なく微笑ましい。

さて、本編は第四部「貴族院の自称図書委員IV」へ続きます。シリーズはまだ全体の半ばくらいでしょうか。
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香月美夜『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員III」を読む

2018年12月03日 06時04分45秒 | -香月美夜
TOブックスの単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員III」を読みました。本巻は、兵士の娘として転生した本好き残念少女が、有り余る身食いの魔力を見込まれて神殿の青色巫女から領主の養女に望まれ、貴族院の一年生でいろいろやらかして領地に戻ってきたところから。

プロローグでは、領主の長男のヴィルフリートと婚約することになり、貴族として洗礼を受けた際の母親エルヴィーラが開始したハルデンツェルでの印刷業を後押しするために、先に製紙業を始めていたイルクナーからも指導の応援を出してもらうように、ギーベ・イルクナーと交渉します。今後、製紙業と印刷業を領地エーレンフェストないに広げて行くには、平民時代にベンノと交わしたマインとルッツの契約魔術が障害になっていました。これを解消し、領主との間に新しい契約魔術を結ぶ形を取ることが求められ、その必要性は理解できますが、平民である下町の家族やルッツたちとの細いつながりが切れてしまう不安に、ローゼマインの心は揺らぎます。

そうこうするうちに貴族院に戻ることになりますが、他の領地や王族との交流は、やっぱり残念少女ローゼマインの本領発揮で、なんとも面白い。アーレンスバッハの我が儘な領主候補生ディートリンデや、クラッセンブルグのエグランティーヌと第二王子アナスタージウスの困った関係、ダンケルフェルガーのいつも間が悪い領主候補生ハンネローレなど、登場するキャラクターも多彩です。情に厚いローゼマインに仕える側近たちも、いっぷう変わった者もいるけれど、全体としてはひたむきで忠実なようです。



面白いです。中高年オジサンも思わずハマる面白さです。聞けば『このライトノベルがすごい!2018』で2年連続第1位なのだとか。それもなるほどとうなづける、納得の面白さです。

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香月美夜『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員II」を読む

2018年11月03日 05時16分16秒 | -香月美夜
TOブックスの単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員II」を読みました。中高年世代でありながら、ライトノベルを夢中で読むなんて、と少々気恥ずかしく思いつつ、でも面白いものは面白い(^o^)/

前巻では、初めての貴族院で優秀な成績を示すものの、それ以上に周囲との違いというか、一種の異質さが際立ちます。その最たるものが、図書館の魔術具であるシュヴァルツとヴァイスの復活です。この巻では、司書のソランジュ先生とのお茶会や、音楽の先生とのお茶会で、大領地クラッセンブルグの領主候補生エグランティーヌと、彼女にご執心の第二王子アナスタージウスと交流を持つなど、今までのエーレンフェストではあり得ない事態が次々に起こります。

さらに、二体のうさぎ型魔術具は、主が代わる時には新しい衣装を作る必要があるのだそうで、その採寸の際に、大領地ダンケルフェルガーの領主候補生レスティラウトを中心とする集団に待ち伏せされます。シュヴァルツとヴァイスを奪われては大変と、エーレンフェストとダンケルフェルガーがディッター勝負で決着をつけることになります。ローゼマインの奇策で勝利したのは良いけれど、事情説明のついでにエグランティーヌとアナスタージウス王子との仲を取り持つことになってしまいます。

不用意に王族との関わりを持ち、相続争いに巻き込まれることを恐れる保護者たちによって、帰還命令が発せられてしまいます。エーレンフェストでの尋問会で明らかになったローゼマインの社交の問題点は、貴族として暮らした期間の短さを思えば当然すぎるほど当然のことでした。ローゼマインの仕切りなおしは、さらにパワーアップするだけのような気がしますが、待て!次巻!



面白いです。その他にも多彩なエピソードが盛り込まれていて、貴族院を主な舞台とするこの第四部が全体の中でいちばん面白いと感じるのは、もしかするとこの学園ドラマ風の想定のおかげもあったりして(^o^)/

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香月美夜『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員I」を読む

2018年10月23日 06時03分23秒 | -香月美夜
TOブックスの単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第四部「貴族院の自称図書委員I」を読みました。見知らぬ敵の襲撃を受け、毒を飲まされて二年間の眠りについたローゼマインは、ユレーヴェの中でついに目覚めます。幼い時代の二年間の成長の差は大きいものがあり、妹シャルロッテにも身長で抜かれたと知った時は、さぞやショックだったことでしょう。でも、神官長フェルディナンドに、貴族院入学を一年遅らせると妹シャルロッテと同学年になってしまうと指摘された上に、貴族院の図書館で自由時間を過ごして良いと言われたら、ローゼマインは詰め込み教育も何のその!なのです(^o^)/

冬の間に貴族院で学ぶためにエーレンフェストの寮に転移すると、子供だけの人間関係ではなく、親の派閥の影響下にもありますが、ローゼマインはどうもそれが面白くない。護衛騎士見習いとしてコルネリウスとアンゲリカにレオノーレとトラウゴットとユーディットが加わり、文官見習いとしてハルトムートとフィリーネ、側仕え見習いとしてブリュンヒルデとリーゼレータ、そして筆頭側仕えとしてリヒャルダがにらみをきかせるという顔ぶれですが、ローゼマインは派閥の違うローデリヒのお話創作能力を高く評価するのです。

そうして始まる貴族院生活。一風変わった寮監ヒルシュールはフェルディナンドの恩師なのだとか。ヴィルフリートが余計な一言をはさんだおかげでローゼマインが暴走をはじめます。一年生全員の座学科目一発合格宣言!(^o^)/
弱小領地であるエーレンフェストの注目度は、女子のつやつや髪や座学の一年生全員一発合格などで急上昇しますが、加えて風変わりな領主候補生ローゼマインの評判も、よくも悪くもますますアップするばかりです。

全科目を優秀な成績で一発合格してしまったローゼマイン、念願の図書館登録に行き、司書のソランジュ先生にしっかりと覚えられます。そりゃそうです、閲覧室を見た感激で英知の女神メスティオノーラに祈りを捧げたら祝福の光がドバっと溢れでて、それまで動力切れ、いや魔力切れで動きを止めていた二体のシュミル風魔術具、まあ、要するにロボットウサギのシュヴァルツとヴァイスが動き始めたのですから。

似たような事件は他の先生方との間にもあり、騎獣作成の実技ではレッサーパンダ風乗り込み型騎獣に驚いてアーレンスバッハの寮監フラウレルムが卒倒するし、シュタープの元になる「神の意思」を取りに行って行き倒れるし、シュタープの扱いもオルドナンツ、ロート、メッサー、スティロなど全てを初日一発合格という驚きの事態で、「あの」フェルディナンド以来の事件なのだそうです。入学早々この調子では、これからいったいどうなるのかと、エーレンフェストの保護者たちは早くも胃が痛い、頭が痛い(^o^)/



待て!次巻! いやいや、待ってなどおれません!(^o^)/

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香月美夜『本好きの下克上』第三部「領主の養女V」を読む

2018年09月06日 06時01分02秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第3部「領主の養女V」を読みました。大学図書館司書の仕事に就くはずだった女子大学生が、地震のために自宅の本棚が倒れて本に埋まり死亡、転生した先が中世風の異世界で、兵士の娘から神殿の青色巫女を経て魔力の大きさを見込まれ領主の養女ローゼマインとなっていたところ、この巻では見知らぬ敵の襲撃を受けて二年間の眠りにつく話です。
帯に踊る文字「……誰か助けて!驚愕の新展開が待ちきれないクライマックス!」のとおり、中高年オジサンも思わずドキドキな急展開(^o^)/



始まりはイルクナーから届いた新しい紙について、ベンノらプランタン商会の面々と、領主の養女として製紙業をあと押しするローゼマインとの打合せから。少し後に神殿の灰色神官フリッツとベンノの会話で、ローゼマインが神殿長を退くときのことが語られますが、これが今後の伏線となります。

ハッセの町とローゼマインとの関わりは、平民と貴族との関係を考える良い機会となりました。出版業のためにはお話を集める「グリム計画」が大切で、ひそかに着々と進行中です。「今年こそ」と再挑戦したリュエルの実は無事に入手でき、ついでにブリギッテに恋するダームエルの求婚用もゲット(^o^)/

エーレンフェスト内の派閥争いは、アーレンスバッハに嫁いだゲオルギーネの一派とライゼガング系貴族の争いの上に、領主ジルヴェスターの権力があやういバランスで乗っているという形のようで、ローゼマイン式魔力圧縮法は領主一族にとってきわめて重要な武器の一つとなります。

イルクナーでの収穫祭の後に城に戻ったローゼマインは、初めての妹シャルロッテに胸キュンで、姉としていいところを見せようと奮闘します。ゲオルギーネ派の策動で窮地に陥ったヴィルフリートを実質的に救うことになったのも、もとはといえばシャルロッテにいいところをみせたいというのがかなり大きな動機でした(^o^)/

一難去って、神官長フェルディナンドの指導のもとに、体内に固まった魔力を溶かす薬ユレーヴェを作り、領主一族を中心にローゼマイン式魔力圧縮法を教え、シャルロッテの洗礼式を終えた直後に、未知の敵の襲撃を受けます。誘拐されたシャルロッテを救わんと前後を顧みず飛び出したローゼマインは、逆に敵に捕らえられ毒を飲まされてしまいます。



昔風の紙芝居や連続ドラマならば、「どうなる、ローゼマイン! 待て、次号!」みたいな終わり方で次回に興味をつなぐところでしょうが、ここではちゃんと眠りについた二年間のことが他者視点で語られています。姉の代わりを務めようと奮闘するが及ばないシャルロッテの挫折や、下町の家族や印刷技術集団グーテンベルグの努力、ダームエルとブリギッテの悲恋、イルクナーでフォルクとカーヤが結婚に至るまでの経緯、何事にも中心となって調整に奔走する神官長フェルディナンドの姿など、多面的に描かれますので、実に説得力あり(^o^)/



さて、次巻からはいよいよ貴族院での話です。WEBで全話を読んでいますが、個人的には貴族院での話がいちばん面白いと感じています。

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香月美夜『本好きの下剋上』第3部「領主の養女IV」を読む

2018年07月25日 06時02分42秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第3部「領主の養女IV」を読みました。本巻で印象的なのは、下級騎士ダームエルと中級騎士ブリギッテの恋、それに領主ジルヴェスターの姉で上位領地アーレンスバッハに嫁いだゲオルギーネの登場でしょう。



死にかけて体内で固まっている魔力を溶かすための薬「ユレーヴェ」を作るために、ローゼマインは素材収集に出向きますが、今回は「リーズファルケの卵」。素材収集はどうしてもワンパターンになりがちで、リュエルの実のときの失敗のような劇的な盛り上がりにはなりません。むしろ、エーレンフェストの南、植物紙を産業とすることにいち早く取り組む辺境イルクナーのおおらかさが印象に残ります。なるほど、ブリギッテはこういうところで育ったのか、と納得です。

下町では、姉トゥーリがギルベルタ商会でお針子修行というよりも立体的な花の髪飾りの技術を引っさげてスカウトされます。ベンノたちが売りだした本や知育玩具など、城での販売会は大成功のようです。

それにしても「天然クン」ヴィルフリートは、やっぱりもう少し空気を読んだほうが良いと思うなあ(^o^)/

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香月美夜『本好きの下克上』第三部「領主の養女III」を読む

2018年07月04日 06時03分38秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第三部「領主の養女III」を読みました。

領主の養女となって影響力が増しつつあるローゼマインは、下町の印刷技術者集団グーテンベルグたちを励まし印刷機の改良に取り組ませます。城で貴族社会にお披露目を行う際に、保護者たちの「聖女計画」にのせられて、大々的に祝福をしちゃったり、いろいろやらかしつつ、カルタやトランプ、絵本などで子供教室を変革してしまいます。体を動かす活発な活動の方はウィルフリート、インドアで知的な活動はローゼマインと、役割分担もしぜんに明確になっていきます。

その一方で、死にかけて体内に固まっている魔力を溶かして健康を回復するために必要な薬「ユレーヴェ」を作るのに必要な材料を集める「素材収集」も着々と、いや、公に知られないだけで実際はかなり派手に実行(^o^)/
いやはや、神殿の神具ライデンシャフトの槍にそんな威力があるとは知りませんでした(^o^)/
また、ハッセで経験した処刑シーンは、たしかに気持ち悪い。ローゼマインならずとも、うなされるでしょう。
そんな重い気分を打ち消すかのようなフェミニンな世界を体験する「女神の水浴場」。タルクロッシュというガマガエルの魔物はいらないけれど、流れる音楽はできればヴォイスレコーダーあたりに録音してきてほしいものです(^o^)/
ユレーヴェの材料が集まるまでこの第三部が続くわけですが、次巻は何の収集だっけ? もしかしたら火山?



ローゼマインとフェルディナンドの会話が、典型的なボケとツッコミ型でおもしろい。どちらかというと四角四面なフェルディナンドの対応のほうに、思わず親近感を持ちます(^o^)/

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香月美夜『本好きの下剋上』第3部「領主の養女II」を読む

2018年06月15日 06時01分29秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第三部「領主の養女II」を読みました。悪役である神殿長を排し、領主の養女として神殿長に就任したローゼマインは、当然のことながらその役目を果たさなければなりません。例えば収穫祭です。手はじめに赴いたハッセの町で、前神殿長に取り入りやりたい放題だった町長に対抗し、虐待され売られようとしていた孤児たちを小神殿に保護します。町長派は農民たちを唆し、小神殿を襲撃させますが、守りの魔法が効いていたために襲撃は失敗、逆に領主への叛逆の罪に問われることになります。

城の中では、領主の長男でわがままに育ったウィルフリートと一日だけ役割を交代することで、結果的にはウィルフリートとその側近たちの自覚と反省を促し、廃嫡の危機を救い、養母である領主の妻フロレンツィアに感謝されます。
それにしてもローゼマインの虚弱さは何とかしなければいけないと、神官長フェルディナンドが考えたのが魔力の固化を溶かす薬ユレーヴェの素材収集です。このサポートに加わったのが、エックハルトとユストクス。満月が紫色に光るシュツェーリアの夜に、リュエルの実を収穫しようとして失敗。ローゼマインの強大な魔力は、時に危険であるという神官長の指摘を実感することになります。



孤児の人身売買や反逆者への対応など、この世界の常識と前世の記憶との食い違いに悩みながら、ローゼマインは次第に影響力を強めていきます。その武器になったのが料理であったりカルタやトランプなどの玩具、あるいは聖典絵本であったりするところが、実に興味深いものがあります。登場人物も、城内の人間がだいぶ増えました。神官長を「坊ちゃま」扱いできるリヒャルダの登場は印象的でしたが、今回は間違いなく奇人変人のユストクスが面白い。これが親子だという想定も愉快です。面白いです。

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香月美夜『本好きの下剋上』第三部「領主の養女I」を読む

2018年05月24日 06時04分01秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第三部「領主の養女I」を読みました。他領の貴族と組んで平民の身食いであるマインを売り飛ばそうとした神殿長らに対抗し、貴族への反逆の罪に問われそうになったところを、領主の養女となることで自分と家族を救うこととしたのが前巻までのあらすじでした。

本巻では、上級貴族である騎士団長カルステッドとその夫人エルヴィーラの間の娘ローゼマインとして洗礼を受け、さらに領主ジルヴェスターの養女として披露目を行います。洗礼式の際の祝福返しで示した途方もない魔力の量に貴族たちは驚きますが、なに、その程度はまだ序の口。ローゼマインの本領発揮はこの後です(^o^)/

なにせ、リンスインシャンプーや料理のレシピ、天然酵母に紙作りや印刷技術と、話題には事欠きません。イタリアンレストランで美味しい料理を食べたと思ったらハッセの町で小神殿を作り孤児たちを引き取る話に急転。エルヴィーラの後押しで開催することとなったフェルディナンドのチャリティ・コンサートでは、ガリ版印刷による美麗イラストがご婦人方のハートをわしづかみにするというエピソードも笑えます(^o^)/
このあたりは、完全にアイドル追っかけギャル的感覚の展開で、作者が楽しんで書いているのが見え見えです(^o^)/



ちょっとだけツッコミを入れると、ガリ版印刷のためにヨハンに鉄筆を作ってもらったのはわかりますが、鉄筆と違いガリ版のヤスリ板を作るのってそう簡単ではないはず。このあたり、ガリ版現役世代だった当方は、ヤスリ版にも用途に適した種類があったこと、斜Cや方Bなどの種類があったことが書かれてないぞと、自慢げにツッコミを入れたくなるところですね~(^o^)/



孤児院の天使ヴィルマが使うヤスリ版は、文字用の斜Cではなく、おそらく絵画用か方Bあたりが適するだろうし、鉄筆もふつうの鉄筆のほかに、つぶし用の平らなものが必要になるはず。ガリ版で研究発表用の資料を作り、文章と図版を切った経験豊富な中高生時代を送った元・科学少年は、「ガリ版」という言葉にピピっと反応してしまいます。

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香月美夜『本好きの下克上』第二部「神殿の巫女見習いIV」を読む

2018年04月05日 06時05分21秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下克上』第二部「神殿の巫女見習いIV」を読みました。この巻は、要するに神殿長が他領の貴族と組んでマインの身柄を確保しようとするけれど、マインが魔力で対抗したために貴族への反逆の罪に問われそうになるところを、家族の安全と引き換えに領主の養女となる話です。第三部で活躍の場が領地内に広がる前提となるだけに、下克上がどんな犠牲を払うのかがポイントでしょうか。



マインの弟カミルが誕生し神殿に戻ると、身食いの捨て子が報告されます。ディルクと名付け、神殿長の回し者である側仕えのデリアが、ヴィルマと交代で世話をすることになりますが、天涯孤独のデリアが初めて得た愛情を注げる存在であるだけに、裏切りの要因になってしまいます。

インク研究に没頭するハイディの協力で、新しい色インクの開発に成功し、さらにロウ原紙の開発にチャレンジしている時に、突然、他領の貴族ビンデバルト伯爵の配下の襲撃を受け、父とともに神殿に避難したのでしたが、そこには便りの神官長フェルディナンドの姿はなく、神殿長とビンデバルト伯爵の姿があったのでした。

護衛役の下級騎士ダームエルと兵士である父ギュンター、それに神殿における筆頭側仕えであるフランがマインを守るために奮闘しますが、上級貴族であるビンデバルト伯爵にはかなわない。ついにマインと伯爵の魔力対決になるところに、神官長フェルディナンドが登場お、さらにヘンな青色神官だと思っていたジルヴェスターも登場、第二部のクライマックスとなります!



「決別」の章の祝福の力は、今後のマインの行き先を指し示すものでしょう。エピローグの様々なサイドストーリーは、この物語の多面性を示す興味深いもので、他者視点の有効性を感じます。

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香月美夜『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習いIII」を読む

2018年01月20日 06時04分34秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習いIII」を読みました。神殿長に忌避されながらも、孤児院に印刷工房を作り孤児たちに仕事と食物を与え、騎士団の要請に応えて魔木トロンベに荒らされた土地を癒した強大な魔力を見せた幼女マインは、印刷インクと金属活字を完成させ、印刷業という新しい産業の萌芽を作り出します。これに注目したのがジルヴェスターという謎の(^o^;)青色神官で、この人のやりたい放題の自由さは、さすがの神官長フェルディナンドも頭痛がするレベル。
インク協会との契約の際にちらりと見せた他所の貴族が絡む不穏な動きが底流にあり、次巻ではそれが表に出てくることになるのでしょう。



ところで、フェシュピールという楽器は、イラストで見る限り琵琶かリュートとハープが合体したような多弦の撥弦楽器みたいです。音色もおそらくリュートのようなものなのでしょう。この楽器を得意とする灰色巫女ロジーナの、音楽を至上の価値とする割り切り方はむしろすがすがしいほどで、たぶん作者の周囲にいた音大生か、音大志望の同級生をモデルにしたのかもしれません。また、子供用聖典絵本やカルタなど、幼児教育の知育教材みたいなのが次々と出てくるあたりは、たぶん作者の子育て経験の反映なのでしょう。
ジルヴェスターといいフェルディナンドといい、貴族たちの人物造形は実に個性的です。次巻が楽しみです。

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香月美夜『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習い」第2巻を読む

2017年12月27日 06時03分24秒 | -香月美夜
孤児院の改革で孤児たちに仕事と食事を与えたマインは、灰色神官をも味方につけ、少しずつ神殿の暮らしになじんでいきます。絵本作りには絵師が必要と、絵の上手な灰色巫女のヴィルマを側仕えに希望したら、神官長には音楽教師としてロジーナもつけられてしまいます。ベンノが作るイタリアン・レストランの準備を進めながら、同時進行で聖典絵本に必要なインク作りに着手、油性インクを作り出すことに成功します。ところが、聖典絵本の原稿を読んだ神官長は、幼女には考えられないほどの文章力に驚き、どこで教育を受けたのかと疑いの目で見られることになってしまいます。

紙作りや本作りは順調でも、神殿内の立場は必ずしも順調とはいきません。神殿長派の青色神官が図書室を荒らしたり、嫌がらせが起こります。怒っていきり立つマインは、神官長の「片付ける事さえできない」という言葉に反応、「マイン十進分類法」で片付け整理してしまいます。見た目幼女が知っている十進分類法は神官長には全く心当たりがなく、疑惑はさらに深まります。
魔力の奉納のため、冬季間は神殿にこもるように神官長に言われたマインは、冬支度の準備に努めますが、その経費として、子供向けの聖典絵本を売ることにします。これまでにない印刷技術で作られた植物紙の本。この影響が表面化する前に、騎士団からの要請が届きます。

騎士団からの要請とは、魔木トロンベを倒した後の土地に魔力を回復させること。トロンベのスゴさも破天荒ですが、それを倒した神官長の強さもすごいし、荒廃をみるみる復活させたマインの力も実に規格外です。当然のことながら、幼女でこれだけの魔力を持つマインが成人したらどうなるのか、危険性を判断するために神官長はマインの記憶を覗きます。現代人の生活を覗き見た神官長は、さぞやびっくりしたことでしょう!



この巻は「魔力の本格デビューの巻」みたいなもので、ファンタジーの世界が一気に開けます。シキコーザという「嫌な奴」は、さしずめ光を際立たせる暗背景を作る役割のようで、ダームエルは狂言回しのような存在でしょうか。

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