電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

G-knockに移植したSignoRT1のBB芯がいよいよ最後に近づいた

2017年07月28日 06時07分16秒 | 手帳文具書斎
クリップが折れたために、SignoRT1からG-knock軸に移植(*1)していたBB(ブルーブラック)芯が、いよいよ最後に近づいて来ました。目視で確認すると、インク残量はあと1mm余り。どうやら時間の問題となったようです。

PowerTankボールペンの場合は、ほんとうに唐突にストンとかけなくなります(*2)が、SignoRT1の場合はどんなふうになるのか、興味津々です。こんな風に「使いきり方」に興味を持つのは、気に入った証拠です。Jetstream の黒、青、赤とPowerTankの黒、赤に加えて、Sarasa と SignoRT1 のブルーブラックが、お気に入りボールペンとなっています。

(*1):三菱シグノSignoRT1のクリップが折れた~「電網郊外散歩道」2017年3月
(*2):何度も書いていますが~パワータンクを使い切る時の見事さ~「電網郊外散歩道」2014年3月

コメント

加藤浩子『ヴェルディ~オペラ変革者の素顔と作品』を読む

2017年07月27日 06時04分01秒 | -ノンフィクション
平凡社新書で、加藤浩子著『ヴェルディ~オペラ変革者の素顔と作品』を読みました。老母の入院手続きや検査などでやけに待ち時間がありますので、手頃なサイズの未読の本を物色していたところ、2013年5月に新刊で購入したままだったこの本(*1)が目についた次第。初版第1刷です。

著者の本については、これまでも何冊か読んでおり、とくに『黄金の翼=ジュゼッペ・ヴェルディ』(東京書籍)はおもしろく読みましたし、辞書代わりに便利に使っている面もあります。さて、今回の本はどうか。

本書の構成は、次のようになっています。

序章 ヴェルディ、その「完璧」なる人生
第一部 人間として 作曲家として
 第1章 宿屋の息子~家計と家族
 第2章 人生の同志~二番目の妻ジュゼッピーナ・ストレッポーニ
 第3章 事業への意欲~農場主ヴェルディ
 第4章 「憩いの家」と病院の建設~慈善家ヴェルディ
 第5章 「建国の父」という神話から祖国統一運動とヴェルディ
 第6章 「泣けるオペラ」の創造~作曲家ヴェルディ
 第7章 作曲家の覇権の確立~劇場人ヴェルディ
第二部 現代に生きるヴェルディ
 第8章 ヴェルディ上演の現在
 第9章 今聴きたいヴェルディ歌手・指揮者
 第10章 イタリア人名演奏家・芸術監督、ヴェルディを語る
第三部 ヴェルディ全オペラ作品
 第11章 群衆ドラマと心理劇の間で~前期作品
 第12章 メロディとドラマの融合~中期作品
 第13章 壮大なる葛藤~後期作品
 第14章 シェイクスピアが開いた新しい道~晩期作品
 第15章 オペラ以外の代表的作品

本書は、政治とヴェルディにまつわる「神話」を解きほぐし、人間ヴェルディの苦難と成長、音楽と作曲家としての成長、劇場人としての成功と事業家としての面などを記述しながら、主要作品の魅力と現代における上演・演奏の現状を紹介したものです。新書というコンパクトな形態ではありますが、内容はぎっしりとつまっており、読みごたえがあります。何よりも、ヴェルディ愛があふれています(^o^)/



ちなみに、私がこれまでテレビ放送やLD/DVD等で複数回観た(聴いた)ヴェルディのオペラ作品は、著者の区分に従えば、次のようになっています。

  • 前期作品……「エルナーニ」
  • 中期作品……「ルイザ・ミラー」「リゴレット」「ラ・トラヴィアータ」
  • 後期作品……「シモン・ボッカネグラ」「仮面舞踏会」「ドン・カルロ」「アイーダ」
  • 晩期作品……「オテロ」

ふーむ。そういえば、まだ「ファルスタッフ」は観たことがありませんし、まだまだ楽しみは尽きないということか。一番好きな作品はといえばやっぱり「ドン・カルロ」ですが、楽しんだ回数からいえば「トラヴィアータ」かもしれません。今、たっぷり時間があるならば、「シモン・ボッカネグラ」あたりを取り出したいところです。

(*1):今度の通勤ルートには〜「電網郊外散歩道」2013年5月

コメント

老母、一般病室に戻る

2017年07月26日 06時02分36秒 | 健康
大動脈弁狭窄症との診断を受け、仙台市内の某病院で経カテーテル大動脈弁治療を行った老母は、カテーテル経由で生体弁を留置して動作も良好のようで、一晩集中治療室にお世話になりましたが、このほど一般病室に戻ることができました。

初めて歩いてみたけれど、息切れもしなかったとのことで、喜んでおりました。見た目も手術後のわりに元気そうで、意外なほどの回復ぶりです。この分だと、術後の経過しだい、リハビリ次第ではありますが、日常生活に復帰できるのは予想よりも早そうです。



ところで、連日の仙台市往復ですが、野次馬根性で興味深い観察も行っております。某病院の集中治療室の看護師さんが使っていた筆記具は、三菱のジェットストリームの4色とパイロットのフリクションボールのようでした。白衣のポケットに小型ノートとボールペンを入れており、それぞれ何を記入しているものか、実は興味津々です。おそらく、手術室や集中治療室で万年筆は似合わない(^o^)/

コメント (2)

リアルタイムに見る経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)に感動する

2017年07月25日 06時05分37秒 | 健康
昨日は、早朝から仙台市に移動し、老母の大動脈弁狭窄症の治療のための経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)に立ち会いました。朝から絶食している老母が、手術着に着替えて手術室に移動すると、家族は控室のモニターで映像を観ることができます。もちろん、手術の生々しい場面はありませんで、カテーテルが挿入され、弁が送り込まれ、バルーンが開き、といった過程をX線透視画像で観ることができるというものです。写真は、まさにそのバルーンが開いている場面。決定的瞬間です。王冠のようなところに石灰化して開かなくなっていた大動脈弁があり、それがエアーの圧力で開いたところのようで、ここに生体弁を留置することになります。

しかし、すごいものです。大動脈を経由してファイバーを送り込み、これを「導きの糸」としてチューブを通し、その中をバルーンや弁を送り込むというのですから、すごい! 思わず感動してしまいます。おそらく、肉眼やX線では見えない心臓の弁の位置を、超音波など各種センサーの情報を併用して、三次元の座標をコンピュータ処理して特定しているのでしょう。まさに、昔ならありえなかった技術だろうと思います。

さて、本日は出勤していくつか懸案を処理して……。かなり溜まっているだろうなあ(^o^;)>
やれやれ。

コメント (2)

久しぶりに仙台市内の道路を走る

2017年07月24日 06時03分28秒 | 散歩・外出・旅行
老母の入院の関係で、久しぶりに仙台市北部の道路を走りました。近年は仙台駅周辺を走る機会は何度かありましたが、大学病院付近~八幡町方面を走るのは久しぶりです。旧市電のルートはこんな風だったかと少々驚きながら走りました。

専門医に紹介されて老母が入院した某病院は、年間の心臓カテーテル手術数がたいへん多く、全国有数の専門病院の一つらしい。車で行く場合、入り口は左折では入れずに右折で入るようになっています! びっくりです。このあたりは都会に立地する病院の宿命でしょう。大きな無料駐車場が常識になっている山形の病院とはだいぶ違いがあります。それはともかく、昔馴染みの道路のはずですが、考えてみれば40年以上前の話なのですね~。浦島太郎になっても不思議ではないのに、スムーズに走れることにむしろ驚くべきでしょう。



さて、今日は老母の手術の予定。立会いのために、休みを取って早々に仙台に向けて出発です。本人は、「充分に生きたのでたんに延命するだけの処置は望まない」そうですが、お医者さんの説明に可能性を感じている模様。うまくいくことを願っています。

コメント (4)

「農作業メモ」ノートの更新を準備する

2017年07月23日 06時05分25秒 | 手帳文具書斎
亡父より果樹園農業を受け継いではや9年、いろいろな知識やノウハウ、データをA6判のダブルリングノートに記録して来ました。最初は「週末農業メモ」(*1)としておりましたが、最近は単純に「農作業メモ」(*2,*3)としております。三冊目が残り10枚ほどになりましたので、早々と次のノートの候補を購入して来ました。ダブルリングノート・タイプが3種、無線綴じが1種類です。お値段は、いつもの行きつけの文具店の割引価格です。


  • コクヨ キャンパスノート A罫 50枚 A6判 ダブルリングタイプ (128円)
  • コクヨ gracieux A罫 50枚 A6判 ダブルリングタイプ (123円)
  • コクヨ inspiracion B罫 50枚 A6判 ダブルリングタイプ (233円)
  • コクヨ キャンパスノート B罫 56枚 A6判 無線綴じ (113円)

これがA罫タイプ。

そしてB罫タイプの2種。

どうも、こうして並べて比較して見ると、ふつうの標準的なキャンパスノートが一番上質に見えるから不思議です。

表紙をカラフルに可愛くしたり、ミシン目を入れてカットしやすくしたり、あるいはポケットをつけたりと使いやすく工夫した分だけ、他のところにしわ寄せがいき、肝心の紙質などに疑問を持ってしまうものもあったりして。こういう小型ノートでは、コストという条件はとても大きいようです。

(*1):ノートとして見た「週末農業メモ」~「電網郊外散歩道」2012年6月
(*2):「農作業メモ」ノートの二冊目が残り少なく~「電網郊外散歩道」2015年5月
(*3):農作業メモと備忘録ノートを相次いで更新する~「電網郊外散歩道」2015年6月

コメント (2)

アタシのお気に入りの場所

2017年07月22日 06時11分04秒 | アホ猫
昨日は、ご主人と奥さんがおばあちゃんを連れて仙台市の病院へ行ってしまったものだから、アタシたちがお留守番をすることになったの。エサはおいて行ってくれたし、田舎のお家なもんで出入りは自由だから、新鮮な井戸水を飲むこともできるんだけど、閉めきった家の中はもう暑くて暑くて! しかたがないから、外の作業小屋に日陰で涼んでいたけど、まるで野良猫みたいで、アタシの家猫のプライドが傷ついたわ!

でも、おばあちゃんは無事入院して、月曜日の朝一番に手術ができることになったそうよ。病院は心臓にカテーテルを入れて詰まっているところに新しい弁を置いてくる手術をたくさんしているところだそうで、ご主人たちはお医者さんの連携プレーのおかげだと感謝していたわ。ふーん。ふだんはいろいろとメンドクサイ人間たちも、たまには素早い行動ができるのね。見なおしたわ。

ところで、ここはアタシのお気に入りの場所なの。北側の窓から風が入って涼しいし、まるで天蓋つきのお姫様のベッドみたいじゃない?アタシにぴったりだわね。

コメント

老母の診断結果と再入院のこと

2017年07月21日 06時01分12秒 | 健康
足のむくみが発端となり、息切れや疲れやすさ、動悸と冷や汗などの症状で、急に調子が悪くなった老母は、うっ血性心不全という仮の診断で入院し、精密検査をしていましたが、詳しい検査結果により、大動脈弁狭窄症という確定診断となりました。この病気は、無症状での経過時間が長く、症状が現れると急速に弱り、二年以内に命を落とすという調査結果があるそうです。老母の場合はまさにこれで、超音波による画像を見ると、左心室から左心房に拍出する大動脈弁が石灰化し、開口面積が0.3cm2しかない状態だそうです。これでは、血液を送り出すポンプの負担が大きく、心筋もだいぶ弱っているそうで、心音では判断がつきにくい状態になっていた、とのことでした。また、動画で心臓の拍動がリアルに見えることや、カラーで色付けられて僧帽弁から逆流が認められることなど、様々な情報がえられることに驚きました。画像診断技術の進歩はすごいものです。

また、血流速の最大値が4mということから、経過観察や内科的治療の段階ではなく、さりとて90歳という年齢や現在の体力・健康状態からみて、外科的治療が適用できるわけもなく、経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)の方向で進むこととなりました。太股の付け根からカテーテルを挿入し、心臓の大動脈弁の位置に到達したら、バルーンを膨らませて生体弁を留置し、カテーテルを抜き取る、という処置だそうです。担当医が説明してくれた内容はたいへん明快でわかりやすく、老母本人も納得しておりました。

もちろん、石灰化した弁が開くときに反動で心内部を傷つけ出血する場合があるなど、それなりにリスクはあるようですが、老母のデータを見るとかなり重症の段階だそうで、悠長に待っていられる状況にはないらしく、仙台市の某病院に紹介状を書いてもらい、急遽、本日入院のはこびとなりました。このあたりの手配はたいへん迅速丁寧で、担当の先生に感謝しているところです。

そんなわけで、本日は仙台行きとなります。買い物でお出かけするならうれしいけれど、入院のために仙台行きとなるのは、あまりうれしくはありません。ですが、これまでの経過は、お医者さんの職業的良心のありがたさを痛感するものです。感謝しながら運転して行きたいと思います。

【追補】
お医者さんの説明によれば、今はバルーンを膨らませなくても大丈夫になっているそうです。

コメント (2)

セカンドバッグ通勤スタイルを書類カバン通勤スタイルに変更してみた

2017年07月20日 06時04分50秒 | 散歩・外出・旅行
外出時も通勤時も、帆布のセカンドバッグにシステム手帳やペンケース、備忘録ノート、老眼鏡と携帯電話、デジタルカメラ等を入れて出かけるスタイルをやめて、書類カバンにもどしてみました。たしか、いろいろな小物をゴチャゴチャと書類カバンに入れるのがいやで、コンパクトな肩掛けセカンドバッグにしたのでしたが、例えばバッグインバッグを使って雑多な小物をひとまとめにして収めれば、なんとかカバンの中は整理することができます。今のところ、これでオーケーです。お弁当はお弁当袋に入れて持ち運ぶので、問題なし。むしろ、今までA4判の書類でもわざわざ二つ折りにしてA5サイズで持ち運んでいましたが、もともとのA4サイズのまま、フォルダに入れて持ち運ぶことができます。これは、案外ありがたい。



もう一つ、システム手帳と財布の問題があります。夏場に上着を使わないために、財布を持つのが難しい面があります。では、バッグに財布を入れるのが良いかというと、これもバッグの奥底からは取り出しにくいため、なかなか不便なものがあり、結局は札入れもシステム手帳に一本化してきました。しかし、この問題、実はバッグの大きさと内部の間仕切りの数と形状によるのではないかと感じた次第。帆布のセカンドバッグは小型でシステム手帳がやや窮屈に感じるのと、間仕切りが少なく財布や小銭入れなどを分けて入れることができないための不便さではないか。むしろ、書類カバンの機能を再検討し、ポケットや間仕切りが豊富なタイプを使えばよいのではないか、と考えるようになりました。この点は、今後の課題です。

コメント

寝苦しい夜と朝の涼しさ

2017年07月19日 06時02分21秒 | 季節と行事
気温も湿度も高く、モワッと寝苦しい夜には、いくら寝ても寝足りないような気分になります。ところが、当地の早朝の涼しさは格別。二階の窓を少し開けて寝ていると、ひんやりとした風が静かに入って来て、実に快いものです。寒暖の差は内陸部の盆地に特有の気候ではありますが、終日あの暑苦しさ、蒸し暑さでは参ってしまうけれど、早朝の涼しさで生き返ります。



そういえば、亡父は早朝から朝仕事をしていたなあ。そして日中はぐうぐう昼寝をしていた。あの生活スタイルは、ちょいとうらやましいものがあります。写真は、収穫時期を逸し、樹上完熟となっているスモモです。やっぱり週末農家にはサクランボとスモモを両方やろうというのは無理があるみたいです(^o^;)>

県内各地に集中豪雨の警報が出ているようです。被害が少ないことを祈りますが、同時に例年どおりの気候であれば梅雨明けも近いのではないかと感じます。

コメント (2)

万年筆インクの耐水性をほとんど問題にしない理由〜私の場合

2017年07月18日 06時03分16秒 | 手帳文具書斎
万年筆に使うインクについて、これまでの記事では耐水性をほとんど問題にしてきませんでした。これは、次のような理由によります。

  • 水に濡れる可能性のある場面では万年筆を使わない
  • 葉書や封書の宛名は古典ブルーブラックで書くので、雨に濡れても流れにくい
  • 雨天時にも開く必要がある農作業メモ帳は、「全天候型」ボールペン、パワータンクで書いている

そもそも、万年筆を使う場面は、主として備忘録ノートをはじめとするノート筆記用です。ここでは、耐水性を問題にするような要素はほぼありません。万が一、お茶とかコーヒーとかをこぼした場合でも、プラチナ古典ブルーブラックならばまずは耐水性の面での心配はありません。むしろ、ノートを使い続けるのに難があるような状態では、筆記具以前の問題でしょう。

コメント

アンコールで聴いた武満徹編「枯葉」を探して

2017年07月17日 09時19分15秒 | -室内楽
世間は三連休ですが、当方はスケジュールいっぱいで、とても三連休どころではありません。土曜日は勤務後に老母退院と演奏会、日曜日は早朝から草刈りをしてご近所の親族の一周忌、午後は少し休めましたが、月曜の今日は、朝の涼しいうちにと思って桃の防除作業を簡単に済ませ、初めての休日らしい休日となりました。

そういえば、先日の山形弦楽四重奏団の第64回定期のアンコールで聴いたジョゼフ・コスマのシャンソンで、武満徹編曲による「枯葉」は良かったなあ。YouTube あたりで出ていないのだろうか?と思って探してみたら、ありました。

Ebene Quartet - Autumn Leaves 枯葉


うーむ、これは朝の雰囲気ではないけれど、まあいいでしょう。思い出した時にぱっと聴けるように、これも備忘メモの一つです(^o^)/

ついでに、他の「枯葉」演奏も探してみました。まずはギター・ソロで。

Autumn Leaves - Yenne Lee plays 2004 Pepe Romero Jr.


もう一つ、チック・コリアとボビー・マクファーリンの即興による掛け合いが楽しい。

Chick Corea acoustic band & Bobby McFerrin "Autumn Leaves"


ほんとに、休日を実感しますです(^o^)/

コメント

山形弦楽四重奏団第64回定期演奏会でシューベルト、ハイドン、メンデルスゾーンを聴く

2017年07月16日 21時22分04秒 | -室内楽
蒸し暑い夏の土曜日は、出勤して仕事をこなした後で、老母が退院して自宅で一服しているのを確認し、とんぼ返りして夕方からは文翔館議場ホールに出かけ、山形弦楽四重奏団の第64回定期演奏会を聴きました。

プレコンサートは、山形大学の2年生、松井陽菜代(Vn)、平山燎(Vla)の二人によるハイドンの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第3番」でした。出演する若い学生さんも、卒業などで少しずつ交代しているようですが、演奏のほうは着実に進歩しているようで、こういう定期的な演奏機会があるのは良いことなのかもしれません。

開演前のプレコンサートトークは、1st-Vnの中島光之さん。相変わらず流暢かつ明快な解説です。古典派とロマン派について軽く触れた後で、本日の曲目を紹介します。

  1. シューベルト 弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68
  2. ハイドン 弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2
  3. メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3

シューベルト家の合奏でヴァイオリンを二人の兄、チェロを父、ヴィオラをシューベルトが担当し、10代のシューベルトが作曲した曲を演奏していたのだそうな。ハイドンは功成り名遂げた後の作品で、音楽を分かち合う喜び、幸福感が感じられるとのこと。メンデルスゾーンも、29歳、指揮するライプツィヒのオーケストラも立派なもので、充実の時期です。そうか、今回のテーマは「音楽を共有する喜び」でしょうか。

1曲め:シューベルト「弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68」。第1楽章:アレグロ・マエストーゾ、第2楽章:アレグロ、という二楽章の曲です。16歳のシューベルトが家族のために作った曲だそうですが、けっこう力の入った音楽です。

第2曲め:ハイドンの「弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2」、「雲が行くまで待とう」という別名のある曲だそうですが、良い曲だ〜! 第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:メヌエット、プレスト、第3楽章:アンダンテ、第4楽章:フィナーレ、ヴィヴァーチェ・アッサイ。たしかに、演奏の喜びを感じます。



15分の休憩の後は、メンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3」。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。手持ちのCDで通勤の音楽として聴いていたときは、なんだかくぐもった響きの地味な曲だな〜と思っていたのでしたが、実際に演奏を聴いてみたら全然ちがいました。第2楽章:はやいスケルツォ、ピツィカートで終わります。第3楽章:アダージョ・ノン・トロッポ。優しい緩徐楽章には、憂愁の表情も加わります。第4楽章:モルト・アレグロ・コン・フォーコ。思わず身を乗り出して聴いてしまうような音楽、演奏でした。

聴衆の拍手に応えて、アンコールはシャンソンの名曲を武満徹の編曲で、と紹介されました。何の曲だろうと興味津々で聴いてみたら、途中から「枯葉」のメロディが出てきて、ああ、なるほど〜。現代の響きを含みながらも濃厚なロマンティシズムをたたえた名編曲、演奏でした。忙しい一日のおわりに、退院したばかりの老母を置いて一人だけ出てきたのでしたが、無理に出向いた価値のある演奏会でした。

コメント (4)

東北帝大を卒業した黒田チカのその後と理研

2017年07月15日 06時05分56秒 | 歴史技術科学
帝国大学初の女子学生となった三人の一人、黒田チカの生涯は、「黒田チカ 理研」などで検索すると、理化学研究所の広報ページに、YouTube に登録された短編映画にリンクされており、探すことができます。ここでは、黒田チカの生涯と業績、生前の声、考え方などが簡潔に紹介されています。佐賀に生まれた明治の民権派藩士の娘が、父母の理解を得て教育を受け、化学者として成長していったこと、途中、女子排斥運動だとか不愉快なことも少なくなかったことでしょうが、1916(大正5)年に東北帝国大学を卒業、日本初の理学士となります。真島利行が結晶化に成功した紫根の色素について、副手として構造研究をつづけ、東京化学会(現在の日本化学会)で『紫根の色素について』発表を行いますが、これは日本初の女性理学士による発表でした。

その後、1921(大正10)年に文部省外国留学生として英国オックスフォード大学へ留学しますが、その時の研究テーマには、「家事」の語を入れなければならなかったそうです。天然物色素の分子構造を決定しようとする研究者に対して、「家事」の語を入れなければ留学を認めないとは、いかにも帝国大学に女子の受験を認めようとしなかった、当時の文部省らしい対応ではありますが、留学期間を終えて、黒田チカは1923(大正12)年に米国経由で帰国します。帰国後は東京女高師で講義をするとともに、恩師・真島利行によって理研への道が開かれます。

当時の理研(理化学研究所)は、1917(大正6)年に創立された我が国の有数の研究機関であり、初代総裁が渋沢栄一、初代所長が菊池大麓でした。1921(大正10)年に、第三代所長に就任した大河内正敏により大きな改革を受け、研究者の自由な楽園と言われる理研の伝統が開始されます。1922(大正11)年に主任研究員制度が発足し、研究室を持っていた真島利行のもとで、黒田チカは紅花の色素の構造研究を行います。現代のようなNMRなどの機器分析の手段を持たない時代に、地道に実験を積み重ね、ベニバナの色素カーサミンのほぼ正確な構造決定に成功します。その業績から1929(昭和4)年に学位を受け、女性として2人目の理学博士となります。戦後は、東京女子高等師範学校を前身とするお茶の水女子大学の教授をつとめ、タマネギの成分ケルセチンの血圧降下作用を発見するなど、「物に親しむ」「物に語らせる」ことを一貫して追求しながら、後進の指導にもあたりました。



真島利行と黒田チカの師弟を通じて、側面から理研(理化学研究所)の成立と初期の発展の様子を簡単に眺めましたが、明治の実験室と研究・教育システムの移植の時期を過ぎて、大正期に科学研究の自立が進み、世界に伍したレベルの研究が行われるようになっていたこと、大学以外の専門研究機関が成立したことを示しています。また、「研究に男女差はない」とする理研の戦前からの伝統が生まれたきっかけは、やはり黒田チカらの実績によるところが大きい(*)と思われます。

(*):この点については、のちにSTAP細胞をめぐる一連の事件が起こりますが、このあたりは「再現が可能」で「検証可能」であることを求められる実験科学の根本が満たされないだけでなく、「実験ノートに記録がない」という時点で、お粗末な結末が予想できるものでした。

コメント

Preppyの累計販売本数1,000万本達成に思う

2017年07月14日 06時02分24秒 | 手帳文具書斎
プラチナ万年筆(株)のプレスリリースによれば、Preppy万年筆の累計販売本数が1,000万本を達成(*1)したとのことです。発売以来10年を経て、デザインを一新してリニューアル新発売なのだとか。200円から300円へ、少しだけ値上げもあるようですが(^o^;)>poripori

Preppy万年筆は、販売元の表記によれば実は「プレピー」なのだそうですが、当ブログでは最初の時点で「プレッピー」と表記してしまいましたので、検索時のあいまいさを防ぐために、「プレッピー」で一貫しております。当方がこの廉価万年筆を初めて購入したのは、2011年の12月(*2)でした。

当初は、素材のプラスチックがあまりにもチープすぎると感じて、いまひとつ感心しませんでしたが、プラチナ社の古典ブルーブラック・インクを試筆するに及んで、このインクの「裏抜けしにくい」という美質を実感し、現在まで主力インクの座を確保するに至りました。モンブランの「マイスターシュテュック149」にもこのインクを使っていますが、最初のきっかけはまさにプレッピー万年筆でした。インクを入れたまま放置してもしばらくは大丈夫ですので、細字と中字を計三本も愛用しています。



個人的には、1本200円の万年筆という驚きとともに、安くてもしっかりと実用性があることにもびっくりしました。開発・販売側から見れば、乾燥しにくいという特性が同社の高級万年筆にも波及して、スリップシール機構という仕組みを生み出したことも大きな功績でしょう。社会的には、万年筆という筆記具への再注目と回帰をもたらした功績が、一番大きいかもしれません。

(*1):Preppy累計販売1000万本達成〜プラチナ万年筆プレスリリース
(*2):文具店と書店探訪の成果は~「電網郊外散歩道」2011年12月

コメント