私は1983年に8ビットのPC8001でパーソナル・コンピュータに接し、当初はBASICで表集計ソフトを自作して仕事に使っていました。しばらくして16ビットのコンピュータが普及すると共に、MS-DOS上のビジネス・アプリケーション・ソフトウェアが普及し始め、MS-Multiplan や Lotus1-2-3 に接し、入力したデータを訂正すると集計結果が自動的に再計算されることと、関数がコピーできることに驚き、自作ソフトの時代は終わったと痛感しました。
Multiplan の画面 (Wikipedia より)
Lotus1-2-3 の画面 (Wikipedia より)
転勤もあり、それから様々な表計算ソフトを使いました。仕事で使っていた Multiplan、Lotus1-2-3 は優れたソフトウェアでしたが、同時にたいへん高価な製品でもありました。個人的には比較的安価なものとして、MS-WORKS やアシストカルク(20/20)などを愛用しました。Windows95 の普及と共に仕事では Excel に移行し、個人的には OpenOffice を経て LibreOffice の Calc を愛用しました。そうした様々な表計算を使うために、各表計算ソフトに共通な点を「表計算の共通性」として重視し、若干の違いを押さえれば使い分けることができると感じました。例えばセルの表記を例に取ると、Multiplan の場合は2行4列目のセルは R2C4 と表記しますが、他の場合は D2 となります。したがって、B2セルからF2セルまでの合計は、
- Multiplan =sum(R2C2:R2C6)
- Lotus1-2-3 @sum(b2..f2)
- Excel =sum(b2:f2)
- LibreOffice Calc =sum(b2;f2)
という具合になります。Excel と LibreOffice Calc は、もともと異なるソフトウェアなのですから、違うのが当然なわけですが、他の表記と比較すればコロン(:)がセミコロン(;)になるだけで、むしろかなり近いと言えそうです。様々な関数名は、同じMS社の製品でも Excel と WORKS では違うほどですので、結局は関数名一覧などで調べる必要がありますが、ほとんど同じような書式で対応可能です。むしろ、「表計算ではこういうことができる」という共通性の理解が重要ではないかと思っています。
定年退職前も父の農業所得の確定申告をパソコンでやっていましたが、当初は MS-WORKS の表計算で、後には OpenOffice の Calc、さらに LibreOffice Calc で行うようになりました。現在も同様に LibreOffice Calc 上で作成したワークシートをもとに、毎年申告しています。様々な数値を書式にしたがい入力すると、申告税額が計算される仕組みです。税の計算の仕方はときどき変更されますが、自作のワークシートですので一部の手直しで充分に対応できるのが市販ソフトにはない長所です。
そのほかに、退職後に表計算を利用して行っていることとしては、
- サクランボ、桃など果樹の出荷記録 日付、規格、数量、価格、箱単価など
- 過去の気象データ特に降水量の分析 防除や収穫の開始時期と終了時期の判断など
- 国勢調査を元にした人口推移の分析 地域行事の担い手世代がどう増減していくか
- 殺菌剤、殺虫剤等の農薬在庫管理 在庫点検と発注
- 総代をしている寺の檀信徒名簿等 総会資料など
- 小中学校の同窓生名簿等 還暦・古希など同窓会用
- 万年筆インク補給記録、車の燃料消費率、父母の葬儀関連決算等
などでしょうか。細かな用途にちょこちょこと使っていますが、表の形で整理できる場合には表計算は大変便利です。数値を変えてみるとどうなるかなど、いろいろ考えるのに表計算は役立ちます。それは退職前も退職後も変わりません。
国勢調査の結果による世代別人口の推移(総務省のデータより作成)
インク補給記録(そろそろ万年筆のインク残量を点検しなければ。)