電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

鮫島有美子『歌の翼に』を読む

2009年07月31日 06時20分45秒 | 読書
夏の夜、ソプラノ歌手・鮫島有美子さんの著書『歌の翼に』を読みました。著者紹介を見るかぎり、ほぼ同世代と言ってよい年代でしょう。デジタル録音の初期に、ランパル(Fl)とラスキーヌ(Hrp)の「日本のメロディー」とともに、鮫島さんの「日本のうた」は、日本コロムビア・クラシックの代表作だったように記憶しています。その録音のさいのエピソードも紹介されており、直前に怪我をして移動に車椅子を用意したほどだったとか。若さと気持ちの張りが支えた録音セッションだったのでしょう。
当時の録音スタッフの一人、結城亨氏が記した回想記を、ネット上で読む(*1)ことができますが、本書はまた格別。ご本人の留学から結婚、録音のことや、ドイツでの生活ぶり、ウルム劇場との契約など、ソプラノ歌手らしく上品な語り口ながら、少々「天然」の混じったような記述(^o^;)は、なかなか興味深いものです。

(*1):結城亨氏の回想~伴奏のヘルムート・ドイチュ氏の役割の大きさ。
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暑中お見舞申し上げます

2009年07月30日 06時28分15秒 | 季節と行事
なかなか梅雨が明けず、不順な天候が続いておりますが、皆様の御健康をお祈り申し上げます。わが家のアホ猫は、長毛種の末裔と思われるだけに、猛暑の夏を大の苦手としております。このような寝姿ではなはだ失礼とは存じますが、なにぶんにもネコ族には毛皮着用のフォーマルウェアしかなく、人間様のような、クールビズなどという便利な取り決めはございません。この段、あしからず御理解のほど、お願いを申し上げます。




--- 平成21年7月 「電網郊外散歩道」 narkejp ---
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佐伯泰英『紅花ノ邨~居眠り磐音江戸双紙(26)』を読む~ご当地愛読者の視点

2009年07月29日 05時38分36秒 | -佐伯泰英
西の丸の徳川家世嗣・家基を狙う乱波集団を撃退した前巻に続き、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第26巻、『紅花ノ邨』を読みました。本巻の舞台は、なんと、当方のご当地・山形です。地元の利で、地名にも風景が即座に浮かびます。

第1章「老いた鶯」。三味線職人ですでに名人の呼び声の高い鶴吉が作った作品第1号は、佐々木玲圓の妻にして磐音・おこん夫婦の養母おえいのためのものでした。いいですねぇ、新しい楽器。おえいの端唄も、まんざら素人芸でもない様子。会話の中で磐音が出羽山形に出かけていることが明かされます。この辺の自然な展開はうまいものです。
第2章「夜旅の峠」。今津屋吉右衛門は、出羽山形秋元藩における紅花専売制導入にからむ内紛の情報をすでに掴んでいる様子。磐音らの一行は、福島信夫山付近で、山形城下の紅花商人・奥羽屋徳兵衛の番頭とやらの一行に付け回されます。上方弁の山形商人、どうやら磐音らを幕府の公儀隠密と見たようなのです。もちろん難なく撃退し、羽州街道(*0)は今の宮城県七ヶ宿町あたりから蔵王連峰を越えて山形県上山市に抜ける峠道に入ります。ここを徹夜で歩き通し、山中の敵も撃退、楢下(ならげ)宿から上山(かみのやま)城下に到着(*1)します。現在の上山温泉、今ならば楢下のこんにゃく料理を食べ、利久堂のかりん糖を買って土産にするところですが、徒歩旅行の磐音クンらには、まだ道は遠いようです。


■上山城~ただし季節は冬です。

第3章「花摘む娘」。上山の温泉宿を出発し、山形盆地の南端に、紅花(*2)の畑が広がっている風景を眺めます。残念ながら、現在は、あたり一面が紅花畑という景色は見ることができませんで、山形市高瀬地区や天童市貫津(ぬくづ)地区など、一部地域に栽培農家が点在する(*3)のみです。


■老母が育てている紅花~まだ蕾が多い「半夏一つ咲き」の頃

珍しく奈緒の回想などをはさみながら、山形城下、湯殿山神社近くの最上屋に到着します。江戸末期には東北地方最大の人口を有した山形。はて、湯殿山神社といえば、今も文翔館わきにありますが、あの周辺の旅館といえば、まずは往時350年の歴史を誇った後藤又兵衛旅館(*4)でしょう。バブルの崩壊で廃業して建物は銀行管理下に入り、結局は取り壊されてしまったのがかえすがえす残念でした。作者の想定は、たぶんここでしょう。最上屋の主人に奈緒の幸福を願う所以を語ったことで、上方商人播磨屋三九郎が紅花奉行として登用され、専売制が浮上したいきさつを知ります。検地と免税というアメとムチによって紅花生産農家を切り崩した辣腕は、ついに前田屋の密輸疑惑を捏造し、前田屋を竹矢来で囲い、主を屋敷に押し込めるという暴挙に出たのでした。しかし奈緒は、秘密の紅花文書を握ったまま姿を隠している様子。前田屋と奈緒の運命は、山形・秋元藩の政争と深く絡んでいるようです。
舞台となった長源寺は、同名の寺があります。Googleの地図等で「山形市 長源寺」で検索すれば出てくるはず。七日町の後藤又兵衛旅館のすぐ近所で、老舗割烹千歳館の筋向かい、映画館「ミューズ2」の裏あたり。なるほど、和尚に会ったのはこのあたりですか。でも、磐音クンらはケータイなんて持ってませんからね~。


■文翔館となりの湯殿山神社

第4章「籾蔵辻の変」。江戸では、おこんとおえいの三味線と端唄の師匠に、若い文字きよが通うことに。いっぽう山形では、城下の北の外れ、最上川の畔に庵を構える先の年寄・久保村双葉を訪ねます。おそらく現在の船町あたりでしょうか。最上川の川岸で久保村双葉と会ったことで、山形秋元藩を二分する騒動が始まります。
第5章「半夏一ツ咲き」。前田屋の屋敷に潜入し、拷問を受けていた前田屋内蔵助を救出します。前田屋さんは、生命の希望とともに、磐音の言葉の中から、もう一つの希望も得たことでしょう。そして奈緒の行方の手がかりは、山形行きを勧めたのは磐音の妻おこんであることを了解した清月院の桃李尼によって与えられ、一行は山形から北に十里、大石田(おおいしだ)に向かいます。大石田の土屋紅風のもとへ向かう一行は、羽州街道からややそれて谷地(やち)の里に差し掛かり、追手を確かめますが、谷地の里は最上川の対岸にあり、羽州街道からはかなり離れておりまする(^o^)/
また、山形~天童~羽州街道を荷馬が歩くとありますが、実際は寺津(てらづ)や河北町谷地などの最上川舟運(*5)を通じ、紅花の集積地・大石田に運ばれたものでしょう。このあたり、作者が取材旅行で山形市から河北町谷地の旧堀米家、現在の紅花資料館(*6)あたりを訪れたときの記憶が、紛れ込んだのかもしれません。もっとも、当方は理系の日本史音痴、事実関係は当てになりませんが(^o^)/
さらに楯岡(たておか)の宿を越えますが、楯岡の北のあたり、林崎居合神社(*7)には、現在も林崎甚助重信による林崎無想流の居合術が伝えられております。
磐音らの一行は、ついに大石田に到着。紅葉山水流寺という名前が石段の先の山門に記されていたとあります。さて、石段を有する寺と言えば、現在の向川寺(*8)がモデルでしょうか。ここで播磨屋の番頭・銀蔵を捕らえ、山形の町奉行に急送します。そして、土屋紅風のもとで、紅花の花摘みをしていた奈緒に対しますが、林崎無想流の館野桂太郎との対決の合間に、土屋紅風に紅花文書の所在を伝言し、姿を消してしまいます。山形城下に戻ると、藩を二分した騒動は、紅花文書を手にした前田屋~久保村双葉らの側の勝利に終わり、播磨屋らの策謀は潰えます。

いや~、ご当地山形を舞台にしたエンターテインメント、大いに楽しみました。作者は、何だってまた奈緒さんネタをいつまでも引っ張るのだろう、などという疑問はちらりと感じつつ、女性読者を考えた作戦だろうなどと不届きな解釈をしております。本巻の周辺調査を通じ、「居眠り磐音江戸双紙」シリーズ『紅花ノ邨』現地ツァーをガイドすることもできそうなほどです。紅花の季節に、どこかの旅行社で企画しそうな……って、さすがにそれは無理か(^o^)/

(*0):羽州街道~Wikipediaの記述
(*1):現在の上山城は、お城の姿をした博物館です。
(*2):半夏前の一ツ咲き~天童温泉湯元・松の湯のブログより
(*3):紅花、満開で出迎え~山形・高瀬地区~山形新聞ニュースより
(*4):往時の後藤又兵衛旅館の写真がこのページの下の方に
(*5):最上川舟運と紅花
(*6):河北町・紅花資料館~旧堀米家屋敷~ヴァイオリニストの堀米ゆず子さんも一族です。
(*7):村山市・林崎居合神社
(*8):大石田町の町並みと歴史建築
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夏の山形は音楽三昧

2009年07月28日 05時22分09秒 | クラシック音楽
昨年同時期には、亡父の葬儀やら法事やらでてんてこまいで、とても音楽会どころではなかった反動か、この夏は、二週間のうちに三回の定期演奏会が入るなど、音楽三昧の日々となっております。三回の内訳は、

(1) 7月24日(金)、山形テルサホールにて、山形交響楽団第198回定期演奏会、バルトークのヴィオラ協奏曲とブルックナーの3番、しかも第1稿での演奏会。
(2) 7月26日(日)、文翔館議場ホールにて、山形弦楽四重奏団第32回定期演奏会、メンデルスゾーンの第6番にハイドンの「皇帝」など。
(3) 7月31日(金)、山形テルサホールにて、山形交響楽団モーツァルト定期、交響曲を2曲と戴冠式ミサ曲。

さらに、8月23日(日)にも、県民会館で、第199回定期演奏会の予定。こちらは阪哲朗さんの指揮で、ソリストに田部京子さんを迎え、ウェーバーの「オベロン」序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、ドヴォルザークの交響曲第8番というプログラムです。

今年はまだ梅雨が明けず、集中豪雨が続いておりますが、例年、暑い暑いと言っていても、山形の暑さはせいぜいお盆まで。夏の山形の音楽三昧を、たっぷり味わうことといたしましょう。
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山形弦楽四重奏団第32回定期演奏会を聴く~メンデルスゾーン6番とハイドン「皇帝」等

2009年07月27日 05時51分44秒 | -室内楽
なかなか梅雨が明けない天候不順な夏の夜、山形県郷土館文翔館にて、山形弦楽四重奏団第32回定期演奏会を聴きました。以前の経験(*)から、冷房がしっかりきいていることを考慮して、長袖のシャツを持参しました。

アンサンブル・とも's によるプレコンサートは、ハイドンのヴァイオリンとヴィオラのための6つのソナタより、第3番。弦楽器2人だけで、こんなにチャーミングで、豊かな音楽になるのですね。
続いてプレトークはチェロの茂木明人さん。本日の曲目について、ハイドンのOp.20-2では、モーツァルトに出会う前の職人芸の見事さを、Op.76-5「皇帝」は、ハイドンセットを献呈してくれたモーツァルトはすでに没した、晩年の作品だが、マンネリに陥らない生命力を感じてほしいと話します。もう一曲、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番については、あまり多くを語らずに、「リハーサルの最中に雷が鳴ってただならぬ雰囲気に。はたしてどうなるか、お聴きください」とのことです。

議場ホールに、四人の奏者がそろいます。第1ヴァイオリンの中島光之さん、グレーのシャツに、黒地にプリントの長いネクタイをして、腕まくりをして登場。第2ヴァイオリンは駒込綾さん。黒のドレスで、髪型が涼しげなショートカットになっています。ヴィオラの倉田譲さん、ブルーグレイのシャツにネクタイ、サスペンダーが粋なアクセントに。そしてチェロの茂木明人さん、黒っぽい(濃紺?)シャツに明るい色のネクタイと、皆さん夏の夜を意識して、おしゃれなスタイルです。

第1曲、ハイドンの弦楽四重奏曲ハ長調、Op.20-2「バグパイプ・メヌエット」。第1楽章、モデラート。ハイドンらしい伸びやかな音楽です。第2楽章、カプリッチョ:アダージョ。同じ主題を四人で合奏した後で、それぞれの楽器がメリハリのきいた音楽を奏します。夢見るような緩徐楽章ではなく、カプリッチョ(奇想曲)の名のとおり、やや風変わりなアダージョです。第3楽章、メヌエット:アレグロ。ここのドローン(保続音)がバグパイプを連想させることから、このような愛称がついたのだそうです。第4楽章、Fuga a 4tro sogetti Allegro というのはどういう指示なのでしょうか。速いフーガだというのはわかりましたが(^o^) 曲の終わりに、弓を離して音を響かせ、エンディングがばっちり決まりました!

続いてメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番ヘ短調Op.80です。姉ファニーが亡くなったことを旅先で知らされたメンデルスゾーンが書いた、運命に対する怒りも混入しているような、嘆きと悲しみの音楽。
第1楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ。とても vivace(輝かしく) とは縁遠い、不安気な始まりです。荒れ狂うような、Vc-Vla-2nd.Vn-1st.Vn と続く、不安と嘆きの劇的な連鎖。
第2楽章、アレグロ・アッサイ。これも激しい感情の渦巻くような音楽です。曲中、最も短い音楽ですが、最後は目立たぬピツィカート?で、感情は未解決のままに終わります。
第3楽章、憤りを抑えた、優しいアダージョです。たいへん美しい音楽です。
第4楽章、フィナーレ:アレグロ・モルト。チェロに続き、第1ヴァイオリンが低い音で。そういえば、メンデルスゾーンは、この曲全体で、ヴィオラのお株を奪うような低い音でヴァイオリンを使っています。それが、単に甘美なだけの音楽ではない、生々しい感情を表すことに成功しているようです。劇的なフィナーレです。

ここで、15分の休憩が入ります。雨天にもかかわらず、お客さんはだいぶ入っており、すてきな和服の女性もいらっしゃいました。お隣の男性も貫禄があり、なんとなくお医者さんのような雰囲気で、もしかすると庄内の笛吹き balaine さんと kanon さんのご夫婦なのかな、などと想像しておりました。そういえば、お手洗いに立つような風情で二階に上がったり、少し館内を散歩していると、山形交響楽団の団員の方々のお顔もちらほらと見えるようです(^o^)/

そしてハイドンの弦楽四重奏曲ハ長調Op.76-5「皇帝」。
第1楽章、アレグロ。おお、ハイドンだ!メンデルスゾーンの荒れ狂うような憤りと悲しみの世界とは打って変わって、人生の酸いも甘いもかみわけた人の音楽世界。
第2楽章、ポコ・アダージョ・カンタービレ。旧オーストリア国歌で、現ドイツ国歌なのだそうですが、思わず聞き惚れます。チェロとヴィオラがお休みして、二つのヴァイオリンが奏でる歌に聞き惚れたり、ヴィオラが独特の音色でしっとりと歌ったり。軍楽隊の吹奏楽でやるとまた違うのでしょうが、ほんとにいい旋律ですなぁ。ちょっぴりだけヴィヴラートをかけた 2nd の だちゅ さんの新しい楽器、いい音色でしたよ~(^o^)/
第3楽章、メヌエット:アレグロで。楽しいメヌエットです。中島さんの第1ヴァイオリンが終始リードします。
第4楽章、フィナーレ:プレストで。後期のハイドンらしい、実に緊密なアンサンブル。抽象的だが、充実した音楽の世界です。室内楽を聴く愉しみを、存分に味わうことができました。

アンコールは、モーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」から、四重奏で「アリア」だそうです。オペラの中の歌をカルテットで演奏されるのを聴くのは、こちらも初めての経験です。某評論家は、モーツァルトの「声楽の中に器楽を聴く」と言いましたが、私はやっぱり「器楽の中にも思わず声楽を聴いてしまう」ほうですね~(^o^)/
今回も、充実した演奏会でした。帰りの雨もなんのその、妻と二人で、良かったね~、と話をしながら帰途につきました。

【余談】
私の Ubuntu-Linux に用いられたかな漢字変換 Anthy-SCIM で、中島「光之」さんを変換しようとしたら、中島「密輸機」さん、だそうで。戦前の中島飛行機が旧陸軍に納めた特殊航空機みたいで、字面がもっともらしく見えるところがすごい。久々に、コンピュータのおバカさに爆笑しました(^o^)/

(*):山形弦楽四重奏団第24回定期演奏会を聴く~「電網郊外散歩道」2007年7月
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『マエストロ、それはムリですよ…』を読む

2009年07月26日 06時26分06秒 | クラシック音楽
「日本最小のオーケストラが激変?観客動員数180%増のキセキに迫る!~指揮者・飯森範親がムリを当たり前に変えた、真実の物語」という帯のついた本、『マエストロ、それはムリですよ…』という本を購入し、読みました。「~飯森範親と山形交響楽団の挑戦~」という副題のついた、写真の上段真ん中にある、B6判 200ページ弱の本です。
だいたい、クラシック音楽畑の本なんて、売れない本の代名詞みたいな存在です。ところが、Yamaha music media corporation 刊のこの本、当地の一般書店で平積みになっており、結構な数が売れていて、最近三度目の増刷がかかっているのだとか。当方が購入したのは、増刷版でした。

本書の構成は、次のとおりです。

第1章 飯森範親と山響の出会い
第2章 新しいボスがやってきた
第3章 しなやかな発想と大胆な行動
第4章 もっと山響が聴きたい
第5章 飯森範親"極私的"インタビュー

第1章の常任指揮者就任までのエピソードは、初めて知りました。
第2章、新しいボスの下で、運営面の改革を進めていく話は、リアルタイムで経験した話ですので、実によくわかります。山形県民会館でなく、山形テルサホールを使うことで、郊外から車で演奏会に行くのが、格段に便利になりました。また、カラーのパンフレットが実に素晴らしく魅力的で、定期演奏会が週末に組まれることになったこととあわせて、定期会員に申し込む気持ちになりました。それまでは、変則夜間勤務の生活だっただけに、とてもじゃないが、平日夜の演奏会に足を運ぶことは不可能だったのです。
第3章、企画力と、それを実現してしまう力。この章で最大の魅力は、山響のCDだと思います。二管編成の、響きの美しいオーケストラによる意欲的な演奏がデジタル録音され、楽団独自の原盤権のもとにリリースされる。それが、すでに六枚になっており、今後も続々とリリース予定とのこと。今までに発売されたものは全部購入していますが、さて今日は何を聴こうかとCDを探すとき、かなりの頻度で手が伸びます。コンピュータ・フリークとしては、できれば国内オケがどこもやっていない(と思われる)ネット配信などに、全国に先駆けて進出すると、面白いだろうと思います。
第4章、今後の山響の方向性です。8年がかりのモーツァルトの交響曲全曲演奏、映画「おくりびと」のエピソードなど、多彩な内容です。
第5章、普通高校から音大へ進んだ飯森さんのハードな学生時代。もしかしたら、途中で潰れていたかもしれない若者を支えた、ジャン・フルネ氏の "Excellent" の一言の価値。苦しい努力を続ける若者にかけられる励ましの言葉の、千金の重みです。



実際に飯森さんがこの本を書いたのではなく、ライターの松井信幸氏が取材し構成した本です。ですから、基本的にはビジネス書の雰囲気です。音楽ビジネスの成功事例。でも、専門家がプロとして改革を成功に導いた点が新鮮です。非専門家が門外漢として組織の長になり、様々な改革に取り組む話は多く、面白くはあるのですが、なぜプロフェッショナルがプロとして活躍できるよう、環境作りが行われないのか、という疑問のほうが強いものがあります。お医者さんが病院で存分に腕をふるい、教育家が教育に専念できるように、です。音楽のプロが組織を成功に導くという話は、これまであまりなかったように思いますが、素人の床屋談義のような改革論はもう飽きてきて、音楽や楽団経営を知り尽くした、プロフェッショナルらしい改革の視点が新鮮でした。でも、裏方で頑張る、一生懸命な山響事務局の方々には申し訳ないことながら、一番印象的だったのはやっぱり常任指揮者への就任を要請に出向いたときのエピソードでした(^o^)/

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山形交響楽団第198回定期演奏会を聴く

2009年07月25日 05時39分47秒 | -オーケストラ
7月下旬に集中した、当地の音楽三昧の二週間、その開幕を告げるのは、山形交響楽団第198回定期演奏会です。会場の山形テルサホールへは、珍しく余裕を持って到着することができました。今日は、だいぶ右はじに近い中ほどの席です。妙齢の女性がお隣になり、ちょいと緊張する中で、音楽監督の飯盛範親さんのプレコンサート・トークが始まります。


今回の演奏会の曲目は、

(1) バルトーク「ヴィオラ協奏曲」(遺作) 清水直子(Vla)
(2) ブルックナー「交響曲第3番ニ短調"ワーグナー"」(1873年第1稿)

というマニアックなものです。本当は、有名名曲でプログラムを組むのが、商業的にはよいのですが、こういうプログラムで定期演奏会が可能だというところに、地方都市・山形のすごさがあります。そして、今回の演奏会は「未完の傑作」がテーマ。バルトークのヴィオラ協奏曲は、文字通り遺作となったもので、従来のシェルリー版ではなく、1995年のペーター・バルトークらによる校訂版による演奏です。
ブルックナーの交響曲第3番は、1873年の第1稿での演奏。熱烈なワーグナー崇拝者だったブルックナーが、ワーグナーの元に何度も手紙を出すのですが音沙汰がありません。そこで直接バイロイトに出向き、ワーグナーを訪ねます。玄関口でコジマに追い返されますが、スコアを渡すように頼むことができました。ワーグナーは、ブルックナーのスコアを見て高く評価してくれたので、ブルックナーは舞い上がってしまい、ビールをがぶ飲みして酔っ払ってしまうというエピソードがあるそうな(^o^)/

オーケストラの配置は、ステージ左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンが並びます。チェロの左後ろにコントラバス、正面後方に木管、さらにその後方に金管が並び、左奥にはパーカッションとティンパニが陣取ります。
ブルックナーの交響曲第3番の第1稿は、対向配置で合わせにくいということもあり、演奏が難しいのだそうです。今回は、某財団の支援により、CD録音が計画されているとのこと。第4番、第5番のCDに続き、これも楽しみです。

さて、バルトークのヴィオラ協奏曲。清水直子さんの登場です。オレンジ色のロングドレスで、黒髪を後ろにまとめ、黒っぽいリボンで留めているのでしょうか。どこからみてもジャパニーズ・ヤマトナデシコです。演奏が始まると、清水さん、とても体が柔らかいのですね。ヨガでもやっていそうな感じです。第1楽章、アレグロ・モデラート、第2楽章、レント~スケルツォ、第3楽章、アレグレット。呼吸音がはっきり聞こえます。呼吸が厳しく深い。全休止の静寂の中からオーケストラの弦が静かに立ち上がり、ヴィオラのソロが応える場面、素晴らしかった。飯盛範親さんが山響の常任に決まったときの定期演奏会、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」がほんとに素晴らしかったことを鮮明に記憶していますが、今回もまた、実にいい曲、すごい演奏です。

さて、演奏会はここで休憩となりました。当方、本日は早朝から出勤予定ですので、記事のほうもいったん休憩といたします。続きは夜に。

(ここからは、夜に追加した内容です。)

後半のプログラムは、ブルックナーの交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」です。
第1楽章、長大な曲の指示自体が、第3稿とは違います。今回のプログラムに記載の解説によれば、ここではゲメーシヒト、ミステリオーソとなっています。手元の第3稿によるCDには、Mehr langsam, Misterioso とあります。gemassigt (中庸の速さで) と mehr langsam (さらに遅く) の違いですか。大きなうねりのような音楽ですが、後の版よりも冗長さやくどさがあると言ったら言い過ぎか(^o^)/
チューニングの後、第2楽章、アダージョ・ファイアーリヒ。Adagio Feierlich でしょうか。feierlich は「荘重に」という意味なのだとか。ここも、第3稿では Adagio-bewegt, quasi Andante となっております。弦による荘重な始まりに、木管が加わります。オーボエの音色が素晴らしい!そして両翼配置の弦楽セクションが美しい!困難さを乗り越える、山響の高い合奏能力を感じます。曲が進むにつれて音楽は次第に高揚していき、後半にはワーグナーの「タンホイザー」を思わせる旋律も。
第3楽章、スケルツォ:ツィームリッヒ・シュネル。Ziemlich Schnell でしょうか。これは、第1稿も第3稿も共通のようです。迫力のオスティナート。曲の最後の終わり方が、弓をはね上げるように離し、澄んだ響きが消えゆく余韻を味わいます。このあたり、デッドなホールではちょいとわかりにくいでしょう。
再びチューニングの後、第4楽章、フィナーレ:アレグロ。ここも、第3稿と指示は共通です。曲が始まって、途中絶妙のタイミングで咳払いが。音が大きく盛り上がっている場面ではそれほどでもないのですが、休止の真っ最中だっただけに、ちょいと残念。でも、音楽が静かに集中しているときほど、咳払いをしたくなるんですよね~、エヘン、オホン(^o^)
曲は最後のクライマックスのコーダへ。金管の健闘が光ります。

ブラボーの声が飛び、会場が大きな拍手で満たされます。指揮者の飯森さんが、Tp, Tb, Hrn そして木管を次々に立たせて健闘をねぎらい、最後に弦楽セクション、特に低弦セクションの健闘をたたえます。

特に第1楽章と第2楽章、冗長さもあり、別の曲かと思うほど異なるところもあるけれど、間違いなく「ワーグナー」交響曲です。1873年第1稿による、二管編成の澄んだ音を特色とするブルックナーの第3番。当方、日常的に聴いているのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による、ノヴァーク版第3稿のCBS録音ですが、今回の演奏会は、なかなか得がたい経験でした。
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コーンウェル『証拠死体』を読む

2009年07月24日 06時16分34秒 | -外国文学
パトリシア・コーンウェルの前作『検屍官』を読み、特異な世界の特異な筋立てにおそれをなしていましたが、急に何を思ったか、第二作『証拠死体』も読んでしまいました。なんのことはない、『居眠り磐音江戸双紙』や『赤毛のアン』シリーズなどという世界にどっぷりと浸っていて、ショック療法で眠気を覚まそうという魂胆。不純な動機のバチがあたり、寝る前にちょっとのつもりがつい深入りして、眠い眠い(^o^)/

売れっ子女流作家のベリル・マディソンが殺されます。どうやら、ストーカーふうの脅迫におびえていたようです。殺人犯に追われ、必死で抵抗し命乞いをしながら死んでいったことを物語る検屍結果に、バージニア州の女性検屍局長ケイ・スカーペッタは疑問を持ちます。なぜ、被害者はドアを開けたのだろう?

ベリルの後ろ盾となっていたピューリッツァー賞作家ケーリー・ハーパー、ベリルの未発表原稿を横取りしたとマスコミに検屍局を攻撃させる悪徳弁護士のスパラチーノなど、今回も多彩な登場人物が目白押しですが、なんといっても前作からの相棒になっている、強面の警察官マリーノと、気の強いケイがつい負けてしまう、昔の恋人のマーク・ジェームズが、なんともいい味を出しています。ミステリーのあらすじを書いてしまうのは野暮というものでしょうから、ここでは犯人像の意外性を指摘するにとどめたいと思います。

ところで、前作に登場したコンピュータ・フリークで驚異の十歳児、姪のルーシーは今回は登場しません。書斎のマニュアル片手にデータベースのSQL文を理解する頭脳が、その後どんな進歩を見せたのか興味深かっただけに、この点だけはちょいと残念(^o^)/
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コンパクトデジカメで部分日食をとらえた、かな?

2009年07月23日 05時51分55秒 | Weblog
昨日の、46年ぶりの皆既日蝕は、多くの方々がご覧になり、感激されたことでしょう。朝方はあいにくの曇り空でしたが、次第に雲が薄くなるようでしたので、トイレ休憩のついでに、コンパクトデジカメで何枚か撮影してみました。その内の一枚に、なんと、縁の欠けた太陽が写っておりました。これ、部分日蝕なのかな?それとも、偶然に雲が作った形なのかな?

Gimp を用い、拡大率 100% でトリミングしてみたのが、次の写真です。



テレビや新聞で散々紹介されましたので、写真そのものは別にどうでもいいことなのですが、まあ、当方のミーハー度、あるいは自前にこだわる習性を表すものとして記録してみました(^o^)/
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へえ、やるもんだねえ~Googleで「天気予報」で検索

2009年07月22日 06時26分27秒 | コンピュータ
数日前に、日蝕の際のお天気を知りたいと思い、ブラウザを立ち上げました。いつも、asahi.com でお天気を見ることが多いのですが、最近のこのニュースサイトの重さに辟易していたこともあり、他の天気予報サイトにはどんなものがあるのか、Googleで「天気予報」と入れて検索してみました。すると、検索結果のトップには、当地の週間予報が出てくるではありませんか。しかも、その都市は他の場所に変更できるようです。さっそく単身赴任地の付近の設定しましたら、天気予報を即座に知ることができました。なるほど、天気予報を知るという目的だけなら、なにも他のサイトのメニューをあれこれ探し回る必要はない。Google だけで足りるわけです。やるもんですね~。

さて、今日は日蝕。少年の頃に、一度日蝕を経験しています。あのときは、あたりが暗くなって、すーっと涼しくなった記憶があります。今回は、午前10時前頃から12時過ぎまで、11時頃には最大の食分になるそうな。晴れてくれるとよいのですが。
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ヴォーン・ウィリアムズ「幻想的五重奏曲」を聴く

2009年07月21日 05時24分17秒 | -室内楽
このところ、通勤の音楽として聴いてきたのが、ヴォーン・ウィリアムズの室内楽を収録したCDです。ヴォーン・ウィリアムズという英国の作曲家は、これまであまりご縁がなく、その昔、1970年代に入る直前の頃に、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の演奏する交響曲第7番の新録音のLPが大々的に宣伝されていたのを記憶している程度です。中央に漢字で「南極」と記されたビクター盤はわりに印象深く、4ch ステレオ騒動の顛末と共に、今なお記憶しております、という程度の親しみ方でした。

さて、そのヴォーン・ウィリアムズの室内楽というのですから、これはどう考えても素人音楽愛好家とのご縁は薄そうなのですが、実はわれらが山形弦楽四重奏団の第33回定期演奏会(平成21年11月14日予定)の曲目に取り上げられることになっています。これは事前に聴いておきたいと考え、マッジーニ四重奏団の演奏するナクソス盤を購入して聴いている次第。

で、その第一印象は、なにやらぐっと民謡風の音楽じゃないか(^o^)/

添付の解説によれば、弦楽四重奏と第2ヴィオラのために、1912年に書かれ、1914年の3月に、ロンドンのエオリアン・ホールにおいて、Albert Sammons 率いるロンドン四重奏団と James Lockyer (Vla) によって初演されたとのことです。楽曲については、こんなふうに書かれています。

The quintet consists of four short movements. The first viola starts the opening Prelude with thematic material of pentatonic outline, to be answered by the first violin. The viola ends the movement, immediately followed by the Scherzo, with its asymmetrical rhythm and ostinato in textures that seem at times reminiscent of Ravel. The cello, which had started the movement, completes it, before the Alla Sarabanda, scored for muted instruments without the echoes of folk-song and reminiscences of the first movement, before a final ascent to the ethereal heights.

例によって、恥ずかしながら超訳(^o^)してみました。

この五重奏曲は四つの楽章からなる。第1ヴィオラが五音音階風のテーマ素材による前奏曲を開始し、第1ヴァイオリンがこれに答える。第1ヴィオラがこの楽章を終えるとすぐに、ラヴェル風の(響きの)テクスチャーに非対照的リズムとオスティナートを伴うスケルツォとなる。チェロが楽章を開始し、民謡風の響きを抑え第1楽章を思い出させる弱音器をつけた楽器のためのアラ・サラバンドとなり、最後にはこの世のものとは思えない高みに向かって上昇し、完結する。

なんだか、わかったようなわからないような(^o^;)>poripori
五音音階風の、というのは、きっと民謡風のところを指しているのでしょう。その程度はなんとかわかりますが、素人音楽愛好家は素人なりに、やっぱり自分でじっくりと聴いてみるのが一番です(^o^)/

第1楽章、プレリュード:レント・マ・ノン・トロッポ。ヴィオラによる出だしが、なんとも民謡風。第1ヴァイオリンがこれを受けて、超高音から下降します。たいへんな緊張感に満ちた、静かで美しい音楽です。
第2楽章、スケルツォ:プレスティッシモ。第1楽章から続けて、ほぼ休みなしに始まります。前の楽章の静けさ、緊張感とは打って変わって、リズムを強調した活発な音楽です。低音パートはひたすらリズムを刻む役割のようで、これが推進力を感じさせるのでしょうか。
第3楽章、アラ・サラバンド:レント。ふたたびゆったりとした音楽です。暖炉のわきで炎を見ながら昔を思い出すような、そんな気分の音楽です。
第4楽章、ブルレスカ:アレグロ・モデラート。冒頭の主題はやっぱり五音音階風ですが、しっかりフーガになっております。活発な部分を経て、第1楽章の主題を再現し、第1ヴァイオリンの高~い音で終わります。

この曲を繰り返し聴いているうちに、第一次世界大戦前のイギリスで、民謡収集に明け暮れていた作曲家の作品が、親しみ深いものに感じられてくるのが不思議です。

2000年の6月、英国サフォークの Potton Hall にてデジタル録音されています。同じヴォーン・ウィリアムズの作曲になる弦楽四重奏曲で、甘美な若さのある第1番と、訴える力の強い第2番が併録されています。個人的には、弦楽四重奏曲第2番が思わずぐっときますが、わずか4ヶ月後に、この幻想的五重奏曲を実演で聴くことができるのは、何よりの贈り物でしょう。マッジーニ四重奏団による、NAXOS の 8.555300 という型番のCDは、なかなか良い買い物でした。

■マッジーニ四重奏団
I=4'07" II=4'09" III=2'50" IV=4'00" total=15'06"

なお、油絵ふうの画像は、30年ほど前の剣岳登山の際にテント泊した、雷鳥沢から見た立山三山の写真を、Gimp で油絵ふうに加工したものです。なかなか雰囲気が出ていますね~と自画自賛(^o^)/
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老母、すもものジャムを作る

2009年07月20日 12時46分05秒 | 週末農業
自宅に戻った週末、あいにくの雨降りで、週末農業もお休みでした。「海の日」の今日は、梅雨の中休みなのか、なんとか晴れてくれましたので、自宅から少し離れた果樹園の消毒と草刈りをしました。さらに、自宅の裏の果樹園で、すももの品種「フームサ」を収穫し、あちこち近所におすそ分け。

先週から、先に収穫していたすももを材料に、老母が大量にジャムを作っています。使っている品種は、赤く完熟した「大石早生」です。その作り方は、

軸を取り去ったすももを水洗いし、皮つきのまま手のひらで押しつぶし、種ごと煮ます。このとき、水は不要だそうです。木ベラでかき混ぜながら種から果肉を落とすようにし、すももと同量の砂糖を入れ、ぐつぐつ煮立てないように注意しながら煮詰めるのだそうです。やがて全体が煮崩れて種が浮いてきますので、浮いた種をすくい取って、よくかきまぜながら何度も火を通しては放冷を繰り返し、赤く香り高いすももジャムのできあがりです。

自家製ヨーグルトやパンに、用途は様々。生産農家らしく、大鍋にいっぱい作りましたので、来年まで十分に持ちそうです。

ちなみに、すももジャムの作り方は、写真入りの こんなページ も参考になります。

【追記】
はじめは水を加えると書きましたが、間違い。水は不要だそうです。水分が出て、結果的にひたひたより少なめの分量になる、ということだそうな(^o^;)>poripori
また、五日間ほど連続して、朝晩、加熱しては放冷を繰り返すと、カビが発生しないのだそうです。なるほど、一種のパストゥリゼーション(*)なのですね。鍋のふたと鍋の間に割り箸をはさみ、隙間をあけて放冷していたのは、そのためだったのか~(^o^)/

(*):低温殺菌法~Wikipediaの記述
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コスモスは夏至を過ぎると咲き始める

2009年07月19日 05時21分26秒 | 散歩・外出・旅行
コスモスは、初秋の草花というイメージがありますが、実は咲いている花の期間がかなり長いものです。先日、散歩の途中で、コスモスがもう咲いているのを見つけました。七月上旬でもう咲いていることに、あらためてびっくり。そうか、コスモスは短日植物(*)で、夏至を過ぎると花芽をつけて咲き始めるのか、と思い至りました。少女の純真だとか真心とかの花言葉を持ち、可憐な花ではありますが、草丈は大きく成長し、勢いのある植物です。当地では、仙台と山形を結ぶ仙山線の面白山高原駅からすぐのところに、コスモスベルグというところがあり、見事なコスモスの大群落を見ることができます。コスモスの花が、一つ、二つと増えていく季節、夏はこれからが本番です。

(*):光周性~短日植物とは~Wikipediaの記述
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映画「劔岳・点の記」を観る

2009年07月18日 09時10分31秒 | 映画TVドラマ
先日、念願の映画「劔岳・点の記」をようやく観ることができました。新田次郎の原作を読み、30年ほど前に私自身もその頂に立っただけに、あの岩峰での映画撮影の困難さは実感としてわかります。もともとカメラマンとして映画人生を歩んできた木村大作監督作品のゆえでしょうか、圧倒的な自然描写は、大型スクリーンならではの迫力です。むしろ、シネマ・コンプレックスの大型スクリーンでさえ、本当の雄大さには程遠いことを知るだけに、現場を共有した俳優やスタッフの、演技を越えた感動が伝わります。芸能スポーツ方面はとんとうとく、役者さんの名前などはまったくわかりませんでしたが、主人公・柴崎芳太郎に扮する浅野忠信さんの風貌は、山中の生活が長引くほどよりいっそう思索的になっていき、案内人の宇治長次郎の善意と人間性は、困難な場面になるほど光ってきます。役柄に徹することによって、自然の大きさと恐さにも同化した一体感を感じているかのような、そんな映画となりました。
(なお、本記事で使っている写真は、30年前の剣岳山行でハーフサイズのオリンパス・ペンで撮影したものですが、せっかくのエクタクローム・リバーサルも、だいぶ荒れてしまっています。)



印象的だった場面:
(1) 点の記がずらりと並んでいる書庫の場面。原作を読んだときに、点の記というのはどんなものだろうと思っていましたが、なるほど、あんな立派な製本のものなのですね。三等三角点以上の成果は、この立派な記録に残されるけれど、どんなに困難な偉業でも、四等三角点では点の記に残らない。原作者の新田次郎氏が憤りを感じ、この物語を書こうと思い立った理由を、ようやく理解できました。
(2) 新妻の葉津よさんが手紙を書き、切手を貼ります。その宛先が、夫かと思ったら、案内人の長次郎の奥さん宛でした。この場面、思わずうるっとしました。
(3) 雪渓を滑落する場面。専門のスタントの人なのでしょうか、自然に停まる場所を選んであるのだとは思いますが、滑り出したら停まらない恐怖感に、ピッケルなしでよくも耐えられるものです。
(4) 地下足袋に四本爪アイゼン+草鞋ばきという足ごしらえで、よく凍傷にならないものです。冬季には、革製の登山靴にインナーシューズ、ウールの登山用ソックスを二枚重ねても、足元からふるえがきます。互いの体温が、最も効果的な暖房となったのでしょうが。
(5) ヴィヴァルディの「四季」やバッハの「幻想曲とフーガ」など、クラシック音楽を効果的に使い、レトロでモダンな時代の雰囲気をたくみに盛り上げていました。演奏は仙台フィルハーモニーだそうで、同じ東北地方の、隣県山形出身の主人公の物語を、あざやかに彩っていました。
(6) 一点だけ苦言を呈すれば、柴崎が相談に行く先輩の古田盛作が道場で弓を引いている場面。弓構えから見て、小笠原流でも日置流でもないのに、大三を取らず無雑作に引き分け、口割りに達せず鼻の位置で離れてしまっていました。我慢と落ち着きが足りない、性急な性格を表してしまっているようで、ちょいと残念。また、柴崎が顔を出す場所は、道場の後ろの入り口からであるべきでしょう。行射中にそんな危ないところから顔を出すやつがあるかと、私でも怒鳴りつけるところです。(元弓道三段のプライドか ^o^)/



いずれにしろ、私としては裏劔~仙人池周辺の映像がたいへん魅力的でした。劔沢を下ってあの岩峰の裏側に回り込むと、静かな池があるというそれだけでもかなり神秘的ですが、年齢的におそらく自分の目で見ることはないであろう、秋の仙人池の風景を、目に焼き付けておきたいと思ったことでした。



写真は、ほぼ30年前の劔岳山頂にて。たしか、このあたりで錫杖が見つかったのだったと記憶しています。
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ミニコンポを購入して一年。

2009年07月17日 05時27分03秒 | クラシック音楽
単身赴任生活の楽しみに、テレビよりも音楽を優先し、ONKYO のミニコンポ FR シリーズより、XN7TX という製品を購入したのが1年前の7月でした(*1)。その後、毎日の生活にすっかりとけこみ、文字通り電源の入らない日はないほど(*2)です。一年間を振り返って、ミニコンポを評価してみました。

(1) 目覚まし機能はたいへんありがたいです。現在、everyday 設定で、朝の6時に目覚ましの音楽が鳴り出すように設定しておりますが、できれば everyday だけでなくて、weekday という区分もあると助かります。weekend は目覚まし不要という人は少なくないと思います。
(2) スリープタイマーは、頭を休めるのに良い機能です。静かな音楽を聴きながら眠りに入ると、緊張が解きほぐされるように感じます。
(3) テレビ用共同アンテナをFM端子に接続し、NHK-FMが良好に受信できます。幸いに当地の電波状況が良いようで、ノイズもマルチパス歪も少なく、まずまずの音が楽しめます。
(4) ミニディスク(MD)によるタイマー録音機能は、たいへん楽しみな機能です。特にLP4(4倍モード)による長時間エアチェックは、昔の10号リールのオープンデッキでなければ不可能だった、四時間まるまるタイマー録音してしまうという芸当が可能です。頻度はそう多くありませんが、年末のバイロイト音楽祭をまるまるエアチェックするなど、楽しみが増えました。
(5) 肝心の再生音ですが、あまり低音を欲張らず、自然な品の良いもので、小音量再生時にも聴きやすいものです。
(6) 本体のジョグダイヤルというのは、あまりわかりやすいとは言えません。録音もリモコンで操作できるようになっているほうが便利です。

今後、ミニコンポは、パソコンやインターネットとの接続などがポイントになっていくことは明らかでしょうが、私の場合、おもにパソコンやネットを使う場所と、おもに音楽に集中する場所とでは、生活ゾーンがやや異なるように感じています。バス・トイレ、ダイニングキッチンと一間だけの単身赴任のアパートですが、ネット関係はキッチンに置いたテーブル上のパソコンと周辺機器にまかせ、音楽はもっとゆったりと、快適ゾーンを形成したいと考えております。

(*1):単身赴任用に、ONKYOのミニコンポを購入~「電網郊外散歩道」
(*2):目覚まし再生は、本当は weekday だけでよいのですが、once と everyday しか選択肢がありませんので、毎日朝になると電源が入ります。私が不在時にも、しっかり一時間は音楽が流れます(^o^;)>poripori
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