4月26日(土)、午前中は農作業で剪定枝を焼却して残り火を土に埋め、午後は寺の総会の準備で買い出しを行い、夕方から山形市の文翔館議場ホールにでかけました。晴れてはいますが日が沈むとやや肌寒い、花冷えのお天気です。長袖のシャツにポロシャツを重ね着してさらにブレザーのジャケットを羽織るというスタイルでも風が冷たいと感じます。
それでも重要文化財のホールに到着すると開場前から数人のお客様が並んで待っており、中にはしばらくぶりにお会いする関西からのお客様も。山響の定期演奏会にはたびたび足を運んでいるとのことで、ジュリアン・ラクリンさんがVnとVlaと指揮の三刀流を披露した昨年11月の演奏会、あれは良かったと話がはずみました。

さて今回のプログラムは、
- W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲第7番 変ホ長調 K.160
- W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.458「狩」
- F.メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲題1番 変ホ長調 Op.12
というものです。演奏前のプレトークは茂木明人さんで、春らしいフレッシュで幸福な音楽を奏でる幸せを語ります。今回の演奏会のメンバーは、
第1ヴァイオリン:杉山亮佑、第2ヴァイオリン:中島光之、
ヴィオラ:倉田譲、チェロ:茂木明人
という顔ぶれで、今回ゲストの杉山亮佑さんは山響の新人です。2002年、千葉県千葉市生まれといいますから、21世紀になってから生まれた新世紀人! それが音大を卒業し山響のオーディションを受けて一定の試用期間を経て入団するわけですから、ほんとうに初々しいフレッシュな新人なわけです。
1曲め、モーツァルトの第7番。第1楽章:アレグロ、第2楽章:ウン・ポコ・アダージョ、第3楽章:プレスト。座っていた人が思わず立ち上がりたくなるような、湧き上がるような音楽。フレッシュな魅力に溢れた演奏でした。
2曲め、モーツァルトの第17番「狩」。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ。活力のあるいきの良さ。各声部のやり取りが面白い。第2楽章:メヌエット、モデラート〜トリオ。第3楽章:アダージョ。第4楽章:アレグロ・アッサイ。若い1st-Vnの歌心をベテランの3人がしっかり支える形で、ほんとにいきいきとした魅力的な音楽になっていました。
ここで15分の休憩です。
後半はメンデルスゾーンの第1番。再び4人が登場しますが、ヴィオラの倉田さんがメガネをかけて登場です。うふふ、どこかの教授みたい。来年は還暦だといいますからたぶん細かい楽譜がしっかり見えるようにということでしょう。プログラムを読むにはメガネが必須なワタクシにはたいへん共感できるところです(^o^)/
第1楽章:アダージョ・ノン・トロッポ〜アレグロ・ノン・タルダンテ。第2楽章:カンツォネッタ・アレグレット。スタッカートで軽やかに、ピツィカートが印象的。第3楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ。若い1st-Vnの表現意欲が音楽に現れる、ほんとにエスプレッシーヴォ(表情豊か)な演奏です。第4楽章:モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。4人のアンサンブルがしっかりとかみあい、説得力というか訴える力のある音楽と演奏でした。ブラヴォー!
総じて、若い杉山さんが加わり、いきいきとしたフレッシュな音楽を楽しむことができた良い演奏会となりました。ここ二度ほど、体調やら都合やらで欠席していた山Qの定期演奏会、しばらくぶりにカルテットを聴いて、やっぱりいいなあと感じました。
ところで、演奏終了後の倉田さんの挨拶の中で、1st-Vnの杉山さんが加わってくれることになったこと、近年オーケストラの活動が忙しくなってきたために練習時間がとれない事態になってきていることから、年4回の定期演奏会を年2回くらいに縮小したいとの話がありました。このあたりは、休みが取れないために若い人が加わりにくい要因にもなっていたことでしょうから、変えていくのは大切なことかと思います。むしろ、国内では珍しい、オーケストラを母体にした常設の弦楽四重奏団が継続されることを大切にしてほしいと思います。
帰りがけに杉山さんに「頑張ってください!」と声をかけて議場ホールを出ました。駐車場に向かうときに山響の今井東子さん(Vn)と一緒になり、話をしながら帰りましたが、考えてみればプロのオーケストラの団員の皆さんとの距離の近さは大都会では考えにくい、貴重なことだと思います。「オーケストラがある街」というのは、実はそういうことなのだろうと思います。