電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

退院してから聴いた中で心に残った音楽は

2024年06月27日 06時00分36秒 | -室内楽
右奥下部の智歯周囲炎及び第二大臼歯歯周炎の治療のため、人生二度目の入院をして、歯肉切開し骨削除と病変を摘出、親知らず(水平智歯)と第二大臼歯を抜歯する手術をしました。経過は順調ということで予定よりも一日早く退院となりました。わずか1泊2日の入院ではありましたが、自宅のような気まぐれな生活はできませんから、どうしても抑制的な生活になってしまいます。入院時の歩数計の数値は1,600歩ほどで、これは平日の平均歩数と比べると1/3〜1/4の運動量でした。なるほど、これが長く続き日常になってしまえば、生活が無気力になり前向きな意欲が低下し「廃用症候群」(*1)へと進んでしまうことが理解できます。日常生活で「気まぐれやムラ気」に伴う身体的な動きは、ある意味、前向きな積極性と相関関係があるのかもしれないと思います。

さて、退院してから聴いた中で、心に残った音楽は、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」でした。たまたま聴いたのは、リン・ハレル(Vc)、ローマン・オルトナー(Pf)による演奏。リン・ハレルの演奏では、他にジェームズ・レヴァインとのコンビによる録音を記事にしています(*2)が、シューベルトの優しい音楽がとても心に残りました。

この曲についてご存じない方もおられるでしょうから、YouTube で聴ける動画を貼り付けておきましょう。
まず、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、ベンジャミン・ブリテン(Pf)による1968年の演奏;
Schubert - Arpeggione Sonata D 821 / Presentation + New Mastering (Ct. rec.: Rostropovich / Britten)


もう一つ、ミッシャ・マイスキー(Vc)とマルタ・アルゲリッチ(Pf)による2016年の演奏です。
F. Schubert - Sonata D 821 "Arpeggione" - Martha Argerich - Mischa Maisky


見出しの写真は6月15日に撮影したもので、左が佐藤錦、右が早もぎ紅秀峰です。交配のルーツを反映して、比べると佐藤錦は黄色っぽいし紅秀峰は黒っぽいのがわかります。紅秀峰はまだ集荷開始時期ではなかったので出荷は出来ず、でも露地物ですので雨が降れば実割れしてしまいますから、収穫したものを孫たちに送ってしまいました。高校生と大学生になった孫たちはどちらも大喜びしたようです(^o^)/ 味は佐藤錦、肉質は紅秀峰という評価でした。

(*1): 廃用症候群とは〜健康長寿ネットより
(*2): シューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」を聴く〜「電網郊外散歩道」2007年1月

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シューベルトの弦楽四重奏曲第2番は20世紀に楽譜が再発見された

2024年04月28日 06時00分34秒 | -室内楽
山形弦楽四重奏団の第91回定期演奏会の曲目の一つ、シューベルトの弦楽四重奏曲第2番の予習をしようと、YouTube 等であれこれ聴いていた時、妙なことに気づきました。昔の有名録音では2楽章しかないのに、近年の新しい動画では4楽章まであるのです。さらに調べてみると、どうやら作曲者の死後、未出版のまま一部が紛失していたものが、1950年代になってスウェーデンという思いがけないところから発見され、1954年に4楽章の形で出版された(*1)のだそうです。そして、この4楽章での初演は1955年といいますから、それ以前の録音であれば2楽章しかないのが当然、ということになります。

なるほどそうであれば、1952年にモノラル録音されているウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団によるこの演奏などでは、2つの楽章しかないのが理解できます。いかにも往年のスタイルの演奏ではありますが、若いシューベルトの劇的な表現は感じ取れます。

Schubert: String Quartet No. 2, Vienna Konzerthaus Quartet (1952) シューベルト 弦楽四重奏曲第2番


このわずか4年後、1956年に録音されたイタリア四重奏団の演奏では、きちんと4つの楽章からなる曲として録音されています。

Schubert - String quartet D.32 - Italiano


古楽ムーヴメントの洗礼を受けた現代における、日本の若手演奏家による動画もありました。竹内弦楽四重奏団による活きのいい演奏です。

Schubert: String Quartet in C Major D32


寄宿学校に入っていた当時の若いシューベルトが、実家に帰った時に家族と演奏するために書いたという弦楽四重奏曲ですが、思いがけない再発見のエピソードもあったのですね。見つけた人の興奮も想像できますし、出版に至るまで、関係者による確認の労力も大変なものがあったでしょう。思いがけず再発見され、完全版として演奏されるようになって良かったね、シューベルト(^o^)/

(*1): 弦楽四重奏曲第2番(シューベルト)〜Wikipediaの解説より

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山形弦楽四重奏団第91回定期演奏会でモーツァルト、シューベルトを聴く

2024年04月27日 06時00分07秒 | -室内楽
朝からよく晴れて、まだ4月なのに最高気温が30℃という予報が出ていた日、夕方から山形市の文翔館議場ホールに出かけ、山形弦楽四重奏団第91回定期演奏会を聴きました。今回はヴァイオリンの中島光之さんが開演前のトークを担当、プログラムの演目について解説をします。

  1. モーツァルト 弦楽四重奏曲第2番 ニ長調 K.155
  2. シューベルト 弦楽四重奏曲第2番 ハ長調 D.32
  3. モーツァルト 弦楽五重奏曲第1番 変ロ長調 K.174
      山形弦楽四重奏団、犬伏亜里(Vn)、田中知子(Vla)

1曲目、モーツァルトの弦楽四重奏曲第2番は、モーツァルト16歳の頃の作品。前々回の定期演奏会(*1)で取り上げた第1番が14歳頃の作品であることを思うと、14歳と16歳の間の差異がどれほどのものかと思いますが、いやいや、男子中学生と男子高校生の間の差異を思うと、それはかなりのものがあるように思います(^o^)/
ステージ上の配置は、左から第1ヴァイオリン(犬伏亜里)、第2ヴァイオリン(中島光之)、ヴィオラ(倉田譲)、チェロ(茂木明人)となっています。演奏が始まると、初っ端から犬伏さんのヴァイオリンが実に溌溂! 音も飛び出してくるようで、若いモーツァルトの活力が現れるようです。加えて安定のチェロに安心感があります。若いモーツァルトの第2番、いい曲だと感じました。

2曲めはシューベルトです。中島さんが気合を入れて書いたと思われるプログラムノートには、「11歳から16歳までの間、シューベルトが寄宿学校に入っていた間に作曲された12曲の弦楽四重奏曲の第2曲」で、「休暇で実家に戻った時に家族で演奏するというプライベートな目的で書かれた」とありますが、現代人の私の感覚では、例えば第1楽章:プレストは家庭用としてはずいぶんカッコいい音楽と感じられます。第2楽章:アンダンテでは、ヴァイオリンが悲哀を感じさせる歌曲のような旋律を奏でますが、こういう感情の発露を師事していたサリエリは好ましく思わなかったのだそうな。形式の中に隠してこそ貴族的な上品さに通じるみたいな考えでしょうが、現代の私たちにはこういう率直さのほうが魅力的ですし、シューベルトの家庭環境もそれを良しとしていたのではなかろうか。第3楽章:メヌエット。3拍子の舞曲風ではありますが、すでに踊りのための音楽ではないようです。第4楽章:アレグロ・コン・スピリト。ずっと後のロマン派の音楽を先取りするような激しさもある音楽で、のんびりした家庭用音楽のイメージではありません。こちらもいい曲だなあと感じました。

15分の休憩後、3曲めはモーツァルトの6曲ある弦楽五重奏曲のうちの第1番。楽器配置は、左から1st-Vn(犬伏)、2nd-Vn(中島)、素人音楽愛好家にはどっちが1stかわかりませんが、たぶん2nd-Vla(田中知子)、1st-Vla(倉田)、そしてVc(茂木) というものです。第1楽章:アレグロ・モデラート、奏者が1人増えただけなのに、ステージ上の見た目はぎっしり感があるし、流れる音楽も密度が上がったような気がします。第2楽章:アダージョ。演奏が始まる前、みなさん楽器に何かモジョモジョとやっていたけれど、わかりました! 弱音器を付けていたのですね! ふだんCD等で聴いているとき、この楽章の音がどこかくぐもったような響きがするのを不思議に思っていたのでしたが、積年の謎が解けました。「ワトソン君、謎は解けたよ」です。特に、VnとVlaの対話が音色的にも魅力的です。また、Vcが一瞬にして場面を転換するところなども見事です。1st-Vnの歌が魅力的で、これを弱く受ける2nd-Vnも可憐な印象。いや、見た目は逆なのですが(^o^)/ しかしこのくぐもったようなVlaの音色はいいなあ。
第3楽章:メヌエット。弱音器を外して軽くチューニングの後に演奏が始まります。優美な3拍子の舞曲は、文翔館ならバレエシーンも似合いそうだなあと思います。第4楽章:アレグロ。いつも思うのですが、この曲は馬車の中で音を聴いているみたいなところがあって、旅する若者が前途に思いを馳せるような風情があります。演奏は他の会場で何度かの公演を積み重ねてきた集大成となったようで、若々しい活力があり、たいへん魅力的なものでした。積年の謎が解けた喜びもあり、実に満足、大満足です!

なお、次回は7月24日(水)、19時〜、やまぎん県民ホール・スタジオ1にて、小松﨑恭子さんのフルートを加えて、ヴェント編曲によるフルート四重奏版のモーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」とのことです。すっかりシリーズ化してきているようで、これも楽しみです。まだ桃の収穫時期には間がありますので、なんとか都合をつけて出かけたいものです。

(*1): 山形弦楽四重奏団第89回定期演奏会でモーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンを聴く〜「電網郊外散歩道」2023年10月

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モーツァルトとブラームスの「クラリネット五重奏曲」を動画で

2024年02月17日 06時00分08秒 | -室内楽
私の若い頃、室内楽を好んで聴くのははクラシック音楽ファンの中でも少数派だったように思います。レコードの発売枚数も交響曲などのオーケストラ曲よりだいぶ少なかったですし、だいたいダイナミックな迫力や管弦楽の色彩的な響きの魅力に乏しいと考えていた時期がありました。ところが、NHK-FM の金曜夜の室内楽の時間に、海老沢敏さんや大木正興さんの解説を聴きながらいろいろな曲に接するうちに、室内楽もいいなあと思うようになり、特にモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」の魅力にはまりました。当時、東芝から出ていた廉価盤(*1)を購入し、ずいぶん長く聴きました。また、モーツァルトのクラリネット五重奏曲に触発されたというブラームスのクラリネット五重奏曲にもはまりました。どちらも希代の名曲、大傑作だと思います。

その後、実はモーツァルトのこの曲やクラリネット協奏曲は、普通のクラリネットでは低い音が出せないので一部高い音に置き換えて演奏されることが多いことを知りました。本来のバセットクラリネットを用いた演奏(*2)に接した最初は、カラヤンがベルリンフィルに入団させようとしてすったもんだしたザビーネ・マイヤーがN響に来演したときでした。今となっては多くの女性奏者が普通に活躍していますが、当時はまだ妙な慣習が強かったのでしょうか。

YouTube で、そのザビーネ・マイヤーが吹くモーツァルト「クラリネット五重奏曲」の動画を見つけました。うーむ、こんなに簡単に演奏に接することができる時代をなんと言おうか?

Mozart | Clarinet quintet K581 in A major - Armida Quartet, Sabine Meyer


さらに、ブラームスのクラリネット五重奏曲も見つけました。こちらは旧ケルン放送交響楽団、現在はケルンWDR交響楽団に所属する団員による演奏のようです。

Johannes Brahms - Clarinet Quintet in B minor, Op. 115 | WDR Sinfonieorchester


うーん、いいなあ。昔、若い頃に聴き慣れていた、古色蒼然とまでは言わないけれど情緒纏綿たる演奏と比べると、ずっと現代的な活気ある演奏と感じます。当時、名演として称揚されていたモノラル録音のものは、あれはあれでよかったのだけれど、ちょいと人生に疲れたような雰囲気があったからなあ(^o^)/

(*1): 古いLPでモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2016年11月
(*2): 山形弦楽四重奏団第61回定期演奏会でハイドン、シューベルト、モーツァルトを聴く~「電網郊外散歩道」2016年10月

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ミュラーの「クラリネット四重奏曲第1番」とはこんな曲

2024年01月24日 06時00分49秒 | -室内楽
過日の山形弦楽四重奏団の定期演奏会で知ったミュラーの「クラリネット四重奏曲第1番」、さっそくネットで探してみました。CDはあるようですが残念ながら品切れの様子。聴きたい時が欲しい時とは言うものの、なかなかタイミングが合わないものです。それでは YouTube の動画はどうかと探しましたら、こんな録画を見つけました。クラシック音楽や室内楽にあまり慣れない方は例えば第3楽章の「ポロネーズ」から試しに聴いてみて、良ければ第1楽章から聴いてみるとよろしいかと思います(^o^)/

カレイド・アンサンブルの演奏、クラリネットはアントン・ドレスラー(*1)です。どうやらご本人の投稿みたい。
まずは第1楽章から。
Kaleido Ensemble - Iwan Muller - Quartet n.1 for clarinet and string trio - 1. Allegro

続いて第2楽章。
Iwan Muller - Quartet n.1 for clarinet and string trio - 2.Adagio con espressione

第3楽章、ポロネーズです。
Iwan Muller - Quartet n.1 for clarinet and string trio - 3. Polonaise


カメラの位置はあまりよろしくないけれど、クラリネットのドレスラーさん、うまいなあ。今更ながら、こういう佳曲を知ることができたのは実演ならではの恩恵と感じます。

(*1): Anton Dressler | Clarinet 〜アントン・ドレスラーの経歴(英文)

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山形弦楽四重奏団第90回定期演奏会でシューベルト、ミュラーを聴く

2024年01月23日 09時01分26秒 | -室内楽
大寒を過ぎたのに全く雪がない冬の夜、山Qこと山形弦楽四重奏団の第90回定期演奏会に出かけました。会場はいつもの文翔館議場ホールではなく、前回同様にやまぎん県民ホールのスタジオ1です。プログラムは、

  1. シューベルト 弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D.471
  2. ミュラー クラリネット四重奏曲第2番 ホ短調
  3. シューベルト 弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調 D.581 (第1稿)
  4. ミュラー クラリネット四重奏曲第1番 変ロ長調

という内容です。クラリネットは、山形交響楽団の首席クラリネット奏者の川上一道さん。



長方形のスタジオの短辺側に設けられたステージ上の配置は、左からヴァイオリン:中島光之、ヴィオラ:倉田譲、チェロ」茂木明人となっています。例によって、皆さん黒を貴重としたシャツで茂木さんの明るいネクタイがワンポイントになっています。
第1曲、シューベルトの弦楽三重奏曲第1番は、作曲者19歳頃の1816年9月に作られた曲だそうですが、歌、旋律を器楽曲の枠組みに落とし込むのがうまくいかないと中断放棄してしまうクセがあった例にもれず、第1楽章だけが完成し第2楽章の途中で中断、結局は未完に終わってしまいます。私も聴くのは初めてですが、曲自体はシューベルトらしいやわらかな旋律が特徴的なチャーミングなものでした。

第2曲、イヴァン・ミュラーのクラリネット四重奏曲。ステージ上は左からクラリネット:川上一道、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置。プログラムノートによれば、ミュラーという人は1786年生まれ、1854年に没した「エストニア生まれのドイツのクラリネット奏者、バセットホルン奏者、発明家」として活躍した人だそうで、バセットホルンやクラリネットの孔をふさぐタンポを発明したとのことです。ベートーヴェンより一回りと少し若く、シューベルトやシューマンらと同時代の人のようです。演奏家として楽器の不満点があると自分で工夫改善、発明してしまうというタイプだったのかな。
第1楽章:アレグロ・モデラート・マ・コン・スピリト、鋭いクラリネットの音で開始します。管楽器の音と弦楽器の音の違いを感じながら、クラリネットの魅力的な低音から高音まで駆け上がるようなパッセージなどに、改良されていった楽器の特徴があらわれているのかもしれません。第2楽章:アンダンテ・主題と変奏。短調の緩徐楽章から長調に戻ってテンポアップし、先の主題に回帰し下降する音、響きが実に魅力的です。

ここで15分の休憩が入りました。



後半のプログラムは、シューベルトの弦楽三重奏曲第2番から。第1楽章:アレグロ・モデラート。やっぱり実演ならではの響きです。レアな曲目でも、今は YouTube 等で接することはできるわけですが、当然ながら生の響きには負けます。第2楽章:アンダンテ、第3楽章:メヌエット、アレグレット。弦楽四重奏と比べると、やっぱりヴァイオリンの負担が大きいように感じます。第1と第2とヴァイオリンが二人になることで、響きの面でも動きの面でも、多彩な展開ができるのかもしれません。わずか2曲で終わったシューベルトの弦楽三重奏曲、案外そのへんに理由があったのかも。第4楽章:若いシューベルトが室内楽の形式にまとめた音楽、それぞれの楽器に出番というか見せ場を作っているようです。軽やかに主題に戻ります。

最後の曲目は、ミュラーのクラリネット四重奏曲第1番です。黒と緑の模様のシャツ姿でクラリネットを手に川上さんが登場、ステージ上は左から順にクラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置です。第1楽章:アレグロ。クラリネットがたいへん見事な活躍を見せます。弦三人に音量面でも負けないくらいで、たぶんクラリネット奏者だった作曲家は自分の楽器を目立たせるためにわざわざそのように書いたのだな(^o^)/ 第2楽章:アダージョ・コン・エスプレッシオーネ。ここではクラリネットは抑制気味に、弦の叙情的なところがいいなあ。第3楽章:ポロネーズ。再び活発なクラリネット、弦のポロネーズのリズムがおもしろい!弓が弦の上で飛び跳ねるようにリズムを刻むかと思えばピツィカートで軽やかに。クラリネットの妙技がすごい、スゴイ! イヴァン・ミュラーのクラリネット四重奏曲第1番、こんな作曲家、こんな曲もあったんだなあ。あらためて魅力を再認識しました。これはぜひCDを探して買いたいものです。



次回は4月26日(金)、18:45〜、文翔館議場ホールにて、犬伏亜里(Vn)さん、田中知子(Vla)さんを迎えて、モーツァルトの弦楽五重奏曲第1番、弦楽四重奏曲第2番、シューベルトの弦楽四重奏曲第2番を予定とのこと。これは楽しみです。手帳のスケジュールににしっかり転記しました。世の中、原則は先約優先です(^o^)/

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新年の音楽聴き初めはヘンデルの作品を

2024年01月03日 06時01分08秒 | -室内楽
元日の夕方の地震には驚きました。被災された方々にお見舞いを申し上げると共に、被災地で救援に当たる方々に敬意を表します。それと同時に、東日本大震災の時も思いましたが、同じ東北の隣県として被災地に心を寄せながら、できる限り平常通りの生活で消費をして経済を回すのが大事だと感じたことを思い出します。当面できる支援と共に、できるだけ北陸の産品を購入して応援することにいたしましょう。



元日は朝から総代をしている寺に出かけて、年賀の受付の準備をしました。今年は当番には当たらなかったので、年始の勤行が終われば地区内の他寺を回り、昼前に自宅に戻りました。ようやくほっとして、どれ、音楽でも聴こうか、となりました。メインの Linux デスクトップ PC に接続した簡易な PC-audio で流れたのはヘンデルのヴァイオリン・ソナタ。まずは保存している音源から、Rhythmbox でスークとルージイッチコヴァの1965年の演奏を。



続いて YouTube で探してみました。印象的な Arsenale Sonoro(*1) の演奏で。

G.F.Handel: Sonata in G minor for Violin & B.c Op.1 No.6 HWV 364a


続いてヘンデルの合奏協奏曲、作品6−5 ニ長調 をクリーヴランド音楽院の若い人たちの演奏で。

George Frideric Handel: Concerto Grosso in D Major, Op. 6, No. 5


ヘンデルの、こういう伸びやかな旋律は、いいですね〜。最後に、Arsenale Sonoro の他の演奏を。「お前は誠実か、お前は貞節か」HWV171

Un'alma innamorata, HWV 173: Aria. Ben impari come s'ama


(*1): Arsenale Sonoro 〜 ホームページ、 Spotify で検索しても他の演奏を聴くことが出来ます。

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人の声で始まるバッハ「フーガの技法」を聴く

2023年12月05日 06時00分26秒 | -室内楽
     (J.S.バッハ、Wikipediaより)

バッハの「フーガの技法」は、ある意味、不思議な音楽です。もともとはチェンバロなどの鍵盤楽器がオリジナルなのだそうですが、楽譜に演奏する楽器の指定がないために、いろいろな楽器の組み合わせで演奏されているのだそうな。だいぶ前に、廉価盤で親しんだリステンパルト指揮ザール室内管弦楽団による録音を取り上げ、記事にした(*1)ことがありますが、ときどきこの不思議な音楽を聴きたくなることがあり、見つけたのがこれ、人の声で始まる「フーガの技法」です。しかも、先日、山響定期でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いた佐藤俊介さんのお顔も見えるではないですか。そうか、たしかネーデルランド・バッハ・ソサエティのオーケストラのコンサートマスターだったんだなあ。今更ながら、再認識。

Bach - The Art of Fugue BWV 1080 - Sato | Netherlands Bach Society


うーむ、正確に言えば「人の声で始まる」だけでは正しくない。スキャット風もある「声楽が加わった」フーガの技法。管楽器だけのところもたいへん魅力的ですし、弦楽器もヴァイオリン族だけでなく、ヴィオール族というのでしょうか、ギターのようにフレットを持ち、チェロのように抱える楽器群も加わっています。長生きしたバッハの最後の作品だったかもしれません。相変わらず不思議な雰囲気を持つ音楽ですが、かなり新鮮な感じがします。

(*1): J.S.バッハ「フーガの技法」を聴く〜リステンパルト指揮ザール室内管〜「電網郊外散歩道」2010年12月

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山形弦楽四重奏団第89回定期演奏会でモーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンを聴く

2023年10月16日 07時12分43秒 | -室内楽
秋のまっただ中である10月15日(日)の夜、山形市の県民ホール第一スタジオにて、山形弦楽四重奏団の第89回定期演奏会を聴きました。山形弦楽四重奏団は、山形交響楽団に所属する演奏家が中心となって組織したカルテットで、2000年の結成以来すでに23年の歴史があり、ハイドンの弦楽四重奏曲全曲演奏を達成したほか、日本の近現代の室内楽作品を積極的に取り上げるなど活発な活動を続けています。今回は、山響首席コンサートマスターの犬伏亜里さんを迎えて、モーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番を取り上げる、というものです。具体的には、

  1. モーツァルト 弦楽四重奏曲第1番 ト長調 K.80(73f) 「ローディ」
  2. シューベルト 弦楽四重奏曲第1番 ト短調 D.18
  3. ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 Op.18-1

の3曲です。とくに、若いベートーヴェンの作品が大好きな中でも、とりわけこの第1番がお気に入りなので、プログラム発表以来ずっと楽しみにしていました。

会場は長方形のスタジオの短辺側にステージを置いたもので、聴衆は80〜90人は入っていたでしょうか、けっこうぎっしり感があります。楽器の配置は、左から第1ヴァイオリン(犬伏亜里)、第2ヴァイオリン(中島光之)、ヴィオラ(倉田譲)、チェロ(茂木明人)となります。

第1曲、モーツァルトが少年時代のイタリア旅行中に作曲され、ウィーン時代に完成されたという第1番。「ローディ」というのは、宿泊先の地名だそうです。第1楽章:アダージョ、いきなり緩徐楽章から始まりますが、穏やかな中にも音楽に華があると感じられます。第2楽章:モーツァルトらしい活発なアレグロ。第3楽章:メヌエット〜トリオ、高域のヴァイオリンと中低域のヴィオラ・チェロの対比が魅力的です。第4楽章:ロンド、アレグロ。犬伏さん、楽章間のちょっとした合間に、右手で譜面をめくりながら左手の指で弦をはじいて音を確かめています。ハーモニクス?無駄のない合理的な動きで、なんとなく普段からテキパキとした方かもと想像してしまいました(^o^)/

続いて第2曲、シューベルト14歳の作品です。おそらく家庭内で演奏するなどの目的で作られた曲なのでしょうが、私には初体験。意外にも劇的な面もある音楽でした。第1楽章:アンダンテ〜プレスト、ヴィヴァーチェ。間を合わせるのが大変そうですが、力強さや迫力を感じさせます。すでにベートーヴェンを経験していたであろう少年作曲家のかっこいい音楽。第2楽章:メヌエット〜トリオ、一転して弱音器を付けたかわいらしい音で演奏されます。第3楽章:アンダンテ、弱音器を外して演奏される緩徐楽章です。第4楽章:プレスト。再び訴える力のある劇的な音楽となります。後年の室内楽曲の充実しか知りませんでしたが、若い時代の交響曲は全集で耳にしており、若いシューベルトの弦楽四重奏曲も魅力的なものがあるのだなと知りました。得難い経験となりました。

ここで15分の休憩です。

後半は、ベートーヴェンの第1番。1801年に改訂完成とありますので、作曲者が30歳頃の作品です。モーツァルトやシューベルトとは異なり、少年時代のものではなくすでに成熟した大人の作品。しかも、作品18の6曲のうち1番目に来るものとして番号を付けられたものですから、できの良い方を第1番にするというベートーヴェンの流儀からみても、青年期の傑作と言ってよかろうと思います。
第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ。ごく自然な始まりです。チェロの中音域の音色が優しい。過度に意味有りげにせずに、演奏の自然なたたずまいは、多くの演奏経験のゆえでしょうか。第2楽章:アダージョ・アフェットゥオーソ・エ・アパッショナート。2nd-Vn、Vla、Vcによる中低音の中に、1st-Vnが悲しげな旋律を奏します。作曲者はロミオとジュリエットの墓場の場面を想像して作曲したのだとか。しだいに表情は穏やかなものに変わっていきますが、たいへん魅力的な音楽を説得力のある演奏で堪能しました。三度の休止が効果的。
第3楽章:スケルツォ、アレグロ・モルト〜トリオ。前楽章からは一転して、青年期ベートーヴェンらしい、活発なスケルツォです。とりわけ 1st-Vn は自信と思い切りの良さが求められるのだな、と感じました。
第4楽章:アレグロ。晴れ晴れとした開放感を感じさせる音楽、演奏です。これですよ、これ! 緊密な響きの中にやわらかな優しさを含みながら、闊達な音楽が広がります。実に若いベートーヴェンらしい、ステキな音楽です。いいなあ! 弦楽四重奏の充実と楽しさを、たっぷりと味わいました。

聴衆の拍手に応えて、アンコールはハイドンの弦楽四重奏曲第1番の第1楽章を。今回は、「1」づくしの回でした。

次回の第90回定期演奏会は、2024年1月22日(月)、19時から、同じ県民ホール・スタジオ1 にて。山響のクラリネット首席の川上一道さんを迎えて、ミュラーのクラリネット四重奏曲第1番ほか。
いよいよ第90回ですか。これはイソ弦楽四重奏団の100回の定期演奏会を超えるのが現実的に見えてきたようです。年4回の定期演奏会であれば25年で100回。ファンとしても応援したい。団員の皆さんのご健康を祈ります。



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雨降りの日はヘンデルのヴァイオリン・ソナタから

2023年07月17日 06時00分07秒 | -室内楽
雨降りの日は、音楽も小編成の曲が好ましく、昨日はヘンデルのヴァイオリン・ソナタOp.1からいくつかの曲を聴きました。例えば印象的な第1楽章:アフェットゥオーソを持つOp.1-13など。ヘンデルらしい、伸びやかな音楽。手元にあるCDはスーク(Vn)とルージイッチコヴァ(Cem)による1975年の初期PCM録音のDENON盤ですが、少々音が硬い印象。むしろ、パブリック・ドメインになっている1965年のアナログ録音に手が伸びることが多いかも。こちらがヨセフ・スークのヴァイオリン、ルージイッチコヴァのハープシコードでのOp.1の全6曲。1965年の録音です。

Handel: 6 Violin Sonatas op.1. Suk, Ruzickova.


一方、こちらはグリュミオー(Vn)、ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(Cem)による1966年の録音。

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ニ長調 作品1の13 グリュミオー 1966


今日はなんとか雨があがってくれるといいなあ。農作業が溜まっていますので、少しの晴れ間も貴重です。予報では晴れ、気温がぐんぐん上がるらしい。

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山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルト歌劇「後宮からの誘拐」等を聴く(2)

2023年07月10日 06時14分31秒 | -室内楽
休憩後のプログラムは、フルート四重奏によるモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」の第2幕と第3幕です。

第2幕は、「出ていってやるから覚えておけ」から。これはコンスタンツェの侍女ブロンデに番人の大男オスミンが言い寄り、あしらわれた後のセリフが歌になっています。ちょうど「魔笛」のモノスタトスのような役回りですが、もっとコミカルな感じです。続いて「悲しむことが私の定め」と嘆くコンスタンツェは弱気なヒロインかと思うと、「あらゆる拷問こそ」と気の強いところを見せたりします。従者ペドリッロは「さあ闘いだ!さあ武器を取れ!」と励まし、番人オスミンに睡眠薬入りのワインを飲ませる「良いぞバッカス!バッカス万歳!」と続きますが、有能な従者はふつうに睡眠薬なんて携帯しているものなのか(^o^)/ そしてベルモンテとコンスタンツェが再会、ベルモンテが「喜びの涙が流れるとき」を歌います。

第3幕は、脱出の際に勇気を鼓舞するベルモンテのアリア「愛よ!お前の強さと力が頼りだ」から。残念ながら番人オスミンが目を覚ましてしまい、逃亡を企てた四人を捕らえてしまいます。「よし、勝どきを上げてやろう」。太守が逃亡の企てを責めるので、ベルモンテは身分を明かして寛容を請います。ところがこれが逆効果で、実はベルモンテの父親は太守の仇敵! 「万事休す」かという緊迫の場面は太守が許しを与え解放するという驚きの展開に。そこで大団円の民衆の歌「太守セリム様、万歳!」、たしかこれは、映画「アマデウス」でヴォルフガング君がノリノリで指揮していたあの場面ではなかろうか?

いや〜、良かった。フルート四重奏で歌劇「後宮からの誘拐」というのも、録音のない当時の「ハイライト盤」のような役割だったのでしょう。私はLDで予習して場面を想像しながら聴きましたのでおよそのストーリーをたどることができましたが、初めて演奏に接する場合はどうだったのだろうと逆に興味深いものがあります。でも、小松崎恭子さんの見事なフルートと山形弦楽四重奏団の三人のアンサンブルに魅了されて、本家のオペラを観て聴いてみようと思った人も…いやいや、そもそも山形でこういう曲目の演奏会に来る人たちは、歌劇「後宮からの誘拐」は先刻ご承知の「濃〜い」人たちなのかな(^o^)/ それにしては、お客様の人数はけっこうな数になっていたように思います。県庁所在地とは言うものの人口20万人台の山形市、周辺人口を含めても40万人程度の地方都市で、88回を数える定期演奏会を継続してきた積み重ねの価値を感じます。素人音楽愛好家には実にありがたいことです。

そうそう、今回は後援の蕎麦屋「続おそばに」さんから、お客さん全員に写真のような最上早生の乾麺がプレゼントされました。ありがたい! さっと茹でてきゅっと冷やして、紫蘇の葉とミョウガでいただきましょう。

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山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」等を聴く(1)

2023年07月09日 18時10分02秒 | -室内楽
あいにくの雨降りとなった土曜の夕方、山形市の県民ホール第一スタジオで、山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会を聴きました。プログラムは、

  1. ボッケリーニ 6つの小弦楽三重奏曲より ニ長調 Op.47-5、G.111
  2. モーツァルト 歌劇「後宮からの誘拐」(J.ヴェント編曲によるフルート四重奏曲版)第1幕
    〜休憩〜
  3. モーツァルト 同 第2幕
  4. モーツァルト 同 第3幕
     小松崎恭子(Fl)、山形弦楽四重奏団:中島光之(Vn)、倉田譲(Vla)、茂木明人(Vc)

というものです。モーツァルトの歌劇をフルート四重奏で演奏するという、珍しくも貴重な体験。このような編曲が存在するというのは、どうやら録音というものが存在しなかったモーツァルトの時代が背景にあるようで、「後宮からの誘拐、良かったね〜! もう一度聴きたいんだけれどなあ」「あっ、フルート四重奏で演奏できるみたい」「おっ、それじゃあ家でやってみようか!」というような層がたしかにいたということでしょう。




会場となった県民ホール第1スタジオというのは、入り口を入って階段またはエスカレータで2階に上がり、大ホールの反対側に進むと、左側にありました。いわゆるホールの入り口というようなものはありませんので、ちょっと入り方にまごつきましたので、文翔館のときのようにチラシを案内板に掲示しておくと、私のように「日時を間違えたんじゃなかろうか」とか「本当にここで良かったんだろうか」などと不安になることもないのかなあと思います。

でも、会場に入ると、天井が高くよく響くモダンなスタジオで、大正ロマンの風情あふれる文翔館議場ホールとはまた違った雰囲気です。椅子もメッシュのパイプ椅子で、会場準備する人には優しいかもしれません(^o^)/ 開演前の中島さんのトークは相変わらず爽やかでよく聞こえます。また、さすがは元国語講師のキャリアも持つヴァイオリニストだけあって、歌劇「後宮からの誘拐」のストーリー解説もたいへんわかりやすいものでした。

第1曲め、ボッケリーニの弦楽三重奏曲です。中央ステージ左から、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの配置。第1楽章:アンダンティーノ・モデラート・アッサイ、第2楽章:テンポ・ディ・メヌエット〜トリオ。ヴァイオリンが歌いヴィオラが合いの手を入れながらハモり、チェロが低音で締める、というような形のチャーミングな音楽。昔の貴族たちは、食前の、あるいは食後のひとときをこういう音楽で楽しんでいたのかもしれません。ちょうど私たちが食後のひとときをCDやDVDで楽しむようなものでしょうか。

続いてモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」第1幕、ステージ左から、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置です。快速テンポで序曲から始まりましたが、おお、「後宮」序曲だ! フルート四重奏でちゃんと序曲になっており、思わず感激です。チェロが通奏低音にとどまらない活躍をするのが印象的ですが、全体的にはフルートと弦楽三重奏とでオーケストラの主要な声部だけを演奏するわけですので、迫力や響きの多彩さという点では負けます。でも、曲の持つ軽やかさみたいなものが感じられて、「音符が多すぎる」と評した皇帝の感想もあながち大ハズレではなかったのかも(^o^)/ もちろん、モーツァルト自身は同意しないでしょうけれど(^o^)/
続いて「やっとここで会えるのか、コンスタンツェ!」という主人公ベルモンテのアリア。恋人コンスタンツェと従者とその恋人の三人が海賊に捕らえられ、トルコの太守セリムに売られたという情報を入手したベルモンテが、三人を救おうとセリムの屋敷に到着した場面です。そこで敵役が登場、オスミンというバスの大男という役柄ですが、「こんなどうしようもない奴らには」と歌います。低音域ですが意外に軽快なところがコミカルさを表します。愛する恋人に会える期待を歌う「何と不安に何と激しく脈打つんだ僕の心は」、そして映画「アマデウス」でも使われていた太守が船で登場する場面の合唱「偉大な太守を讃えて歌おう!」と続きます。最後は、太守セリムがコンスタンツェに愛を迫るが彼女は「私は(ベルモンテに)恋をして幸せでした、でもその喜びは儚く消えたのです」と拒絶します。うーむ、場面の選定もちゃんといいところを選んでいるし、CDで言えば立派なハイライト盤ではないですか。

ここで15分の休憩です。トイレも第1スタジオのすぐ近くに2箇所ありますし、なかなか便利です。
(続く)

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山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルト「後宮からの誘拐」を聴きに行く

2023年07月08日 18時30分35秒 | -室内楽
雨の土曜日、早朝から水田の用水路の草刈りに従事し、シャワーを浴びてさっぱりした後は、LDでベーム指揮のモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」を観ました。理由は、山形弦楽四重奏団の第88回定期演奏会で、この「後宮からの誘拐」をフルート四重奏に編曲したものが演奏されるため、その予習をかねて、本家の歌劇を楽しもうというものです。






映画「アマデウス」でも、皇帝臨席のもとで上演される場面がありましたが、あのドイツ語による歌芝居をフルート四重奏でやってしまおうというのですから、実演に接することができる機会というのはごく稀なのではなかろうか。それにしても、楽しい歌芝居を室内楽でどんなふうに料理するものか。楽しみです。



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山形弦楽四重奏団第87回定期演奏会でモーツァルト、ベートーヴェンを聴く

2023年05月01日 06時00分17秒 | -室内楽
ゴールデンウィークに突入して二日目の日曜日、午後から総代をしている寺の総会を済ませ、あわただしく腹ごしらえをして山形市の文翔館に向かいました。いつもの議場ホールを会場に、山形弦楽四重奏団の第87回定期演奏会です。




山形弦楽四重奏団というのは、山形交響楽団に所属する弦楽器奏者を中心に、2000年に結成された常設の弦楽四重奏団で、これまでハイドンの弦楽四重奏曲全曲を演奏するなど、山形を中心に230以上のステージで活動している団体です。おそらく、プロ・オーケストラに所属しながら定期的に演奏会を開催している常設のカルテットというのは、全国的にも珍しいのではないかと思います。近年はメンバーを一人欠いたためにしばらく三人で活動しており、弦楽三重奏曲や管楽器を加えた四重奏曲など多彩な、中には実演で聴くことが難しいマニアックな曲も含めたプログラムとなっていました。とはいいながら、やはり弦楽四重奏本来の響きを楽しみたいという期待も高まる中、山響の新人ヴァイオリン奏者の河村佳奈さんをゲストに迎えて、久々にオーソドックスな定期演奏会となったものです。

さて、今回のプログラムは;

  1. W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲第7番 変ホ長調 K.160
  2. W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465 「不協和音」
  3. L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 Op.18-4

というものです。



今回の担当はヴィオラの倉田譲さんで、開演前のプレトークも担当します。手違いでプログラム原稿データが印刷所に届く際にトラブルがあったようで、手作り感いっぱいのプログラムになったことをわびた後、坂本龍一さんが東京芸大作曲科卒であり、近年はユースオーケストラに力を注いでいたことなどを紹介し、故人を悼みました。また、倉田さんのお父さんが時代小説・歴史小説のファンであったことから、藤沢周平や池波正太郎などの本をどっさりもらってきて、読むようになったことなどを話し、前夜は『剣客商売』を読んだそうで、思わず親近感をいだきます。今回は、山響の河村佳奈さんをゲストに迎えて久しぶりに弦楽四重奏を演奏するので、楽しんでいただきたい、とのことでした。

舞台上の配置は、向かって左から第1ヴァイオリンの河村佳奈さん、第2ヴァイオリンの中島光之さん、ヴィオラの倉田譲さん、右端がチェロの茂木明人さんとなります。基本的に黒を貴重とした服装で統一されており、中島さんが上着にネクタイ、茂木さんが白っぽいネクタイをしているほかは、上下とにかく黒、これ、その都度衣装を考えなくていいという戦略的判断かも(^o^)/

さて第1曲、モーツァルトの7番です。
第1楽章:アレグロ。軽やかに楽しげに、カルテットの楽しさをいっぱいに主張するようです。盤石の中低音域に乗って、1st-Vnと2nd-Vnの掛け合い、交代がおもしろい。第2楽章:ウン・ポコ・アダージョ。「ウン・ポコ」とは「やや、少し」の意味だそうで、「やや遅く」という意味でしょう。明暗で言えば暗のほうの楽章ですが、あまり深刻にならないように、ということでしょうか。豊かな響きが重なり合う緩徐楽章です。第3楽章:プレスト。文字どおり急速に演奏されます。躍動するような若いモーツァルトの音楽です。

(2) モーツァルト 弦楽四重奏曲第19番「不協和音」
第1楽章:アダージョ〜アレグロ。冒頭の不協和音は、現代ならばあり得る響きですが、ロココ時代の当時としては「何じゃこりゃ?」だったことでしょう。この不安定、不穏さがハ長調で一気に解決されて始まる活発な音楽はいかにもモーツァルトです。第2楽章:アンダンテ・カンタービレ、ゆっくりと歌うように。優しい表情で始まる音楽は大きな起伏こそありませんが、さまざまな音色で彩られます。第3楽章:メヌエット、アレグロ〜トリオ。四人の奏者が息のあったところを見せてくれます。第4楽章:アレグロ・モルト。主題が例えば1st-Vnから2nd-Vnへ、あるいはヴィオラやチェロに受け渡されるところなど、音色の変化もいかにもカルテットらしさが出ていて面白いです。

(3) ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番 ハ短調
ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲、作品18の6曲の中で、この4番だけが唯一の短調の曲です。しかもベートーヴェンにとっては特別なハ短調! ピアノ三重奏曲第3番、ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」や後期の第32番Op.111、交響曲第5番「運命」などが該当し、いずれも名曲ばかりです。当然のことながら、この曲も実にいい。第1楽章:アレグロ・マ・ノン・タント。速すぎないアレグロで、というような意味でしょうか。1st-Vn河村さんの決然たる表情が好ましい始まり。例えば茂木さんが受け継いでチェロの高音域で同じフレーズを奏する時、アンサンブルの充実感を感じます。第2楽章:スケルツォ、アンダンテ・クワジ・アレグレット。アレグレットに近いアンダンテで、というほどの意味でしょうか。スケルツォなのに、ベートーヴェン、なかなか難しい指定をしています。でも始まりは 2nd-Vn で、これが Vla、1st-Vn、Vc と次々に加わる形で、「弦楽四重奏の響きの作られ方紹介」みたいなことをやっています。面白いです。第3楽章:メヌエット、アレグロ〜トリオ。変な表現ですが、憂い顔のダンディな男が立っていて、身振りも様になる、というような音楽です。第4楽章:アレグレット。華のある1st-Vnと共に、2nd-Vnの細やかな動きも魅力的です。弦楽三重奏とはやはり違う、響きもアンサンブルも充実感があります。

聴衆の拍手に応えて、アンコールはモーツァルトの弦楽四重奏曲第6番の第3楽章を。一言で言えば、モーツァルトは愉しい、若いベートヴェンはカッコいい!そんなことを感じた演奏会でした。

次回の定期演奏会は7月8日(土)、18:30〜、会場がやまぎん県民ホールのスタジオ1に変わるとのこと。これは文翔館議場ホールの改修工事のためで、おそらく工事が終わればまたこちらに戻るのでしょう。国の重要文化財の建物で定期演奏会を開けるなんて、かなり贅沢な話ですから(^o^)/

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「聴きたくて聴く」のと「ながら聴く」のとではぜんぜん違う

2023年04月29日 06時00分15秒 | -室内楽
よく晴れた春らしい、いや、むしろ初夏の陽気となった昨日の午前中、布団を干し掃除をして、一服してリビングでCDを流しました。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」というベタな選曲です。この時期、これがいいのだなあ。たまたまそこにあったのが、昔懐かしい「The Royal Philharmonic Collection」中の1枚、FRP-1023 というCDで、ジョナサン・カーネイ(Vn)、ロナン・オーラ(Pf)の演奏(*1)でした。私の場合、ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」は特に誰の演奏でなくては、というような決めつけはありません。瀬戸内の春も都会の春も、また北国の春も、それぞれに春の魅力にあふれているでしょうから、どれが一番と決められるようなものではないのと同じです(^o^)/

Beethoven: Violin Sonata No. 5, Grumiaux & Haskil (1957) ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番 グリュミオー


Sayaka Shoji and Gianluca Cascioli play Beethoven : Violin Sonata No.5 in F major, Op.24 "Spring"


こうして、「この曲を聴きたくて」CDを手にして、あるいは演奏の動画等を探して聴くのは、ラジオやネットで流しっぱなしの「ながら聴き」とはぜんぜん違います。何を今更の、あたりまえの話ではありますが。

(*1): ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」を聴く〜その2〜「電網郊外散歩道」2011年2月


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