講談社現代新書の新刊で、大川弥生著『「動かない」と人は病む』を読みました。亡父の闘病生活や老母の日常生活を見ていて、生活を前向きに活発に維持することが重要であることを、何となく感じておりましたが、これを「生活不活発病」という概念でわかりやすく説明されることで、ストンと腑に落ちる理解を得ることができました。大雑把に言って、伝染病の予防や治療の時代から、外科手術や高度な医療の時代を経て、日常生活の回復のためのリハビリテーション等が重視される時代に変化してきているようです。
本書の構成は、次のようになっています。
前半では、病気がきっかけで安静な生活をしているうちに生活不活発病で様々な症状ができてしまうこと、そしてそれにどう対処したかが紹介されます。生活不活発病という病気の特徴と対処の仕方が述べられますが、そこでは人が生きることの構造~「社会参加ー生活動作ー心身機能」という三つのレベルのうち、より上位の、家庭内を含めた「社会参加」から始めることの大切さを説いています。たいへん納得できるところです。
リューマチの治療に用いていたステロイド剤のために胃壁に穴があいて入院し、退院した後は徐々に歩けなくなっていった祖父は生活不活発病の考え方が当てはまる症例でした。父親の経過を見続けた亡父は、多少の痛みや不自由さがあっても、自分でできることはできるだけ自分でさせることを大切さにし、「本当の親孝行」と表現していました。代わってしてあげることが親孝行ではない、むしろ生活不活発病へと追いやる「親不孝」だと感じていたのでしょう。
また、胃ガン摘出や腕の骨折などで入院した後に、農作業によって健康と体力を回復した老母にとっては、雪に閉じ込められて畑仕事をすることができなくなる冬場の暮らし方が、生活不活発病の防止の上からも、大きな課題です。そして、まだ若いくせに(^o^;)すぐ車で移動し、歩く距離が減少している私たち夫婦にとっても、ウォーキングや畑仕事などで生活を活動的にすることが、健康維持のポイントです。本書の帯のコピー:
は、まったくその通りだと思います。「動かない」人は病む。健康な生活を考える上で、実に重要な視点だと感じました。
本書の構成は、次のようになっています。
プロローグ 病気がきっかけで生活不活発病に
第1章 本人と家族の積極的取り組みを
第2章 外の世界とのかかわり
第3章 日常生活の中で
第4章 障害に生活不活発病が加わることも多い
第5章 「寝たきりを防ぐ」から「つくられた歩行不能を防ぐ」時代へ
第6章 遠隔介護予防のすすめ
第7章 病気としての生活不活発病の特徴
第8章 生活不活発病の研究の歴史
第9章 善意の支援が生活不活発病を生む?
第10章 人が「生きる」ことの構造
エピローグ ボク「卵」にもどった。おじいちゃん「ゆで卵」になっちゃうよ。
前半では、病気がきっかけで安静な生活をしているうちに生活不活発病で様々な症状ができてしまうこと、そしてそれにどう対処したかが紹介されます。生活不活発病という病気の特徴と対処の仕方が述べられますが、そこでは人が生きることの構造~「社会参加ー生活動作ー心身機能」という三つのレベルのうち、より上位の、家庭内を含めた「社会参加」から始めることの大切さを説いています。たいへん納得できるところです。
リューマチの治療に用いていたステロイド剤のために胃壁に穴があいて入院し、退院した後は徐々に歩けなくなっていった祖父は生活不活発病の考え方が当てはまる症例でした。父親の経過を見続けた亡父は、多少の痛みや不自由さがあっても、自分でできることはできるだけ自分でさせることを大切さにし、「本当の親孝行」と表現していました。代わってしてあげることが親孝行ではない、むしろ生活不活発病へと追いやる「親不孝」だと感じていたのでしょう。
また、胃ガン摘出や腕の骨折などで入院した後に、農作業によって健康と体力を回復した老母にとっては、雪に閉じ込められて畑仕事をすることができなくなる冬場の暮らし方が、生活不活発病の防止の上からも、大きな課題です。そして、まだ若いくせに(^o^;)すぐ車で移動し、歩く距離が減少している私たち夫婦にとっても、ウォーキングや畑仕事などで生活を活動的にすることが、健康維持のポイントです。本書の帯のコピー:
「動かない」から「動けない」。高齢化時代の新しい常識!
誰の身にも起こりうる病気を徹底解明。
は、まったくその通りだと思います。「動かない」人は病む。健康な生活を考える上で、実に重要な視点だと感じました。