電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

言葉の鮮度

2007年07月31日 05時23分06秒 | ブログ運営
最初は新鮮でインパクトがあり、いい言葉だな~と思っていたのに、使われすぎて手あかがつき、あまり自分では使いたくない言葉があります。たとえば「生き様(ざま)」「ふれあい」「出会い」などです。「生き様」は藤沢周平も嫌いな言葉に挙げていましたが、「ざまが悪い」「ぶざま」「ざまあみろ」などを連想する「ざま」と私たちが生きることとを、あまりストレートに結びつけたくはない、と思います。「ふれあい」も同じで、知らない人から「ふれあい」などと言われると、ぺたぺたさわられるようで気色悪い。
「出会い」という言葉も、場面を考えずに頻用するのはいかがなものかと思ってしまう言葉の一つです。宣伝に踊らされて買わされる商品と自分が「出会う」なんて、あまり愉快な状況ではありません。
これが、長らく探し求めていた本やCDですと、話は別です。「30年ぶりに再会した」とか「ようやく巡り会った」などの表現を、私もいたします。偶然の出会いよりも、探し求めていたものとめぐりあうことのほうが、喜びが大きいだけに、表現も強く大げさになってしまう、ということでしょうか。どうやら、言葉にも鮮度があるようです。

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デジカメ講座で接写を覚える

2007年07月30日 06時10分41秒 | ブログ運営
先日、地域サークルのデジカメ講座を受講しました。比較的年配の人が中心でしたが、デジカメがほんとに普及しているんだなあと感じる盛況ぶりでした。
私が課題としていたのは、接写です。これまで、ポートレイト程度の距離では、比較的ボケずに撮影できていましたが、一定の距離よりも近づくと、とたんにピントが合わなくなり、私のカメラは接写が弱いのだと勝手に思い込んでおりました。
ところが、今回の講座で、花の模様がマクロモードのマークだと教えられ、目からウロコが落ちました。そうか、私のカメラでも、接写ができるんだ!と思わず感動。



また、ストロボの強制発光や、ストロボ停止なども設定できることを知り、デジカメで逆光対策もできることを再確認。なんだ、今まで銀塩フィルムカメラでできることはたいてい設定できるんだと知って、今さらながらマニュアルを読まずに適当に使っていたことを反省しました。以下、デジカメ講座での作品です。





以下は、今回の講座でのメモです。



1.カメラの持ち方 両手で持ち、ひじを体につけて脇をしめる
2.基本操作 (1)二段シャッター(2)マクロ撮影(3)日中シンクロ
3.構図の基本 3分割法
4.風景写真の14基本構図
5.レンズによる効果 望遠効果、広角効果
6.アングルによる効果 めだか、ローアングル、ハイアングル、横位置、縦位置
7.F(絞り)とS(シャッター速度)とISO(感度)の調節 光の量を手動で調節してねらった効果を出すことも
8.スポーツ撮影と舞台撮影 速度優先(速いと動きが止められる)と絞り優先(ストロボを使えない場合は絞りを開き感度を高める)
9.集合記念写真の留意点 (1)人物にピントをあわせ(2)背景を入れる、逆光注意、日中でもストロボを強制発光することも、背景より人物を手前に並べると全体がバランスよく入る
10.デジタルカメラのいいところ ISO感度を1コマごとに変えられる
11.メディアからパソコンへの取り込み 手持ち時の静電気に注意
12.データの保管と整理 PCは一時的保存場所、DVD/CDと外付けHDと二重化して保存、インデックス画像を印刷しておく

などの内容でした。
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『こちら北国、山の中』を読む

2007年07月29日 05時40分37秒 | 読書
人気ブログ「農家の嫁の事件簿(*)」を初めて訪れたのはいつだったでしょうか。たしか、@niftyに移行する前の、2005~6年頃だと思います。ほのぼのとしたイラスト中心の内容で、当時すでに大変な人気でした。
このブログ記事がもとになり、『こちら北国、山の中』(三上亜希子著、小学館)という本になって出版されていることは知っていましたが、実際に書店で実物を手に取って見たのはごく最近のことです。実は、イラスト中に時折かいま見える誤字脱字がほほえましく、本書の前書きや著者略歴を読むまで、まさか「筑波大学大学院環境科学研究科修了」などという経歴の才媛とは思ってもみませんでした(^_^;)>sumankotte

本書に掲載されているイラストは、ほのぼのムードで描かれていますが、実はけっこう大変なことばかりです。牛舎から逃げ出した巨大な成牛を目の前で見たら、ふつうの都会のお嬢さんは、たぶん夢に出てきてうなされるはず。生活に慣れて、ある程度客観的に楽しめるようになったから、ほほえましいイラストに描けるのだろうと思います。
岩手県岩泉町釡津田というところはどこか、地図で確認してみました。なるほど、たしかに山の中です。そういえば、同じく山の中にある、山形県尾花沢市の銀山温泉には藤ジニーさんという著名なお女将さんがいますが、彼女もダニエル・カールさんと同様、英語指導助手として来日し、蔵王でスキー指導をしてくれた藤屋旅館の若旦那と恋をして今の立場になったはず。アメリカ合衆国と日本の間と、埼玉県の都会と岩手県の山の中では、言葉も通じ食文化や生活習慣の共通点が多い分だけ、苦労も少ないと言えるとは思いますが、しかしえらいもんです。勇気ある決断、若いからできることかも。

(*):「農家の嫁の事件簿」
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ベートーヴェンの三重協奏曲を聴く

2007年07月28日 10時48分51秒 | -協奏曲
若い頃に、ある録音が大きな話題になりました。1969~70年頃でしょうか、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)、ダヴィード・オイストラフ(Vn)にムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)の三人に、カラヤン指揮ベルリン・フィルという組み合わせで、ベートーヴェンの三重協奏曲のLPが発売されたというのです。当時のチラシが手元にありますが、「一体、誰がこの顔合せを予想しえたか」「偉大な4つの個性、白熱の競演が生んだ人類の遺産!」というキャッチコピーに、LP全盛期の勢いを感じます。
当時の雑誌の批評には、噴飯物の文章もありました。今でも記憶に残っているのは、「ベートーヴェンが書いた駄曲を、偉大な演奏がよみがえらせた」というのです。世間知らずの若者(当方)は、それを素直に文字通り信じたのでした(^_^;)>poripori

時は流れて30数年、レオン・フライシャーとセル指揮クリーヴランド管弦楽団によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を購入し、「皇帝」協奏曲のCDの余白にさりげなく併録されたスターン・トリオとオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏に、積年の大誤解が解消されました。「けっこういい曲、いい演奏じゃないか!」

ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲、ハ長調、作品56。エロイカ交響曲の次の作品番号を持ち、ワルトシュタイン・ソナタと同年の作品のどこが「駄曲」というのかよくわかりませんが、野心的な、充実した作品と感じます。

第1楽章、アレグロ。低弦がつぶやくフレーズが、やがて朗々と歌われる旋律になっていきます。同じ主題でも、チェロとヴァイオリンとでは音域に伴い表情も違いますし、ピアノが奏でる主題は音色の面でも違います。でも、たしかに同じ主題によるもの。基本的には複数の独奏楽器が交互にオーケストラと協奏する合奏協奏曲のスタイルを取りながらも、三人のソリストがまるでピアノトリオのように絡み合う場面もあり、ピアノトリオとオーケストラが競演するような趣向にもなっている模様。
第2楽章、ラルゴ。出だしのチェロの独奏がいいですなぁ。そしてピアノにバトンタッチした後にヴァイオリンが引き継ぐ黄金のリレー。ここからの音楽は、まさしくピアノトリオの味わい。オーケストラは、まるで控えめに後ろで出番を待っている風情です。
第3楽章、ロンド・アラ・ポラッカ。ピアノトリオの出番が終わると、ひきつづき本命のオーケストラが登場。三人のソリストが絡み合いながらオーケストラに対抗し主張します。この楽章は、初めて聴く人にも人気が出そうな、魅力的なリズム、メロディ、そして盛り上がりです。

ユージン・イストミンのピアノ、アイザック・スターンのヴァイオリン、レナート・ローズのチェロ、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏、カラヤン盤に先立つこと5~6年、1964年4月、フィラデルフィアのタウンホールでの録音(CBS SBK-46549)です。スターン・トリオの息はぴったりとあっていますし、オーマンディ指揮するフィラデルフィア管も素晴らしい演奏をしております。この演奏の存在を、30数年前の私が単に知らなかっただけなのでした(^_^;)>poripori

参考のために、演奏データを示します。
■イストミン、スターン、ローズ、オーマンディ指揮フィラデルフィア管
I=18'20" II=4'39" III=13'00" total=35'59"
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再びFM専用アンテナを立てる

2007年07月27日 05時20分33秒 | クラシック音楽
下の写真のように、一昨年の大雪でFM専用アンテナが倒壊し(*)、以後FM放送を聴いておりませんでした。が、やっぱり慣れ親しんだ放送を、聞くとはなしに聞く楽しみは捨てがたいものがあります。そこで、いつも来てくれる電器屋さんにお願いして、もう一度FM専用アンテナを立ててもらいました。



以前は、大型の五素子の八木アンテナを屋根馬で立てていましたが、固定するのにステーが必要で、そこがどうしても雪に弱いのです。そこで、三素子、いや、小さいトンボアンテナでもいいから、倒れないようにお願いしました。帰宅してみると、早速できあがっておりました。今度は側壁に四素子のアンテナです。へぇ~、今は四素子なんていうのがあるのですね。とりあえずミニコンポのチューナーに接続してみると、ノイズやマルチプレックス歪も感じられず、充分に鮮明な音です。当地は比較的電波状況が良いらしく、NHK-FMとFM山形とVigoFM山形と三つの局が受信できます。





今は、FM番組表をネットで見られます。これで、40年来のFM-fanの面目は保たれるかな(^o^)/

(*):大雪でFMアンテナが倒壊
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この夏~秋の演奏会

2007年07月26日 05時35分16秒 | クラシック音楽
この夏から秋の演奏会の予定は、次のようになっています。さて、いくつ聴けるでしょうか(^o^;)/

7月29日(日)、18:00~、山形テルサホール、堀米ゆず子「音楽の旅~室内楽の愉しみ」
ベートーヴェン、ヴァイオリンソナタ第5番「春」
バルトーク、2つのヴァイオリンのための二重奏曲より
バルトーク、コントラスト
モーツァルト、クラリネット五重奏曲 イ長調K.581
○堀米ゆず子(Vn)、チャールズ・ナイディック(Cl)他、全席指定 S:4,500

8月11日(土)、19:00~、山形テルサホール、飯森&山響「アマデウスへの旅」(1)
交響曲ヘ長調
ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.279、高木和弘(Vn)
交響曲第39番 変ホ長調 K.543
○飯森範親指揮山形交響楽団、全席指定、A:4,300 B:3,800

8月16日~19日、第35回全国アマチュアオーケストラ・フェスティヴァル酒田大会~「★balaine★ひげ鯨の日々」より、JOA酒田大会[告知その1]

8月25日(土)、19:00~、山形県民会館、山響第183回定期演奏会
シェーンベルク 「浄夜」(弦楽合奏版)
ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」ヘ長調 作品68
○阪哲朗指揮山形交響楽団、A:4,500(指定) B:4,000(自由)、ペア:7,000

9月7日(金)、19:00~、山形テルサホール、知野礼美ピアノワールド2007
シューベルト 即興曲Op.90-1,2
プロコフィエフ ピアノソナタ第2番ニ短調Op.14
ホルスト 組曲「惑星」より「木星」(知野礼美編)
リスト ピアノソナタ ロ短調
○知野礼美(Pf)、single:3,000 pair:5,000

9月24日(月)、14時~、山形テルサホール、イリーナ・メジューエワ・ピアノリサイタル
ショパン バラード(全4曲)
ドビュッシー ベルガマスク組曲、喜びの島
ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ、ソナチネ
○イリーナ・メジューエワ(Pf)、一般:3,000 親子:3,500

9月28日(金)、19:00~、山形テルサホール、須田真美子ピアノリサイタル
モーツァルト マーチ ハ長調、キラキラ星変奏曲
モーツァルト ピアノソナタ第16番
ベートーヴェン ピアノソナタ第17番「テンペスト」
ドビュッシー ベルガマスク組曲
ブラームス パガニーニの主題による変奏曲
○須田真美子(Pf)、全席自由、3,000

10月6日(土)、19時~、山形テルサホール、飯森&山響「アマデウスへの旅」(2)
交響曲第4番ニ長調 K.19
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466、河村尚子(Pf)
交響曲第31番ニ長調「パリ」K.297
○飯森範親指揮山形交響楽団、全席指定、A:4,300 B:3,800


また、山響アマデウスへの旅(2)の翌日、10月7日(日)に、通称「せんくら」こと仙台クラシックフェスティバル2007でも、ジャズピアニストの山下洋輔さんと山響が、ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」をやるのだそうです。それからモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や交響曲39番等の演奏会も計画されているようです。場所は泉区のイズミティ21。
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ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を聴く

2007年07月25日 06時25分38秒 | -協奏曲
5曲あるベートーヴェンのピアノ協奏曲では、ふだん聴くのはフレッシュな第1番や叙情的で充実した第4番などが中心ですが、「皇帝」と愛称のあるこの第5番を聴いて楽しむことにやぶさかではありません。これまで好んで聴いてきたのは、難病を発症する前のレオン・フライシャーのピアノ、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による1961年の録音。最近、エミール・ギレリスのピアノで、同じくセルとクリーヴランド管による、1968年の録音(TOCE-13020)を入手し、毎日の通勤の途中で、あるいは自宅で、散歩の途中に携帯CDプレイヤーで、じっくりと聴きました。「皇帝」をこんなに聴いたのは、たぶん久しぶりでしょう。

第1楽章、アレグロ。出だしのトゥッティが見事で素晴らしいこと!この「ジャン」を聴いただけで、この演奏のなみなみならぬことがわかります。堂々とした音楽であり、演奏です。
第2楽章、アダージョ・ウン・ポコ・モッソ。静かに始まる管弦楽のゆったりした深い呼吸。ピアノもまた、正確にリズムを守りながら、しかし深い呼吸で歌います。
第3楽章、ロンド:アレグロ~ピゥ・アレグロ。えらそうな身振りはなく、きわめて正確・明確でありながら、なお力強さを併せ持った演奏です。

結婚披露宴などで、新郎新婦の職場の上司や恩師の祝辞を聞くことがあります。それぞれにいい話なのですが、話し手の年代によって、やはり受ける印象が違います。30代の人の場合は、前向きでエネルギッシュで、活力を感じます。50代の人なら、簡潔なスピーチの中にも、年齢相応の落ち着きとしみじみとした味わいも出てきます。

ベートーヴェン39歳の作品。二つの録音時、フライシャー33歳、セルは64歳。そしてギレリス52歳、セルはこのとき71歳。演奏がまさにそんな感じ。速いテンポで、颯爽と演奏するフライシャー。サポートするセルも、弦楽アンサンブルはもちろんですが、ラッパの音色さえもこまかく指定しているようで、実に引き締まったいい演奏です。
ギレリスの演奏は、グリーグの抒情小曲集で聴かせた、あの落ち着きとリリシズムをもたたえた演奏です。鋼鉄のなどという一面的な形容詞はすでに過去のものとなり、緩徐楽章での語りに口はしみじみとした味わいがあります。セル指揮クリーヴランド管の演奏は、実に見事の一言。基本的な表現は共通ですが、1968年の録音のほうが、ギレリスにあわせたのか、ゆったりしたテンポになっています。それまでの録音に不満で、所属レーベルをこえてセルとクリーヴランド管を指名したというギレリス(*)。この録音でようやく満足したというエピソードは、なるほどと頷けます。

参考までに、演奏データを示します。
■フライシャー盤
I=19'22" II=8'25" III=9'37" total=37'24"
■ギレリス盤
I=20'17" II=8'57" III=10'24" total=39'38"

(*):セルとギレリスの「皇帝」~「日々雑録 または 魔法の竪琴」より
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茄子+ピーマン+トマト+ベーコン=?

2007年07月24日 06時36分52秒 | 料理・住まい
先日の日曜日、「おかずを考えるの、もういや~!」とのたまい、妻がストライキに突入したので、急遽、代わりに料理をすることに。

私「材料は何があるの?」
妻「茄子とピーマンは、畑から取ってきた。トマトは2個ある。」
私「肉類は?」
妻「ベーコン角切が少々。」
私「了解。まかせて。」

1. 生姜はみじん切り、茄子は縦に半分にした後、斜めに切って一口大にします。ピーマンは荒く千切り。トマトは湯むきをしてざく切りにし、ベーコンは軽く湯がいておきます。あとは塩、コショウ、ワインを用意します。
2. 鍋に薄く油を引き、塩コショウで生姜をいため、茄子とピーマンを入れてそのまま加熱します。軽く塩をふって、下味を付けておきます。
3.トマトを加え、さらにワインをドボドボと加え、全体に火が通ったら、塩味を加減します。
4. できあがりに、パセリ等をみじん切りにしてぱらぱらと散らすと、香りがよいかもしれません。

できあがりが写真のようになりました。お味はけっこうイタリア風。老父母も食べられました。この日は、食べて片付けてしまってから「写真を取るの忘れた~」と思いだし、明朝分として残しておいたのを撮影しました。

これ、全くの創作で、何と言う料理なのかは知りませんが、意外においしく食べられました。妻の判定も「Very Good!」だそうです。次回はアサリ等を入れて試してみたいと思います(^o^)/
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藤沢周平の転機~蒲生芳郎氏の追憶より

2007年07月23日 05時53分32秒 | -藤沢周平
藤沢周平の没後10年を記念した長期特集が、毎週木曜日の山形新聞夕刊に掲載されています。この記事はどれも興味深いもので、特に山形師範学校(現・山形大学)時代の同級生の蒲生芳郎氏による「藤沢周平~生涯の追憶」と題した連載記事は、毎回新鮮な視点をもたらしてくれるものです。

藤沢周平が、やがて乳飲み子を遺して死去することになる妻の病床で初期短編集を書き綴り、雑誌に掲載されていた事情は、作家魂などというものではなく、病妻の治療費や生活のためであったのだろう、ということは、先の記事にご紹介しました(*)。作家の師範学校時代の同級生であり、親しい交友が続いていた蒲生芳郎氏は、平成19年5月24日付け山形新聞夕刊に、全集に収録されている、作家の文壇登場前の転機を示す書簡等を紹介しつつ、そのように判断する事情を説明しています。

(1) 昭和38年10月の悦子夫人の死からほぼ半年後に書かれた友人宛の手紙の中で、「芸術のためでも、文学のためでもなく、それが暮らしの上にもたらす、ささやかなゆとりとしあわせの感情のためで、動機は極く卑俗で、深刻ならざるもの」としていること。
(2) 娯楽雑誌向けの小説執筆が打ち切られ、空白の期間を経て、昭和39年に「オール読物」新人賞への応募が始まったこと。

などです。

藤沢周平は、昭和46年4月、応募を始めてから8年目で「オール読物」新人賞を受賞します。生活のために雑誌の編集者の注文に応じて書くのではなく、時代小説という形式を借りて作者自身の「人の世の不公平に対する憤怒、妻の命を救えなかった無念」等をぶつけるように書く。したがって、この時期の作品はおのずと暗いものにならざるを得なかったのでしょう。

さらに蒲生氏は、7月19日付けの同紙夕刊に「転機の『用心棒日月抄』」「読む愉しみを提供する」と題した一文を寄せています。作家自身が「転機の作物」として挙げている『用心棒日月抄』は、ユーモアの要素を自覚的に採り入れたという、作家本人のコメントもあり、「明るさと救いのある」「読者に(読む愉しみを)提供する最も上質のエンターテインメント」であるとしています。この考え方には全く同感。また一方で、『橋ものがたり』でも「男女の愛は別離で終わ」り、武士は「死んで物語が終わる」のではなく、優しさによって救済されたり、非運に耐えしなやかに勁く生き抜く物語がすでに始まっていることにも注目しています。

暗い情念に染め上げられた初期作品群から、それとは「明らかに趣の違う、より多様な、より伸びやかな文学世界」への転機が、この昭和51年頃であるとするのです。この連載記事自体がたいへん興味深く、県外の読者にも読んでいただけるよう、時期を見て単行本としてまとめられることを期待したいと思います。

(*):「藤沢周平未刊行初期短編」執筆時期の秘密
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山形交響楽団第182回定期演奏会を聴く

2007年07月22日 18時57分52秒 | -オーケストラ
時折ぱらぱらと小雨が降る土曜の夜7時、山形テルサホールで山形交響楽団の第182回定期演奏会を聴きました。

恒例の指揮者プレトークは、飯森さんの曲目解説です。
(1) チャイコフスキー スラブ行進曲。チャイコフスキーの妹が手紙で伝えるところでは、聴衆が熱狂し大成功だったとか。
(2) プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番。ロシア革命で亡命するが、後に帰国し、時の体制に抑圧を受けながら、時には長いものに巻かれながら音楽を工夫し、「ロミオとジュリエット」等すぐれたバレエ音楽などに成功。ヴァイオリン協奏曲第2番は、まだ亡命時に着手され帰国後に完成された作品で、巧みな手法で書かれており、古典的な作風にパロディなども織り込んでいる。アナスタシアさんは美人で可愛く性格よくて羨ましいような人。N響でチャイコフスキーを共演している。
(3) カリンニコフ 交響曲第1番。チャイコフスキーとプロコフィエフの間。貧乏で病弱で、35歳を前に結核で死去した。交響曲が2曲だけしかないが、当時としては斬新な響きを持つ。スヴェトラーノフが以前N響で取り上げ、若い演奏家や吹奏楽で爆発的に演奏されるようになった。管弦楽の構成が山響の規模にもあっている。本日は録音の予定、など。



チューニングが始まります。コンサートマスター(ミストレス?)は犬伏亜里さん。
1曲目、チャイコフスキーは金管部隊が素晴らしい健闘。ホールがよく響くので、シンバルの炸裂はけたたましいほどです。

2曲目、私の好きなプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。弓とヴァイオリンを手に、栗色のストレート・ロングヘアーに白いドレスをまとったアナスタシア・チェボタリョーワさんが登場すると、やっぱりぱっと華がありますねぇ。
第1楽章、アレグロ・モデラート。物憂げなジプシー・ヴァイオリン風の独奏で上昇するモティーフを持つ旋律が導入されますが、これが第1主題だそうです。逆に下降するモティーフを持つのが第2主題。アナスタシアさんは、速いパッセージも苦もなく奏ききります。コンクール経歴を見るまでもなく、テクニックがとてもしっかりした人のようで、聴いていて安定感があります。プロコフィエフのリズムはとても面白く、一部、裏拍を取っているように聞こえるところもありました。
第2楽章、アンダンテ・アッサイ~アレグロ。ピツィカートの中で、夢見るような、歌うような旋律です。ここは本当にステキなところです。木管が寄り添うように歌うところも。いい音楽だなぁ。フルートの一吹きで曲調ががらりと変わってしまうのですね。独奏ヴァイオリンには高度に技巧的なものが要求されると同時に、繊細に旋律を歌わせる必要もあり、それが実にすぱっと転換するのですね。素人ながらいかにも難しそうだなぁと思います。同じくピツィカートで終わります。
第3楽章、アレグロ・ベン・マルカート。ヴァイオリンが速いテンポで力強く突き進みます。カスタネットが面白い使われ方をしています。ヴァイオリンの細かなリズムでの動きに、離れたところでバスドラムが呼応しなければならず、なかなか大変そうです。

聴衆の拍手が鳴り止まず、アナスタシアさんが再びステージに登場してアンコールを二曲披露してくれました。最初のはバッハの無伴奏から?。これは素晴らしかった。二曲目は呆気に取られる技巧的な曲。残念ながら、私が今まで聴いてきた範疇にはありませんで、曲目不明。 いや、すごい技巧でした。でも聴いていて少しも危なげがなく、安定感がある。

休憩の後の3曲目、カリンニコフの交響曲第1番です。
第1楽章、アレグロ・モデラート。ちょうど夜間勤務の頃、単身赴任地へ戻る車の中でよく聴いた曲ですので、二重の意味でちょっと切なさを感じてしまいます(^_^;)
第2楽章、アンダンテ・コモンダンテ。ロシア教会の鐘の音を思わせる旋律がハープや弦楽で繰り返されます。中央アジアふう、あるいはアラビアふうと言うべきでしょうか、やや異国ふうな旋律を持っています。木管がいい感じの緩徐楽章です。
第3楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。ハ長調の明快なスケルツォのあとに、やはり中央アジアふう、アラビアふうの叙情的なメロディをヴァイオリンが奏でます。この対比がとても効果的です。
第4楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。はじめの主題が再び登場し、マーチふうに快速の勢いのある楽章。トライアングルの乱打の中で盛り上がって曲は終わりますが、ハープ奏者だけはおやすみ。なんだか一人だけおあずけをくっているようで、カリさんハープを忘れてるんじゃないかと思ってしまいました(^o^)/

駐車場の混雑を避けようと、演奏後のファンの集いに(途中まで)参加しました。インタビューが、若々しい地元のVigoFM局のパーソナリティをつとめる佐竹莉奈さん(?)
という可愛いお嬢さんになりましたが、東北芸工大の三年生ということで、いかにもフレッシュな印象です。アナスタシアさんへのインタビューでは、ちゃっかり飯森さんに通訳をしてもらうなど、物怖じせず度胸も満点(^o^)/

残念ながら、じゃんけんで負けて飯森さんのサインいり色紙はもらえませんでしたが、今回も、良い演奏会でした。今回は演奏者の顔が見える距離で響きを楽しもうと二階席を選びましたが、地元でこういうプログラムの安定した演奏が聴ける幸せを感じます。
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二番目のブログの使い道を見出す

2007年07月21日 09時58分11秒 | コンピュータ
あまりに不安定なADSL回線の対策として始めた、xfyブログエディタの受け皿のジャストブログ。私にとっては二番目のWeblogでありました。こちらの更新でさえもけっこうたいへんなのに、二番目のブログなど使い道があるのか?と思っていましたが、これが意外にもありました!

このgooブログでは、ディレクトリの区切りをあらわす半角の¥記号やバックスラッシュなどは使えませんので、理数系文書御用達LaTeXのソースや便利なawkスクリプトなどを掲載することは不可能です。いきおい、コンピュータの実務的な話題は少なくなり、音楽や読書、散歩など、まあ言ってみれば道楽の部類が中心になります。

ところが、ジャストブログでは、使える文字種の制限が緩やかなので、LaTeXソースもawkスクリプトもそのまま掲載可能です。自分でコメントを付けて、備忘とすることもできます。開設当時、適当に「デジタル文書綴り」などと漠然とした題名をつけていましたが、ふと、これは案外いい名前なのかもしれない、と思い始めました。自分で常用するスクリプト等をネット上に置いておけば、なにかと便利です。

で、差障りがないと思われるawkスクリプトを選び、「デジタル文書綴り」に掲載しました。ネットは、まず自分の便利のために充実させ、他の人がそれを利用できるならなお結構、という趣旨です。

(*):デジタル文書綴り

さて、本日は山形交響楽団の定期演奏会です。午後から買いものに出かけ、夜は山形テルサホールでチャイコフスキー、プロコフィエフ、カリンニコフのプログラム。プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番は楽しみだなぁ~(^_^)/
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音楽CDを購入

2007年07月20日 05時39分27秒 | クラシック音楽
昨日、出先でいくつかの魅力的なCDを発見しました。

(1)L.V.ベートーヴェン、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」他、ギレリス(Pf)、セル指揮クリーヴランド管、EMI
(2)R.シューマン、幻想曲・幻想小曲集、マルタ・アルゲリッチ(Pf)、RCA
(3)G.マーラー、交響曲第7番「夜の歌」、クーベリック指揮バイエルン放送響、DG

いずれも、探していたものばかり。さっそく購入しました。ルンルンです(^o^)/

現在の通勤の音楽は、レオン・フライシャー(Pf)とセル/クリーヴランド管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」です。ギレリスの独奏による録音も入手できて、楽しみが増えました。
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万歩計を落とすとき

2007年07月19日 06時14分16秒 | 散歩・外出・旅行
先日、万歩計をまた落としてしまいました。せっかく感度を調整して、階段の上り下りでも誤差が少なくなるようにしていたのに、くやしいったらありません(T-T)
どうやら、万歩計を落っことすのは、その日の服装に関係しているみたいです。具体的には、ベルトレスのスタイルのとき。その格好で自転車に乗ったりしたら、確実に落としますね。
万歩計のクリップが、ある程度固いベルトに固定されていることが必要なようです。

写真は、万歩計紛失とは無関係な、肘折温泉のバス停。そういえば、最近バスに乗っていないなあ。
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『漱石が聴いたベートーヴェン』を読む

2007年07月18日 06時32分48秒 | -ノンフィクション
中公新書で、瀧井敬子著『漱石が聴いたベートーヴェン~音楽に魅せられた文豪たち』を読みました。幕末~明治期が好きで西洋音楽好きな私には、たいへん興味深く面白い本でした。
この本は、次の6章からなっています。

  1. 森鴎外とオペラ

  2. 幸田露伴と洋楽家の妹、延

  3. 島崎藤村と東京音楽学校I

  4. 島崎藤村と東京音楽学校II

  5. 夏目漱石と寺田寅彦

  6. 永井荷風の音楽遍歴

表題は漱石になっていますが、漱石のウエイトは必ずしも大きくなく、むしろ森鴎外が演劇的な興味からオペラに関心を持ったことや、永井荷風がニューヨークやパリなど海外生活中に劇場通いに明け暮れ、本格的にオペラに熱中したことなどが、説得力を持って述べられています。その森鴎外にしても言葉が頼りのようで、台本のない純器楽の受容はかなり怪しいとか。露伴の妹の幸田延や幸、藤村との関係を面白おかしく書きたてられて迷惑した橘糸重など、当時の狭い音楽界でその技量を相撲の番付よろしく取扱われる不幸が描写されています。

理系人間の単純な感想ですが、明治の文豪たちは、そろいもそろってヘンな人たちですね。特に、明治のエリートで山手の豊かな生活を送る父親に反発し、音楽という「不正の娯楽」に突っ走る永井荷風の疾風怒濤の生活は、そのまま一編の教養小説のよう。そのぶん、音楽的な理解は、一番深そうです。

実はこの本、こちらの記事で知りました。どうも同県で比較的ご近所らしい、きし さんのブログ「ゆっくりと世界が沈む水辺で」より。
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地震に対応する

2007年07月17日 06時17分37秒 | Weblog
昨日は、音楽を聴いている途中で、10時14分ころでしょうか、かなり大きな地震がありました。揺れ方が激しいので、相当に大きな地震だとわかりました。すぐにテレビをつけると、新潟県中越沖が震源とのこと、刻々と被害状況が入って来ます。わが家の被害はありませんが、すぐ職場に飛んで行き、連絡対応。幸いに、何ごともありませんでした。午後からは自宅で、ときどきテレビのニュースを見ながら片付け。しかし、夜中や食事時でなくてよかった。

地震国日本。太平洋プレートの沈み込みに伴うエネルギーが、地下に蓄えられているのでしょう。明日はわが身です。被災地の方々にお見舞申し上げますとともに、生活上の不自由が一日も早く解消されるよう、可能な対応をして行きたいと思います。

写真は文翔館議場ホールの照明です。
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