電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

出張や旅行のための携行品リストは便利だ。

2009年05月31日 08時09分06秒 | Weblog
当方、出張や旅行などで、遠隔地に出かけることがあります。MS-DOSの時代から、携行品の中に写真のような小型のノートパソコンとポケット・モデムを加え、旅先でもメールや電子会議室でのやりとりを楽しんでおりました。あるとき、ふと思い立って、サブノートThinkPad220 + MS-Works2.5 の表計算で、そのとき持参した携行品の一覧を入力してみました。そして、旅行(出張)中にどの程度使ったかを、◎、◯、×で区分してみたところ、案外使わないものがあったり、必要なのに持ってきていないものがあったりすることに気づきました。
このデータをもとに、不要と思われるものを削除し、持参した方がよいものを加えているうちに、「携行品一覧」がしだいにコンパクトになってきて、荷物も少なくなっていきました。
現在も、このデータをプリントアウトして、携行品のチェックに使っていますが、うっかり忘れ防止に、なかなか便利なものです。最近は、電動シェーバーを使わなくなり、Schickの二枚刃を愛用中ですが、安いビジネスホテルなどではシェービング・クリームや石鹸は置いてないことが多く、ミニ石鹸は必携となっています。室内にインターネット接続用モジュラージャックが設備されている所を最優先としておりますが、ミニ石鹸くらいは自分で持っていっても、荷物の量に影響はほとんどないでしょう。このあたり、若い頃に山登りをしていた頃の、できるだけ軽量化に努めたパッキングの経験が生きているようです。

この件、山形交響楽団のヴィオラ奏者で山形弦楽四重奏団のメンバーでもある、らびおさんの記事(*)に触発されて、そういえば、私の携行品一覧はいつ頃から?と思い出してみたものです。元をただせば若い頃の山登りの軽量化パッキングにルーツがあることに気づき、いささか苦笑い。山形交響楽団の皆様のご健康と、演奏旅行シーズンの成功をお祈り申し上げます。

(*):なぁ~んの用意もしていない!~「らびおがゆく」Vol.3 より
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5月31日の夜、NHK教育TVで山形交響楽団定期演奏会のテレビ放送

2009年05月30日 05時19分31秒 | クラシック音楽
毎週楽しみにしているN響アワーは、毎月第1から第4日曜の夜に放送されていますが、第5日曜には「オーケストラの森」として、N響以外のオーケストラが取り上げられ、紹介されています。こんどの日曜がまさにこの条件にあてはまり、5月31日(日)夜9時から、NHK教育テレビで、山形交響楽団の第197回定期演奏会の様子が紹介されるようです。曲目は、時間枠からみて、てっきりラヴェルの「なき王女のためのパヴァーヌ」とカリンニコフの交響曲第2番全曲かと思っていましたら、違っていました。番組表(*)によれば、

-山形交響楽団 第197回定期演奏会-
ラロ「スペイン交響曲ニ短調作品21から 第1、2、4、5楽章」滝千春(Vn)
カリンニコフ「交響曲第2番イ長調から 第1、4楽章」
飯森範親指揮 山形交響楽団 ~山形テルサ・テルサホールで録画~

だそうです。全曲を放送しないのは、CD 制作を意識しているのかな?
ともあれ、今回よんどころない事情で定演に行けなかった皆様、また山響に関心をお持ちの皆様、どうぞご覧くださいますよう、NHKと山響になりかわりまして御案内を申し上げます(^_^)/

(*):オーケストラの森~山形交響楽団第197回定期演奏会

写真は、今月中旬頃の月山春景色です。現在は稲苗も伸びて、すでに水面の緑の葉が風にそよいでおります。
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久しぶりに見た○大将

2009年05月29日 05時14分52秒 | Weblog
○内には、漢字一文字が入ります。さて、何でしょう。若大将?うふふ。だといいんですけどね~(^o^)/

先日、自宅でアホ猫がつかまえてきた細くて長いものは、さすがのアホ猫も食欲がわかなかったようで、結局はトンビがさらって行ってしまったようです。
そんなある日、今度は単身赴任のアパートのごみ収集所の近くで、ずいぶん立派な○大将(?)に遭遇してしまいました。朝日を浴びて日光浴をしていたのでしょうか、あまりに気持ちよさそうだったので、起こしたりしては悪いと思い、すばやく退散してしまいましたが、でもしっかりとカメラに収めてきたところは、野次馬根性まるだしです。
えっ、見たい?やめたほうがいいですよ。けっこうデカイですからね~、迫力ありますよ。
えっ、まだ見たい?一応、引き止めましたからね。ごらんになる方は、自己責任でお願いしますよ(^o^)/
















どうも、この黒い穴の中に棲んでいるようです。ゴミ収集所にやってくるネズミでも狙っているのでしょうか。アオダイショウは、昔は特に白色個体が、ネズミをとる大蛇として古い農家の守り神として尊敬されたのだとか。別に害はないですし、そっとしておいてやろうと思います(^o^)/
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手づくりブックカバーを洗濯、ついでにシステム手帳も模様がえ

2009年05月28日 05時34分45秒 | 手帳文具書斎
以前、娘がプレゼントしてくれた手づくりのブックカバーですが、愛用しているうちになんとなく手垢で汚れてきていましたので、思い切って洗濯してみました。ニットの部分もあるので、ぬるま湯に浸し、ふつうの洗顔石ケンでもみ洗い。すすいで水を切り、広げたまま乾かしたら、多少しわが残るものの、こざっぱりした感じになりました。
ついでに、これから汗をかく季節に入りますので、合成皮革のバインダーから無印のナイロン製バインダーに衣更え。ペンホルダー部が少々チープですが、洋服の色ともマッチして、ちょいとカジュアルな印象です。


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これはぜひ観たい~映画「剱岳・点の記」

2009年05月27日 05時22分48秒 | Weblog
先日、妻とともに映画「ラ・ボエーム」を楽しんだ独立系映画館「山形フォーラム」には、これから上映予定の興味深いタイトルが並んでおりました。その中で特に目をひいたのが、新田次郎原作の「剱岳・点の記」です。CG、空撮いっさいなしという、カメラマン出身の木村大作監督らしい、こだわりのある作品とのこと。原作の『剱岳・点の記』は、若い頃に単行本で購入して読み、感銘を受けましたし、同時期に実際に剱岳に登った経験もあります。ですから、この岩峰での映画撮影がいかに困難なものであるか、実感としてわかります。映画がどんなふうに描かれているのか、たいへん興味深いものです。



ちなみに、主人公の柴崎芳太郎は、山形県の大石田町出身のはず。山形県ローカルな関心としても、これはぜひ観ておきたい映画です。山形フォーラムでは6月20日から上映予定となっています。6月の第3土日といえば、例年サクランボの収穫の最盛期ではありますが、なんとかやりくりして、観に行きたいものです。

ちなみに、写真は1970年代に剱岳に登ったときのもの。ハーフサイズの「オリンパス・ペンEE」にコダックのエクタクローム・リバーサルを入れて撮影したスライドから、カメラ屋さんで CD-R に焼いてもらったものを、Gimp でちょいと加工したものです。
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長距離通勤ドライブで心がけていること

2009年05月26日 05時33分03秒 | Weblog
都会では、片道一時間半を超える電車通勤は珍しいことではなく、満員電車の中で、イヤホンで音楽を聴いたり文庫本を読んだり、あるいは携帯電話でメールをチェックしたり、実に様々な風景を見ることができますが、当地のような田舎では、もっぱら車による長距離通勤が日常的に見られます。当方も、これまで往復百キロ前後の長距離通勤を何度か経験しました。冬場の雪道ドライブは大変に神経を使い、疲れるものですが、春から秋までの、路面状態の良い季節には、田園や里山の風景を眺めながら通勤の音楽を楽しむことができます。そんな長距離通勤ドライブで、心がけていることがいくつかあります。

(1) 疲れたら休む。 ~ 仕事を終えてからの運転は、疲労もありますし、安全が最大のポイントです。通勤路の途中に、眺めが良く駐車場の広いコンビニを見つけ、一休みするだけで、だいぶ疲労回復します。車外に出て体を動かし、あまり長居をしないことがコツのようです。
(2) 消灯忘れに注意。 ~ 疲れているとうっかりミスが多くなります。買い物をしている間にライトが点灯しっぱなし、というようなこともありました。特に冬場など、バッテリーが弱っていたりすると大変です。エンジンを停止する前に、必ずライトの消灯を確認する習慣を付けたいものです。
(3) 車間距離を確保し、群れない運転を心がける。 ~ 特に冬場は、スリップ追突防止の意味からも、車間距離は充分に取りたいものです。車間距離を取っていると、割り込んで来る車も多いのですが、かまわず割り込ませます。車の群れの中に入ってしまうと、競争意識が働き、ゆったりと音楽を楽しむこともできません。むしろ先行車の群れが赤信号で止まっているのにゆっくりと近付き、青信号に変わったところを止まらずに走り抜けるのが、省燃費エコドライブの秘訣です。
(4) 通勤ドライブに積極的な楽しみを。 ~ 長距離通勤ドライブは、大曲を聴いたり、未知の曲目に親しむのにも適した時間です。今週はこれを聴こう、とテーマを決めて、数枚のCDを持ち込むのも良し、ある一枚のCDをじっくり反復して聴き込むのも良し、積極的に楽しみを見つけるのが良いと思います。


写真は、新緑以前、たしか四月頃の、甑岳(こしきだけ)です。
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黒い森と白い森

2009年05月25日 06時01分21秒 | 散歩外出ドライブ
古い地名に、黒森あるいは白森といった語を含むものがあります。特に若葉の頃は、広葉樹の林は白っぽいやわらかな緑が特徴的で、針葉樹の森の、濃く暗い緑とは対照的です。なるほど、白森とは広葉樹の森林におおわれた山で、黒森とは針葉樹林でおおわれた山を言うのですね。であれば、古い地名は当時の植生を表していることになり、現在の姿がどうであれ、古い時代には森林がおおっていた場所であると推測されます。土地の古い残存林は、当時の名残りなのかもしれません。

写真は、国道48号線ぞいにある岩登りの練習地、鎌倉山の春景です。
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佐伯泰英『荒海ノ津~居眠り磐音江戸双紙(22)』を読む

2009年05月24日 06時38分15秒 | -佐伯泰英
先祖の墓参と婚約者の披露のために豊後関前藩に里帰りした坂崎磐音とおこんの二人は、前巻においてめでたく仮祝言を挙げたばかりでなく、関前藩に巣食う悪徳政商一味を退治した関係で、博多の大商人・箱崎屋次郎平から是非にと博多へ招待されます。藩政改革に取り組む父・正睦の立場もあり、承諾した磐音とおこん、本編はいわば筑前博多道草の巻です。当代の人気シリーズ、おそらくスポンサーの都合とか何とかいろいろ大人の都合があったのかも。なんせ、九州は作者の地元(*1)ですから(^o^)/

第1章「隠居老人」。さっそく藩道場での練習試合(?)です。隠居老人の吉田久兵衛という人は、大の剣術好きというだけでなく、なかなかの人物のようです。箱崎屋の末娘お杏の案内で散策に出たはずが、無粋な斬り合いの場面に遭遇してしまいます。
第2章「博多便り」。場面は変わって江戸の今津屋。由蔵と吉右衛門のもとに、博多から手紙が届きます。一方、佐々木道場には道場破りが二人。佐々木玲圓が立ち合い、荒っぽく退けます。依田家に婿入りした鐘四郎は、西の丸の家基の近習として出仕予定とのこと。まあ、VIP のボディガードといった役回りでしょうか。いっぽう、筑前博多の箱崎屋では、先日の斬り合いは譜代の娘と新参の侍の身分違いの恋が原因と判明。また剣術好きの吉田老人が、先の国家老で藩建て直しの功労者であることを知ります。帰途、三人の侍に襲われますが、なんなく撃退。
第3章「大股の辻」。なんと、品川柳次郎クンのおさななじみの登場です。椎葉のお有さん。父と兄が家を出てしまい、品川家廃絶の危機に加え、お有にも怪しい縁談が。若い二人のために、今津屋が力を貸すことになりそうな暗示がちらり。一方、博多では、身分違いの恋の逃避行が困難な場面を迎えており、磐音が力を貸します。「幸せになられよ!」という幕切れが、いかにも人気時代劇です(^o^)/
第4章「恋の芽生え」。品川柳次郎と椎葉お有の二人のために、今津屋の由蔵が乗り出します。お有に持ち上がっていた縁談はどうやら裏があるようで、柳次郎は「お有から手を引け」と武士二人に襲われますが、なんとか自力で撃退。恋をすると強くなるのでしょうか(^o^)、お有は思い切って家を出ると言います。柳次郎は、佐々木道場にかくまってもらうことにします。佐々木玲圓は、お有に目をつけた御書院番組頭がもぐりで開帳する賭場を一網打尽にすべく、笹塚孫一やら速水左近やら、錚々たるメンバーで布陣。
第5章「幸せ橋」。品川家廃絶の危機は大逆転で一挙解決。いっぽう磐音は、最後の対決を終えて、おこんとともに福岡を旅立ちます。江戸深川、鰻処宮戸川では、品川柳次郎母子と椎葉お有が、柳次郎の品川家相続決定を祝い、会食中。その席で、今はだいぶ有名になった、お有さんの爆弾発言あり。

「そうか、内職は続くのか。これでは嫁の来手はございますまい」
悄然と肩を落とした柳次郎の落胆ぶりにお有が、
「柳次郎様に嫁の来手がなければ、私が嫁に参ります。いけませぬか」
と言い出し、
「えっ!」
と驚きの声を発した柳次郎の顔が、一気に晴れやかに変わった。

この場面、先日のテレビ「陽炎の辻3」でもちゃっかり取り上げていました。ユーモラスでいて心温まる、なかなかいい場面ですね。

さて、次巻はおそらく陸路での江戸行きになりそうです。おこんさんは法師の湯を往復した経験(*2)もありますので、なんとかなるでしょう。海路とは異なり、どんな事件・悪役でも登場させることが可能です。果たして作者はどんな趣向を凝らすのか、楽しみです。

(*1):Wikipediaより~「佐伯泰英」の項
(*2):佐伯泰英『紅椿ノ谷~居眠り磐音江戸双紙(17)』を読む~電網郊外散歩道
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畑仕事は面白い

2009年05月23日 07時32分35秒 | 週末農業・定年農業
先のゴールデンウィークは、どこにも旅行せず、自宅で連日畑仕事をしておりました。幸い、お天気に恵まれて、作業はどんどんはかどりました。二ヶ所ある果樹園の消毒、草刈り、老母の野菜畑の耕耘など、初めての仕事も多く、面白いと感じます。
何事も覚えたての頃は面白いと感じるものですが、五月の風に吹かれながらの農作業は、楽しさがあります。特に、朝から仕事をしたあとに、シャワーを浴び、ゆったりと午睡を楽しむひとときは、また格別です。なるほど、生前、老父はこういう生活の喜びを愛していたんだなと、納得です。

さて、今日の作業は、

(1)サクランボの雨避けテントの不足資材調達
(2)自宅から少し離れた園地の夏剪定

などを予定しています。なんとか雨は降らないようで、ありがたい。
当方、晴耕雨読、年中音楽を標榜しております。農作業の音楽は、さて何にしましょうか。若いロッシーニの、弦楽合奏のための音楽あたりかなぁ。

写真は、タンポポに遊ぶキアゲハ。このチョウを見ると、初夏を感じます。
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ブログ記事用写真の賞味期限~季節感の変化が年々はやくなるようで

2009年05月22日 05時21分40秒 | ブログ運営
当方、コンパクト・デジカメを愛用し、折々の自然や風物を写真に撮り、関連する記事に添えて、多少なりとも季節感を出そうと心がけております。冬場は、どうしても花の写真というのは難しく、殺風景な雪景色や室内写真が多くなってしまいますが、逆に春になって一斉に花開く季節になると、むしろ写真を早く使わないと、どんどん時季外れのものになってしまいます。季節の過ぎ行くのが、本当にはやい。あっという間に、桜からツツジに変わり、もうすぐシャクヤクや紫陽花の季節がやってこようとしています。わーお!田植えやツツジの写真は早く使ってしまわないと、来年になったら存在すら忘れてしまうでしょう。



というわけで、本日の記事は、田植えとツツジの写真を早く使ってしまいたいがためのものでした。タイヘンスマンコッテ。(^o^;)>poripori
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備忘録、本年三冊目に

2009年05月21日 05時14分41秒 | 手帳文具書斎
備忘録兼ブログのネタ帳として利用しているB6判らせん綴じノートが、本年二冊目を終えて三冊目に入りました。テキストファイル備忘録を併用しながらも、三菱のパワータンクやジェットストリームというボールペンを利用するようになって、近年は手書きに目覚めております。どこでもさっと取り出して書き留めることができる。それが小型ノートの長所でしょう。じっと時間待ちをしている時や、ぼーっとしている時には、様々な想念が思い浮かぶものです。書き味スラスラの Jetstream ボールペンや、寝床であおむけになって書くことができる PowerTank ボールペンで、「心に浮かぶよしなしごとをそこはかとなく」書き留めているうちに、いくつかブログのネタも浮かびます。
これまでも、備忘録ノートの更新という似たような話題を何度か記事にしていますが、実は日付の記録が目当てです。過去記事を見る限り、どうやら今年は記載のペースが早いようです。
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畠中恵『うそうそ』を読む

2009年05月20日 06時30分46秒 | 読書
いつにもまして紛らわしい題名です。「そんなの、嘘!嘘!」の「うそうそ」ではなく、「たずねまわるさま。きょろきょろ。うろうろ。」の意味だそうな。畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズ第五弾、『うそうそ』です。

病弱な若だんな一太郎が、箱根に湯治に行くというのですから、当シリーズをずっと読んできた読者としては、びっくり仰天です。しかも、地震と女の子の声と若だんなを殺めようという声がいきなり登場するとあっては、1日1章などと悠長なことを言ってもおれません。思わず読みふけってしまいました。後半の、小さな女の子の不安な心理描写はなんだか理屈っぽく説明的なのですが、天狗が群れ飛び、仁吉と佐助が本性のままに大暴れする場面や、朝顔の根を引っ張ると熱湯が噴き出す地獄谷の場面など、むしろ SFX を駆使したアニメーション映画に最適と思われるほどに、漫画的なファンタジーにあふれています。

いつもの病弱な一太郎のお話とはいっぷう異なる旅の物語は、三春屋の栄吉も登場せず、むしろ新龍や姫神などの新たな登場人物によって、新鮮な印象を受けます。
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「天よ、運命よ。彼女を連れて行かないで。」~映画「ラ・ボエーム」を観る

2009年05月19日 19時43分53秒 | -オペラ・声楽
山形交響楽団の第197回定期演奏会マチネが終わった後で、すぐに妻と山形フォーラムに回り、夫婦50割引で(^o^;)、映画「ラ・ボエーム」を観ました。ロシア生まれの名花アンナ・ネトレプコが薄幸のお針子ミミを歌い、メキシコ生まれのテノール、ローランド・ビリャソンが自由な詩人ロドルフォを演じる、当代きっての組み合わせです。

歌劇「ラ・ボエーム」は、当方のお気に入りのオペラ(*1)ですので、これまでもテレサ・ストラータスとホセ・カレーラスによるレーザーディスク(*2)や、先年テレビで放送した、ブレゲンツ音楽祭で、ミミをアレクシア・ヴルガリドゥ、ロドルフォをローランド・ビリャソンが歌ったボーデン湖上ステージでの現代風の公演(*3)、あるいは砂川涼子さんがミミを歌った藤原歌劇団公演(*4)など、何種類か観ておりますが、大きなスクリーンで、映画として観るのは初めてです。

で、感想ですが、大いに楽しみました。観客数はわずか5~6名という寂しさでしたが、ネトレプコの演技力に感心しましたし、ろうそくを自ら吹き消してロドルフォのもとに火をもらいに行ったり、街に出たくないとゴネるロドルフォを自室に誘っちゃったり(^o^)、「薄幸の清純な娘」という解釈ではありません。この映画「ラ・ボエーム」は、パリの下町のボヘミアンの生活という原作の想定に、より近いのではないかと思います。音響的には、強い音で少々割れる感じがありますが、映画の音声としてはまずまずでしょう。指揮のベルトランド・ド・ビリーとバイエルン放送交響楽団、同合唱団により、プッチー二の音楽は、十全に再現されております。

ただし、舞台ではなく、映画になったがゆえの違和感もありました。舞台では、クローズアップの手法は使えませんから、演技と音楽によって、心理的なドラマを再現します。しかし、この映画では、愛し合い葛藤する二人の表情が、何度も何度も、スクリーンいっぱいにクローズアップされますが、ネトレプコの健康そうな二の腕やビリャソンのギョロ目やヒゲ面は、とても肺結核を患い、不治の病を嘆くようには見えません。クローズアップの手法の多用により、プッチー二の繊細な音楽が、映像の圧倒的な迫力に負けてしまい、バランスが説明的に感じられてしまいます。はて、プッチー二の音楽は、こんなに強烈な、肉のぶつかりあうような音楽だったのかな?

「魔笛」の場合は、戦場のモーツァルトに置き換えたことで、どこまでも続く白い墓標という映画的手法が成功をおさめていましたが、さて今回の「ラ・ボエーム」では、舞台の上で成り立つ音楽に、クローズアップの多用という映画的手法をそのまま適用しただけでは、はたしてどうなのかな、などと贅沢な注文をつけたくなりました。

しかし、めったに観られない正統的オペラ映画です。黄金のコンビの歌と演技を観て聴いて、楽しめることは間違いありません。第1幕、ロドルフォに「私の名はミミ」を歌うネトレプコは素晴らしいです。第2幕、ムゼッタの登場は、よくまあ、こんなに役柄に似合い、歌のうまい人がいるものだと感心しますし、第4幕のコルリーネによる「外套の歌」の絶唱から、「海のように深くて限りない、たった一つのこと」「あなたは私の愛、私の命のすべて」と伝え、息を引き取ったミミの名を呼ぶロドルフォの絶叫に至まで、やっぱり思わず引き込まれてしまいます。山形フォーラムでは今週の土曜日までの上映だそうです。パンフレットも、なかなかでした。

(*1):私家版「私の好きな曲」~「電網郊外散歩道」
(*2),(*3):プッチー二の「ボエーム」を見る~「電網郊外散歩道」
(*4):NHKの芸術劇場で藤原歌劇団の「ボエーム」を観る~「電網郊外散歩道」
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山形交響楽団第197回定期演奏会を聴く

2009年05月18日 21時31分06秒 | -オーケストラ
田植えの時期に恵みとなる、しばらくぶりに本格的な雨降りとなった日曜の午後、山形交響楽団第197回定期演奏会に出かけました。出かける前に、車のキーが見つからず、だいぶあわてましたが、とりあえずスペアキーにて出発。なぜか道路が混雑しており、会場の山形テルサホールに到着したのは、音楽監督の飯盛範親さんのプレコンサートトークがそろそろ終わる頃でした。それによれば、

(1) 5月31日(日)の夜、NHK教育テレビの「オーケストラの森」で、今回の山響定期演奏会の様子がテレビ放送されるのだそうです。そういえば、駐車場には放送車が停まっていましたし、ステージにはテレビカメラが入っています。マイクロホンも、結構な数が入っているようです。
(2) ブルックナーの交響曲第5番のCDが発売されます。本日は休憩時にロビーで先行販売します。
(3) 6月20日には、東京で恒例となった「さくらんぼコンサート」を行います。このときは、プレコンサートで「おくりびと」の滝田監督とのトークを行い、飯森さんがピアノを弾き、チェロと一緒に「おくりびと」のテーマを演奏する予定もあるそうな。
(4) 飯森さん、本を書かれたそうです。

とのこと。いずれも楽しみなことです。

さて、ステージに楽員が登場。おや、犬伏さん、ファースト・ヴァイオリンの第3か第4プルトのパート譜が落ちているのに気づき、譜面台に戻してあげてから自席へ。さすがに細やかな気配りです。本日の配置は、ステージの向かって左側から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、右側にチェロとヴィオラ、その後方にコントラバス、正面に木管、その奥に金管、管楽器の左、セカンド・ヴァイオリンの奥に、ハープとティンパニ等が並びます。今日の席は、ほとんどかぶりつきに近い位置でしたので、管楽器のほうはよく見えません。

1曲め、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。弦のピツィカートに乗って、ホルンのソロがしっとりと決まります。若いラヴェルらしい、繊細な響きがたまりません。当方の位置からは、ハープの動きがよく見え、ふだんCDで聞き慣れている音楽でも、なるほど、ここでこういう音がするのはそういうわけか、と発見があります。

2曲め、ラロの「スペイン交響曲」です。ソリストは、2007年の春に、ギリシアのバイロン・フィデチスさんの指揮で、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴いた、滝千春さんです。本日は、黒赤紫色と言うのでしょうか、ヨウ素の分子結晶のような色の、膝下から裾の開いたスペイン風のドレスです。
第1楽章、アレグロ・ノン・トロッポ。叙情的なところと力強いところを対比した素晴らしい演奏で、特に音程の正確さが際立っていると感じます。ピッコロの鋭い音があたりを切り裂くように響きます。第2楽章、スケルツァンド、アレグロ・モルト。弦のピツィカートから。ソリストは、小柄な体を屈めて、中腰で、スペイン風のリズムを意識して演奏しているようです。ちょうど闘牛士が見栄を切るように、終わりをはね上げるようなリズムの切り方です。第3楽章、インテルメッツォ(間奏曲)、アレグレット・ノン・トロッポ。オーケストラがスペイン風のリズムを刻む中で、ソロ・ヴァイオリンが低音で強く出てきます。たいへん表情豊かに歌うかと思えば、またたいへん歯切れのよい技巧的なパッセージが続きます。気迫あふれる演奏です。オーケストラでは、ここの木管の音色が素晴らしかった。第4楽章、アンダンテ。ソステヌートでコラール風の旋律をオーケストラが奏する間、ソリストは気持ちを集中させているのでしょうか、ヴァイオリン・ソロがゆっくりと歌い始めます。これをオーケストラが受け継ぎ、カデンツへ。後のスペイン風のところは、やっぱり見栄を切るような独特のリズムが意識され、とっても面白い!第5楽章、ロンド、アレグロ。再び第1楽章の主題が登場し、ヴァイオリン・ソロもロンド主題を。たいへん心地よい速さで、技巧的なフレーズも安定し、スカッとします。跳ね回るような左手の小指と薬指、なんともすごい技巧の連続するソロ。弓の一部が切れてしまっても、身を屈めるようにスペイン風の切れ味のよいリズムで奏する滝千春さんの小柄な体から、気合と表現の意志のようなものが発散しているようです。オーケストラの中では、ピッコロとトライアングルが響き渡ります。隠し味のようでいて、でも全体の中できっちりと響いている、というような絶妙のバランスでした。全5楽章、フライングもなく、聴衆はニコニコと大拍手、滝千春さんもニコニコ。山響のバックは、たぶんソリストとして演奏しやすかったのではないでしょうか。そんな表情でした。

休憩時に、ロビーでブルックナーの交響曲第5番のSACD/CDを購入。3000円です。ついでにコーヒーを飲んでいたら、しばらくぶりに知人に会い、懐かしくご挨拶。

さて、後半はカリンニコフの交響曲第2番です。Wikipedia によれば、楽器編成は、フルート、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、ハープ、弦五部とのこと。
第1楽章、モデラート。荘重な弦に続く金管の響きが、ぴたりと決まります。お見事!でも、この厳粛な感じはすぐに放棄され、これに続くのは民族舞踊的なリズムです。オーケストラの各弦セクションはせっせと演奏しっ放しで、なんとも忙しそうです(^o^)/
金管部隊低音パートが迫力の低音を聴かせると、「負けないぜ」とばかりに金管部隊高音パートが朗々と鳴らし、木管も加わってオーケストラのカラフルな音色を堪能します。これぞ、カリンニコフの魅力です!
第2楽章、アンダンテ・カンタービレ。イングリッシュ・ホルン(仏名コール・アングレ)からオーボエに渡されるメロディーの素敵なこと。そして続くヴァイオリンの響きの美しいこと!ほれぼれします。さらにオーケストラの各パートへ受け渡されて、いいなぁ、ロシアだなぁ。再び登場するイングリッシュ・ホルンに、オーボエ、ファゴット、クラリネットの響きの美しいこと!そして最後のハープに、ノックアウトです(^o^)/
第3楽章、アレグロ・スケルツァンド。今頃になって気づきましたが、協奏曲で活躍したピッコロは、すでにフルートに持ち替えているのですね。途中でがらりと雰囲気が変わり、生き生きとした活気あるリズム感、いかにも全曲の終わりと錯覚しそうな感じなのですが、さすがに誰も間違い拍手なし。今日の聴衆は立派だぞ~、などと素人音楽愛好家は内心で独り言(^o^)/
第4楽章、アンダンテ・カンタービレ~アレグロ・ヴィーヴォ。静かな弦をバックに、息長いホルン・ソロから再びイングリッシュ・ホルンのソロへ。そして生き生きとした快速テンポで、透明な響きはあくまでも維持しつつ、フィナーレ楽章が始まります。どこかで誰かがパンフレットを取り落とした音はご愛嬌と言うべきでしょう。始まりの楽章の金管の旋律を再現し、昂揚の中で全曲を閉じます。

演奏された皆さん、おそらく多分ほとんど確実に筋肉痛になったことでしょうが、いや~、ブラヴォー!です。イングリッシュ・ホルンが、ホルンが、そしてハープが、ティンパニが、クラが、オーボエ、ファゴットが、フルートが、盛大な拍手を受けます。指揮者の飯盛範親さんも何度も呼び出されますが、ハプニングはそこで起こりました。

コンサートマスターの高木さんがヴァイオリンを持って立ち上がり、おやおや、指揮者の指示なしに奏き出したかと思ったら、"Happy birthday to you~" オーケストラも一斉に、"Happy birthday dear~" 実は飯森さんの誕生日だったのですね!ご本人が「実は46歳になりました」と話し、あわせて「僕と同じ誕生日の人がいます。そして、最近結婚されました。」と、某アンサンブル・ピノに所属する第1ヴァイオリン奏者(*)を紹介。なんともほのぼのした演奏会のエンディングでした。

本当はファン交流会のほうも出たかったのですが、この日はもう一発、映画「ラ・ボエーム」へ行く予定が。なんとも贅沢な、音楽三昧の一日でした。

(*):山形弦楽四重奏団のプレ・コンサートに、最近アンサンブルTomo'sが出演しているので、「山口さんちのツトムくん」のメロディで、「どーしたのかなっ?」と思っておりましたが、実はそーいうことだったのですね!おめでとうございます!
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おっと、あぶない~映画「ラ・ボエーム」上映予定が1週間早まっていた!

2009年05月17日 06時22分42秒 | -オペラ・声楽
以前、ネットで確認した時は、5/23よりとアナウンスされていたのでしたが、念のため山形フォーラムの上映案内を確認したら、「ラ・ボエーム」は5/16~22とのこと。あぶない、あぶない!当方、休日にしか映画を見ることなどできませんので、あやうく見逃してしまうところでした。
午前中は部屋を片付け、午後、さっそくでかけることにいたしましょう。本日は雨降りですので、山響定期演奏会および映画「ラ・ボエーム」という、音楽三昧の休日であります。
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