電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

2012年の私的十大ニュース

2012年12月31日 06時05分40秒 | 季節と行事
2012(平成24)年の私的な十大ニュースをまとめてみると、次のようになりました。
(1) 多忙をぼやきながら長距離通勤、車の走行距離がついに10万キロを突破
(2) インフルエンザで寝込むが人間ドックは特に問題なし、胃カメラの鮮明な画像に驚く
(3) 異動の春を機に子どもが自宅に戻り、家族の平均年齢が下がる
(4) 某同窓会を開催、懐かしい顔ぶれと再会
(5) 果樹園の順調な収穫、サクランボの他に初めて桃も収穫でき大喜び
(6) 厳しい残暑と日照りで弱ったサクランボの樹が二本枯れる
(7) 山響40周年定期演奏会でワーグナー「さまよえるオランダ人」を聴く
(8) 忙中閑あり、暇を見つけては読書に勤しみ、読了数が140冊を超えた
(9) インク「紺碧」「朝顔」を購入し、万年筆ブームに
(10) Ubuntu12.04にUpgradeでトラブル発生、重要データはバックアップしていて助かった

そのほか、印象的なものを挙げてみます。
■映画:「テルマエ・ロマエ」「よみがえりのレシピ」
■購入CD:
「クラシック・フェイヴァリッツ」山響2012年ニューイヤーコンサート(Exton)
ブルックナー「交響曲第6番」飯森範親指揮山形交響楽団(YSO-Live)
「Gift」(壺井一歩編,宮下祥子:Guit.)
■特に印象に残る本:
ジャクリーン・ケリー『ダーウィンと出会った夏』
吉村昭『生麦事件』(上)(下)
夏川草介『神様のカルテ』(1)(2)(3)
池井戸潤『空飛ぶタイヤ』(上)(下)
朝日新聞特別報道部『プロメテウスの罠』同(2)



ちゃんと冬至かぼちゃも食べましたし、こうして振り返ってみれば、けっこういろいろなことがあった一年でした。交通事故もなく、元気で働くことができたことに感謝したいと思います。
皆様、良い年をお迎えください。

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万城目学『鹿男あをによし』を読む

2012年12月30日 06時03分20秒 | 読書
幻冬舎刊の単行本で、万城目学著『鹿男あをによし』を読みました。本書の表紙には、朱雀門と思われる丹塗りの柱の建物を背景に、ネクタイをした若い男性(主人公の臨時の先生)と、白い剣道着に胴を付け、左手に竹刀を持って小首を傾げた少女(堀田イト)が立ち、間にスラリとした雌鹿がこちらを見ているイラストが描かれています。そして、地面には "The fantastic Deer-Man" とあり、おそらく英語の題名かと思われます。



「あをによし」を "fantastic" と訳す! なるほど、「あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり」は、「ファンタスティックな奈良の都は」という意味だったのですか!

本作品は、作者のデビュー第2作とのことです。
某大学の研究室で、28歳になる大学院生の主人公は、都合により奈良の女子校で産休の先生の代わりに勤めることになります。ところが、しょっぱなから生徒と対立し、授業もうまくいきません。そのうえ、鹿に話しかけられ、妙な役目を引き受けさせられるハメになります。卑弥呼に不思議な力を授けられ、地下の大ナマズを鎮める役割を負っている狐から鹿へ、先生は、なにやら重要物品を運ぶことになるのですが、鼠のせいで使い番の役目をしくじってしまいます。
この失策から人間社会を救うには、三校対抗剣道大会で優勝しなければならないのです(^o^)/
今、これを書いている私自身も、あまりの荒唐無稽さに思わず脱力してしまうほどですが、それはそれとして、けっこう面白く読めてしまいます。同じ作者の『プリンセス・トヨトミ』(*)へと続くホラ話の原型は、すでに出来上がっているようです(^o^)/

(*):万城目学『プリンセス・トヨトミ』を読む~「電網郊外散歩道」2010年2月
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ペリカン万年筆400Nを水洗いする

2012年12月29日 06時03分35秒 | 手帳文具書斎
暮れの29日、本日は、あちこちで大掃除の日です。そこで、当方も大掃除を敢行!
長年愛用しているパイロットの万年筆を徹底的に水洗いすることで、インクフロー等の不満をだいぶ改善できたことに味をしめて、こんどはペリカン万年筆の400Nを水洗いしました。ポンプ機構も渋くなっておりましたし、よく見るとキャップのネジ穴にもインク漏れがこびりついているようです。一度、分解して水洗いしようと思い立ちました。

インクを吸入する尻部のねじを回していたら、吸入機構が外れてきましたので、この際とばかりに徹底的に水洗いします。面白いように色が落ち、緑軸のストライプもはっきり見えるようになりました。うーむ、これでは調子が悪かったのは当然です(^o^;)>poripori



最近もらったペリカン社のカタログを一緒に撮影してみました。どうも、あまりセンスの良い撮り方ではありませんが(^o^;)>poripori

【追記】
ペリカン万年筆の歴代の製品については、あまりよくわかりませんが、これは400Nとか400NNとかいうものらしいとのことでしたので、訂正しました。

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桐山勝『万年筆国産化100年』を読む

2012年12月28日 06時05分15秒 | -ノンフィクション
図書館で、偶然に桐山勝著『万年筆国産化100年』(三五館刊)を見つけ、借りてきて読みました。「セーラー万年筆とその仲間たち」という副題を持つ単行本で、セーラー万年筆が1911(明治44)年に創業してから100年になるのを記念して、同社の歴史を中心としながら、他社をも含めて万年筆の歴史や魅力を紹介したものです。本当はビジネス書ということになるのでしょうが、当方はほぼ完全に万年筆に関するうんちく本として読み、じゅうぶんに満足することができました。
本書の構成は、次のようになっています。

第1章:行列ができる匠たち
第2章:有田焼万年筆の衝撃
第3章:万年筆の歴史をつくった人びと
第4章:万年筆国産化前夜
第5章:国産万年筆誕生
第6章:国産万年筆の伝説を追う
第7章:販売現場の熱風録~三位一体の精神
別章:全長14センチの小宇宙~万年筆の基礎知識

第1章は、ペン先職人親子やペンドクター、インクブレンダーなどの紹介です。田舎暮らしの当方にはご縁の薄い方々ながら、へぇ~、ほぉ~と感心することしきりです。
第2章では、洞爺湖サミットにおける有田焼万年筆とその開発の経緯を紹介しつつ、万年筆と国際会議等のうんちく話を盛り込んでいます。
第3章から第6章までは、万年筆の歴史と国産化以降の隆盛と退潮、そして最近の復活の機運などが語られます。ここは、読んでいてたいへんおもしろいところで、とくに戦後の製品やコマーシャルなどは、まさに同時代に生きてきただけに、けっこう見覚えのあるものがあります。
第7章は、現代の販売をめぐる状況を中心に、愛好家たちの交流や工場見学プログラム、ショップの特色なども紹介されます。
最後の別章は、万年筆の構造と名称を中心とする基礎知識です。本書の性格からか、インクの充填のしかたや水洗いのしかた、保管時の留意点などは割愛されていますが、口絵の図解を参照しながら、おもしろく読みました。

万年筆についての実用的な知識を求めるには不向きですが、万年筆の歴史とその周辺に興味を持つ人には有益な、得がたい良書であると感じます。セーラー万年筆の製品は、あいにく学生時代にキャンディの茶色を一本購入し、ブルーブラックで使っていただけですが、それでも面白く興味深く読みました。

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階段わきの日だまりの中で

2012年12月27日 06時02分16秒 | アホ猫やんちゃ猫
アタシには、お気に入りの場所が何ヶ所かあるんだけど、ここの階段わきの日だまりは、冬の寒い時期には最高の場所よね~。南向きで日当たりが良くて、欄干の上に乗って長くなっていると、うとうと眠~くなるの。でも、そういうときにかぎって、ご主人や奥さんがやってきて、アタシにちょっかいを出すのよ。まったく、おちおち長くなってもいられないわ。「ご機嫌斜め」なんてレベルは通り越して、もうバクハツ寸前よ。



アタシがプンプン怒っているのに、ご主人も奥さんも「お前はブサイクでか~わいい~ね~」なんて失礼なことを言ってるのよ。それは、人間言語的に間違っています!「ブサイク」と「かわいい」はカテゴリー的に相反するものよ。まったく人間って、矛盾してることを言っても平気なんだから!プンプン!

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高価なノートよりも高品質なノート

2012年12月26日 06時01分00秒 | 手帳文具書斎
ノートは、ペンが書き記す文字や図表等を受け止める容器(媒体)です。したがって、一義的には紙が生命になります。そしてその次に、体裁というか、造本や装丁などが出てきます。造本は立派だけれど紙はたいしたことはない、というノートは、私にとっては大いに問題ありです。万年筆を使うという前提に立てば、これまで使った中でもっとも好感度が高かったのは、ツバメノートのフールス紙でした。残念ながらクリーム色のものではありませんでしたが、行きつけの文具店で注文して入手できましたので、喜んでいます。高価なノートよりも高品質なノートを、惜しげもなく使いたい、と思います。

さて、もうすぐ年の変わり目。今の備忘録ノートも、ページの残りが少なくなり、新しいものに交代します。こんどはA5判A罫24行/頁のツバメノートを使う予定。さて、実際の使用感はどんな具合でしょうか。

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『石巻赤十字病院の100日間』を読む

2012年12月25日 06時04分16秒 | -ノンフィクション
小学館から刊行され、話題となっている単行本で、石巻赤十字病院+由井りょう子著『石巻赤十字病院の100日間』を読みました。東日本大震災に遭遇した医師や看護師、病院職員たちの、文字通り苦闘の記録です。
本書の構成は、次のようになっています。

1章:地震発生
2章:石巻22万人の瀬戸際
3章:終わらない災害医療

第1章では、災害発生後すぐに災害対策本部を立ち上げ、災害レベル3を宣言、赤・黄・緑・黒のトリアージ・エリアが設定されるという機敏な対応が取られた様子が描かれます。災害対策を事前に準備しており、前触れとなった3月9日の地震も教訓となっていましたが、巨大津波の被害は想定をはるかに超えていました。看護専門学校は津波にのまれ、各避難所は孤立し、医療ネットワークはおろか行政の機能も破壊された中で、野戦病院のような不眠不休の戦いを迫られます。水、電気、食料、あらゆるものが不足する中での奮闘です。

第2章では、病院内だけでなく、病院外の、地域への対応が描かれます。避難所における看護専門学校の教職員と学生たちの努力は、想像を絶する厳しさの中で行われたものでしたし、取り残された避難所での看護師の役割は、同じ被災者なのに、かけがえのない存在になっておりました。そんな中での「全避難所をトリアージ」するという医師の決断は、大局的な判断として貴重なものだったろうと思います。300ヶ所もある避難所を、17日から19日までの3日間でローラー作戦で対応を終えてしまいます。人工透析、在宅酸素療法患者への対応、避難所に蔓延する肺炎などの困難の中で、新たに誕生する赤ちゃんの生命力に励まされます。

第3章では、薬を流された人々への薬剤師たちの対応や、感染症対策チームの避難所巡回、エコノミークラス症候群を予防する活動や転院支援、家族安否情報室の活動などが記録され、紹介されます。「私たちも被災者なのに」という思いは、とりわけ家族を失った病院職員には少なくないことでしょう。



本書を読んで、あらためて痛感したことがあります。それは、命を救う医師の仕事を支えているのは、様々な社会システムであり、それを担って働く人々の努力である、ということです。がれきを撤去し道路を確保する建設重機オペレータ、確保された道路をひた走る物資を満載したトラックの運転手、炊き出しのおにぎりを握りつづける赤く火傷した手、通信や電力などの復旧に奔走する現場技術者など、実に様々な職種の、きわめて多くの人々の努力の集積によって支えられているということ。おそらく、そのどれ一つが欠けても成り立たなかったことでしょう。

もう一つ、災害拠点病院への道を準備した人々の先見の明を讃えるべきでしょうが、一方で、全国の過酷な医療現場が、必ずしもこのように見事な活動を可能とする状況にはない、ということにも留意すべきでありましょう。

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さて年賀状は

2012年12月24日 06時04分57秒 | 手帳文具書斎
今年もまた、こんな時期になってしまいました。年賀状の作成が、まだ終わっていませんでした。まず、喪中の方々の点検、次に図案・デザインと文面の作成、住所宛名印刷、一言コメントの書き入れ、そして投函となりますが、今年は喪中欠礼の挨拶状が実に22通も届きました。これまでにないほどの枚数です。これはやはり、そういう年代だということなのでしょう。

賀状の図案・デザインについては、来年の干支は巳年、ヘビだそうですが、ヘビが大嫌いな妻は実写によるデザインは喜ばないでしょうから、干支を用いないデザインにする必要があります。ハードディスクに溜め込んだ写真データの中から、ふさわしいものを探すのがけっこうたいへんだったりします。一番単純なのは草花の写真ですが、季節やお正月の雰囲気にふさわしい花というと、なかなか見当たらず、困りました。なんとか昨日までにデザインを決定し、印刷まで終わりましたが、さて残る作業の見通しは?

私は枚数が多いのでプリンタ印刷ですが、宛名書きは、妻は根っからの手書き派です。インクジェット用紙の場合、万年筆や筆ペンはどうも書きにくいので、今年は太字のボールペンを使いたいとのこと。妻が選んだのは、パワータンクの 1.0mm でした。
なるほど、かすれの出ない加圧式のボールペンのよさを選んだということでしょう。

さて、本日は某家の法事に招かれており、日中は作業できそうにありません。昨夜のうちに宛名印刷を済ませておりますので、一言書き加えるほうは、アルコールが解毒された夕方以降になりそうです。なんとか本日中に投函したいところです。

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シューベルト「交響曲第5番」を聴く

2012年12月23日 06時05分19秒 | -オーケストラ
ここしばらく、通勤の音楽としてシューベルトの交響曲第5番 変ロ長調D.485 を聴いております。演奏は、オトマール・スウィトナー指揮のシュターツカペレ・ベルリン、DENON の紙箱全集からの1枚(COCO-83992)です。

添付のリーフレットによれば、この曲は1816年9月から10月3日までの間に完成したとのこと。細かい期日までわかるのは、自筆譜に日付が残っているのだそうです。
楽器編成は、Fl(1),Ob(2),Fg(2),Hrn(2),それに弦5部というもので、従来加わっていたClやTp,Tb あるいはティンパニが省略された、小規模なものになっています。これは、経費の都合や演奏者が探せなかったというような消極的なものではなくて、どうやら作曲者の意図的なものらしい。このあたりの本当の理由は不明です。

第1楽章:序奏なしにアレグロで始まります。変ロ長調、2分の2拍子。のどかな木管に続く弦楽の優美さ、そしてフルートの活躍、小編成ながら効果的な転調による表情の変化など、ぐっと成熟と活力を感じさせるものになっています。
第2楽章:アンダンテ・コン・モート、変ホ長調、8分の6拍子。曲中で、演奏時間が一番長い楽章です。主題がいかにもシューベルト的です。
第3楽章:メヌエット。アレグロ・モルト、ト短調、4分の3拍子。調性から見ても、モーツァルトのト短調交響曲を連想させる音楽になっています。もちろん、あれほどの切迫感はありませんが、それでもなかなか聴かせる音楽です。
第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ、変ロ長調、4分の2拍子。曲の雰囲気に、第1楽章の喜ばしい気分が戻ってきます。かと思うと、後半には調を変えて第3楽章の気分が何度も再現されたりしています。

■スウィトナー盤
I=7'00" II=10'55" III=5'08" IV=7'47" total=30'50"



もう一つ、2008年の8月17日に NHK-FM で放送された、黒田恭一さんの「20世紀の名演奏」では、ホルスト=シュタイン追悼として、「ジークフリートの葬送行進曲」や「リエンツィ」序曲、「マイスタージンガー」第一幕の前奏曲などのワーグナー作品と、シューベルトのこの交響曲を取り上げておりました。バンベルク交響楽団を指揮した1986年の録音は、ゆったりとしたテンポの、いかにもホルスト=シュタインらしい堂々たる演奏で、なにを今さらと言われそうなカセットテープですが、好んで聴いています。

もしかして、これが記念すべき3,000本目の投稿でしょうか。節目の記事がシューベルトの交響曲第5番というあたりに、いかにも電網「郊外」散歩道らしい、メインストリートを外れた気楽さが現れております(^o^)/

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パソコンを更新する際のバックアップ項目

2012年12月22日 06時10分07秒 | コンピュータ
これまで、ずいぶんパソコンを更新しつつ使って来ましたが、思いがけないトラブルの場合を除いては、比較的スムーズにバックアップを活かし、データを継承することができました。念のため、パソコンの更新時にバックアップをとっておくべき項目を列挙すると、次のようになります。

(1) データファイル・フォルダ
(2) メールデータ
(3) メールアドレス
(4) ブラウザのブックマーク(お気に入り)
(5) かな漢字変換のユーザー辞書(登録単語等)

このうち、意外に忘れがちなのが、(5) のユーザー辞書です。せっかく単語登録しても、パソコンの更新のたびにゼロに戻ったのでは、泣くに泣けません。人名・地名、専門用語や頻用する言い回しなど、それなりに労力を費やした単語登録の成果は、なんとかして引き続き利用したいものです。

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夏川草介『神様のカルテ3』を読む

2012年12月21日 06時04分05秒 | 読書
小学館から刊行されている、夏川草介著『神様のカルテ3』を読みました。この人気シリーズのストーリーを簡単に要約してしまうのは、味も素っ気もなくなるだけでなく、未読の読書家には楽しみも半減かと思いますので、できるだけボケた書き方で、感想を綴ることといたします(^o^)/

もとより不自由の大地に理不尽の柱を立てて、憂鬱と圧迫の屋根をかけたものが、人生という掘立小屋である。わずか三十年の営みでは、まだまだ住み慣れた住居にはなりえないのだろう。せめて不惑に至るころには、この重苦しい屋根くらいは、風通しのよいものに掛け替えたいものである。(p.45)

こんな文章は、いかにも夏目漱石フリークのものと思いますが、栗原先生と榛名さんとの間には、

愛することに疲れたみたい/嫌いになったわけじゃない

などという歌は入り込む余地はないようですね、今のところ(^o^)/

「心を射抜かれたまま一歩も前に進めない」「男運の悪い」美人看護師の東西さん、高校時代の音楽の先生との思いがけない邂逅に、雨中の祈りを捧げます。居酒屋九兵衛で栗原先生に愚痴ったことで、なんとか復活したみたい。ヨカッタヨカッタ。彼女は可哀想だけれど、まずはヨカッタ(^o^)/
しかし、金魚屋に元音楽教師と、アル中の患者が次々に登場します。それが、強烈な小幡奈美先生がからむ波乱の幕開けの伏線となっているところなども、うまいものです。リンゴの丸かじりは、私も時々やっていますので、それほど奇矯な行動だとは思わないのですが、たしかに畑では自然な行為も、医局では不自然に見えるのかもしれません(^o^)/

本書のハイライトは、やはり小幡奈美先生の登場と強烈な言動、そしてその背後にある、夫を救えなかった無念と悔恨でしょう。後をなぞるように誤診をしてしまう栗原先生は、島内老人との信頼感のおかげでセーフでしたが、実際のところは薄氷を踏むような状況でした。

最初にかかったお医者さんに「様子を見ましょう」と言われたけれども納得せず、別のお医者さんで診てもらったら、胆嚢にガンが見つかった例を知っています。医学の限界における誤りならば仕方がないけれど、限界のはるか手前で見逃されるのでは、泣くに泣けない。セカンド・オピニオンの重要性もあります。大学の医局に戻る栗原先生の今後の展開が楽しみです。

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四輪駆動を過信するドライバーは

2012年12月20日 06時04分39秒 | 散歩外出ドライブ
数日前にも、バックミラー越しに四輪駆動車の派手な事故シーンを目撃したばかりだというのに、先日はまたジープ型の四駆の事故があり、朝から大渋滞でした。どうも、四駆がからむと、事故は大きくなる傾向があるのではないかと感じます。

四輪駆動車は、砂地やぬかるみからの脱出などには、たしかに力を発揮しますが、走行中に制動を失い、滑走し始めたら、他の自動車と変わりはありません。ところが、オレの車は四駆だからとメカニズムを過信し、無謀なスピードや急なハンドル・ブレーキ操作をする人がいるのではないか。とくに、運転経験の少ない若い人に、その傾向が見られるように感じます。

雪道の運転は、とにかく減速し、車間距離を確保し、急に信号が変わっても安全に停止できる状態を確保しておくことが大事です。隣の車と競争したり、ささいなことで頭に血が上るようなことはやめてほしい。自分だけが雪の中に突っ込むのは、自己責任という言葉で片付けられるかもしれませんが、他人を巻き添えにするのは迷惑至極です。
いや~、怖かった(^o^;)

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今日は当ブログ「電網郊外散歩道」の誕生日

2012年12月19日 06時01分11秒 | ブログ運営
本日は、当ブログ「電網郊外散歩道」の誕生日です。2004年の12月19日に最初の記事を投稿して以来、2012年の12月19日まで、8年間、実に2,996本の記事を書きました。単純に割り算すると、平均して1年間に374本の割合で投稿したことになります。なんともはや、われながら呆れます(^o^)/

こんどは九年目に入るわけで、十周年も視野に入って来ました。当方が健康で、かつまたgooブログが運営撤退を宣言しない限りは、なんとか継続してみたいものです。

ところで、2010年から2012年にかけての各カテゴリーの伸び率を調べてみると、次のようになりました。なお、記事数は2012年12月15日現在のものです。

第1位:「手帳文具書斎」   223%
第2位:「アホ猫」      163%
第3位:「ノンフィクション」   151%
第4位:「読書」       146%
第5位:「週末農業」     144%

第1位の「手帳文具書斎」は、ボールペンや万年筆、手帳やノート等の記事を中心にしたものです。ずいぶん増えたことに今更ながら驚いています。
第2位の「アホ猫」は、これはまあ、相変わらずの人気ぶりで、コメントが入る確率がずいぶん高いようです。
第3位の「ノンフィクション」は、東日本大震災や福島原発事故等に関連した本が、このところぐっと増えているように感じます。
第4位の「読書」は、独立カテゴリーに入らない書籍を一括していますので、当然の結果でしょうか。むしろ、定番のもの以外の本をあまり読んでいないことを示しているのかもしれません(^o^;)>poripori
第5位の「週末農業」は、当方の農作業記録にもなっており、「あれはいつ頃だっけ」と検索することも少なくありません。自分の役に立ち、他の人にも参考になればなお幸い、というスタンスの典型的な例となっています。

ただし、「Weblog」カテゴリーはただいま「季節と行事」「健康」を独立させている最中です。したがって、実際は「Weblog」カテゴリーの記事数はこの三つの合算、すなわち565本となりますので、実際の「Weblog」カテゴリーの伸び率は、実は124%となっています。

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常用するパイロットの万年筆を水洗いする

2012年12月18日 06時03分52秒 | 手帳文具書斎
たしか結婚した頃に購入して以来ですから、30年以上ずっと愛用しているパイロットの万年筆、カスタムのインクフローが少々渋めに感じられるようになってきたので、思い切ってコンバータを外し、徹底的に水洗いしてみました。インクも、パイロットの黒インクをずっと使いつづけていますので、インクフローが悪いというのは考えにくい。これはやはり、長期にわたり断続的に使ってきたために、詰まり気味になったためではないかと考えたためです。

まずは流水で洗い、目視で黒い色が出なくなったところで、さらに一晩水につけておきます。ここでも黒い色が出ますので、水を替えてもう一晩、念のためにつけておきました。あとは自然乾燥して、数日後に新しいインクを入れる予定です。残り少ない古いインクは、疑わしきは更新という考え方で、惜しまずに捨てることにしました。

新しいインクを入れるまでは、ペリカン+紺碧と、ウォーターマン+パーカーQuinkのブルーブラックという舶来コンビを使うことになります。ウォーターマンのペンケースも、欧米組どうしの顔合わせで、居心地良く思っているかもしれません。

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山響第225回定期演奏会でドヴォルザークとシベリウスを聴く

2012年12月17日 06時02分28秒 | -オーケストラ
忘年会明けの土曜日は、ほぼ沈没しておりましたので、日曜の午後、山形交響楽団第225回定期演奏会に出かけました。会場の山形テルサホールに着いて、お客様を観察していると、なんだかいつもよりもご年配の方々が多いように感じます。頭が白いというだけでなく、山響創立名誉指揮者の村川千秋さんと一緒に時代を過ごしたような年代と思しき方々です。それと比べれば、当方などまだまだ青二才かも(^o^)/

さて、今回のプログラムは、

1. シベリウス:弦楽のための「即興曲」
2. ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
3. シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43
 チェロ:堤 剛
 村川千秋 指揮 山形交響楽団

となっています。記念すべき第200回定期演奏会を、親戚の急な葬儀のために諦めただけに、村川千秋さんの指揮姿に接するのは、引退後初めてかも。本当にしばらくぶりです。とくに、過去のシベリウス定期を毎年ずっと聴いていただけに、またシベリウスが聴けるのがうれしく、楽しみにしていました。

最初の曲目は、シベリウスの弦楽のための「即興曲」です。ステージには、左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(8)、チェロ(6)、ヴィオラ(6)、そしてチェロとヴィオラの後方にコントラバス(4)という配置です。とても静謐な、音楽が凝縮されたような美しい弦楽合奏でした。

続いて、ドヴォルザークのチェロ協奏曲です。楽器編成は、8-8-6-6-4 の弦楽セクションに加えて、フルート(2)、オーボエ(2)、その後方にクラリネット(2)、ファゴット(2)、さらにその後方にホルン(3)、トランペット(2)、最後列には打楽器(トライアングル等)とティンパニ、トロンボーン(3)、チューバが並びます。拍手を浴びて、本日のソリスト堤剛さんと指揮の村川千秋さんが登場します。

第1楽章:アレグロ。ヴィオラとチェロとコントラバスを背景にして、クラリネットが提示する主題に始まり、ファゴット、そしてフルートとオーボエに移行する、あの印象的な始まり。比較的ゆっくりめのテンポです。ホルンが入り、オーケストラ全体が活発に動き出します。たぶん、スコアはぎっしりと書き込まれているのでしょう。ティンパニが動き、クラリネット、そしてオーボエやフルートが印象的な一節を歌い、独奏チェロの出番へ、期待は高まります。待ちに待ったチェロの登場!気合と気力、雄渾な音楽が始まります。そうしたら、なんだか胸がいっぱいになってしまいました。ああ、私がまだ若かった頃、1969年の大阪国際フェスティヴァルで、気鋭のチェリスト堤剛さんと日本フィルがこの協奏曲を演奏していたんだなぁ。1972年に山形交響楽団が誕生し、それから私にもいろんなことがあって、今こうして40周年を迎えているんだなあと思うと、過ぎ去った時の流れが愛おしく感じられます。人はこうしていろいろなものに別れを告げていくのかも。
第2楽章:アダージョ・マ・ノン・トロッポ。木管に続き歌い出される、思いをいっぱいに載せたチェロ、これを支える村川さんの棒。遅めのテンポにもかかわらず、よく歌うアンサンブル。弦のピツィカートをバックに、ホルンが気持ちよく響きます。ああ、いいなあ。ドヴォルザークが書いた、実に見事な緩徐楽章を、大きなエネルギーで表現していきます。これまで、この曲は壮年の音楽だと思っていましたが、必ずしもそうではないのだと、認識を新たにしました。
第3楽章:アレグロ・モデラート。チェロとコントラバスが低音でリズムを刻む中で、ホルンが、次にオーボエとクラリネットが印象的な一節を吹いて始まります。トライアングルが響き、ティンパニが打たれ、オーケストラが力強く演奏する中で、独奏チェロが雄渾な音楽を奏でます。こうなると、もう余計なメモなど忘れて、ひたすら音楽の中に浸るのみです。

格別に暖かく熱のこもった拍手に応えて、堤さんのアンコールは、カザルスの「鳥の歌」。最高音の最弱音まで駆使した表現に、聴衆全体が思わずじっと聴き入ってしまいました。

15分の休憩の後は、ホルンが4本、トランペットが3本に増えて、クラリネットは2本ずつ持参。オーボエに合わせ、コンサートマスターの犬伏さんが立ち、チューニングをします。これこれ、この音です。思わず期待が高まる時間。たまりませんね。

最後の曲目、シベリウスの交響曲第2番。
第1楽章:アレグレット。くっきりと描き分けられる、楷書のシベリウス。でも、しなやかな弦は弾力があります。第2楽章:アンダンテ・マ・ルバート。コントラバスとチェロのピツィカートから、ティンパニのドロドロ~。これにファゴットが加わり、あの出だしになるのですね。二本のファゴットがいいなあ。弦とホルンとか、低弦と金管とか、迫力と力感ある表現がすごい。以下、メモは断片的にしか残っていませんが、時に鋭さのある、極めて真剣な音楽になっていると感じます。また、金管部隊の見事な活躍を書き留めておりますし、じりじりと盛り上げるエネルギーは、憧れか祈りか、とてももうすぐ80歳の音楽とは思えません。金管がひときわ高々と鳴り響く中で、高揚のフィナーレです。ああ、良かった。

演奏が終わり、鳴り止まぬ拍手に、創設名誉指揮者の村川千秋さんがご挨拶。
(1) 地方の文化は、そこに住んでいる人が作るもの。
(2) あと2週間で80歳になります。元気で長生きしましょう。今後も山響をよろしく。



うーむ。飄々とした表情の下に、きわめて熱いメッセージがありました。堤剛さんと村川千秋さんは、留学先のインディアナ大学で同室だったそうな。山響創立後、第2回と第4回の定期演奏会に客演してもらったものの、お客さんが入らず、ギャラも払えなかった時代もあったらしい。山本直純さんや岩城宏之さんなど、才能ある人たちの中で、自分にできることは何かを考えとき、故郷にオーケストラを作ることならできるだろうと考えたのだそうです。オーケストラは、しっかりと定着するのに、50年はかかる。それまで、山響はあと10年。あと10年、しっかり支えてほしい、という願いを、聴衆も確かに受け止めたことでしょう。

実は、この日は、別会場でモーツァルトの「フィガロの結婚」を上演していたのでした。聴衆の入りが7~8割にとどまったのは、前日に続き二日目の公演であることに加えて、「フィガロ」とのバッティングも影響したのかもしれません。金曜夜の忘年会で沈没していましたので、土曜に山響、日曜に「フィガロ」の音楽三昧はかないませんでしたが、本当にしばらくぶりに村川さんの元気な姿を拝見して、安心したことでした。

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