電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ウェーバーのクラリネット五重奏曲など~山形弦楽四重奏団第26回定期演奏会を聴く

2008年01月31日 05時52分55秒 | -室内楽
昨晩は、山形市の文翔館議場ホールにて、山形弦楽四重奏団の第26回定期演奏会を聴きました。昨年同時期は、残業で涙を飲んだのでしたが、今回はなんとか開演に間に合いました。(^_^)/yattane!

例によって、山形交響楽団に所属するヴァイオリン2名とヴィオラによる3人のレディが組んだ「アンサンブル・ピノ」によるプレ・コンサート。ヘルマン・シュレーダーの三重奏曲Op.114-2だそうです。前半は、20世紀の音楽だとすぐわかる、活発な曲ですが、響きはそれほど不協和音がきついものではありません。後半は、ゆっくりした静かな音楽。むしろ、響きの不思議な美しさを感じます。珍しい曲目だと思います。ヘルマン・シュレーダー(1904-1984)は、20世紀カトリック教会音楽の改革を行った作曲家だそうで、室内楽作品も多いのだとか。貴重な経験をしました。

さて、山形弦楽四重奏団の定期演奏会の始まりは、駒込綾さんのトークから。はじめは挨拶で、これまでの活動を簡潔に紹介し、来月は新庄で演奏するとか、その翌月は福島で演奏会などと、今後の予定をさりげなく紹介します。それから曲目の解説をします。本日の曲目は次のとおり。

1. ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ短調、Op.17-4
2. シューベルト 弦楽四重奏曲第10番、変ホ長調、D.87
3. ウェーバー クラリネット五重奏曲、

まずハイドンですが、こちらはエステルハージ侯の館で、弦楽四重奏曲の作曲は求められなかったらしく、カルテットを書きたくてしょうがない若いハイドンの、もんもんとした欲求がストレートにあらわれた曲だそうです。若いハイドンの、とても素敵な旋律が次々に出てくるところなど、彼の思いを受け止めたい、と話します。シューベルトの方は、これも彼が若い(16歳)頃の作品で、ヴァイオリンを兄が、ヴィオラをシューベルトが、そしてチェロを父親が演奏して、1813年の暮に自宅で初演されたものだとか。そしてウェーバー。オペラ作曲家らしく、クラリネットが歌劇の主人公のように用いられ、クラリネットの良さがふんだんに味わえる作品、とのことです。

ハイドンの方は、駒込さんが第1ヴァイオリンで、第2ヴァイオリンは中島光之さん。駒込さんの衣装は、ピンク色の美しいドレスです。さて、演奏が始まります。全体に、まだ4人が対等に演奏するところまではまだいかず、第1ヴァイオリンの見せ場が多い曲のようです。それでも、第2楽章の優雅なメヌエットで第2ヴァイオリンが見せ場を作ったり、第3楽章のアダージョ・カンタービレでチェロの見せ場を作ったり、ちょっとずつ「頑張る」ところを用意しているみたい。フィナーレは再び短調で、第1ヴァイオリンが重音奏法などを聴かせ、激しさのある高揚のうちに終わります。初めて聴きましたが、いい曲です。

続いてシューベルト。今度は第1ヴァイオリンが中島さんに交替。家庭での演奏を想定しているため、特にチェロが易しめに書かれているとのこと。それでも、第2楽章スケルツォは、シャックリのような面白い響きで、ちょっとユーモアを感じる音楽です。第3楽章、アダージョも、素朴な響きで落ち着きます。穏やかな音楽です。第4楽章、チェロの茂木明人さん、ピツィカートで実に楽しそうな表情。シューベルトは、第1ヴァイオリンだけでなく、しっかりと自分(ヴィオラ)にも出番を作っています。倉田譲さんのヴィオラが内声部を支えます。アットホームな佳曲ですね。

15分の休憩の後、山形交響楽団のクラリネット奏者の郷津隆幸さんを迎えて、ウェーバーのクラリネット五重奏曲です。左から第1ヴァイオリンが中島さん、第2ヴァイオリンが駒込さん、中央にクラリネットの郷津さん、チェロの茂木さん、ヴィオラの倉田さんが、譜面台を中央に、半円形に並びます。
第1楽章、アレグロ。クラリネットの音色がきれいです。高音域と中低音域の音色の対比が魅力的で、変な言い方ですが、クラリネットが主役を張る器楽のオペラか室内協奏曲みたいです。茂木さんがようやく本領を発揮し、チェロが活躍、さらにヴィオラが入ると響きがぐっと充実するのがわかります。
第2楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。チェロに続いてヴィオラ、そして2つのヴァイオリンの低い音域の暗い音色の上に、クラリネットの音が響きます。オペラで言えば、低い音から高い音まで広い音域を駆使する若い男女の嘆きの歌のようです。
第3楽章、プレスト。クラリネットが、密林の鳥の鳴声のような面白い音。
第4楽章、ロンド:アレグロ・ジョイジョーソ、と読むのでしょうか。クラリネットが楽しげに縦横に活躍します。それにしても、郷津さんのクラリネット、どの音域でも優しくいい音ですね!カルテットはもっぱら引立役にまわりますが、これはもともとがそういう曲なのでしょう。ウェーバーは、クラリネットが好きなのですね。

とりあえず、本日はここまで。帰路は小雪がちらつきましたが、いい演奏会でした。満足です。
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自宅でキジを見た冬の日!

2008年01月30日 06時56分27秒 | 散歩外出ドライブ
田舎度については自信を持っているわが家では、裏の畑でキジを見ることは珍しくありませんが、動きがはやいため、カメラを準備しているうちに通り過ぎてしまうのがふつうです。でも、今回は自室の前をトコトコと歩きましたのでようやく間に合い、遠くからですがカメラにおさめることができました。それがこの写真です。どうやら、メスのキジのようです。

キジの背の高さからも、積雪量がおおよそわかりますが、今年の雪は、例年と比較して、どうなのでしょうか。写真は、カーポートの屋根に積もった雪を撮影したものです。大雪だった2006年1月の同時期の写真です。



こちらは、今年の今の積雪量です。



ごらんのとおり、雪の積もり具合が、全く違います。今年は、除雪機を動かした日がまだ数回だけ。ほんとにありがたいです。
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ベートーヴェン「交響曲第8番」を聴く

2008年01月29日 06時51分55秒 | -オーケストラ
少し前の日曜日、N響アワーで、ベートーヴェンの「不滅の恋人」を取り上げていました。ゲストは作家の青木やよひさん。世界で最初(1959年)に、N響の「フィルハーモニー」誌に「アントーニア・ブレンターノ」説を発表しています。

番組によれば、アントーニアは、貴族ヴィルケンシュトック伯の娘で、15歳まで修道院で育てられたのだそうです。そして、16歳でフランクフルトの富豪で30代のブレンターノの求婚を受けます。しばらく迷ったそうですが、18歳で結婚。しかし、日本風に言えば「お公家さんの娘が大阪の廻船問屋に嫁いだ」ようなものだそうで、心身症になりウィーンに戻って、父親が亡くなるのを看取っていた頃です。

1812年、ナポレオンのモスクワ侵攻に関心を持つドイツやオーストリアの諸候が、ボヘミアの中立地域である保養地テープリッツに集まりますが、その中にワイマールの枢密顧問官であるゲーテもいました。春にテレーゼ・マルファッティに求婚し断られたばかりのベートーヴェンは、ゲーテと親交のあったベッティーナ・ブレンターノの来訪を受け、その長兄フランツと妻アントーニアと親しくなります。彼女(アントーニア)の結婚生活は必ずしも幸福なものではなく、ベートーヴェンは隣室からピアノを弾いて彼女をそっとなぐさめ、立ち去ったといいますから、まだ若い彼女の方もぽーっとなるのは理解できます。

晴れやかな音楽。「不滅の恋人」のドラマとセンチメンタルに結びつけるにはちょいと違和感を覚えるほどの、力に満ちた、晴朗で幸福な音楽です。アントーニア・ブレンターノとの出会い、親しくなった日々の喜びをあふれさせているのでしょうか。駅馬車のポストホルンを模したと言われる旋律が登場する第3楽章も、けっしてセンチメンタルな回想ではありません。

第1楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ。
第2楽章、アレグロ・スケルツァンド。
第3楽章、テンポ・ディ・メヌエット。
第4楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ。

難聴と酒と鉛中毒による性格障害から、他人とのコミュニケーション不全に陥っていた時期の、晴れやかな音楽。不滅の恋人との別れの後に、深刻なスランプの時期がやってきて、ベートーヴェンは自分の存在の意味を問い直すようになるのだそうです。たぶん、音楽的には、後期の豊かな実りの時期に移行する前の、最後の輝きのような音楽と言うべきでしょうか。

ふだんCD(SONY SBK 46328)で聴いている、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管の演奏は、コンパクトで古典的なこの曲を、スピード感を持って、きりりと活力ある演奏にしています。第3楽章は少しテンポを落とし、前の2楽章との対比を意識したのでしょうか。録音は十全とは言えず、残念ながら低音の不足が目立ちます。トーンコントロールで少し低域をブーストしてちょうどよいくらいです。
N響アワーを録画したネルロ・サンティ指揮の演奏は、第3楽章も速いテンポで、全体に颯爽とした音楽になっています。現代の録音らしく、音の条件も良いのがありがたいです。

■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管
I=9'40" II=3'46" III=5'27" IV=7'51" total=26'44"
■ネルロ・サンティ指揮N響(2007年)
I=9'45" II=3'41" III=4'35" IV=7'28" total=25'29"

余談ですが、従来は、文筆家が好んだためでしょうか、暗く悲劇的な音楽が人気が高い傾向があったように思いますが、近年は「のだめカンタービレ」の影響でしょうか、こうした活力に富む晴朗な音楽も好まれるようになっているように思います。
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「介護保険制度と介護予防入門」研修会

2008年01月28日 06時46分07秒 | Weblog
今朝は、昨日とはうってかわって晴天となりました。朝から地区の壮年会が、公民館周辺の除雪を行いました。大雪の年には、独居老人の家の除雪なども担当するのですが、今年は例年よりも雪が少なく、区長さんからの依頼もなし。少々汗をかいて、すぐ終わりました。

会員はいったん自宅に戻りますが、私は壮年会主催の「介護保険制度と介護予防入門」研修会の準備のために公民館に残り、会場の準備をします。テーブルと座蒲団を並べ、正面に演題と講師の名前を書いた垂れ幕を下げました。私はあまり能筆とは言いがたく、字のうまい婦人会の会長さんに依頼。なに、ほかならぬわが妻です。

やがて、二人の講師が到着、打ち合わせを行います。市の介護保険の担当主査と、支援センターの係長さんです。日曜にもかかわらず、わざわざおいでいただいたことに感謝。世間話をしているうちに、三三五五、聴衆が集まって来ます。壮年会の会員以外では、比較的年配の方が多いようです。当地区には、実際に老老介護になっている世帯も少なくなく、夫婦が一緒のケースや、親子で来ている姿も見られます。企画した主催者としては、ありがたい限りです。

話の中身は、私にも新鮮なものでした。介護保険制度というのは、健康保険とは別に制度設計されたものであって、一定の年齢以上の人たちが、それぞれの立場に応じて介護保険料を納め、介護が必要になった世代の人たちを支えましょう、という趣旨の制度のようです。介護を個人の努力だけで解決するのではなく、介護の社会化を目指す、というものでしょうか。

講師も含めて30名弱の参加者で、ちょうどよい人数でした。二人の講師の説明も、たいへん親しみやすくわかりやすいものでしたし、何よりも近所のばあちゃんたちから「いい話を聞けてよかった」という感想をいただき、この研修会を企画して良かったと感じました。また、直接市民に接する立場の人たちは、目線が細やかだな、と思ったことでした。
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山響ニューイヤーコンサート~山形交響楽団第186回定期演奏会を聴く

2008年01月27日 15時41分54秒 | -オーケストラ
ニューイヤー・コンサートというのは、本来はお正月に開かれる演奏会のことでしょうが、新春一月に開かれる演奏会がニューイヤーコンサートを名乗っても、格別な不都合はないでしょう。わが山響(山形交響楽団)の第186回(1月)定期演奏会は、飯森範親さんの指揮で、ウィンナ・ワルツとドヴォルザークの「新世界」交響曲というプログラムです。今回は26日の土曜日、雪の中を、夜の部に出かけました。会場近くのレストランで、妻と一緒に軽く夕食をすませ、山形テルサ・ホールへ。

前半の幕開けは皇帝円舞曲からです。コンサートマスター席には犬伏亜里さんが坐ります。その隣には高木和弘さん。第2ヴァイオリン席には、ピアニストの舘野泉さんの息子さんである、ヤンネ舘野さんの姿も見えます。ヴィオラのトップの席には、見慣れない小柄な女性が坐っています。はて、どなただろうな、と思っていたら、飯森さんから紹介がありました。ウィーン・フォルクスオパーでヴィオラを奏いている川中子(かわなご)紀子さんという方だそうです。
2曲目はポルカ「観光列車」。指揮者の飯森さんが汽笛を吹き鳴らしながら、楽しい演奏です。3曲目はピチカート・ポルカ。全曲、弓なしのピツィカートで演奏されます。4曲目の鍛冶屋のポルカでは、金てこの鋭い音が、意外なほど大きく響きわたります。そして5曲目のポルカ「狩り」では、飯森さんが何やら左手に隠し持っています。ははーん、ピストルだな、と思ったら、案の定でした。運動会のスタート用ピストルを猟銃がわりに鳴らして、ちょっとだけ狩りの気分を味わう趣向。これも楽しい、茶目っ気たっぷりの飯森さんのいたずらでしょうか。前半最後の曲目は、「美しく青きドナウ」。音楽が始まる前の、聴衆がしーんと静まり返ったのがわかり、期待の大きさが感じられました。演奏も素晴らしく、とても楽しめました。拍手の中で、ゲストの川中子さんが、お隣の倉田さんに笑顔で何か話しかけていましたが、何を話していたんだろうと興味津津です。

休憩の後、コンサートマスターがこんどは高木和弘さんに交替します。ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界より」です。
第1楽章、アダージョ~アレグロ・モルト。フルートの音色がとてもやわらかく響きます。第2楽章、ラルゴ。いつものオーボエを持ち替えて、なのでしょうか、生のイングリッシュ・ホルンを聴きます。素朴な、いい音色です。コントラバスの印象的なピツィカートが響きます。第3楽章、スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ。けっこうダイナミックで、リズムが魅力的な楽章。第4楽章、アレグロ・コン・フォーコ。ダイナミックな演奏を気持ちよく聴いていたら、演奏の途中でボンと音がして、犬伏さんの弦が切れてしまいました。後ろの奏者と楽器を取り換えて演奏を続け、後ろの奏者はさらに後ろに楽器を送り、演奏を続けます。結果的に最後尾の奏者が袖に引込み、弦を張り替えて戻って来ました。その間、充実した演奏が続きます。みなさん、全然動じる様子もなく、口をヘの字に結び、懸命の演奏です。「新世界」交響曲は、演奏会でも何度も聴いていますが、いやー、本番でこんなハプニングもあるんですね。思いがけないハラハラ要素もあり、演奏に大満足。

そして、新春ニューイヤーコンサートらしく、特別にアンコールがありました。なんと、ラデツキー行進曲、もちろん聴衆の手拍子つき。聴衆も一体になって盛り上がり、ステージ上の団員のみなさんも、みんなニコニコ。しかも、表情に驚きの色も混じっていました。みなさん、聴衆が期待以上に乗ってくれたので、喜んでくれたのかな、と思います。

一緒に行った妻も大満足、良かったネ~、と話をしながら帰路につきました。
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新聞連載と単行本化~『白畑孝太郎、ある野の昆虫学者の生涯』

2008年01月26日 08時39分20秒 | -ノンフィクション
大都市部に限らず、地方でも、新聞連載シリーズが好評だと単行本となって刊行される場合があります。最近の例では、地元紙・山形新聞夕刊に連載された、『白畑孝太郎、ある野の昆虫学者の生涯』(永旙嘉之著、無明舎出版、1,785円)が代表的なものでしょう。

この本は、毎日新聞の「今週の本棚」で、こんなふうに紹介(*)されています。

白畑孝太郎は山形県の巡査で、家庭の事情で警察勤めをしたが、その一方で昆虫の研究を生涯にわたって続けた。虫の好きな人なら、その名前をどこかで目にしているはずである。兵役で中国にも行った。幸い輜重(しちょう)兵で、捕らえた虫の一部は、特別の配慮で内地に持ち帰ることが許された。厳しいとはいえ、よき時代でもあった。著者は山形に住み、白畑の事跡をいつの間にか追いかけることになる。著者もまた、若い気鋭の昆虫学者だからである。それでこの本ができた。

山新夕刊に連載されていた当時から、白畑孝太郎の事績は、身近な自然を舞台にしているだけに、興味深く読んでいました。こうして単行本としてまとまってみると、一貫した人物像が浮かびあがって来ます。

本書は、次のような構成になっています。

第1章、標本に埋もれて
第2章、生い立ち
第3章、警察官として
第4章、大陸に渡る
第5章、断たれた夢
第6章、新たなる幕開け
第7章、研究の途
第8章、博物館に託した思い
第9章、『山形県昆虫誌』の構想
第10章、夢の軌跡

経済的事情から進学を果たせず、警察官として勤務するかたわら趣味の昆虫採集を続け、地味ながら貴重な業績を残した個人の歩み。それを丹念に追う気鋭のナチュラリスト。良い組合せです。

(*):『白畑孝太郎 ある野の昆虫学者の生涯』~毎日新聞「今週の本棚」新刊

山形新聞夕刊では、昨年の藤沢周平没後10年を記念した特集が組まれました。この単行本化を切に希望します。

さて、本日は山響ニューイヤーコンサートの日。夕方から、妻と一緒に出かける予定です。
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Pilot製ボールペンG-knockのブルーブラック

2008年01月25日 06時51分44秒 | 手帳文具書斎
子どもに葉書を書いたら、妻がパイロット製ボールペンG-knockのブルーブラックの色が気に入ったらしく、ぜひにと所望。たしかに、ボールペンでブルーブラックは珍しく落ち着いた色合いです。書き味は三菱のJetstreamに一歩ゆずりますが、廉価なゲル・ボールペンの便利さは魅力的です。1本目はすでに使い切り、今のを妻にあげてしまうと、3本目を購入してこなければいけません。ついでに、Jetstreamの1.0mmの黒も補充しておきましょう。

昨日から本格的に雪が降っています。昨晩は、この冬初めて除雪機が出動しました。ちょいと30分ほど動かして、明日の人と車の通路を確保しました。やっぱり除雪機があると、いざというときに頼りになります。
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ラヴェルの初期ピアノ作品「パレード」を聴く

2008年01月24日 06時41分21秒 | -独奏曲
ラヴェル(1875ー1937)のピアノ曲は、若い頃に、FM放送でペルルミュテールの「水の戯れ」や「夜のガスパール」を聴いて、すっかり気に入りました。このラヴェルのピアノ音楽全集第1巻「鐘、パレード」のCD(Naxos:8.550683)の冒頭に収録されている曲「パレード」は、初期の珍しい作品だそうで、Wikipedia の「モーリス・ラヴェル」にも記述がありません。どうも、フランソワ=ジョエル・ティオリエによる世界初録音らしいです。

この曲について、添付のリーフレットでは、次のように解説しています。

The piano piece La parade is a work of historical interest, rather than of any particular significance among Ravel's music for piano. It was written about the year 1898 for Antonine Meuniere of the Paris Opera, designed for interpretive dancing at home. Ravel was accustomed to inprovise at the piano for the dancing of Isadora Duncan, and La parade may be considered a surviving example of this activity. It consists of a number of dances, including two marches, two waltzes and a mazurka.

下手ながら、意訳を試みてみました。こんなふうでしょうか。

ピアノ小品「パレード」は、ラヴェルのピアノ音楽の中で何か特別な意味を持つものというよりは、音楽史的に興味ある作品です。本作品は、1898年頃に、パリ・オペラ座の Antonine Meuniere のために書かれました。ラヴェルは、イサドラ・ダンカンのためにピアノを即興演奏することに慣れており、「パレード」はこうした活動から今に残った実例であると考えられます。この曲はいくつかの舞曲からなり、2つの行進曲、2つのワルツとマズルカを1つ含んでいます。

ただし、家庭での interpretive dance というのがよくわかりません。コンピュータの世界でインタープリタといえば、人間がプログラミング言語で記述したソースコードを、コンピュータが実行できる形式に逐次変換しながら、そのプログラムを実行するソフトウェアのことをいいます。すると、インタープリティブ・ダンスというのは、ラヴェルが弾いた音楽を逐次解釈して踊るダンス、ということか。「即興ダンス」とか「解釈バレエ」といったものかもしれません。すると、「家庭での即興的なダンスのため」となるのでしょうか。

実際には、イサドラ・ダンカンの名前から想像されるような前衛的なものではなく、現代ならばむしろ街角で演奏されていてもおかしくない、少しモダンな、楽しい音楽といった雰囲気。「パレード」という題名が実にぴったりです。

しかし、こういう音楽を聴いて、その場で即興で踊るなんて、信じられない!木偶の坊の踊りなら、いささか自信がありますが(^o^;)>poripori

■フランソワ=ジョエル・ティオリエ盤 12'36"
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雑誌とフリーペーパー~ページ数と刊行間隔から

2008年01月23日 06時51分46秒 | 読書
少し前はあれほどたくさんあったのに、今は多くのパソコン雑誌が休刊してしまっています。ある時期の某社のパソコン雑誌は、ほとんどバイト君が作っているのではないかと思うほど、毎年似たり寄ったりの企画が多かったものでした。ページ数が多くて刊行の間隔が短いと、質を維持するのは難しいだろうと思います。逆に、ページ数が少なく、刊行の間隔が適度に長いフリーマガジン(フリーペーパー)のような刊行物は、少ない人数(=低コスト)で、徹底した取材ができ、高いレベルを維持しやすいのではないかと思いますがどうなのでしょう。こだわりのあるフリーペーパーのほうが面白いと言う現象は、どうも作り手の側の問題もあるように思います。素人考えですが。
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コーヒーと甘味シリーズ、リンゴの揚げ餃子?

2008年01月22日 06時57分44秒 | Weblog
毎日寒いです。幹線道路は融雪剤のおかげで黒い路面が出ておりますが、日陰はツルツルで、交差点などで神経を使います。通勤の音楽は、現在、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第5番~7番を収録した、イェフィム・ブロンフマンの演奏を聴いております。

さて、本日の写真は、実はひそかに写真で連載している「コーヒーと甘味」シリーズで、妻のお得意の「リンゴの揚げ餃子?」です。これは、リンゴのコンポートを作るのに使う、甘く煮たリンゴを餃子の皮で包み、油で軽く揚げたもの。できるだけ酸味のあるリンゴが美味しいのですが、今の季節まで保存できるのは「ふじ」をおいて他になし。美味しいです。

■ひそかに写真シリーズ「コーヒーと甘味」特集~自己責任でご覧ください(^o^)/

(*1):コーヒーと甘味~冬至かぼちゃ編
(*2):コーヒーと山形名物・山田家の「ふうき豆」
(*3):修論に忙しい某院生が作ってくれたプリンとコーヒー
(*4):コーヒーとチョコレート・ケーキ
(*5):コーヒーと中国のお菓子「沙瑪」
(*6):コーヒーとアップルパイ
(*7):完熟ラフランス入りヨーグルトとコーヒー
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聴きたい曲を選ぶとき

2008年01月21日 06時48分54秒 | クラシック音楽
聴きたい曲を選ぶときは、CD棚を指差してずうっと眺めていきます。すると、ぴっと反応するところがあります。反応するところは、曲目だったり作曲者だったり、演奏家や録音レーベルだったり、さまざまです。ときには、購入した時期や年代に反応することもあります。

印象に残るもので、好きな曲目、ごひいきの演奏家の好録音や、自分とのつながりの深いものを選ぶこともありますし、今まで聴いたことがないからという単純な理由で選ぶことも少なくありません。関連性をたどって、次の曲目が決まることも多いです。

この、ひとしきり選ぶまでが楽しいものです。選んだCDを携帯CDプレイヤーにセットして出かけるのはさらに楽しい。聴きたいCDを数枚選び、車に運んでドライブに出かけるのもいいですね。雪に閉ざされた冬のトンネルを抜けたら、「春」を探しに車で出かけたいものです。シューマンの「春」やベートーヴェンの「春」を持って。

写真は、某所の新年会に向かう途中のマイクロバスから撮影した、文字通り冬のトンネル(^_^;)>poripori
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シマノフスキの弦楽四重奏曲第1番を聴く

2008年01月20日 06時41分27秒 | -室内楽
先日、某所の新年会がありました。泊まった先で相部屋になった某氏は、豪快なイビキで有名です。事前に情報を察知し、当方は携帯CDプレイヤーと耳栓型イヤホンを持参しました。温泉に入り、ほろ酔い機嫌で聴いたのが、シマノフスキの弦楽四重奏曲第1番でありました。
静かで集中力に富む音楽は、実にアルコールの酔いがまわります。奈落に吸い込まれるように眠りに落ちました。おかげで、翌朝「某氏のイビキ、すごかったろう?」と聞かれても、「いや~、音楽を聴いてて、ちっとも気づかなかったヨ」と答え、音楽好きと鈍感力と、両方の評判が著しく上昇した模様です(^_^;)>poripori

さすがに酔っぱらって睡眠導入剤として聴いたままではシマノフスキに失礼。ここしばらく、ポーランドの作曲家カロル・シマノフスキ(*)の弦楽四重奏曲を聴いております。第1番ハ長調Op.37は、1917年に作曲され、1919年のポーランド独立後の1922年に初演されたものだそうです。すでに後期ロマン派ではなく、でも無調とまではいかない、不思議な美しさを持った音楽です。

第1楽章、静かで集中力に富むレント・アッサイの序奏に続き、アレグロ・モデラートの主部。密度の濃い、きわめて集中力に富む音楽。最後はバン、と切断するような音で終わります。
第2楽章、アンダンティーノ・センプリーチェ。解説書によれば、全体が3部構成なのだそうで、第1部は「カンツォーネ風に」とされているとのこと。どこがカンツォーネ風なんじゃ!と思いますが、まあいいか。第2部はアダージョ・ドルチッシモ。繊細な転調は当方にも聴き取ることができます。第3部はレント・アッサイ・モルト・エスプレッシーヴォ。アタッカで第3楽章へ。
第3楽章、ヴィヴァーチェ。激しい序奏に、スケルツァンド・アラ・ブルレスカ、ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポの主部が続きます。不思議な響きは、各楽器の調性が異なる、多調で書かれているのだそうです。

演奏はカルミナ四重奏団で、DENON の COCO-70439 というCD。クレスト1000シリーズの1枚。1991年5月にスイスのセオンでデジタル録音されたもので、録音もたいへん優秀です。女性2人、男性2人のメンバーが思い思いに集まったようなCDジャケットが自然な雰囲気で、こちらもたいへん魅力的です。こういうデザイン的な愉しみは、CDやLPならではのものかも(^_^)/
併録されている弦楽四重奏曲第2番や、ウェーベルンの「弦楽四重奏のためのラングザマー・ザッツ」も、何度も聴いているうちにじわっと良さがわかってくる、たいへんすてきな音楽です。

■カルミナ四重奏団
I=7'28" II=5'34" III=4'24" total=17'26"

(*):カロル・シマノフスキ~Wikipediaの解説
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日曜夜のN響アワーはベートーヴェン「不滅の恋人への手紙」

2008年01月19日 09時16分13秒 | クラシック音楽
明日の日曜夜、N響アワーは、ベートーヴェンの「不滅の恋人への手紙」を取り上げる予定とか。N響アワーの番組ホームページ(*)によれば、1812年の夏、文豪ゲーテとの出会い、そして「不滅の恋人への手紙」で知られる恋人との出会いがあったといいます。
以前、青木やよひさんの『ベートーヴェン 不滅の恋人』(河出文庫)を知り、たいへん興味深く読みました。その後、レーザーディスクでバーナード・ローズ監督の「不滅の恋人」も購入し、これまた興味深く見ました。
最近の資料から「不滅の恋人」について探る内容、とのこと。演奏はネルロ・サンティ指揮のN響で、放送曲目はベートーヴェンの序曲「レオノーレ」第1番と交響曲第8番。これは必見です。

(*):「N響アワー」番組ホームページ
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老病苦死と明日の希望

2008年01月18日 20時40分30秒 | Weblog
子どもが家を出て、急に平均年齢が高くなったわが家では、食卓の話題に老病苦死のことがよく出るようになりました。老父母も、老いて死ぬのは誰もが運命なのでしかたがないけれど、苦しむのはいやだなぁ、と言っております。同感です。本人はもちろん、それを見守る周囲も辛いものです。近年は、緩和医療の進歩があり、よほど良くなっているようですが。

しかし、現に病気をかかえて入院している老父は、一日一日に希望を持って生きることが大切だ、と言います。明日はこうしよう、明後日はああしようと考えて日々を生きることが大切だ、とのこと。なにげない日常の生活の価値、と言い替えても良いでしょう。

当年84歳、幼い日に母親が失明し、若くして戦争にかりだされ、広島で被曝し、体調のすぐれぬまま戦後の農村を生きた老人の、六回の開腹手術を経ての感想です。静かですが、なんとも迫力があります。人畜無害の息子は、ややたじたじであります(^o^;)>poripori
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リムスキー・コルサコフ「スペイン奇想曲」を聴く

2008年01月17日 06時55分33秒 | -オーケストラ
冬の朝、つるつるに凍結した寒さの中を、通勤のために出発するとき、ちょいと威勢良く景気をつける音楽がいいかな、と思い、ここしばらくリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」を聴いておりました。

1. アルボラーダ
2. 変奏曲
3. アルボラーダ
4. シェーナとジプシーの歌
5. ファンダンゴ・アストゥリアーノ(アストゥリア地方のファンダンゴ)

出だしの華やかさに続き、ソロが名人芸を次々と披露するところは、やっぱり景気がいいです。中間部、闘牛場ふうのファンファーレの後、ヴァイオリンが思わせぶりな(?)一節を披露。最後も華やかに盛り上がって終わります。意外にたくさんの種類の打楽器が使われているのですね。景気の良さは、そのあたりにも感じられるのかもしれません。

演奏は、CDではジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団(SONY SRCR-2557)や、カレル・アンチェル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏(DENON GES-9226)を聴いております。この曲目にしては珍しい顔ぶれですが、いずれも立派な演奏です。セル盤は明晰でモダンな、くっきりとした演奏ですが、煽情的な妖艶さはやや乏しいかも(^o^)/
セル盤の場合、むしろコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」やプロコフィエフの「キージェ中尉」などのほうがメインなのでしょう。こちらは抜群の名演、むしろボロディンの歌劇「イーゴリ公」やリャードフの「魔法にかけられた湖」などのロシア管弦楽作品を聴ける点が珍しいところか。

このほかに、たしか、ピエール・モントゥー指揮北ドイツ放送交響楽団の演奏による17cmLP(コンサート・ホール SMS-528)もあったはずですが、残念ながら今は所在不明です。

参考までに、演奏及び録音データを示します。
■セル/クリーヴランド管 15'07" (1958年2~3月、クリーヴランド、セヴェランス・ホールにて録音)
■アンチェル/チェコ・フィル 15'15" (録音年、録音場所:不明)
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