電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

ヘンデルの合奏協奏曲「アレクサンダーの饗宴」を聴く

2020年02月29日 06時02分14秒 | -協奏曲
新型コロナウィルスの脅威に、世の中がなんとなく落ち着かない昨今、田舎にて引きこもり生活を決め込んでいますが、なんとなく意気が上がりません。外は寒いし、先日の雪が融けて畑もグチャグチャだし、室内でおとなしく音楽を聴いているに限ります。そんなわけで、ハードディスク内の音楽ファイルを眺めていたら、目についたのがカール・シューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団による1961年の録音で、ヘンデルの合奏協奏曲「アレクサンダーの饗宴」です。すでにパブリック・ドメインになっており、自由にダウンロードして聴くことができる(*1)のがありがたいところです。

Wikipedia によれば、1736年に作曲された「アレクサンダーの饗宴、または音楽の力」という世俗的頌歌の幕間に演奏された協奏曲のうちの一つがこの曲なのだそうです。もともとのコンサートホール盤LPにはOp.6のニ短調の曲も収録されていたようで、こちらを取り上げようかとも思ったのですが、第1楽章の悲劇的な曲調からして、なんだか今の状況にはマッチしすぎて怖い(^o^)/
ハ長調の「アレクサンダーの饗宴」のほうは、晴れやかな開始からして気分が上向きになります。第1楽章:アレグロ、第2楽章:ラルゴ、第3楽章:アレグロ、第4楽章:アンダンテ・ノン・プレスト という構成の、「急ー緩ー急ー緩」の合奏協奏曲のスタイルで、弦楽合奏好きにはたいへん魅力的な音楽です。

Händel: Alexander's Feast, Schuricht & BavarianRSO (1961) ヘンデル アレクサンダーの饗宴 シューリヒト、YouTube より。


カール・シューリヒトとバイエルン放送交響楽団による演奏のほうは、重厚長大あるいは大仰にロマンティックだった当時としては、いささかぶっきらぼうな感もあった「淡麗辛口」スタイル。でも、古楽の演奏スタイルに慣れた現在は、むしろ違和感なく親しみを持って聴くことができます。いい演奏だと感じます。

(*1):ヘンデル:合奏協奏曲「アレクサンダーの饗宴」HWV318〜「クラシック音楽へのおさそい〜Blue Sky Label〜」より

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モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番」をグルダのピアノで聴く

2020年02月19日 06時04分25秒 | -協奏曲
パブリック・ドメインの恩恵で、かつて懐具合のモンダイで入手できなかった録音を自由にダウンロードして聴くことができるようになり、様々な曲や演奏を楽しんでおりますが、先日のモーツァルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」は、たいへん興味深く聴きました。演奏は、フリードリヒ・グルダのピアノ、ハンス・スワロフスキー指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団で、1965年6月に録音されたものだそうです(*1)。

この録音は、コンサートホール・ソサエティという通信販売のレコードクラブを通じてLPレコードが販売されており、『音楽通信』という小冊子を通じてその存在を承知してはいたものの、購入までにはいたらなかったものでした。著作隣接権の保護期間が満了し、無償で公開された録音を聴いて、驚きました。独奏ピアノを奏するグルダ氏、興のおもむくままに自由に即興演奏を入れているようなのです。ふつうはピアノが沈黙している場面でも、さりげなくオーケストラに合いの手を入れたりして、いかにも「うふふん♥」と言いたげな上機嫌さです。たいへん面白く聴きました。これは「あり」だと思います。

たとえば、YouTube に第1楽章がアップロードされていましたが、グルダの天衣無縫さが顕著です。
Piano Concerto No. 21 in C Major, K. 467 "Elvira Madigan": I. Allegro maestoso


ところが実際には、こうしたグルダのやり方が、60年代後半の当時の音楽界には必ずしも受け入れられなかったらしい。演奏家として真剣に考え工夫した上での結論が受け入れられないことへの不満が、自発性・即興性を重視するジャズへと向かわせたのではなかろうか。そう考えると、いささか奇矯なところもある、「クラシック音楽とともにジャズも演奏するピアニスト」という彼の当時のあり方が理解できるように思います。

FRIEDRICH GULDA - GULDA JAZZ (Full Album)


しかし、幸か不幸か、グルダのジャズもまた主流にはなりえず、本人も満足できるものではなかったらしく、結局はクラシックの世界に「復帰」します。どちらが先かはわかりませんが、ちょうど従来の古典音楽の演奏に「飽きてしまっていた」(*2)奏者たちが、古楽ムーヴメントを起こしていた時期に重なりあう部分があるのでは。

古楽ムーブメントを担ったブリュッヘン、レオンハルト、クイケン兄弟などが重視していた「速いテンポ、活力ある演奏スタイル、即興性・自発性の重視」などの特徴は、従来の大家たちの「重厚長大・荘厳荘重・微速前進」といったスタイルとは一線を画したものになっており、大きく捉えれば、グルダもまたある種共通のシンパシーを感じていたのかもしれない、と思ってしまいます。

最後に、作曲家としてのグルダの作品を。同じく YouTube から。
Friedrich Gulda plays Gulda: Aria (Solo Version) - 1990

※あら、だめみたい。「YouTube で見る」だと OK のようです。

(*1):モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」〜「Blue Sky Label〜クラシック音楽へのおさそい」より
(*2):那須田務『音楽ってすばらしい〜古楽演奏による音楽の魅力の発見」を読む〜「電網郊外散歩道」2011年9月4日

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ランパルの演奏・指揮でモーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」を聴く

2019年11月01日 06時02分00秒 | -協奏曲
サトイモの収穫を終えて、やれやれとひと安心したところでCD棚から取り出したのは、モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」です。演奏は、ジャン・ピエール・ランパル(Fl)とマリエル・ノールマン(Harp)、ランパル自身の指揮でイギリス室内管弦楽団による1987年のエラート盤(R25E-1003)ですが、残念ながら録音に関するデータはどこにも記載がありません。

まあ、労働の後のほっとした気分で聴いているときに、演奏や録音について細かく言及する気分にはなれませんので、このギャラントな音楽に心地良く身を委ねるのがよろしいでしょう(^o^)/

添付のリーフレットには、1778年、母と共にパリに出てきたモーツァルトが、かつては神童としてちやほやされたにもかかわらず、その時は無名の若手音楽家として扱われ、生活していくためには機会をとらえて依頼を受けていくしかなかったとあります。そのため、フルートの達者なド・ギーヌ公爵とハープが得意な娘のために、娘の結婚式に父娘で仲良く演奏するために作曲されたのだそうです。うーむ、なるほど。それでこの祝典的な気分の音楽になっているわけか。

第1楽章:アレグロ、ハ長調、4/4拍子。ハープを伴いトゥッティで奏される主題の軽やかさ、優美さに参っているところへ快活にフルートが登場、ハープが色どりを添え、ともに聴かせてくれます。実にカッコイイです。お父さんの公爵はさぞや気分が良かったことでしょう(^o^)/
第2楽章:アンダンティーノ、ヘ長調、3/4拍子。ここもまた実に典雅な音楽です。娘の結婚式なのにパパがやけに目立ってしまっているみたいですが、まあ、公爵ですから(^o^)/
第3楽章:ロンド、アレグロ、ハ長調、2/2拍子。リズミカルで華麗なフィナーレです。結婚式の前に、オーケストラとの練習に際し、父と娘は上手に合わせられたのでしょうか。貴族ですから、小市民的な親子関係の感傷はごく少なかったでしょうが、ちょっとした転調の際に、多少は感情の揺れがあったのかもしれない、などと想像してしまいます(^o^)/

しかしランパルのフルートは天衣無縫、屈託なく見事なものです。ハープのノールマンは、リリー・ラスキーヌのお弟子さんみたい。

参考までに、演奏データを示します。
■ランパル(Fl)、マリエル・ノールマン(Hrp)、イギリス室内管
I=10'18" II=9'27" III=9'48" total=29'33"

ずっと前に、この曲を取り上げていました(*1)。このときも、雪下ろしをした後に雪を片付ける作業で大汗かいたはず。どうも肉体労働の後にこの曲を聴きたくなるみたい(^o^)/

(*1):モーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年12月

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パブリック・ドメインになって初めて知った録音〜フランチェスカッティによるメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2019年03月07日 06時01分05秒 | -協奏曲
当方、若い頃から、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の正規録音は、LPやCDで、できるだけ集めるようにして来ました。近年は、著作隣接権保護期間が満了し、多くがパブリック・ドメインの仲間入りを果たしましたので、販売店からの「廃盤」「品切」「再発予定なし」という回答を待たずとも、ネット上で堂々と入手できるようになり、喜んでいます。

ところで、先日「クラシック音楽へのおさそい〜Blue Sky Label〜」のデータベースで「Szell」を検索したリストを眺めているうちに、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が含まれていることに気づきました。ヴァイオリンをジノ・フランチェスカッティが演奏する1961年のステレオ録音です。

はて、こんな録音、何度も何度も眺めている1970年の CBS-SONY のレコードカタログでも記憶がありません。どれどれ……




うーむ、見つけてしまいました。ジョージ・セルの録音のところにはなくて、フランチェスカッティのところに、シッパース指揮ニューヨーク・フィルとのチャイコフスキーとのカップリングで掲載されていたのです。SONC-10062、実に49年ぶりの発見です。

そういえば、いわゆる「メン・チャイ」カップリングの人気始めは、1950年代のフランチェスカッティのモノラル旧盤だったらしい。その再録音の片方が、なんとセル指揮クリーヴランド管とだった、ということなのでしょう。

YouTube にもありました。
Mendelssohn Violin Concerto Zino Francescatti The Columbia Symphony Orchestra, George Szell


美音のヴァイオリニストとしてのフランチェスカッティの魅力と、1960年代初頭のジョージ・セル指揮クリーヴランド管のストイックな強さの魅力とが、不思議な説得力を持っています。メンデルスゾーンの別な面、恵まれた環境に育ったひよわなボンボンではなくて、たぐいまれな素質を持ちながら抑圧されることへの強い抵抗感や意思を持つ存在としての面に触れるようです。

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ヴィヴァルディ「チェロ協奏曲ホ短調RV40」を聴く

2019年02月08日 06時03分29秒 | -協奏曲
最近、通勤の音楽として聴いているのは、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲ホ短調です。ピエール・フルニエのチェロ、 ルドルフ・バウムガルトナー指揮 ルツェルン音楽祭弦楽合奏団の演奏で、1963年に録音されたもののようです。

「クラシック音楽へのおさそい〜Blue Sky Label〜」(*)の説明によれば、この曲はもともと「チェロと通奏低音のためのソナタ」として作曲されたのだそうで、これをフランスの作曲家ヴァンサン・ダンディと、同じくフランスのチェリストだったポール・バズレールの二人によって、ソナタを協奏曲に改変編曲してできあがったものだそうな。パブリック・ドメインになって同サイトに登録されたmp3ファイルをダウンロードし、USBメモリに入れて車に持ち込み、楽しんで聴いているというわけです。

第1楽章:悲痛な表情を見せながら、なお誇りと気品を失わないラルゴ。第2楽章:やや不安や焦燥感を見せながら、速いテンポで走り抜けるアレグロ。第3楽章:「懐かしい昔を語る打ち明け話」みたいな風情のレント・エ・エスプレッシーヴォ。第4楽章:再びいきいきと速いテンポで、ヴィーヴォ。ごく短いですが、魅力的な音楽です。

自宅の簡易な PC-audio で再生すると、冬道のロードノイズにまぎれてよく聞こえていない部分も、じっくり聴くことができます。初めて聴く曲で、これは実にありがたい紹介です。

調べてみると、オリジナルのヴィヴァルディ「チェロ・ソナタ」はかなりの数が作曲されており、また実に様々な録音があるらしい。従来のスタイルによるもののほか、ピリオド・スタイルによるもの、ダルラピッコラによりピアノとチェロに編曲されたものなどもあるようです。探してみる価値は充分にありそうです。楽しみができました。

(*):ヴィヴァルディ「チェロ協奏曲ホ短調RV40」〜「クラシック音楽へのおさそい〜Blue Sky Label〜」より

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録画DVDでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」等を楽しむ

2018年08月19日 06時04分44秒 | -協奏曲
少し涼しくなったのを良いことにCD/DVDの棚を整理していたら、未整理になっていた録画済みDVDが数枚、出てきました。2005年1月に放送された、E-テレことNHK教育テレビ「芸術展望」を録画したもので、

  • ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30」、イェフィム・ブロンフマン(Pf)
  • チャイコフスキー「交響曲第4番」
      ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、ウィーン・フィル

というプログラム。2004年11月20日、サントリーホールでの演奏会を収録したものです。

2005年1月といえば、このブログを始めて間もない頃で、N響アワーの話題なども記事にしています。芸術展望といい、N響アワーといい、当時は地上波でも良質のクラシック音楽番組を提供してくれていたと感じます。案内役が森田美由紀アナウンサーで、話し方が実に自然で正確で聞きやすいことをあらためて痛感。



14年前のゲルギエフは無精髭で実に暑苦しく、もしプーチン大統領と並んだら

「越後屋、そちも悪よのう」
「いえいえ、お代官様ほどでは」

などという会話がかわされる場面をつい想像してしまうほどです(^o^;)>poripori
姿の見えないCDだったら余計なことは考えないのでしょうが、なまじ姿が見えるだけに、目から入る印象にどうしてもひきずられる傾向は否めません。

でも、ブロンフマンのピアノはいいなあ。見た目は暑苦しいけれども(^o^)/

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メルカダンテ「フルート協奏曲ニ長調」を聴く

2018年05月31日 06時02分58秒 | -協奏曲
一部ではすでに梅雨に入ったという報道もある昨今、通勤の音楽も、重苦しさのない爽やかな音楽がほしいとのことで、エラートのCDからサヴェーリオ・メルカダンテの「フルート協奏曲集」を選んでおります。ずっと以前に、ホ短調の協奏曲を取り上げたことがあります(*1)が、同じランパルの録音で、イギリス室内管弦楽団とのニ長調のほうを取り上げます。
サヴェーリオ・メルカダンテ(1795〜1870)は、ベートーヴェンの時代からヴェルディの時代まで生きた、ずいぶん長命の作曲家のようですが、歌劇作品はあまり残らなかったみたい。

第1楽章:アレグロ、ニ長調。佐々木節夫氏による添付リーフレットの解説には協奏的ソナタ形式とありますが、第1主題と第2主題を提示し、変奏、再現と終結というような形だからなのでしょうか。作曲年代は不明なようで、ロココの風情もあるし、ロッシーニを思わせるような面もあります。明るく軽やかな曲想で、重苦しさなど吹っ飛ばせという勢いもあります(^o^)/
第2楽章:アンダンテ・アラ・シチリアーナ、ホ短調。フルートがソプラノだとすると、まさしくオペラのアリアの風情です。可憐なヒロインが、なにか切ない心を嘆きながら歌うような音楽。
第3楽章:ポラッカ、アレグロ・ブリランテ、ニ長調。弾むようなリズムに乗って、フルートが技巧的にポロネーズを奏でますが、やっぱりイタリア風というのか、まさしく歌うような音楽です。

YouTube にはホ短調のほうはかなりあります(*2)が、ニ長調の曲は意外に少ないようです。例えばこれなど。
Saverio Mercadante Concerto in D Major for Flute and Orchestra


こちらはピアノ伴奏版。フルート自慢の人なら、さらっと吹いてしまうのでしょうか(^o^)/
S.Mercadante /Flute Concerto in Re Maggiore(D-Dur)-accompaniment


(*1):メルカダンテ「フルート協奏曲ホ短調」を聴く〜「電網郊外散歩道」2006年4月
(*2):ホ短調の協奏曲は、たとえばこれなど。
S. Mercadante - Flute Concerto in E Minor


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モーツァルト「ピアノ協奏曲第25番」を聴く〜田部京子(Pf)と飯森・山響で

2018年05月13日 06時01分13秒 | -協奏曲
このところ、通勤の音楽として、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第25番」ハ長調K.503を聴いておりました。この週末には、自室のステレオ装置で聴いております。田部京子さんのピアノ、飯森範親指揮山形交響楽団の演奏で、CDはオクタヴィア・レコードから発売されており、型番は TRITON:OVCT-00130 です。同じ顔ぶれで、2017年3月、山響第259回定期演奏会で実演を聴いています(*1)が、このときのライブ録音のようです。

第1楽章:アレグロ・マエストーソ。冒頭の音のバランスが、実に充実した、快い響きです。これは、おそらくナチュラルタイプのホルンやトランペットを採用した効果の一例でしょう。弦の澄んだ音はごく自然で、音楽の陰影も的確に描きます。古楽の影響を受けている時代とは言え、テンポはそれほど速すぎることはありません。カデンツァは田部京子さん自身によるものだそうですが、現代的な感性で内に光を照射するような見事なもので、実演でも聴き惚れたものでした。
第2楽章:アンダンテ。ゆったりした主題、ナチュラル・ホルンの音色ののどかさが好ましいものです。そっと入ってくるピアノの優しさが、例えば大きく下降する音階を魅力的にしています。
第3楽章:アレグレット。軽快なロンド主題で始まり、どこか祝祭的・典礼的な雰囲気があります。



この曲については、ほかにレオン・フライシャー(Pf)とジョージ・セル指揮クリーヴランド管による1959年の録音や、アンネローゼ・シュミット(Pf)とクルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管による1972年の録音(*2)などを聴いております。今はパブリック・ドメインになった、フライシャーとセル・クリーヴランド管による格調高い演奏も、20世紀の大オーケストラによる演奏として格別に素晴らしいものです。

参考までに、演奏データを示します。
■田部京子(Pf)、飯森範親指揮山形交響楽団
I=16'03" II=7'40" III=8'54" total=32'37"
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル
I=14'11" II=6'48" III=9'43" total=30'42"
■フライシャー(Pf)、セル指揮クリーヴランド管
I=14'30" II=7'27" III=7'57" total=29'54"

(*1):山響第259回定期演奏会でベートーヴェン、モーツァルト、ラターを聴く〜「電網郊外散歩道」2017年3月
(*2):モーツァルト「ピアノ協奏曲第25番」を聴く〜「電網郊外散歩道」2008年10月



ところで、オクタヴィア・レコードから発売されたこのCD、ケースの開け方が普通と逆。もしかしたら、左利きの人のためにわざとこういう形を取ったのかも。それはまだ良いのだけれど、添付のリーフレットにある「田部京子さんの演奏に寄せて」という広瀬大介氏の文章は、協奏曲の演奏について書きながら、オーケストラに触れた部分が

協奏曲では、オーケストラにも田部さんの世界観を共有してもらうべく、圧倒的なエネルギーに満ちた音がオーケストラへと向けられている感があったが(後略)

というところだけでした。え〜っ!

なんだかこの感じは、既視感があります。そうだ、カサドシュのピアノについて延々と語りながら、ジョージ・セルとコロムビア交響楽団の演奏については、わずかに1段落、15行だけしか触れていないという、あれ(*3)と同じだな!

(*3):カサドシュとセルによるモーツァルトのピアノ協奏曲のLPで指揮者はどう扱われていたか〜「電網郊外散歩道」2008年11月
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ブリテン「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2018年01月28日 06時01分17秒 | -協奏曲
このところずっと、通勤の音楽として、ベンジャミン・ブリテンの「ヴァイオリン協奏曲」を聴いています。ブリテンと言えば、当方にとっては「青少年のための管弦楽入門」ではなく「シンプル・シンフォニー(*1)」の作曲者として記憶している人です。しばらく前に購入していた数枚のうちの一枚で、999 円の限定版 EMI Classics シリーズの廉価CD、型番は TOCE-16334 です。演奏はマキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)、ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団。

曲については Wikipedia にも詳しくはありませんで、CDに添付のリーフレットが頼りです。高木正幸さんによる解説によれば、1939年、フランコ政権から追われアメリカに亡命していたスペインのヴァイオリン奏者アントニオ・ブローサのために書かれたもので、ブリテンもやはりアメリカに渡っていたようです。初演は1940年春、ブローサの独奏、バルビローリ指揮ニューヨーク・フィルにより、カーネギーホールで行われたのだそうな。この録音は、何度かの改訂を経て完成した1965年改訂版により演奏されているとのことです。

第1楽章:モデラート・コン・モート。ティンパニで、ごくひそやかに始まりますので、ここはロードノイズの多い雪道のカーステレオ向きではありません。でも、やがて1939年という作曲当時の風潮だったのか、プロコフィエフなどとも共通するモダンな響きの音楽に変わっていき、ここからはカーステレオでも十分に楽しめます(^o^)/
印象的なのは第2楽章:ヴィヴァーチェ〜カデンツァ。活発で、様々な奏法を試み、表現力豊かな音楽になっています。グリッサンドというのか、カデンツァでのキュウゥ〜と下降する表現などは、雪道の悪条件の下でも、とても印象的です。
第3楽章:パッサカリア、アンダンテ・レント(ウン・ポコ・メノ・モッソ)〜ラルガメンテ(レント)〜レント・エ・ソレンネ。この、「ウン・ポコ・メノ・モッソ」という語感がなんとも笑い出しそうですが、どうやら「少しテンポを遅くして」という意味らしい。「ラルガメンテ」は「豊かに」で、「レント・エ・ソレンネ」は「遅く、そして荘厳に」というような意味でしょうか。なるほど、演奏を聴くとこのような指示の意味がわかります。特に、曲全体の終わり方が。

参考までに、演奏データを示します。
■ヴェンゲーロフ(Vn)、ロストロポーヴィチ指揮ロンドン響
I=10'05" II=8'25" III=15'10" total=22'20"

画像は、Windows10機で使っている音楽再生ソフト foobar2000 です。

(*1):若い頃、この曲がお気に入りでした。
Britten: Simple Symphony

(*2):この曲に対するヴェンゲーロフのマスタークラスの動画もありました。
Vengerov: The Two Sides Of Britten's Violin Concerto


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ブランデンブルグ協奏曲の全曲を通して聴くには

2017年08月20日 06時08分32秒 | -協奏曲
この週末はあいにくの雨降りで、週末農業もお休みです。そこで、J.S.バッハのブランデンブルグ協奏曲全曲を通して聴くことを考えました。昔、若い頃に購入したLPでカール・シューリヒト指揮のコンサートホール盤をひっくり返しながら聴くのも良いけれど、次回も全曲を通して聴くことができるように、PC-audioでプレイリストを作成してしまうのが良かろう、という判断です。できれば、LPやCDでは収録の順番が番号順になっていない場合が多いので、第1番から第6番まで、番号順に演奏されるようにしてみたいところです。

で、Ubuntu-Linuxパソコンのハードディスクに取り込んだものから、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラの1983年のデジタル録音です。同じハードディスク上には、カラヤン指揮ベルリン・フィルの豪華な演奏などもありますが、全曲を通して聴くにはむしろ古楽スタイルの演奏のほうが聴き疲れしにくい、そんな印象があります。

うん、いいなあ。ブランデンブルグ協奏曲を全曲、通して聴くというのんびりした休日は、実に良いものです。果樹園の管理や桃の収穫準備など、いろいろとたまっている仕事はあるのですが(^o^;)>poripori

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J.S.バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」を聴く

2017年03月10日 06時02分03秒 | -協奏曲
ある日、突然に、むしょうにバッハの音楽が聴きたくなって手にしたJ.S.バッハ「ヴァイオリン協奏曲集」については、これまで何度か記事にしていますが、そういえばあの「二つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043」をまだ取り上げていなかったことに気づきました。

この曲は、Wikipedia によれば1730年頃から翌1731年にかけて作曲されたと伝えられているそうで、コレギウム・ムジクムで音楽監督をつとめたライプツィヒ時代の作品だそうです。

第1楽章:ヴィヴァーチェ。
第2楽章:ラルゴ・マ・ノン・タント、ヘ長調。
第3楽章:アレグロ、ニ短調、4分の3拍子。

精密な対位法と情緒的な旋律をバランスさせた音の織物のような曲、という評もあるほどに見事な音楽。二つのヴァイオリン独奏のかけあいや、独奏と合奏の対比など、実に魅力的で見事なものと感じます。

YouTube に、Arabella Steinbacher & 諏訪内晶子 の演奏がありました。編成はごく小規模ですが、こちらは映像つきですので余計に見事さを感じます。
Arabella Steinbacher & Akiko Suwanai - J. S. Bach : Concerto for Two Violins


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プロコフィエフ「チェロ小協奏曲」Op.132を聴く

2016年12月02日 06時02分54秒 | -協奏曲
通勤の音楽は、プロコフィエフの「チェロ小協奏曲」作品132を聴いています。
この曲は、作曲者最晩年の作品で、ロストロポーヴィチの協力によりカバレフスキーが補筆して完成したものだそうです。イッサーリス(Vc)とリットン指揮ロイヤル・フィルの演奏は、ブロック編のものだそうですが、カバレフスキーのチェロ協奏曲の後に聴くのは、ちょうどよいと考えた選択です。繰り返し聴いているうちに、たしかにプロコフィエフらしい不思議な魅力が感じられるようです。

参考までに、「Prokofiev cello concertino」で検索してみましたところ、YouTube にロストロポーヴィチの演奏がありました。ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮、オーケストラは USSR State Radio & Television Symphony Orchestra といいますから、モスクワ放送交響楽団になるのかな? ソ連時代の録音のようです。


第1楽章
第2楽章
第3楽章

音はモノラルですが、この演奏の力強さは素晴らしいと感じます。ヘッドホンで聴くときは、なんだか頭の真ん中で鳴っている感じで少しだけ違和感がありますが、静かな早朝にスピーカで音を出すのははた迷惑な話で、ヘッドホンで聴くことになるのはしかたがありません。放送などとは違って、時刻によらずにこうした歴史的な音源を味わえることに感謝すべきでしょう。たしかにコンピュータ・ネットワークの恩恵です。

もうひとつ、ポーランドの音楽院の学生さんたちらしい演奏もありました。映像を見ていると、若い演奏家のタマゴたちの息吹が感じられて、うらやましいほどです(^o^)/

Prokofiev: Cello concertino in G minor, Op.132

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カバレフスキー「チェロ協奏曲第2番」を聴く

2016年11月11日 06時03分16秒 | -協奏曲
最近の通勤の音楽は、USBメモリに入れた音楽の中から、カバレフスキーのチェロ協奏曲第2番です。この曲は、1964年に完成されたもので、Wikipediaによれば、ダニイル・シャフランのチェロ独奏、作曲者自身の指揮でレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団によって、1965年に初演された(*1)とのこと。ちょうどその頃、日本では先の東京オリンピックに国中が沸いていたころです。その割には、いわゆる現代音楽風の要素はごく少なく、聴きなじみやすい音楽だと感じます。

第1楽章:モルト・ソステヌート。低音の中にティンパニで始まり、独奏チェロがピツィカートで主題を奏しますが、やがて速いエネルギッシュな音楽に変わっていきます。テンポが遅くなって独奏チェロのカデンツァが奏されると、アタッカで第2楽章へ。
第2楽章:プレスト・マルカート。いきなりビッグバンド・ジャズ風の音色で、アルト・サクソフォンが鳴らされ、これがチェロに受け継がれます。再びチェロのカデンツァがあり、やはりアタッカで第3楽章へ。どうも、カデンツァは楽章と楽章をつなぐ役割も果たしているみたいです。
第3楽章:アンダンテ・コン・モト。途中の、瞑想的というか独白するようなチェロ独奏や、最後のチェロが歌う主題が印象的で、チェロの魅力をたっぷりと堪能した気分になります。

演奏は、イッサーリス(Vc)、リットン指揮ロイヤルフィル。これまでは、カバレフスキーというと、「道化師」やフィギュアスケートを連想してしまいましたが、これからは連想の中にチェロ協奏曲第2番も加わりそうです。

(*1):驚くべきことに、初演時の映像が残っていたらしく、YouTubeに公開されていました。
Daniil Shafran plays Kabalevsky Cello Concerto № 2 (cond. D.Kabalevsky)


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J.S.バッハ「ブランデンブルグ協奏曲第3番」を聴く

2016年02月22日 06時02分15秒 | -協奏曲
このところ、通勤の音楽として聴いているのは、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団による演奏で、J.S.バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」全6曲をCD2枚に収めた、1983年のデジタル録音です。つい最近、カラヤン指揮ベルリンフィルの録音がパブリック・ドメインになり(*1)、ストリームで聴いたりダウンロードして聴くことができるようになっていましたので、比較をしながら、おもしろく聴きました。

ブランデンブルグ協奏曲は、言ってみれば就職活動のための思惑があってまとめられた作品でしょうが、この第3番は、Vn(3)-Vla(3)-Vc(3)という構成による、各3声部、計9声部の音楽です。管楽器を使いませんので、弦楽器だけの、明るいけれども実に密度の濃~い音楽になっています。中間の楽章では、楽譜上では単にフリギア終止を形成する二つの和音が記されているだけなのだそうですが、この演奏ではチェンバロのカデンツァに相当するところに、「トッカータ」ト長調BWV916のアダージョを演奏しているとのことです。

そういえば、先の12月の山響第248回定期演奏会では、この第3番を取り上げていました(*2)。あのときには、コントラバスが加わっていましたし、間にやはりチェンバロによるかなり長いカデンツァを置いていました。この点から言えば、近年のバロック音楽の演奏習慣に従い、自由な装飾を許容するものとしてバッハの音楽をとらえているようです。

これに対して、カラヤン指揮ベルリンフィルの録音では、この第2楽章を、さらりとチェンバロで演奏し、わずか20秒ほどで終えて、終楽章に入ってしまいます。カザルス指揮のマールボロ音楽祭管弦楽団による演奏でも同様で、CDのトラック分けも二つだけです。

また、演奏表現の面からも対照的です。トン・コープマン盤では、速いテンポ、快活なリズムと表情で、思わずワクワクするような動的なブランデンブルグ協奏曲になっていますが、カラヤン盤のほうは、しかつめらしい顔をしてひたすら流麗な表現を求めると言っては言い過ぎでしょうが、いわば静的なブランデンブルグです。

うーむ。1980年代、グスタフ・レオンハルトらが古楽器で演奏した録音がLPとして出始めたときには、かなり違和感を感じていたのに、今では古楽奏法の側を自然で活力があっておもしろいと好感を持ち、逆にかつての有名大家による演奏に、なんだか違和感を感じるようになっています。オリジナル楽器や古楽奏法を取り入れた山響のモーツァルト定期を九年間も聴き続けたことにより理解が進んだ面が大きいですが、一番大きいのは、やっぱり「時代の力」でしょうか。

■トン・コープマン指揮ABO盤
I=5'38" II=2'05" III=4'43" total=12'26"
■カラヤン指揮ベルリンフィル
I=6'46" II=0'20" III=5'50" total=12'56"

(*1):J.S.バッハ「ブランデンブルグ協奏曲第3番」~カラヤン指揮ベルリンフィル~「クラシック音楽へのおさそい」~Blue Sky Label
(*2):山響第248回定期演奏会でベートーヴェン、バッハ、ハイドンを聴く(2)~「電網郊外散歩道」2015年12月

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新倉瞳(Vc)、飯森範親・山響でエルガー「チェロ協奏曲」他を聴く

2016年01月11日 06時04分36秒 | -協奏曲
昨年5月の山形交響楽団第245回定期演奏会で、新倉瞳さんのチェロで、エルガーのチェロ協奏曲とブルッフの「コル・ニドライ」等を聴きました。このときの録音がCDになりましたので、ここしばらく通勤の音楽として繰り返し聴いておりました。このたび、ようやく車から自室へ移し、ステレオ装置で、また簡易なPC-audioで聴いているところです。



エルガーのチェロ協奏曲は、当ブログで取り上げた(*1)のが2006年の12月ですから、近年になって、というよりもブログがきっかけとなって聴くようになった曲です。その点からいうと、かなり遅く親しんだ曲なのでした。ところが、エルガーの「チェロ協奏曲」の魅力にはまり、フルニエ盤、デュ・プレ盤、そして今度の新倉瞳さんの新録音と、私としては短期間にかなり顕著な集中ぶりです。

新倉瞳さんと飯森/山響盤は、とくに後半にやや速めのテンポをとり、音楽が豊かに流れて行きます。ここでは、表現の巨大さを求めるあまり音楽が停滞するようなことはありません。オーケストラの響きが澄んでいて、純度の高い音になっています。残響が豊かな、あまり大きくない規模のホールのせいもあり、速い技巧的パッセージも見事な独奏チェロが、オーケストラの中でしっかりと存在感を示します。この特徴は、最後に収められたオーケストラ伴奏版の「鳥の歌」によく示され、実に魅力的な音楽になっています。ご本人のサインをいただけなかったのは残念ですが、良いCDを入手できたと喜んでいるところです。

他にブルッフの「コル・ニドライ」も収録されており、録音がたいへん鮮明なのもありがたい。2015年10月8日~10日に収録されたデジタル録音で、企画制作はソニー・ミュージックダイレクト、発売は(株)ミューズエンターテインメント社となっています。型番は MECO-1032 と読み取れますが、老眼鏡をかけても O なのか D なのか判別が難しい書体です。もしかしたら、MECD-1032 かもしれません。このあたり、デザイナーさんにはもう少しユニバーサルデザインを心がけていただきたいところです。

■新倉瞳(Vc)、飯森範親・山響 盤
I=7'42" II=4'36" III=4'24" IV=11'08" total=27'50"

(*1):エルガー「チェロ協奏曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2006年12月
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