電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

夏川草介『神様のカルテ2』を読む

2012年12月10日 06時02分56秒 | 読書
小学館刊の単行本で、夏川草介著『神様のカルテ2』を読みました。先に前作をおもしろく読んだばかりで、第2巻は2010年の10月に第1刷を発行後、わずか2週間で第4刷まで行ったようです。驚異的な部数が出回っていたにもかかわらず、ほとんど仙人生活に近い当方は、まったく気づかずにおりました。うかつなことです。

物語の始まりは、信州王ヶ頭、いわゆる美ヶ原に、主人公・栗原一止医師と、妻のハルこと榛名さんが、春の残雪を踏んで昇り、木曽御嶽山を眺めて、夏に登る約束をする場面からです。

例によって、24時間365日を標榜する本庄病院では、医師も看護師もフル稼働状態です。そこへ新任の内科医が紹介されますが、なんと血液内科を専門とし、栗原先生とは大学も同期で、将棋部の良きライバルの間柄であった、進藤辰也でした。

喜んだのは良かったが、進藤先生はどうも勤務態度が評判がよろしくない。マイホーム主義というのか、すぐ帰ってしまうし、緊急時にも連絡がつかないことがあるというのです。御嶽荘の新しい住人の大学生も、なにやら目標喪失で沈滞しているし、ハルさんの心肺じゃなかった心配の種は尽きません。

栗原先生と進藤先生の間には、かつて一人の女性(如月)をめぐる三角関係があったのだそうで、その女性医師が進藤先生の妻であり、娘・夏菜の母親でもあります。難病の子供の患者の治療をめぐって、一日だけ休みを取ったことで主治医の変更を申し出られるハメに陥った如月千春医師は、心に大きな痛手を受けます。追い詰められたように、子供も生活も忘れて仕事に没頭するようになり、進藤先生の家庭は崩壊の瀬戸際に立たされます。幼い娘の成長を考え、進藤先生は娘と二人だけで、郷里の実家に避難してきたというのが真相でした。今回のテーマの一つ、医師の仕事と家庭生活の問題です。

もう一つ、本庄病院を支える両輪の一つ、古孤先生の病気が判明します。医者の不養生とは言いますが、こちらも家庭をかえりみず、大狸先生と組んで地域医療を支えて来たのでしたが、悪性リンパ腫の中枢神経浸潤というのですから、ど素人にもその厳しさはわかります。治療法がなくなったとき、医者はどうすればよいのか。今回の二つ目のテーマです。

事務長が悪役になっていますが、実際のところ、病院経営の実務がなければ医者も看護師も腕のふるいようがないはずですので、本来は対立すべきものではありません。ところが、なぜか対立的に描かれることが多いのは不思議です。理由がわからないではありませんが(^o^)/
もう一つ、本書に登場するお医者さんたちは、お酒の飲みすぎでしょう。メタボ肝硬変まっしぐらのような気がしないでもない。青年医師よ、体を大切にしたまえ(^o^)/
まあ、私が言っても仕方のない話ですが(^o^;)>poripori

コメント (4)