電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「よみがえりのレシピ」を観る

2012年11月26日 06時02分55秒 | 映画TVドラマ
過日、ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」(*1)を観てきました。在来野菜を伝承してきた人々の営みに光を当てるもので、ある意味、ドラマ以上に感動的なものがありました。この映画の制作意図を、渡辺智史監督は、次のように述べています。

在来作物は、何十年、何百年という世代を超え、味、香り、手触り、さらに栽培方法、調理方法を現代にありありと伝える「生きた文化財」である。しかし、高度経済成長の時代、足並みを合わせるように在来作物は、貴重な地域資源として見直されている。在来作物を知ることは、食と農業の豊かな関係を知ることにつながる。地域に在来作物がよみがえり、継承されていく姿は、豊かな食を味わい、楽しむ姿であり、地域社会の人の絆を深め、想像する姿である。この動きを日本全国、さらには世界中で起きている、食や農業の問題への処方箋(レシピ)として伝えて行きたい。

映画に登場するのは、自然農法である焼き畑で育てられる温海カブや藤沢カブ、田川カブ、宝谷カブなどの焼畑カブ、大豆の白山だだちゃ豆、外内島キュウリ、甚五右ヱ門芋、梓山大根、食用菊の「もってのほか」、山形赤根ホウレンソウ、金谷ゴボウ、雪菜などの在来野菜と、それを栽培し種を守ってきた老人たちと後継者、そして在来野菜を研究テーマとする大学の研究者とレストランのシェフなどです。

思わず不覚にもうるっとなってしまったのは、絶滅してしまったと思われていた品種が、たった一人の、無名の老人によって種子が守られていたこと。自分の代で絶やしてはならないと、なんとか大切な種子を継承しようとした、その思いです。在来野菜の生産者たちは、実に晴れ晴れとしたいい顔で、それぞれに味わい深い言葉を語っています。

山形県鶴岡市のレストラン「アル・ケッチャーノ」の奥田政行オーナーシェフの料理の数々を見ると、なんとも美味しそう。山形大学農学部の江頭宏昌准教授の活動も、素晴らしいものです。こういうドキュメンタリー映画を観ると、山形県の農村に根付いてきた様々な知恵の伝承に、思わず頭が下がります。「香港国際映画祭2012」及び「ハワイ国際映画祭2012」に正式出品された、「おいしくて、そして心に効くドキュメンタリー映画」です。これは、おすすめです。

(*1):映画「よみがえりのレシピ」
(*2):映画「よみがえりのレシピ」予告編~YouTube


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